目次骨格系関節系筋肉系消化器系呼吸器系胸郭泌尿器系生殖器系腹腔と骨盤腔内分泌腺心脈管系リンパ系神経系感覚器外皮

Systemic anatomy(系統解剖学)Anatomia systemica けいとうかいぼうがく Feneis: 020_01

[A02_0_00_000_0] →(解剖学にはその記述体系によって系統解剖学と局所解剖学とが区別される。系統解剖学というのは人体を骨格系・筋系・神経系その他の諸系統に区別し、各系統を別々に逐次に記述するものである。局所解剖学というのは人体の各部位における諸系統相互の関係をを取り扱うものである。局所解剖学は臨床医学、とくに外科学に対する重要な予備知識をなすものであるから、応用解剖学、あるいは外科解剖学ともいう。解剖学は全ての医学の基本になるものであるから、系統解剖学、局所解剖学を総合的に学習することが望まれる。しかし、近年の医学教育カリキュラムの全国的な趨勢として、解剖学教育のための時間数が大幅に圧縮され、実習中心のカリキュラムになっているのが現状のようである。貴重なご献体を用いての実習であるから系統解剖学は独学で学習する必要に迫られている。また、国際的な解剖学用語がラテン語と英語の併記になったことを考えると当然ながらその両方を習得する必要があろう。)

Axial skeleton(軸骨格;体軸性骨格;体軸骨格)Skeleton axiale じくこっかく;たいじくせいこっかく Feneis: 012_30

[A02_0_00_009] →(体軸にある骨格を軸骨格とよぶ。頭蓋骨、脊柱、肋骨および胸骨のこと。)

Bones; Skeletal system(骨;骨格系)Ossa; Systema skeletale こつ;こっかくけい Feneis: 020_02

[] →(これまでの解剖学用語では骨、骨格系(Ossa; Systema skeletale)に相当するものをこれまで骨学(Osterlogia)と呼んでいた。 からだの支柱をなす「骨ぐみ」である。多数の「骨」といくらかの「軟骨」がその構成単位をなす器官であり、これらが多くは関節によって可動的に連結されている。骨格には昆虫や甲殻類に見られるような外骨格と、脊柱動物にみられるような内骨格とがある。内骨格の構成単位をなすものは骨という器官で、人体では骨の数は200あまりである。しかし、頭蓋の上部をつくる骨、顔面の骨の大部分、上肢帯の鎖骨は、本来は外骨格性の皮骨が動物の発達の過程で沈下して、内骨格の一部となったものと考えられている。これらの皮骨性の骨は、その形成から見て、その主要部が結合組織からすぐ骨組織がつくられたもの(結合組織骨、膜骨)であって、内骨格性の骨が先に軟骨性の原基を経て骨になる(原始骨、置換骨)のとは区別される。骨組織や軟骨組織は身体の支柱であり、筋とともに身体各部の運動を引き起こす。この支柱を骨格系といい、骨格系と関節系、および骨格筋を合わせて運動器という。また、頭蓋や脊柱はなかに中枢神経組織(脳と脊髄)を入れて、それを保護し、胸郭や、骨盤は内蔵の一部を入れて保護する。骨格系はカルシウムやリンなどの重要な鉱質の貯蔵庫でもある。身体の多くの器官が正しく機能するためにはカルシウムが必要で、血液と骨組織の間で絶えずカルシウムの交換が行われている。また、骨の内部は血液細胞の産生の場である。)

Cranium(頭蓋;ズガイ)Cranium とうがい;ずがい Feneis: 020_03

[A02_1_00_001] →(頭蓋は日常語として一般にズガイと読まれているが、1943年(昭和18年)制定の医学用語、解剖学用語ではトウガイと読むことに定められた。しかし日常語としてのズガイも併用されている。 頭蓋は15種23個の骨、すなわち10種16個の頭蓋骨および5種7個の顔面骨の連結により形成されている。また頭蓋は5種7個の脳頭蓋(神経頭蓋)および10種16個の顔面頭蓋(内臓頭蓋)にも分類されている。 頭蓋骨(10種16個)を形成する骨は、後頭骨(1個)、蝶形骨(1個)、側頭骨(1対2個)、頭頂骨(1対2個)、前頭骨(1対2個)、篩骨(1個)、下鼻甲介(1対2個)、涙骨(1対2個)、鼻骨(1対2個)および鋤骨(1個)である。顔面骨(5種7個)を形成する骨は、上顎骨(1対2個)、口蓋骨(1対2個)、頬骨(1対2個)、下顎骨(1個)および舌骨(1個)である。 頭蓋は頭蓋冠と頭蓋底にもわけられているが、前者は頭蓋腔を円蓋状におおい、後者は頭蓋の底部をなし、両者の境界に冠する緒学者の見解は一定していないが、一般には外後頭隆起、上項線、外耳孔上縁、側頭下稜、眼窩上縁、鼻棘をむすぶ環状線をもって境界と定めている。頭蓋腔を円蓋状におおい、後者は頭蓋の底部を成し、両者の境界に関する諸学者の見解は一定していないが、一般には外後頭隆起、上項線、外耳孔上縁、側頭下稜、眼窩上縁、鼻棘を結ぶ環状線をもって境界と定めている。頭蓋腔の容積は1,200~1,500mlであるが、性差があり、女は男より約10%少ない。なお頭蓋腔の大きさは、脳の大きさに密接な関係をもっている。頭蓋の形態は個人差、年齢差、性差などのほかに人種差もあり、これは人類学的に重要な意義を有している。骨格のうちで最も人種の特徴の差違が著明に現れるのは頭蓋であるといわれている。頭蓋の人種間の差違を具体的に表すために、18世紀末より頭蓋計測がおこなわれてきたが、多数の計測値のうちで最も重要なものは最大脳頭蓋幅径を最大脳頭蓋長で除して、その値に100を乗して得た頭蓋長幅示数である。この数の値によって頭蓋を長頭(74.9以下)、中頭(75.0~79.9)、および短頭(80.0以上)の3型に大別することができる。頭蓋骨間の連結には下記の4種がある。(1)縫合:15種23個の骨のうち、下顎骨と舌骨とを除いたすべての骨は、縫合という骨間結合組織によって不動結合をなす。頭蓋には34種の恒常性の縫合がある。(2)軟骨結合:頭蓋底の軟骨性原始頭蓋すなわち後頭骨、蝶形骨、側頭骨にみられる不動結合で5種ある。(3)靱帯結合:側頭骨の茎状突起と舌骨との間にある頭蓋で唯一の靱帯結合すなわち可動結合である。(4)関節結合:下顎頭と側頭骨下顎窩との間にある頭蓋で唯一の関節すなわち可動結合である。)

Cranial cavity(頭蓋腔)Cavitas cranii とうがいくう;ずがいくう Feneis: 002_50

[A02_1_00_012] →(脳頭蓋の内部には脳を容れるための大きな腔所である頭蓋腔がある。頭蓋腔の容積は大脳の発達と正比例するので、人類学で重要視される。ことに化石人類などの大脳の発達が頭蓋腔の容積を測るとある程度類推できるからである。日本人成人の頭蓋腔容積の平均値は男性1450~1500cm3、女性1270~1330cm3である。)

Calvaria(頭蓋冠)Calvaria とうがいかん;ずがいかん Feneis: 020_33

[A02_1_00_032] →(頭蓋冠は頭蓋上部を円盤状におおっている部分をいう。全体が結合組織性骨より発生する。頭蓋冠の外面は強い頭蓋骨膜に被われている。頭頂骨、前頭鱗、側頭骨鱗部および後頭鱗からなる。これらの骨は扁平骨で、緻密質からなる外板と内板があり、両者の間には海綿質からなる板間層がある。板間層には静脈間を含んだ板間管があり、外板または内板に開口する。頭蓋冠の平面は平坦で顕著な凸凹は認められず、上面観は卵円形を呈する。前頭骨および頭頂骨の軽度の膨隆を、それぞれ前頭結節および頭頂結節という。側面には上側頭線および下側頭線が認められる。頭蓋冠の前部を前頭、中部を頭頂、後部を後頭という。また両側面で下側頭線より下方の部分を側頭という。底面下面を外頭蓋底という。頭蓋冠の内面に凸凹が多く、脳回による指圧痕、脳溝による脳隆起、中硬膜動・静脈による動・静脈溝がある。また内面には脳硬膜静脈洞によって形成された上矢状洞溝および横洞溝がある。Calvariaはcalvus(はげている)という形容詞に由来する。これ自身が単数形であって、複数形はcalvariaeとなる。)

Pericranium(頭蓋骨膜)Pericranium; Periosteum externum cranii とうがいこつまく;ずがいこつまく Feneis: 020_08

[A02_1_00_011] →(頭蓋冠の外面を被う強い骨膜。)

External table of calvaria; Outer table of skull bones(外板(頭蓋冠の))Lamina externa calvariae がいばん(とうがいかんの) Feneis: 020_34

[A02_1_00_034] →(頭蓋冠の外面は強い頭蓋骨膜に被われている。頭頂骨、前頭鱗、側頭骨鱗部および後頭鱗からなる。これらの骨は扁平骨で、その横断面を観察すると緻密質からなる外板と内板がある。)

Diploë(板間層)Diploë ばんかんそう Feneis: 020_35

[A02_1_00_035] →(板間層は外板と内板との間にある海綿質に相当する骨層で、頭蓋骨に特有である。Diploeはギリシャ語のdiploos(二重の)に由来する。この部分がサンドイッチのハムのように挟まれていることから、ローマ時代にRUFUSによって命名されたという。Diploeのeの上に・・をつけるのはドイツ語のウムラウトのような変音記号ではなく、連母音をそれぞれ独立に分離して発音させるための分離符(Trema)である。したがってこの分離符をとってdiploeとしても差し支えなく、むしろそれが本来の形である。)

Diploic canals(板間管)Canales diploici ばんかんかん Feneis: 020_36

[A02_1_00_036] →(外板と内板との間にある板間層には静脈間を含んだ板間管があり、外板または内板に開口する。)

Internal table of calvaria; Inner table of skull bones(内板(頭蓋冠の))Lamina interna calvariae ないばん(とうがいかんの) Feneis: 020_37

[A02_1_00_037] →(頭蓋冠の内板は骨性頭蓋を含む骨の内部の層。)

Groove for superior sagittal sinus(上矢状洞溝;矢状溝)Sulcus sinus sagittalis superioris; Sulcus sagittalis じょうしじょうどうこう;しじょうこう Feneis: 020_38

[A02_1_00_038] →(上矢状洞静脈をいれる溝。前頭鱗よりはじまり、両側頭頂骨の接合部、後頭輪正中線を経て内後頭隆起に至り、左右いずれかの横洞溝に連なるが、右のものに連なる傾向が強い。上矢状洞溝の内部および外部には多数のクモ膜顆粒小窩がある。)

Groove for superior sagittal sinus(上矢状洞溝;矢状溝)Sulcus sinus sagittalis superioris; Sulcus sagittalis じょうしじょうどうこう;しじょうこう Feneis: 034_27

[A02_1_00_038] →(上矢状洞静脈をいれる溝。前頭鱗よりはじまり、両側頭頂骨の接合部、後頭輪正中線を経て内後頭隆起に至り、左右いずれかの横洞溝に連なるが、右のものに連なる傾向が強い。上矢状洞溝の内部および外部には多数のクモ膜顆粒小窩がある。)

Granular foveolae(クモ膜顆粒小窩;脳膜顆粒小窩;パッキオニ小窩)Foveolae granulares くもまくかりゅうしょうか;のうまくかりゅうしょうか;ぱっきおにしょうかPacchionian granulations Feneis: 020_39

[A02_1_00_039] →(パキオニ小体(顆粒)小窩ともよばれる。頭蓋冠の内面にある上矢状静脈洞溝の内および外に脳膜のクモ膜顆粒の嵌入によって生じた1~4mmの多数の小窩をいう。イタリアの解剖学者Antonio Pacchioni (1665-1726)によって、1705年に記載された。)

Impressions of cerebral gyri(指圧痕(脳回の);脳回圧痕;大脳隆起)Impressiones gyrorum; Impressiones digitatae; Juga cerebralia しあつこん(のうかいの);のうかいあつこん;だいのうりゅうき Feneis: 022_04

[A02_1_00_040] →(脳回の指圧痕は大脳回に一致する浅い溝。または、脳隆起は大脳溝に一致する隆起腺を示す。指圧痕と脳隆起はは頭蓋底に近いほど明らかである。)

Venous grooves(静脈溝)Sulci venosi じょうみゃくこう Feneis: 020_40

[A02_1_00_041] →(頭頂骨内壁にときにみられる静脈の溝。)

Arterial grooves(動脈溝)Sulci arteriosi どうみゃくこう Feneis: 020_41

[A02_1_00_042] →(頭蓋内壁にある動脈をいれる溝。)

Sutural bone; Wormian bone(縫合骨)Ossa suturale ほうごうこつWormian bone Feneis: 020_42

[A02_1_00_043] →(頭蓋の縫合の縫合線の中に小さい縫合骨を見ることがある。縫合骨の出現はラムダ状縫合に最も多く、後頭乳突縫合、頭頂乳突縫合、矢状縫合、冠状縫合などにも見られることがある。)

Superior aspect; Vertical aspect(上面観;頭頂観)Norma superior; Norma verticalis じょうめんかん;とうちょうかん Feneis: 020_12

[A02_1_00_003] →(頭蓋骨の上表面の輪郭。頭蓋上面と頭蓋冠は必ずしも同義ではない。敢えていうならば頭蓋冠の上面と頭蓋上面は同義語として扱える。)

Bregma(ブレグマ;泉門点)Bregma ぶれぐま Feneis: 020_15

[A02_1_00_016] →(矢状縫合と冠状縫合の交点。)

Vertex(頭頂)Vertex とうちょう Feneis: 020_14

[A02_1_00_033] →(脳頭蓋あるいは頭蓋冠の中央部で左右の頭頂骨で作られる部分。Vertexは元来は渦巻きの意であるが、二次的に天頂その他もろもろの最頂点を意味するようになった。Vertical(垂直)はその形容詞である。)

Occiput(後頭)Occiput こうとう Feneis: 020_13

[A02_1_00_014] →(頭蓋を後方から見ると、下部を水平に削り取った球の形に近い。その形象の大部分は後頭鱗の外面で、その上方は頭頂骨につづき、外下隅に乳様突起の後面がみられる。中央の外後頭隆起から両側に上項線が走る。それより上方は直立した曲面で、後頭をつくる。)

Facial aspect; Frontal aspect(前面観;顔面観)Norma facialis; Norma frontalis ぜんめんかん;がんめんかん Feneis: 020_09

[A02_1_00_002] →(前から見た頭蓋骨の輪郭。頭蓋を前から眺めると、頭蓋はその全体像を概観することができる。前頭部は前頭骨でつくられている。この骨は前頭鱗のところでは冠状縫合によって頭頂骨と分けられている。前頭部では眉弓の間に眉間がある。前頭骨は眼窩上縁でもって眼窩口を囲んでおり、その内側端の近くには、発達の程度のまちまちの眼窩上切痕がみられる。ときにはこの切痕は眼窩上孔をつくり帰られている。両側の眼窩の間では、前頭骨は前頭鼻骨縫合によって鼻骨とまた前頭上顎縫合によって上顎骨と接している。両側の鼻骨は鼻骨間縫合によって接合している。眼窩口の外側には前頭頬骨縫合がみられ、この縫合は前頭骨と頬骨の間の境界をなしている。頬骨は上顎骨とともに眼窩口を広範囲に囲んでいる。上顎のところでは眼窩下縁の少し下方で、頬骨上顎縫合の近くに眼窩下孔がみられる。この孔は上顎神経の一枝(眼窩下神経)と動・静脈が通り抜けるためのものである。上顎骨体には眼窩下孔の下方にくぼみがみえるが、これは犬歯窩といわれる。上顎体から外側へ向かって頬骨突起が出る。前頭骨との接合は、上顎体から上行する前頭突起によって行われ、また内側へ向かう口蓋突起が硬口蓋の前方での基礎をつくっている。最後に、歯の生えている上顎では下方へ向かう歯槽突起がみられる。前頭突起には眼窩下縁の続きとして前涙嚢稜がみられる。上顎骨の中心は上顎骨であって、これが鼻切痕をもって鼻腔への入口である梨状口の境界をつくっている。この梨状口の下縁で、上顎間縫合の上端には、前方へ向かう棘すなわち前鼻棘がと突出している。頬骨のところでは頬骨顔面孔が一つないし二つみられる。下顎骨は前から見ると下顎体、歯槽部および下顎枝がみえる。下顎体の所では、第2小臼歯を通るように設定された垂直線上にオトガイ孔が見られる。下顎骨の中央部にはオトガイ隆起が形成されている。)

Forehead(額;前頭;ヒタイ)Frons がく;ひたい Feneis: 020_10

[A02_1_00_013] →(頭蓋冠で額の辺りが前頭といい、その下限は眼窩上縁まで。Fronsは「おでこ」を意味するラテン語名詞。)

Forehead(前頭)Sinciput ぜんとう

[A01_1_00_002] →(頭の前上部、眼窩上縁をその下界をその下界とする。)

Nasion(ナジオン;鼻根点)Nasion なじおん;びこんてん Feneis: 020_11

[A02_1_00_015] →(前頭鼻骨縫合が正中矢状面に切られる点。)

Gnathion(グナチオン;おとがい点;下顎点)Gnathion ぐなちおん;おとがいてん;かがくてん Feneis: 044_18

[A02_1_15_015_1] →(人類学的、及び頭型計測の標点。オトガイの輪郭曲線における最も外側の外反転。The most inferior point of the mandible in the midline. In cephalometrics, it is the midpoint between the most anterior and inferior point on the bony chin, measured at the intersection of the mandibular baseline and the nasion-pogonion line. [G. gnathon, jaw])

Orbit; Orbital cavity(眼窩)Orbita; Cavitas orbitalis がんか Feneis: 022_24

[A02_1_00_067] →(眼窩は眼球とその付属器とを容れる不規則な四角錐体状の大きなくぼみで、最深部はその後内方にある。錐体底にあたる部はほぼ四辺形の眼窩口で、軽度外下方に傾いており、顔面に開いている。その上縁を眼窩上縁、下縁を眼窩下縁という。眼窩上縁は前頭鱗からなり、その内側半分に2個の切痕または孔があり、その内側のものを前頭切痕(まれに前頭孔)、外側のものを眼窩上孔(まれに眼窩上切痕)とう。眼窩下縁は上顎骨体および頬骨からなり、その下方に眼窩下孔が開口している。眼窩は上・下・内側・外側の4壁を有し、7種類の骨による10部より形成されている。上壁は大部分が前頭骨眼窩面および蝶形骨小翼腹側面よりなり、外側には涙腺窩、小翼内には視神経管があり、ここに視神経および眼動脈を通す。下壁は大部分が上顎骨眼窩面によりなるが、外側の一部が頬骨眼窩面、後方の小部分が口蓋骨眼窩突起により形成されている。また後方から前方へ眼窩下溝その延長部である眼窩下管が走り、これが既述の眼窩下孔に開口する。内側壁は大部分が篩骨眼窩板により形成され、残りの部分のうちの前部は上顎骨前突起および涙骨、後部は蝶形骨体側面最前部によって形成されている。なお篩骨眼窩板上縁と前頭骨眼窩部との間には、前篩骨孔および後篩骨孔があり、前者は鼻腔に行く前篩骨神経および前篩骨動脈を通し、後者は篩骨蜂巣に行く後篩骨神経および後篩骨動脈を通す。また内側壁の前部にある涙嚢窩は、上顎骨の前涙嚢稜と涙骨の孔涙嚢稜との間にあり、稜骨の涙嚢溝が合して形成されたものである。外側壁は前半部は頬骨眼窩面、後半部は蝶形骨大翼眼窩面と上壁の蝶形骨小翼との間には頭蓋腔に通ずる上眼窩裂があり、動眼神経、滑車神経、眼神経、外転神経、上眼静脈などを通す。また外側壁後半部の蝶形骨大翼眼窩面と下壁の上顎骨眼窩面との間には翼口蓋窩および側頭下窩に通ずる下眼窩裂があり、眼窩下神経、頬骨神経、下眼静脈などを通す。)

Orbital cavity(眼窩)Cavitas orbitalis がんか Feneis: 022_25

[A02_1_00_068] →(Cavitas orbitalisとOrbitaは同義語である。)

Orbital opening(眼窩口;眼窩入口)Aditus orbitalis がんかこう;がんかいりぐち Feneis: 022_26

[A02_1_00_069] →(眼窩が顔面に開く眼窩口は外側縁が少し下がった四角形である。 左右の眼窩口はほぼ四角形で、眼窩上縁、眼窩下縁、内側縁および外側縁をもつ。)

Orbital margin(眼窩縁)Margo orbitalis がんかえん Feneis: 022_27

[A02_1_00_070] →(眼窩の骨縁で眼窩上縁、眼窩下縁、外側縁、内側縁に区分できる。)

Supra-orbital margin(眼窩上縁)Margo supraorbitalis がんかじょうえん Feneis: 022_28

[A02_1_00_071] →(眼窩口の上縁は眼窩上縁である。眼窩上縁は前頭鱗の前面と内面との境をする弓状の部で、その内側によったところに前頭切痕(まれに前頭孔)と眼窩上孔(または眼窩上切痕)が内外にならんでいる。)

Infra-orbital margin(眼窩下縁)Margo infraorbitalis がんかかえん Feneis: 022_29

[A02_1_00_072] →(眼窩口の下縁は眼窩下縁である。眼窩下縁は上顎体と頬骨とからなり、そのほぼ中央の下方には眼窩下孔が上顎体前面に開いている。)

Lateral margin of orbit(外側縁(眼窩の))Margo lateralis orbitae がいそくえん(がんかの) Feneis: 022_30

[A02_1_00_073] →(眼窩上縁と眼窩下縁との外側の移行部で、頬骨に属し、上下両縁と同じくやや鋭い。)

Medial margin of orbit(内側縁(眼窩の))Margo medialis orbitae ないそくえん(がんかの) Feneis: 022_31

[A02_1_00_074] →(眼窩上縁と眼窩下縁との内側の移行部で、涙骨の後涙嚢稜と上顎骨前頭突起の前涙嚢稜とがあって、その間に涙嚢窩がある。)

Roof of orbit(上壁(眼窩の))Paries superior orbitae じょうへき(がんかの) Feneis: 024_01

[A02_1_00_075] →(眼窩の入口は四辺形をなすので、それに応じて内壁も上・下・内側・外側の区別がされている。眼窩の上壁はほとんど前頭骨眼窩面で作られるが、後端の小部分は蝶形骨小翼である。上壁の面は上方に向かい内側部の高い弓状をえがき、外側はゆるやかに外側壁につづく。上壁前部の外側に涙腺窩がある。後端の小翼部には視神経管(視神経および眼動脈の通路)があり、頭蓋腔に通ずる。)

Floor of orbit(下壁(眼窩の))Paries inferior orbitae かへき(がんかの) Feneis: 024_02

[A02_1_00_076] →(眼窩の下壁は主として上顎骨眼窩面からなり、前外側では頬骨眼窩面の一部、後端では口蓋骨眼窩突起がこれに加わる。下壁の中部には後方から前方へ走る眼窩下溝および眼窩下管(眼窩下神経および動静脈の通路)があり、眼窩下孔につづく。)

Lateral wall of orbit(外側壁(眼窩の))Paries lateralis orbitae がいそくへき(がんかの) Feneis: 024_03

[A02_1_00_077] →(眼窩の外側壁は頬骨の眼窩面および蝶形骨大翼眼窩面からなり、その下部にある小さな頬骨眼窩孔は頬骨管(頬骨神経の通路)の入口である。外側壁の後半は上壁との間に上眼窩裂(動眼神経、滑車神経、眼神経、外転神経、上眼静脈などの通路)、下壁との間に下眼窩裂(眼窩神経、頬骨神経、下眼静脈などの通路)をはさみ、上眼窩裂は中頭蓋窩、下眼窩裂は側頭下窩に通ずる。霊長類以外の哺乳動物では、外側壁はなく、眼窩は直接に側頭窩に連なる。)

Medial wall of orbit(内側壁(眼窩の))Paries medialis orbitae ないそくへき(がんかの) Feneis: 024_04

[A02_1_00_078] →(眼窩の内側壁は篩骨眼窩板を主とし、前方には涙骨および上顎骨前頭突起、後方には蝶形骨体側面の最前部がこれに加わる。)

Anterior ethmoidal foramen(前篩骨孔)Foramen ethmoidale anterius ぜんしこつこう Feneis: 024_05

[A02_1_00_079] →(篩骨眼窩板の上縁と前頭骨眼窩部との間にある前側の前篩骨孔(前篩骨神経ならびに前篩骨孔動静脈の通路)がある。前篩骨孔は鼻腔に通ずる。)

Posterior ethmoidal foramen(後篩骨孔)Foramen ethmoidale posterius こうしこつこう Feneis: 024_06

[A02_1_00_080] →(篩骨眼窩板の上縁と前頭骨眼窩部との間にある後側の後篩骨孔(後篩骨神経ならびに後篩骨動静脈の通路)がある。後篩骨孔は篩骨蜂巣に通ずる。)

Lacrimal groove(涙嚢溝)Sulcus lacrimalis るいのうこう Feneis: 024_07

[A02_1_00_081] →(涙嚢溝は上顎骨の尾側面にある溝で、涙骨とともに涙嚢窩をつくる。)

Fossa for lacrimal sac(涙嚢窩)Fossa sacci lacrimalis るいのうか Feneis: 038_27

[A02_1_00_082] →(眼窩の内側壁の前端部には浅い溝状の凹みがある。この窩みは涙嚢窩といわれ、下方に向かって鼻涙管となり鼻腔に通じる。涙嚢窩と鼻涙管は、それぞれ涙嚢と鼻涙管をいれる。)

Fossa for lacrimal sac(涙嚢窩)Fossa sacci lacrimalis るいのうか Feneis: 024_08

[A02_1_00_082] →(眼窩の内側壁の前端部には浅い溝状の凹みがある。この窩みは涙嚢窩といわれ、下方に向かって鼻涙管となり鼻腔に通じる。涙嚢窩と鼻涙管は、それぞれ涙嚢と鼻涙管をいれる。)

Superior orbital fissure(上眼窩裂)Fissura orbitalis superior じょうがんかれつ Feneis: 024_09

[A02_1_00_083] →(眼窩の外側壁の後端には、上壁との間に上眼窩裂(蝶形骨の大翼および小翼の間にある上部裂隙)がある。上眼窩裂は頭蓋腔(中頭蓋窩)に通じ、眼筋の支配神経(動眼神経・滑車神経・外転神経)・眼神経・上眼静脈が通る。)

Inferior orbital fissure(下眼窩裂)Fissura orbitalis inferior かがんかれつ Feneis: 024_10

[A02_1_00_084] →(眼窩の下壁と外側壁との間に長く大きな下眼窩裂(蝶形骨大翼と上顎骨眼窩部の間の裂隙)がある。下眼窩裂は側頭下窩・翼口蓋窩に通じ、眼窩下動・静脈、眼窩下神経、頬骨神経などの通路となる。眼窩裂の前内側縁から前方に向かって深い溝が出る。この溝を眼窩下溝といい、さらに下壁の下を走って眼窩下縁の下方で眼窩下孔となって上顎骨の前面に開く。)

Bony nasal cavity(鼻腔;骨鼻腔)Cavitas nasalis ossea びくう;こつびくう Feneis: 024_12

[A02_1_00_086] →(骨鼻腔は顔面頭蓋の中央に位置し、西洋梨状の梨状口で前方に開いている。梨状口は鼻骨と上顎骨とで囲まれる。正中矢状面にある鼻骨中隔によって左右に分けられている。骨部腔には上・下・内側・外側の4壁と、前方・後方の2個の交通路がある。上壁は大部分が篩骨篩板、一部分が鼻骨前頭骨、蝶形骨よりなる。下壁は上顎骨口蓋突起と口蓋骨水平板よりなる。内側壁は鼻中隔で篩骨垂直板と鋤骨よりなる。口側壁はその構造が複雑で上顎骨体、上顎骨前頭突起、口蓋骨垂直板、蝶形骨翼状突起内側板、下鼻甲介、篩骨、涙骨よりなる。前方の交通路は梨状口をもって顔面に開口する。後方の交通路は上鼻道、中鼻道、下鼻道の3個の鼻道が合して鼻咽道につづき後鼻孔をもって外頭蓋底に開口する。鼻骨腔の後上部で蝶形骨体の前面で上鼻甲介と篩骨垂直板との間にある部分を蝶篩陥凹といい篩骨垂直板との間にある部分を蝶篩陥凹といい蝶形骨洞がここに開口する。下鼻道には涙骨管が開口しているが、鼻液管は上顎骨の涙嚢溝を涙骨の涙骨鈎と下鼻甲介の涙骨突起が内側からおおって形成されている。また外側壁の後部は口蓋骨垂直板よりなるが、その眼窩突起と蝶形骨突起との間の深い切れ込みを蝶口蓋切痕といい、これが蝶形骨体底部と合して蝶口蓋孔を形成し、この孔をもって骨鼻腔は翼口蓋窩と交通している。)

Bony nasal septum(骨鼻中隔)Septum nasi osseum こつびちゅうかく Feneis: 024_13

[A02_1_00_087] →(鼻腔は正中にある骨鼻中隔(鋤骨と篩骨垂直板からなる)という骨板によって左右両側に分かれる。)

Piriform aperture(梨状口)Apertura piriformis りじょうこう Feneis: 024_14

[A02_1_00_088] →(梨状口すなわち鼻腔が顔面に開く口は、その上縁が1対の鼻骨で作られるほかは、すべて上顎骨からなっている。左右の鼻骨はほぼ正中で接合し(鼻骨間縫合)、上方では前頭骨に連結する(前頭鼻骨縫合)。この前頭鼻骨縫合と正中線との交点は鼻根点(ナジオン)と呼ばれ重要な計測点とされる。)

Superior nasal meatus(上鼻道)Meatus nasi superior じょうびどう Feneis: 024_15

[A02_1_00_089] →(上鼻甲介と中鼻甲介との間の鼻道を上鼻道という。)

Middle nasal meatus(中鼻道)Meatus nasi medius ちゅうびどう Feneis: 024_16

[A02_1_00_090] →(中鼻甲介と下鼻甲介との間の鼻道を中鼻道という。)

Inferior nasal meatus; Inferior meatus of nasal cavity(下鼻道)Meatus nasi inferior かびどう Feneis: 024_17

[A02_1_00_091] →(下鼻甲介の下方の鼻道を下鼻道という。)

Opening of nasolacrimal canal(鼻涙管口)Ostium canalis nasolacrimalis びるいかんこう Feneis: 024_18

[A02_1_00_092] →(鼻涙管の鼻腔への出口である。)

Common nasal meatus(総鼻道)Meatus nasi communis そうびどう Feneis: 024_19

[A02_1_00_093] →(鼻中隔に近い鼻腔内側部は階段状に分かれず、この部を総鼻道という。)

Nasolacrimal canal(鼻涙管)Canalis nasolacrimalis びるいかん Feneis: 024_11

[A02_1_00_085] →(涙嚢窩は下方では上顎骨、涙骨、下鼻甲介により形成される骨性の鼻涙管という骨のトンネルになって鼻腔に通じている。)

Spheno-ethmoidal recess(蝶篩陥凹)Recessus sphenoethmoidalis ちょうしかんおう Feneis: 024_20

[A02_1_00_094] →(鼻腔の上後端の上鼻甲介と鼻中隔の間で蝶形骨体の前にある狭い部を蝶篩陥凹という。)

Nasopharyngeal meatus(鼻咽道)Meatus nasopharyngeus びいんどう Feneis: 024_21

[A02_1_00_095] →(上鼻道、中鼻道、下鼻道などの鼻道は後方で合して鼻咽道となり、後鼻孔を経て咽頭に開く。)

Choana; Posterior nasal apertures(後鼻孔)Choanae; Apertura nasalis posterior こうびこう Feneis: 024_22

[A02_1_00_096] →(後鼻孔は左右1対あって、そのまわりは外側から翼状突起内側板、上方からは蝶形骨体、下方から口蓋骨水平板後縁によりかこまれ、内側縁は左右共通の鋤骨後縁で、これが左右後鼻孔の境となり、その最下部正中線から後鼻棘が後方に突出する。)

Sphenopalatine foramen(蝶口蓋孔;蝶口蓋口)Foramen sphenopalatinum ちょうこうがいこう;ちょうこうがいこう Feneis: 024_23

[A02_1_00_097] →(蝶口蓋孔は上鼻道の後端で、蝶形骨と口蓋骨との間にある孔で、鼻腔と翼口蓋窩とを連絡する。蝶口蓋孔は鼻腔の後半部に分布する血管・神経の通路として重要である。鼻腔の外側壁の後部にある口蓋骨の垂直板の上端に蝶口蓋孔がみられる。)

Lateral aspect(側面観)Norma lateralis そくとうかん Feneis: 020_19

[A02_1_00_005] →(頭蓋を側面から見た頭蓋骨の輪郭。ドイツ水平面(眼窩の下縁と外耳道の上縁を通る水平面)に定位した頭蓋では、神経頭蓋のところに側頭平面がみえる。この側頭平面をつくるのに関与するのは側頭骨のほか、頭頂骨、前頭骨の一部および蝶形骨である。側頭平面は上方では幾分よく発達した下側頭線と、発達のあまり良くない上側頭線によって境されている。側頭骨鱗部からは頬骨突起が前方へ伸び出し、これが頬骨の側頭突起とつながって頬骨弓をつくる。頬骨突起の根部の下方には外耳道があり、この大部分は側頭骨の鼓室部、一部分はそのろの鱗部で囲まれている。そのすぐ上にはしばしば小さな道上棘と道上小窩という小さなくぼみがある。外耳道の後ろには筋のための骨突起として生じた乳様突起の根部には乳突孔がある。)

Pterion(プテリオン)Pterion ぷてりおん Feneis: 020_20

[A02_1_00_019] →(前頭骨、側頭骨、頭頂骨及び蝶形骨大翼のH字形の縫合線の集合。眼窩の外角突起の約3cm後方に当たる。計測点ではない。)

Asterion(アステリオン;星状点)Asterion あすてりおん;せいじょうてん Feneis: 020_21

[A02_1_00_020] →(頭蓋骨表面の1点で、ラムダ状縫合、頭頂乳突縫合及び後頭乳突縫合の合点。)

Gonion(ゴニオン;顎角点)Gonion ごにおん;がくかくてん Feneis: 020_22

[A02_1_00_021] →(頭型計測法における目標点。下顎体下縁と下顎枝後縁が移行する部分のうち、もっとも外側に突出する点。)

Temporal fossa(側頭窩)Fossa temporalis そくとうか Feneis: 020_23

[A02_1_00_022] →(側頭窩は上方と後方は側頭線により、前方は前頭骨側頭面と頬骨側頭面により、外側壁は頬骨弓の内面により、下方は側頭下稜によりそれぞれ境されている。窩の内側壁は側頭平面とよばれ、側頭鱗、頭頂骨、前頭骨側頭面、蝶形骨大翼側頭面により形成されている。窩の前壁には頬骨管の開口である頬骨側頭孔がある。)

Zygomatic arch(頬骨弓)Arcus zygomaticus きょうこつきゅう Feneis: 020_24

[A02_1_00_023] →(眼窩の外側方には、眼鏡のつるのような骨の橋がある。これが頬骨弓で、その後端は耳の孔(外耳孔)の近くまで達している。頭蓋を正面から見ると、顔面は頬骨弓の所が最も広く、それよりも下方では急に幅が狭くなっている。頬骨の側頭突起が頬骨の後下部より後方に突出し、側頭骨の頬骨突起と連結して形成された骨弓をいい、ほぼ水平位にある。側頭突起と頬骨突起間にある前方により後方へ斜走する縫合を側頭頬骨縫合という。頬骨弓からは咀嚼筋の一つである咬筋が起こり下顎角の咬筋粗面につく。なお頬骨弓の外側方への最も突出した点を頬骨弓点といい、両側のこの点の間の距離をもって頭蓋の顔面幅最大長としている。頬骨弓の下方のくぼみにある脂肪塊(頬脂肪体sucking pad)は、普通の皮下脂肪とは違って、線維の少ないみずみずしい脂肪組織からなり、いくらを詰めたようになっている。)

Infratemporal fossa(側頭下窩)Fossa infratemporalis そくとうかか Feneis: 020_25

[A02_1_00_024] →(側頭下窩は側頭窩の内下方につづく部分である。前壁は上顎骨側頭下面、内側壁は蝶形骨翼状突起外側板、上壁は蝶形骨大翼側頭下面および側頭骨鱗部の一部である。この窩をみたしているものは、下顎骨筋突起、側頭筋下部、内側・外側翼突筋、下顎神経、下顎動脈およびそれらの分枝、翼突筋静脈叢などである。側頭下窩は前方は下眼窩裂により眼窩と、内方は翼上顎裂により翼口蓋窩と、上方は卵円孔および棘孔により内藤が胃底の蝶形骨大翼大脳面に通じている。)

Pterygopalatine fossa(翼口蓋窩)Fossa pterygopalatina よくこうがいか Feneis: 020_26

[A02_1_00_025] →(翼口蓋窩は側頭下窩の内側にある縦に細長い窩で、翼状突起の外側板と上顎骨体との間にある裂隙。上方から下方へ行くにしたがって前後幅は狭くなる。内側は口蓋骨垂直板、上壁は蝶形骨体よりなり、外側は遊離面をなし、また下壁は上顎骨体、蝶形骨翼状突起、口蓋骨錐体突起により閉ざされている。この窩は内・外・前・後・上・下のすべての方向と交通しており、内方では蝶口蓋孔(上後鼻神経が通る)を通じて鼻腔と、外方では翼上顎裂を通じて側頭下窩と、前方では眼窩列を通じて眼窩と、後方では翼突管(翼突管神経が通る)を通じて外頭蓋底と、上方では正円孔(上顎神経)を通じて内頭蓋底と、下方では大口蓋管(大口蓋神経および下行口蓋動・静脈)を通じて口腔とそれぞれ交通している。)

Pterygomaxillary fissure(翼上顎裂)Fissura pterygomaxillaris よくじょうがくれつ Feneis: 020_27

[A02_1_00_026] →(上顎骨と翼状突起外側板の間の骨性溝。)

Inferior aspect(底面観;外頭蓋底)Norma inferior; Norma basalis ていめんかん;がいとうがいてい

[A02_1_00_006] →(下から見た頭蓋骨下面の輪郭。外頭蓋底Basis cranii externa (external surface of cranial base)は前方にある顔面部と後方にある神経部とが区別される。前部には左右とも上顎骨口蓋突起、口蓋骨水平板、上顎骨歯槽突起、上顎結節および頬骨からなる。鋤骨は内側で後鼻孔を境する。両側の口蓋突起は正中口蓋縫合で接合し、その前端には切歯孔がある。この切歯孔から第2切歯に至るところに、剤損している切歯縫合が時折見られる。口蓋骨の水平板は大口蓋孔と通常2つの小口蓋孔をもつ。大口蓋孔からは口蓋棘で仕切られた口蓋溝が前方へ走る。上顎骨と口蓋骨の間には横口蓋縫合が見られる。後部に属する骨は、蝶形骨、両側の側頭骨および後頭骨である。翼状突起は外側で後鼻孔の境界をつくる。翼状突起に翼突鈎をもつ内側板と外側板を区別する。その両板の間には翼突窩がある。内側板の根部には舟状窩とその後内側には破裂孔がある。中央部には蝶形骨体があり、側方には側頭下稜をもつ大翼がある。大翼は蝶形骨棘をもち、棘孔に貫かれている。棘孔と披裂孔との間には卵円孔が開く。蝶形骨と側頭骨岩様部との間には蝶錐体裂がある。そこから耳管溝が後外側へ伸び出す。頚動脈管外口に蝸牛小管外口が連絡し、これはまた頚静脈窩と隣接している。頚静脈窩と頚動脈管外口の間には錐体小窩がある。この錐体小窩には鼓室部と茎状突起鞘でおおわれた茎状突起が接している。この突起のすぐ後ろには茎乳突孔がある。乳様突起には乳突切痕、その内側には後頭乳突縫合がある。ここには後頭動脈溝がある。乳様突起の前方には鼓室部と鱗部でかこまれた外耳孔がある。鼓室部と鱗部、ならびに錐体鼓室裂と錐体鱗裂によって囲まれる鼓室蓋稜という岩様部にある小稜が、下顎窩をつくる。この下顎窩は前方は関節結節で境される。外側へは側頭骨頬骨突起が伸び出す。咽頭結節をもつ後頭骨の底部は蝶形骨体と癒合している。側頭骨岩様部と後頭骨の間には錐体後頭裂が走る。頚静脈窩はそれに隣接する後頭骨によって拡大されて頚静脈溝となる。大後頭孔は側方では後頭顆の後縁にはそれぞれ1本の顆管がみられる。大後頭孔に始まって、外後頭稜は上へ向かい外後頭隆起に至る。)

Basion(バジオン;基底点)Basion ばじおん;きていてん Feneis: 026_04

[A02_1_04_003] →(頭蓋骨計測点。正中矢状断面における大[後頭]孔前縁の中点。)

Opisthion(オピスチオン;後頭点)Opisthion; Opisthocranion おぴすちおん;こうとうてん Feneis: 026_05

[A02_1_04_004] →(大後頭孔の後縁の中央点。)

Jugular foramen(頚静脈孔)Foramen jugulare けいじょうみゃくこう Feneis: 022_11

[A02_1_00_054] →(錐体後頭裂は前端と後端とで広く大きな孔となっている。前端で、錐体の前内側端にある孔は破裂孔といわれ、後端にあるのは頚静脈孔とよばれる(破裂孔に対して後破裂孔とも呼ばれる)。頚静脈孔は側頭骨の錐体部と後頭骨の頚静脈突起との間にある通路。しばしば、頚静脈孔内突起により2つに分けられる。前部を舌咽神経・迷走神経・副神経が通り、後部を内頚静脈が通る。)

Petrosphenoidal fissura; Sphenopetrosal fissure(蝶錐体裂;蝶骨錐体裂)Fissura sphenopetrosa ちょうすいたいれつ Feneis: 022_08

[A02_1_00_046] →(蝶錐体裂は破裂孔から後外方に、大翼と錐体の間にある。蝶錐体裂の内後方にある大錐体神経溝の前端は破裂孔に達し、小錐体神経溝は小錐体神経溝は蝶錐体裂の後端から卵円孔に向かう。)

Petro-occipital fissure(錐体後頭裂)Fissura petrooccipitalis すいたいこうとうれつ Feneis: 022_09

[A02_1_00_047] →(錐体後頭裂は岩様部(錐体)と後頭骨の間にあり、頚静脈孔のつづきとして、頚静脈孔の上方に位置する。これに一致して下錐体洞溝がある。)

Foramen lacerum(破裂孔)Foramen lacerum はれつこう Feneis: 022_12

[A02_1_00_055] →(破裂孔は生体では軟骨で閉ざされている。破裂孔はその前縁の一部が蝶形骨で形成され、その部位より内頚静脈は海綿静脈洞に入る。)

Bony palate(骨口蓋)Palatum osseum こつこうがい Feneis: 022_13

[A02_1_00_056] →(外頭蓋底の前部の中央には高台のごとく突出し、上歯槽弓によって前方および外方から囲まれる骨口蓋がある。骨口蓋の前端部(切歯のある部)は発生学的に左右1対の切歯骨とう小骨から生ずる。切歯骨は生後上顎骨と癒合する。切歯骨はゲーテが発見したといわれている。)

Greater palatine canal(大口蓋管;翼口蓋管)Canalis palatinus major; Canalis pterygopalatinus だいこうがいかん Feneis: 022_14

[A02_1_00_057] →(大口蓋孔は上方に向かい大口蓋管となって翼口蓋窩に通じる。大口蓋管は上顎骨と口蓋骨との大口蓋溝が合わさってできる管で、大口蓋動・静脈と大口蓋神経が通る。)

Greater palatine foramen(大口蓋孔)Foramen palatinum majus だいこうがいこう Feneis: 022_15

[A02_1_00_058] →(骨口蓋の後外側隅に大口蓋孔がみられる。)

Lesser palatine foramina(小口蓋孔)Foramina palatina minora しょうこうがいかん Feneis: 022_16

[A02_1_00_059] →(大口蓋孔の後方に1~2個の小口蓋孔という小孔がある。小口蓋孔は小口蓋管の開口である。小口蓋管は大口蓋管に連なり、小口蓋動静脈と中および後口蓋神経の通路である。)

Incisive fossa(切歯窩)Fossa incisiva せっしか Feneis: 022_17

[A02_1_00_060] →(切歯窩は、正中口蓋縫合の前端近のほぼマッチ頭大の陥凹で、ここに切歯管が切歯孔をもって開く。)

Incisive canals(切歯管)Canalis incisivi せっしかん Feneis: 022_18

[A02_1_00_061] →(切歯管は口蓋突起の上面の前部で鼻稜に近いところから、前下やや内方に向かって下面内側縁に貫く。両側の上顎骨を合すると、切歯管の下端は正中口蓋縫合の前端の大きな切歯窩の底に開く。大口蓋動脈と鼻口蓋神経がこの管を通り、大口蓋動脈は蝶口蓋動脈の中隔後鼻枝と吻合する。)

Incisive foramina(切歯孔(上顎骨の))Foramina incisiva せっしこうStenson's foramen Feneis: 042_14

[A02_1_00_062] →(切歯孔は正中口蓋縫合の後端で、切歯窩に開いている切歯管の数個(通常4個)の開口である。)

Palatine torus(口蓋隆起)Torus palatinus こうがいりゅうき Feneis: 022_20

[A02_1_00_063] →(正中口蓋縫合が下方に突出することがあって、その場合これを口蓋隆起という。)

Palatovaginal canal(口蓋骨鞘突管)Canalis palatovaginalis こうがいこつしょうとつかん Feneis: 022_21

[A02_1_00_064] →(蝶形骨鞘状突起と口蓋骨の間にある小管で、頚動脈および翼口蓋神経節をいれる。)

Vomerovaginal canal(鋤骨鞘突管)Canalis vomerovaginalis じょこつしょうとつかん Feneis: 022_22

[A02_1_00_065] →(鋤骨の上端は左右に開いた鋤骨翼となって蝶形骨体の下面につき、蝶形骨鞘状突起内側板との間に鋤骨鞘突管をつくる。蝶口蓋動脈枝の通路。)

Vomerorostral canal(鋤骨吻管)Canalis vomerorostralis じょこつふんかん Feneis: 022_23

[A02_1_00_066] →(鋤骨吻管は鋤骨と蝶形骨吻の間にある細い管。)

Occipital aspect(後面観;後頭観)Norma occipitalis こうめんかん;こうとうかん Feneis: 020_16

[A02_1_00_004] →(後ろから見た頭蓋骨の輪郭。頭蓋を後ろから眺めると、矢状縫合で結合している両側の頭頂骨がみえる。ラムダ縫合は両側の頭頂骨と後頭骨との境界をなしている。後頭骨で目立つのは正中にある外後頭隆起である。この隆起から上外側へ最上後線走る。この最上後線の下方には上項線があり、外後頭隆起から側方へ伸びる横提をつくっている。その下には外後頭隆起と大孔とのほぼ真ん中に側方へ走る下項線がある。この下項線の始まりはかなり発達の良い外後頭稜にある。後頭骨の側方には、後頭乳突縫合によって後頭骨からわけられた側頭骨に属する乳様突起がみられる。錐体鱗縫合が乳様突起のところに完全又は不完全に存在していることがある。この縫合は乳様突起が側頭骨の鱗部および岩様部の両部からつくられる後頭乳突縫合のところには乳突孔があり、ここを乳突導出静脈が通り抜けている。乳突突起の内側面には乳突切痕がつくられている。その内側には後頭動脈溝がある。頭頂骨のところには頭頂孔がみられる。)

Inion(イニオン)Inion いにおん Feneis: 020_18

[A02_1_00_018] →(イニオンは後頭骨の左右の上項線が正中矢状面上で合する点。外後頭隆起に一致する。)

Lambda(ラムダ)Lambda らむだ Feneis: 020_17

[A02_1_00_017] →(ラムダ縫合と矢状縫合とが交わる小泉門の部位を示す点。)

Cranial base; Basicranium; Base of skull(頭蓋底)Basis cranii とうがいてい;ずがいてい Feneis: 022_01

[A02_1_00_044] →(頭蓋底はこれを内面、すなわち内頭蓋底と外面、すなわち外頭蓋底とに分ける。頭蓋底の管、孔などの開口は血管と神経が通過するのに役立つ。前頭蓋窩のところでは嗅神経と前篩骨動脈が、篩板を通って鼻腔へ行く。視神経管を通るのは視神経と眼動脈である。この視神経管と並んで、上眼窩裂も頭蓋腔と眼窩を結んでいる。その外側部を上眼静脈、涙腺神経、前頭神経および滑車神経が通る。内側を走るものは外転神経、動眼神経および鼻毛様体神経である。上顎神経は正円孔を通る。これに対し下顎神経は海綿静脈洞と翼突筋静脈叢を結ぶ静脈網とともに卵円区を通る。下顎神経の反回枝である硬膜枝は中硬膜動脈とともに棘孔を通って再び頭蓋腔へ入る。中頭蓋窩内で一番大物は内頚動脈で、頚動脈で、頚動脈管を通って頭蓋腔に達する。内頚動脈は交感神経内の内頚動脈神経叢と頚動脈管神経叢にまといつかれている。大錐体神経管裂孔の中には大錐体神経がみられる。これに対し小錐体神経は上鼓室動脈とともに小錐体神経管裂孔を通る。後頭蓋窩では大後頭孔を通って延髄、ならびにその両外側を副神経の脊髄根が通る。2本の太い椎骨動脈、前脊髄動脈および1対の細い後脊髄動脈ならびに脊髄静脈も同様に大後頭孔を通っている。舌下神経管を通るのは、舌下神経管静脈叢を伴う舌下神経である。舌咽神経、迷走神経、副神経は下垂体静脈洞、内頚静脈および後硬膜動脈とともに頚静脈溝を通る。内耳孔は迷路動・静脈および内耳神経と顔面神経が通過するための孔である。外頭蓋底では顔面神経が茎乳突孔の中にみられ、茎乳突孔動脈はこの孔へ進入する。錐体鼓室裂を通るものは鼓索神経と前鼓室動脈である。硬口蓋では大口蓋動脈と大口蓋神経が大口蓋孔を通過する。これに対し小口蓋動脈ならびに神経は小口蓋孔を通り抜ける。切歯管を通って鼻口蓋神経が動脈とともに口蓋の下面へ出てくる。顆管を顆導出静脈が通り抜ける。)

External surface of cranial base(外頭蓋底;外面(頭蓋底の))Basis cranii externa がいとうがいてい;がいめん(とうがいていの) Feneis: 022_10

[A02_1_00_053] →(外頭蓋底は下顎骨・舌骨を除く頭蓋の下面をいう。その範囲は上顎骨の歯槽弓にはじまり、側頭下稜、頬骨弓の後端、乳様突起の内側、上項線、外後頭隆起に至る境界とする。外頭蓋底は全体とふくれ上がって凹凸に富み不整複雑な面である。)

Internal surface of cranial base(内頭蓋底;内面(頭蓋底の))Basis cranii interna ないとうがいてい;ないめん(とうがいていの) Feneis: 022_02

[A02_1_00_045] →(内頭蓋底は頭蓋腔の床の上面のことで、頭蓋底内面で脳をのせる深い窩をなしている。この窩はさらに前方より後方にかけて、前頭蓋窩、中頭蓋窩、後頭蓋窩の三つの窩に分けられるが、前部へいくほど階段状に高くなっている。前頭蓋窩と中頭蓋窩との境界は蝶形骨小翼および前頭骨とによってなされる。前頭蓋窩は大脳の前頭葉を、中頭蓋窩は大脳の側頭葉を、後頭蓋窩は小脳半球延髄、橋をそれぞえいれる。後頭蓋窩の前中央部には蝶形骨鞍背後面より大後頭孔までつづく斜台がある。頭蓋底内面には蝶形骨小翼を除くほぼ全域にわたって、指圧痕、脳隆起、動脈孔、静脈溝などが認められるが、これらはそれぞれ大脳の脳回、脳溝、動脈、静脈に対応して形成されたものである。)

Anterior cranial fossa(前頭蓋窩)Fossa cranii anterior ぜんとうがいか Feneis: 022_03

[A02_1_00_048] →(前頭蓋窩は大脳の前頭葉をのせるところで、また後縁とその付近は蝶形骨小翼と両側の小翼間に介在する蝶形骨隆起からなり、平坦である。大部分は前頭骨からなるが、その中央の正中部は篩骨の篩板からなり、鼻腔の上壁にあたり、多数の篩孔があって鼻腔と交通している。この部は前頭蓋窩の中で特に深く陥凹し、ここに嗅球がのる。その前半正中線上に鶏冠が突出し、その直前の盲孔とともに大脳鎌の付着部となる。両側部は前頭骨眼窩部の上面で、高く盛り上がる。この部は脳隆起、指圧痕が著しい。また、篩板に備わっている多数の小孔は嗅神経を通すためのものである。)

Middle cranial fossa(中頭蓋窩)Fossa cranii media ちゅうとうがいか Feneis: 022_05

[A02_1_00_049] →(中頭蓋窩は蝶ネクタイのような形をした窩みで、主として蝶形骨からなるが、後外側部を構成するのは側頭骨である。中頭蓋窩の中央部は蝶形骨体の上面からなり、中頭蓋窩の中で特に隆起している。その前方は鞍結節、後方は鞍背として高まり、中央がくぼんでトルコ鞍となる。その中央に下錐体をのせる下垂体窩がある。鞍結節の前の視神経交叉溝の両側は視神経管に達する。両側部は蝶形骨大翼と側頭骨鱗部の大脳面、および岩様部(錐体)前面からなり、大脳側頭葉を容れる深いくぼみとなる。脳隆起と指圧痕が著しく、また、棘孔からひろがる動脈溝、静脈溝(中硬膜動静脈を容れる)が明瞭である。外側部が特に前方に陥入する前端、すなわち小翼と大翼の間に上眼窩裂がある。トルコ鞍の側面には内頚動脈溝が前後に走り、その後端は蝶形骨と岩様部(錐体)尖の間にある破裂孔に至る。内頚動脈溝の外側に、前方より後外方に向かって、正円孔、卵円孔、棘孔が並ぶ。破裂孔から後外方に、大翼と錐体の間にある蝶錐体裂がつづく。その内後方にある大錐体神経溝の前端は破裂孔に達し、小錐体神経溝は蝶錐体裂の後端から卵円孔に向かう。錐体前面には、そのほか、三叉神経圧痕、弓状隆起、鼓室蓋がみられる。中頭蓋窩は多くの管、孔によって蓋部と交通する。①視神経管により眼窩へ(視神経および眼動脈)、②上眼窩裂により眼窩へ(動眼神経、滑車神経、外転神経、眼神経、上眼静脈)、③正円孔により翼口蓋窩へ(上顎神経)、④卵円孔により側頭下窩へ(下顎神経)、⑤棘孔により側頭下窩へ(中硬膜動静脈および下顎神経硬膜枝)、⑥破裂孔の後壁に開く頚動脈管により頭蓋底外面へ(内頚動脈は破裂孔を通らず、頚動脈に至る)、⑦破裂孔より頭蓋底外面へ(ただし、生体では破裂孔の底面は線維軟骨で閉鎖され、その上に頚動脈が乗る。大錐体神経も軟骨を貫かず、翼突管に入る)。)

Posterior cranial fossa(後頭蓋窩;テント下腔)Fossa cranii posterior; Cavum subtentoriale こうとうがいか Feneis: 022_06

[A02_1_00_050] →(後頭蓋窩は主として後頭骨からなるが、前端部には蝶形骨がわずかに関与し、また錐体後面の部分は側頭骨まで構成される。前外足の殆ど直立した壁は側頭骨岩様部の内面(錐体の後面および乳突部の内側壁)、窩の底部と後部とは弯曲した後頭骨の内面から出来ている。錐体後頭裂の後方の続きに頚静脈孔があって、これは岩様部(錐体と)後頭骨とから出る孔内突起によって、前方の小孔と後方の大孔とに分けられる。岩様部(錐体)上縁は中頭蓋窩と後頭蓋窩の後頭蓋窩の境界をつくり、ここに小さい上錐体洞溝がある。岩様部(錐体)の後面中央に大きな円い内耳孔、その後方に小さい裂目状の前庭水管外口がある。後頭蓋窩のほぼ中央に大後頭孔がある、それから前方に鞍背までつづくなめらかな斜台は後頭骨底部と蝶形骨体が癒合したもので、この斜面に橋と延髄上部との前面がのる。大後頭孔と頚静脈孔の間に頚静脈結節が隆起し、その内側面に舌下神経管の開口を見る。後頭蓋窩後壁の中央に内後頭隆起があり、これを中心として十字隆起がある。そのうち、下方にのびる内後頭稜は狭く、左右の小脳半球を容れるくぼみの境界をつくる。上方にのびる隆起上には上矢状洞溝があり、側方にのびる隆起上には横洞溝がある。横洞溝は岩様部(乳突部)に至って深いS状洞溝となって内下方に向かい、その終端は頚静脈孔の後縁に達する。S状洞溝の初部には錐体上縁を後進してきた状錐体洞溝が前方から合流する。後頭蓋窩と外部との交通には次のものがある。①頚静脈孔により頭蓋底外面へ(前小部を舌咽神経、迷走神経、副神経、後大部を内頚静脈)、②舌下神経管により頭蓋底外面へ(舌下神経)、③大後頭孔により脊柱管へ(延髄の下部)。そのほか、導出静脈を通す顆管、乳突孔があるが、その大きさははなはだ不定である。また、内耳孔につづく内耳道は顔面神経、中間神経、内耳神経を通じ、顔面神経は顔面神経管から茎乳突孔を経て頭蓋底へ、中間神経の一部は鼓索神経となって錐体鼓室裂を通って頭蓋底へ出る。)

Clivus; Blumenbach, Clivus of(斜台)Clivus しゃだいBlumenbach, Clivus of Feneis: 022_07

[A02_1_00_051] →(後頭蓋窩の正中部では中頭蓋窩の後端である鞍背から後方に大後頭孔まで「すべり台」のような急な斜面がある。これが斜台で、その上半は蝶形骨、下半は後頭骨からなる(その境界は骨が癒合しているのでわからない)。)

Groove for inferior petrosal sinus(下錐体洞溝)Sulcus sinus petrosi inferioris かすいたいどうこう

[A02_1_00_052] →(岩様部(錐体)と後頭骨の間に錐体後頭裂があり、これに一致して下錐体洞溝があって下垂体静脈洞を容れる。)

Fontanelles(頭蓋泉門)Fonticuli cranii とうがいせんもん;ずがいせんもん Feneis: 020_28

[A02_1_00_027] →(胎児、新生児、幼児の頭蓋冠において結合組織性骨の骨化が完了していない部分をいい、結合組織性の膜によってふさがれており、動脈の拍動を観察または触手することができる。頭蓋泉門のうちで恒常性のものは大泉門、小泉門、前側頭泉門、後側頭泉門である。頭蓋泉門の以上として眉間の上方に眉間泉門がある。また過剰骨として大泉門部にブレグマ骨、小泉門部に前頭頭頂間骨、前側頭泉門部に翼上骨、後側頭泉門部にアステリオン骨を認めることがある。)

Anterior fontanelle(大泉門;前頭泉門)Fonticulus anterior; Fonticulus major; Fonticulus frontalis だいせんもん;ぜんとうせんもん Feneis: 020_29

[A02_1_00_028] →(Fonticulus anteriorを直訳すれば前頭泉門となるが日本語では大泉門が用いられている。左右の前頭骨部分および左右の頭頂骨により境される。冠状縫合、矢状縫合、前頭縫合の間にある最大の菱形の泉門で、生後1年半ないし2年で閉鎖し体表から触知できなくなるのがふつうである。)

Posterior fontanelle(小泉門;後頭泉門)Fonticulus posterior; Fonticulus minor; Fonticulus occipitalis しょうせんもん;こうとうせんもん Feneis: 020_30

[A02_1_00_029] →(Fonticulus posteriorを直訳すれば後頭泉門となるが日本語では小泉門が用いられている。矢状縫合、人字縫合が合するところ。すなわち頭頂骨と後頭骨の間にある三角形の裂隙で、生後3~6ヶ月で閉鎖する。)

Sphenoidal fontanelle(前側頭泉門;蝶形骨頭泉門)Fonticulus sphenoidalis; Fonticulus anterolateralis; Fonticulus posterolateralis ぜんそくとうせんもん;ちょうけいこつとうせんもん Feneis: 020_31

[A02_1_00_030] →(Fonticulus sphenoidalisを直訳すれば蝶形骨頭泉門となるが日本語では前側頭泉門が用いられている。また、同義語のFonticulus anterolateralisは直訳すれば前外側頭泉門となる。頭蓋の外側部、すなわち前頭骨、頭頂骨、側頭骨、蝶形骨の間にある裂隙であり、矩形または台形で、生後6ヶ月ないし1年で閉鎖する。)

Mastoid fontanelle(後側頭泉門;乳突頭泉門)Fonticulus mastoideus; Fonticulus posterolateralis こうそくとうせんもん;にゅうとつとうせんもん Feneis: 020_32

[A02_1_00_031] →(Fonticulus mastoideusを直訳すれば乳突頭泉門となるが、日本語では後側頭泉門を用いている。また、同義語の日本語訳では後外側頭泉門となる。頭頂骨、後頭骨、側頭骨の間にある裂隙。すなわち、頭頂乳突縫合にあたる部分にあり不規則な形で、生後1年ないし1年半で閉鎖する。)

Neurocranium; Brain box(脳頭蓋;神経頭蓋)Neurocranium; Cranium neurale のうとうがい;しんけいとうがい Feneis: 020_04

[A02_1_00_007] →(頭蓋は主として脳を容れる部分である脳頭蓋(神経頭蓋)と、主に顔面を構成する顔面頭蓋(内臓頭蓋)に分けられる。Neurocraniumとviscerocraniumは直訳すると、それぞれ神経頭蓋と内臓頭蓋である。顔面頭蓋に比べて脳頭蓋が大きいのが人類の特徴で、これは脳ことに大脳の非常な発達と関係している。)

Viscerocranium; Facial skeleton(顔面頭蓋;内臓頭蓋)Viscerocranium がんめんとうがい;ないぞうとうがい Feneis: 020_05

[A02_1_00_008] →(顔面頭蓋(内臓頭蓋)は、上、下顎など、元来、鰓に近い関係をもつ内臓弓に由来する骨格である。顔面骨格の顔面骨を含み脳を包む脳頭蓋の部分と区別される。ヒトの胎児では6対ある内臓弓のうち、第1内臓弓の主部は後の下顎部となる顎骨弓であって、その中に第1内臓弓軟骨(Meckel軟骨)がある。Meckel軟骨の後上部は前方に屈して、上顎の部に翼方形軟骨などをつくる。これを中心として上顎とその周囲では皮骨性の蝶形骨翼状突起の内側板、上顎骨、口蓋骨、頬骨が、下顎ではMeckel軟骨を中心として下顎骨ができる。第2内臓弓軟骨(Reichert軟骨)と第3内臓弓軟骨の前方部からは舌骨が生じ、Reichert軟骨の後方部は側頭骨の茎状突起となる。従って、舌骨も顔面頭蓋(内臓頭蓋)に所属させられる。下級脊椎動物では下顎骨と、上顎の方形骨とが顎関節をつくるが、哺乳類では下顎骨は直接、脳頭蓋(神経頭蓋)の底(側頭骨鱗部)に関節する。これに伴って、方形骨、Meckel軟骨の最後部、第2内臓弓軟骨の最後部は耳殻(側頭骨岩様部)の側面の陥凹のなか(中耳)に取り込まれ、3個の耳小骨となる。しかし、耳小骨は習慣上、内臓頭蓋としては扱われない。)

Chondrocranium(軟骨頭蓋)Chondrocranium なんこつとうがい Feneis: 020_06

[A02_1_00_009] →(頭蓋底の発生にあずかる軟骨頭蓋は、脊索前端部の周囲とさらにその前方にある間葉の軟骨化による3主の軟骨、すなわち、傍索軟骨、または基底板、下垂体軟骨または極軟骨、梁柱軟骨、およびこれらに耳殻、鼻殻、眼窩翼、側頭翼が加わって形成される。脊索の前端部の周囲に形成されるのが傍索軟骨で、これより前方で下垂体部を取り囲むものが下垂体軟骨で、これよりさらに前方で正中線上の両側にあるのが梁柱軟骨である。これらの軟骨は正中で合し、脳の底面を支える溝上の正中板をつくる。傍索軟骨からは後頭骨の底部と大後頭孔を囲む部が、下垂体軟骨からは蝶形体骨が、梁柱軟骨と鼻殻からは篩骨および下鼻甲介がそれぞれ発生する。耳胞の周囲に生ずる耳殻から側頭骨の岩様部が形成され、これが傍索軟骨と接するところに頚静脈孔ができる。眼窩翼からは蝶形骨小翼が、側頭翼からは同大翼が形成されるが、両者の間に動眼神経、滑車神経、外転神経、眼神経などが介在する。)

Desmocranium(膜性頭蓋)Desmocranium まくせいとうがい Feneis: 020_07

[A02_1_00_010] →(初期胚芽脊索の頭蓋末端にある中胚葉塊で、もっとも初期の頭蓋を形成する。)

Bones of cranium; Skull bones(頭蓋骨;ズガイコツ)Ossa cranii とうがいこつ;ずがいこつ Feneis: 026_01

[A02_1_01_001] →(頭蓋は15種23個の骨、すなわち10種16個の頭蓋骨および5種7個の顔面骨とにより形成されている。頭蓋骨は中枢神経系および感覚器に接する部分を形成する骨格で後頭骨(1個)、蝶形骨(1個)、側頭骨(1対2個)、頭頂骨(1対2個)、前頭骨(1個)、篩骨(1個)、下鼻甲介(1対2個)、涙骨(1対2個)、鼻骨(1対2個)、及び鋤骨(1個)である。頭蓋を構成する骨の分類には諸学者による見解の相違があり、後頭骨、蝶形骨、側頭骨、頭頂骨、前頭骨の5種7個を脳頭蓋とし、他の10種16個を顔面骨とする意見もある。)

Occipital bone(後頭骨)Os occipitale こうとうこつ Feneis: 026_02

[A02_1_04_001] →(脳頭蓋の後下部にある単一の骨で、頭蓋の脊柱上端に連なる部をつくる。前端に近く大きな大後頭孔があって、それより前方の底部、両側の外側部、後方の後頭鱗の3部に分けられる。前方は蝶形骨体、外方は側頭骨の岩様部、上方は頭頂骨と接するその形はほぼ舟状で、内面はくぼみ、外面はふくれる。後頭骨は胎生期後半には4つの部分に分離している。これらの4部が癒合して単一の骨になるのは生後3~4年たってからであるが、各部の名前だけは成人の骨にも残されている。)

Foramen magnum(大後頭孔;大孔)Foramen magnum; Foramen occipitale magnum だいこうとうこう;だいこう Feneis: 026_03

[A02_1_04_002] →(大後頭孔(大孔)は大きさや形に変化があるが、一般に前後に長い卵円形である。大後頭孔は頭蓋腔と脊柱管とを結ぶ孔で、したがって脳の脊髄につづく部である延髄下部が副神経脊髄根、椎骨動脈、静脈叢などとともにこれを通る。)

Basilar part of occipital bone(底部(後頭骨の))Pars basilaris (Os occipitale) ていぶ(こうとうこつの) Feneis: 026_06

[A02_1_04_005] →(後頭骨の底部は大後頭孔前縁の前方にある長方形の板状部で、内頭蓋底と外頭蓋底の斜台の下半分を作る。両側縁は側頭骨の錐体と軟骨結合している。)

Clivus of basilar part of occipital bone(斜台(後頭骨底部の))Clivus しゃだい(こうとうこつていぶの)Blumenbach, Clivus of

[A02_1_04_006] →(後頭蓋窩の正中部では中頭蓋窩の後端である鞍背から後方に大後頭孔まで「すべり台」のような急な斜面がある。これが斜台で、その上半は蝶形骨、下半は後頭骨からなる(その境界は骨が癒合しているのでわからない)。)

Pharyngeal tubercle; Pharngeal tubercle of occipital bone(咽頭結節(後頭骨の))Tuberculum pharyngeum いんとうけっせつ;こうとうこつのいんとうけっせつ Feneis: 026_07

[A02_1_04_007] →(後頭骨の底部の下面は筋の付着部となるため全般に粗で、その中央に小さい咽頭結節がある。咽頭結節は咽頭後壁の咽頭縫線が着く所である。その両側には上咽頭収縮筋、そのさらに側方には頭長筋、前頭直筋が着く。)

Groove for inferior petrosal sinus(下錐体洞溝)Sulcus sinus petrosi inferioris かすいたいどうこう

[A02_1_04_008] →(後頭骨の底面の上面の側縁には、下錐体静脈洞をいれる下錐体洞溝がある。)

Lateral part of occipital bone(外側部(後頭骨の))Pars lateralis (Os occipitale) がいそくぶ(こうとうこつの) Feneis: 026_08

[A02_1_04_009] →(後頭骨の外側部は大後頭孔の両側にある部分で、下面に後頭顆がある。そのやや外側の前縁には頚静脈切痕という切れ込みがあり、これは頚静脈孔の壁の下半を作る(壁の上半は側頭骨の同名の切痕)。この頚静脈孔は後頭骨および側頭骨から出る小さい[頚静脈]孔内突起によって前後の2部に分かれる。前部は小さく、舌咽神経、迷走神経、副神経、および下錐体静脈洞がここを通る。後部は大きく、内頚静脈の通路である。頚静脈切痕の後方の骨部は外側方に突出して頚静脈突起となり、その肥厚した外側縁は側頭骨の岩様部と軟骨性に結合する。外側部の下面には大後頭孔の前半の両側にあたり、後頭顆が突出する。その表面は滑らかで、少し外方に傾斜した楕円形の凸面で、その長軸は前内側から後外側に向かう。後頭窩は環椎の上関節窩に対する関節頭をつくる。横溝(外側部と底部が別個に形成され、癒着した部にあたる)によって前後に2分されることもある。また、正中面に対する角度には個人差が大きい。後頭窩の基底部を後内方から前外方に斜に舌下神経管が貫く。後頭顆の後には顆窩があり、顆導出静脈が通る顆管がここに開く。顆管の太さは個人差がはなはだしく、同一個体でも両側のものの差が著しいことが少なくない。外側部の上面には後頭窩の上に相当して頚静脈結節があり、それが大後頭孔に向かう面の基部に舌下神経管の内口が開く。頚静脈突起は上面ではとくに突隆し、それを後から内前方へS状洞溝の末端がめぐって頚静脈切痕の後縁に達している。顆管の内口が明瞭に見られるときは、この屈曲点よりやや前方に位置することが被い。)

Squamous part of occipital bone(後頭鱗(後頭骨の))Squama occipitalis こうとうりん(こうとうこつの) Feneis: 026_09

[A02_1_04_010] →(後頭鱗は大後頭孔の後方にある広い扁平な骨部で、頭蓋冠の後頭の部分と頭蓋底の後部を作る。その縁は不正三角形の広大な鱗状部である。その鋸歯状で大部分はラムダ縫合をもって頭頂骨と接するが、下方では側頭骨とも接する。後頭骨はその大半が軟骨性骨化によって生ずるが、後頭鱗のうち下項線から上方の部分だけは線維性骨窩によって生ずる膜性骨である。しかも後者は数個との骨化中心から出来るので、それら相互の癒合の様子次第で小さい2~4個の、または大きい1個の頭頂間骨(インカ骨)が独立する変異が生ずる。)

Mastoid border of occipital bone(乳突縁(後頭骨の))Margo mastoideus ossis occipitalis にゅうとつえん(こうとうこつの) Feneis: 026_10

[A02_1_04_011] →(後頭鱗が側頭骨岩様部の後頭縁と接するところところ乳突縁という。)

Lambdoid border of occipital bone(ラムダ縁;ラムダ状縁;人字縁(後頭骨の))Margo lambdoideus ossis occipitalis らむだえん;らむだじょうえん;にんじえん(こうとうこつの) Feneis: 026_11

[A02_1_04_012] →(頭頂骨の後頭縁と接するところところラムダ状縁という。)

Interparietal bone; Incarian bone(頭頂間骨)Os interparietale; Os incae とうちょうかんこつ Feneis: 026_12

[A02_1_04_013] →(後頭鱗上部の後頭面にあたる部が独立の骨となっていることがありこれを頭頂間骨という。南米ペルーのインカ族に多いためインカ骨(Os Incae)ともいう。)

Occipital condyle; *Condyle(後頭顆(後頭骨の))Condylus occipitalis こうとうか Feneis: 026_13

[A02_1_04_014] →(後頭骨下面にある2つの細長い卵形をした関節面を有する高まりが後頭顆である。これは第1頚椎の上関節窩と関節する。)

Condylar fossa(顆窩)Fossa condylaris かか Feneis: 026_16

[A02_1_04_017] →(後頭顆の後方に顆窩という凹みがある。)

Condylar canal(顆管)Canalis condylaris; Canalis condyloideus かかん Feneis: 026_14

[A02_1_04_015] →(顆窩には顆導出静脈を通す顆管が開口する。導出静脈とは、頭蓋腔の内部と外部の静脈を連絡する静脈で、頭蓋骨の骨組織中を走るもの。)

Hypoglossal canal(舌下神経管)Canalis nervi hypoglossi; Canalis hypoglossi ぜっかしんけいかん Feneis: 026_15

[A02_1_04_016] →(後頭顆の上方には後内方から前外方に舌下神経の通路である舌下神経管が走る。)

Jugular tubercle(頚静脈結節)Tuberculum jugulare けいじょうみゃくけっせつ Feneis: 026_17

[A02_1_04_018] →(舌下神経管を覆う後頭骨内側面の小隆起を頚静脈結節という。)

Jugular notch of occipital bone(頚静脈切痕(後頭骨の))Incisura jugularis ossis occipitalis けいじょうみゃくせっこん(こうとうこつの) Feneis: 026_18

[A02_1_04_019] →(後頭骨の外側部の前部に頚静脈切痕があり、側頭骨岩様部の頚静脈切痕と合して頚静脈孔をつくる。)

Jugular process of occipital bone(頚静脈突起)Processus jugularis けいじょうみゃくとっき Feneis: 026_19

[A02_1_04_020] →(後頭骨顆の後部、頚静脈孔の外側にある突起、脊椎の横突起に相当する。)

Intrajugular process(頚静脈孔内突起;孔内突起)Processus intrajugularis けいじょうみゃくこうないとっき;こうないとっき Feneis: 026_20

[A02_1_04_021] →(頚静脈孔内突起は後頭骨および側頭骨の頚静脈切痕中央から出る小さな、先のとがった骨性突起。この2つの骨は靱帯により結合し頚静脈孔を前後の2部に分けており、前部は小さく、ここを通るものは、舌咽神経、迷走神経、副神経、下錐体静脈洞で、後部は大きく内頚静脈が通る。)

Paramastoid process(乳突傍突起;乳様傍突起)Processus paramastoideus にゅうとつぼうとっき;にゅうようぼうとっき Feneis: 026_36

[A02_1_04_035] →(後頭窩の後側にある顆窩の外側、すなわち頚静脈突起の下面の粗な隆起は外側頭直筋の付着部であるが、これが特に突出して乳突傍突起をつくることがあり、時には大きくなって環椎横突起と関節する。)

Cerebral fossa; Fossa for occipital lobe of brain(大脳窩;大脳後頭窩(後頭骨の))Fossa cerebralis; Fossa occipitalis cerebralis; Fossa occipitalis superior だいのうか;だいのうこうとうか(こうとうこつの) Feneis: 026_37

[A02_1_04_036] →(大脳の後頭葉のための凹みでINAでは大脳後頭窩と呼ばれていた。)

Cerebellar fossa; Fossa for cerebellum(小脳窩;小脳後頭窩(後頭骨の))Fossa cerebellaris; Fossa occipitalis inferior しょうのうか(こうとうこつの) Feneis: 026_38

[A02_1_04_037] →(小脳のための凹みでINAでは小脳後頭窩と呼ばれていた。)

External occipital protuberance(外後頭隆起;後頭結節;外後頭結節)Protuberantia occipitalis externa がいこうとうりゅうき;こうとうけっせつ;がいこつおうけっせつ Feneis: 026_21

[A02_1_04_022] →(外後頭隆起は凸面をなす後頭鱗の外面のほぼ中央に外後頭隆起がある。)

External occipital crest(外後頭稜)Crista occipitalis externa がいこうとうりょう Feneis: 026_22

[A02_1_04_023] →(外後頭隆起から下方へのびて大後頭孔までいたる隆起線を外後頭稜という。)

Highest nuchal line(最上項線;界上項線)Linea nuchalis suprema; Linea nuchalis supraterminalis; Linea nuchae suprema さいじょうこうせん;かいじょうこうせん Feneis: 026_23

[A02_1_04_024] →(最上項線は後頭骨の外面上を上項線の上方で平行に走る線。帽状腱膜および後頭筋が付着する。)

Superior nuchal line(上項線;分界項線)Linea nuchalis superior; Linea nuchalis terminalis; Linea nuchae superior じょうこうせん;ぶんかいこうせん Feneis: 026_24

[A02_1_04_025] →(上項線は後頭骨の外後頭隆起から後頭側角へ側方にのびる隆線。僧帽筋、胸鎖乳突筋、および頭板状筋が付着する。上項線は外後頭隆起の直下で外後頭稜に達するが、この到達した点がイニオンである。)

Inferior nuchal line(下項線;項平面線)Linea nuchalis inferior; Linea plani nuchalis かこうせん;こうへいめんせん Feneis: 026_25

[A02_1_04_026] →(下項線は上項線と大後頭孔の間にあり上項線よりかなり下方にある横走する隆起線である。)

Occipital plane(後頭平面)Planum occipitale こうとうへいめん Feneis: 026_27

[A02_1_04_027] →(後頭平面は上項線より上の後頭骨の後極の外面。)

Cruciform eminence(十字隆起)Eminentia cruciformis じゅうじりゅうき Feneis: 026_28

[A02_1_04_028] →(後頭鱗の内面は後方に凹み、その中央つまり内後頭隆起を中心で十字形に交わる十字隆起によって4分されている(左右の大脳後頭窩、左右の小脳後頭窩)。)

Internal occipital protuberance(内後頭隆起)Protuberantia occipitalis interna ないこうとうりゅうき Feneis: 026_29

[A02_1_04_029] →(後頭骨の内面上にある十字隆起の中心付近の突出。)

Internal occipital crest(内後頭稜)Crista occipitalis interna ないこうとうりょう Feneis: 026_30

[A02_1_04_030] →(十字隆起のうち、内後頭隆起から下に向かい大後頭孔の後縁に達する高まりを内後頭稜と呼ぶ。下矢状静脈洞を容れる溝になる場合がある。)

Groove for transverse sinus(横洞溝;横溝)Sulcus sinus transversi; Sulcus transversus おうどうこう;おうこう Feneis: 026_32

[A02_1_04_031] →(横静脈洞をいれる溝。内後頭隆起からはじまり、ほぼ水平に外方に向かって横走し、側頭骨乳突部内面でS状洞溝に移行し頚静脈孔に開口する。またS状洞溝の初部からは上錐体洞溝が、その終部からは下垂体洞溝が分かれる。)

Groove for sigmoid sinus(S状洞溝(後頭骨の))Sulcus sinus sigmoidei; Sulcus sigmoides Sじょうどうこう(こうとうこつの) Feneis: 026_33

[A02_1_04_032] →(S状洞溝は頚静脈孔へ入るまでのS状静脈洞をいれる溝。この溝の上方は後頭骨の横洞溝に、下方は頚静脈孔につづき、乳突孔の内孔はこの溝に開く。)

Groove for occipital sinus(後頭洞溝)Sulcus sinus occipitalis こうとうどうこう Feneis: 026_34

[A02_1_04_033] →(後頭洞溝は後頭静脈洞を容れる溝。)

Groove for marginal sinus(辺縁洞溝)Sulcus sinus marginalis へんえんどうこう Feneis: 026_35

[A02_1_04_034]

Sphenoidal bone; Sphenoid bone(蝶形骨)Os sphenoidale ちょうけいこつ Feneis: 028_01

[A02_1_05_001] →(蝶形骨は頭蓋底のほぼ中央部にあり、上面観は羽を広げた蝶のように、また前方から見るとコウモリのように見える最も不規則な形をした無対性骨である。蝶形骨は発生学的には四つの部分、すなわち体、大翼、小翼および翼状突起に4部に分けられる。これはらは生後1年以内に癒合して単一の骨となる。蝶形骨は9種の周囲の骨と相接しており、それらは後頭骨、側頭骨、頭頂骨、前頭骨、篩骨、鋤骨、上顎骨、口蓋骨、頬骨である。Sphenoidaleはクサビ(sphen)に似た(eidos)という意味で、蝶とは無関係。これは多くの骨の間にクサビのようにはまりこんだ骨だからである。日本名も以前は楔状骨であり、更に古くは胡蝶骨と呼ばれたこともある。楔状骨の名は現在では足根骨の一つに占有されている。)

Body of sphenoid bone(体(蝶形骨の);蝶形骨体)Corpus (Ossis sphenoidalis) たい(ちょうけいこつの) Feneis: 028_02

[A02_1_05_002] →(蝶形骨体は蝶形骨の中央部にあり立方体をなしている。上面中央部には鞍状を呈したトルコ鞍があり、その中央に横位楕円形の下垂体窩がある。トルコ鞍の後方には鞍背という上方に突出した骨板があり、その両側外側端の突起を後床突起という。鞍背の後部は台形をなして後頭骨の底部とともに斜台を形成する。下垂体窩の前には体の前部との境界線である鞍結節とよべる横走する稜があり、その両側端にある中床突起は発育が弱く明瞭なものは少ない。鞍結節の前には細い横走する[視神経]交叉溝があり、その両外側は視神経管につづく。交叉溝の前部は蝶形骨隆起とよばれているが、これは隆起ではなく滑らかな平面である。体の前部は小翼と後部は大翼と結合している。下錐体窩の外側と大翼の根部との間には、内側頚動脈溝という前後に走る溝があり、外側に蝶形骨小舌という突起状の骨板がある。体の下面は鼻腔、咽頭腔の上壁をなし、中央に蝶形骨吻が前下方に突出し鋤骨翼にはさまれる。体の前面中央部には蝶形骨稜という上下に走る稜線があり、篩骨の垂直板と相接する。蝶形骨稜の両側でがいおうに蝶形骨甲介が認められる。これはバルタン小骨ともよばれ、発生学的には篩骨の一部であったものが8~12歳に蝶形骨体と癒合したものでとくに若年頭蓋で著明である。体の内面は空洞状をなし蝶形骨洞とよばれ、その正中部には蝶形骨洞中隔があり、洞を左右に分けている。その前面には蝶形骨洞口という開口部が両側にあり蝶篩陥凹に通じている。)

Jugum sphenoidale; Sphenoidal yoke(蝶形骨隆起)Jugum sphenoidale ちょうけいこつりゅうき Feneis: 028_03

[A02_1_05_003] →(視神経交叉溝の前方は左右の小翼の間にある滑らか平面となる。これを蝶形骨隆起といい、その前縁は篩骨の篩板と結合する。)

Limbus of sphenoid(蝶形骨縁)Limbus sphenoidalis ちょうけいこつえん Feneis: 028_04

[A02_1_05_004] →(蝶形骨隆起の後部の境界および視神経交叉溝の前部の境界を形成する蝶形骨(骨)を形づくる蝶形骨体の不定に隆起した稜。)

Prechiasmatic sulcus; *Prechiasmatic groove(前視交叉溝;視神経交叉溝;視束溝;視神経溝)Sulcus prechiasmaticus; Sulcus nervi optici ぜんしこうさこう;ししんけいこうさこう;しさくこう Feneis: 028_05

[A02_1_05_005] →(鞍結節の前方には浅い[視神経]交叉溝が横に走り、その外側は視神経管に続く。)

Chiasmatic sulcus; *Prechiasmatic groove(視神経交叉溝;交叉溝;視束溝;視神経交叉前溝)Sulcus chiasmatis ししんけいこうさこう;こそくこう;しそくこう;ししんけいこうさぜんこう

[A02_1_05_005_1] →(鞍結節の前方には浅い[視神経]交叉溝が横に走り、その外側は視神経管に続く。)

Sella turcica; Turkish saddle(トルコ鞍)Sella turcica とるこぐら Feneis: 028_06

[A02_1_05_006] →(トルコ鞍は蝶形骨体上面には、トルコ風の馬の鞍に似ている骨隆起で中頭蓋窩の中央部にある。この骨のくぼみには、重要な内分泌腺の一つである下垂体が入る。)

Tuberculum sellae(鞍結節)Tuberculum sellae あんけつせつ Feneis: 028_07

[A02_1_05_007] →(下垂体窩の前には蝶形骨体の前部との境界線である鞍結節と呼ばれる横走する稜がある。)

Middle clinoid process(中床突起;中鞍突起)Processus clinoideus medius ちゅうしょうとっき;ちゅうあんとっき Feneis: 028_08

[A02_1_05_008] →(鞍結節の外側端が明瞭な突出となるとき、これを中床突起と呼ぶ。)

Hypophysial fossa; Hypophyseal fossa(下垂体窩)Fossa hypophysialis かすいたいか Feneis: 028_09

[A02_1_05_009] →(トルコ鞍の中央の円い凹みは下垂体を容れる下垂体窩である。)

Dorsum sellae(鞍背)Dorsum sellae あんぱい Feneis: 028_10

[A02_1_05_010] →(トルコ鞍の後の境界は著しく隆起した鞍背がつくる。)

Posterior clinoid process(後床突起)Processus clinoideus posterior こうしょうとっき Feneis: 028_11

[A02_1_05_011] →(鞍背の外側端がつくる小さい突起を後床突起という。)

Carotid sulcus(頚動脈溝)Sulcus caroticus けいどうみゃくこう Feneis: 028_12

[A02_1_05_012] →(蝶形骨大翼の根の起こる部より上方は上面に移行する斜面で、ここを前後に広い頚動脈溝が走る。)

Sphenoidal lingula(蝶形骨小舌;蝶形小舌;蝶形骨小唇)Lingula sphenoidalis ちょうけいこつしょうぜつ;ちょうけいしょうぜつ;ちょうけいこつしょうしん Feneis: 028_13

[A02_1_05_013] →(頚動脈溝の外側境界となる稜状の隆起は、後縁から後方に突出して、小さな蝶形骨小舌をつくる。)

Sphenoidal crest(蝶形骨稜)Crista sphenoidalis ちょうけいこつりょう Feneis: 028_14

[A02_1_05_014] →(蝶形骨体の前面中央部には蝶形骨稜という上下に走る稜線があり、篩骨の垂直板と相接する。)

Sphenoidal rostrum(蝶形骨吻)Rostrum sphenoidale ちょうけいこつふん Feneis: 028_15

[A02_1_05_015] →(蝶形骨稜の下端は体下面前部の正中線から前下方に突出する蝶形骨吻となる。前下方に突出し鋤骨翼にはさまれ連結する。)

Sphenoidal sinus(蝶形骨洞)Sinus sphenoidalis ちょうけいこつどう Feneis: 028_16

[A02_1_05_016] →(蝶形骨体の内部は殆ど蝶形骨洞でしめられ、空洞である。その大きさは不定で、ときには体の後に結合する後頭骨の底部にも進入している。蝶形骨洞は蝶形骨体部の頭蓋底部に位置する副鼻腔である。思春期以降に発達し、成人にて含気化が顕著になるが、含気の程度にバリエーションがあり、視神経管周囲・視神経が隣接しており、(内頚動脈が走行している)頚動脈隆起・視神経管の骨性隆起、その間に視神経管頚動脈裂optico-carotid recessとよばれる陥凹が蝶形骨内面より観察される。)

Septum of sphenoidal sinuses(蝶形骨洞中隔)Septum sinuum sphenoidale ちょうけいこつどうちゅうかく Feneis: 028_17

[A02_1_05_017] →(蝶形骨洞中隔は蝶形骨体前面に突出して蝶形骨稜をつくる。蝶形骨洞は蝶形骨洞中隔で左右に仕切られる。)

Opening of sphenoidal sinus(蝶形骨洞口)Apertura sinus sphenoidalis ちょうけいこつどうこう Feneis: 028_18

[A02_1_05_018] →(左右の蝶形骨洞は蝶形骨体の前面の蝶形洞口で外部に開く。)

Sphenoidal concha(蝶形骨甲介)Concha sphenoidalis ちょうけいこつこうかいBertin's bone Feneis: 028_19

[A02_1_05_019] →(蝶形骨洞口の下部は体下面につづく弯曲した薄い骨板で被われ、これを蝶形骨甲介(ベルタン小骨)という。これは鼻殻軟骨の後部から発生し、本来は篩骨の一部である。)

Lesser wing of sphenoid bone(小翼(蝶形骨の))Ala minor; Ala parva (Ossis sphenoidalis) しょうよく(ちょうけいこつの)Ingrassia's process Feneis: 028_20

[A02_1_05_020] →(蝶形骨体の前端の両側から左右に向かって翼状に延びるほぼ三角形の部分で、その先は細くとがっている。小翼の前縁は前頭骨の眼窩部と縫合するため鋸歯状で、その正中の小部分は篩骨の篩板に接する。前根と後根の2根を有し、この両根の間に視神経管がある。前縁は鋸歯状をなすことが多く、前頭骨の眼窩部と結合する。後縁は遊離縁をなし、その内側端に視神経管の後外側から後内側に向かう前床突起がある。上面は平坦で頭蓋底のうちで指圧痕、脳隆起などきわめて少ない部分である。また前頭蓋窩の後部を形成し、内側では蝶形骨隆起に移行する。下面は大翼眼窩面との間に上眼窩裂を形成している。)

Optic canal; *Optic foramen(視神経管;視神経孔)Canalis opticus; Foramen opticum; Canalis fasciculi optici ししんけいかん;ししんけいこう Feneis: 028_21

[A02_1_05_021] →(視神経孔Optic foramenともよばれる。眼窩の上壁の最も深部で蝶形骨の小翼の蝶形骨体よりの根部は視神経管が貫通し、この管の外側には前床突起が延びだしている。視神経および眼動脈が通る。)

Anterior clinoid process(前床突起;小翼突起)Processus clinoideus anterior; Processus alae parvae ぜんしょうとっき;しょうよくとっき Feneis: 028_22

[A02_1_05_022] →(蝶形骨小翼の後縁は遊離縁をなし、その内側端に視神経管の後外側から後内側に向かう前床突起がある。)

Superior orbital fissure(上眼窩裂)Fissura orbitalis superior じょうがんかれつ Feneis: 028_23

[A02_1_05_023] →(蝶形骨小翼の下面は大翼との間にある長三角形のすきまが上眼窩裂である。動眼神経、滑車神経、外転神経、三叉神経の眼神経、上眼静脈が通る。)

Greater wing of sphenoid bone(大翼(蝶形骨の))Ala major; Ala magna (Ossis sphenoidalis) だいよく(ちょうけいこつの) Feneis: 028_24

[A02_1_05_024] →(蝶形骨の大翼は蝶形骨体後部の外側から前外側方へ翼状にひろがる部分である。3面および3縁を有する。上面は大脳面といわれ、凹面をなして中頭蓋窩の一部をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝、静脈溝が認め等えっる。この面で大翼と体の結合部近くに前内側から後外側に向かって三つの孔、すなわち正円孔、卵円孔、棘孔が並ぶ。正円孔は上顎神経、卵円孔は下顎神経、棘孔が並ぶ。正円孔は上顎神経、卵円孔は下顎神経、棘孔は中硬膜動脈および下顎神経硬膜枝の通路である。外側面は上・下の2部から成る。上部は側頭面といわれ大きく側頭窩の底をなすが、側頭加療より下内方部は側頭下面といわれ小さく側頭下窩の上壁の大部分をなす。内側面の大部分は眼窩面といわれ、ほぼ菱形をなし眼窩外側壁の形成にあずかる。その下方には上顎面があり、翼状突起に前面とともに翼口蓋窩に面し、ここに正円孔が開口する。なお眼窩面と上顎面の境は下眼窩裂の後縁をなす。上縁は前方で前頭骨と結合する短い前頭縁と、後方で頭頂骨と結合する短い前頭縁といわれ、また下部は遊離縁で下眼窩裂の上縁の一部をなしている。後縁の外側部は側頭骨鱗部と結合し鱗縁といわれ、その内側部は側頭骨錐体との間に蝶錐体裂をつくる。この裂の外側部に斜走する耳管溝がある。後縁の最後端は角をなし、そこから蝶形骨棘という小突起を出す。なお後縁と側頭骨岩様部との間に蝶錐体裂があるが、その外側部に斜走する耳管溝があり、ここに耳管軟骨をいれている。耳管孔は翼状突起根部の舟状窩につづいている。)

Cerebral surface of sphenoid(大脳面(蝶形骨の))Facies cerebralis (Ossis sphenoidalis) だいのうめん(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_25

[A02_1_05_025] →(蝶形骨大翼の上面の深くくぼんだ大脳面は中頭蓋窩の一部となり、脳隆起、指圧痕、動脈溝、静脈溝などをみる。)

Temporal surface of sphenoid(側頭面(蝶形骨の))Facies temporalis (Ossis sphenoidalis) そくとうめん(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_26

[A02_1_05_026] →(蝶形骨大翼の外方を向く面は側頭面で、その大部分は頭蓋の側面において側頭窩の底となる。)

Infratemporal surface of sphenoid(側頭下面(蝶形骨大翼の))Facies infratemporalis (Ossis sphenoidalis) そくとうかめん(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_27

[A02_1_05_027] →(蝶形骨大翼の側頭下稜より下方は側頭下窩の上壁の大部分が側頭下面になり、ここに卵円孔と棘孔が開く。)

Maxillary surface of sphenoid(上顎面;蝶形上顎面;蝶顎面(蝶形骨大翼の))Facies maxillaris; Facies sphenomaxillaris じょうがくめん;ちょうけいじょうがくめん;ちょうがくめん(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_29

[A02_1_05_029] →(蝶形骨大翼の眼窩面の下方は明瞭な線を境として狭い上顎面につづく。)

Orbital surface of sphenoid; Orbital surface of greater wing of sphenoid bone(眼窩面(蝶形骨大翼の))Facies orbitalis (Ossis sphenoidalis) がんかめん(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_30

[A02_1_05_030] →(蝶形骨大翼の前内側を向く面の大部分は菱形の平滑な眼窩面でしめられる。)

Zygomatic margin of sphenoid(頬骨縁(蝶形骨大翼の))Margo zygomaticus (Ossis sphenoidalis) きょうこつへいん(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_31

[A02_1_05_031] →(蝶形骨大翼の前縁は側頭面と眼窩面の間を下る鋭い縁で、その上部は前頭縁の一部として前頭骨の頬骨突起と結合し、以下の大部分は頬骨と結合する頬骨縁である。)

Frontal margin of sphenoid(前頭縁(蝶形骨大翼の))Margo frontalis (Ossis sphenoidalis) ぜんとうえん(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_32

[A02_1_05_032] →(蝶形骨大翼の頭頂縁より前方大部分は前頭骨と結合する前頭縁である。頭頂縁と前頭縁の間には大翼上縁では明瞭な境界をつけられない。前頭縁より内側は内下方に下降する薄く鋭い縁(眼窩面の後壁)となる。このことは蝶形骨小翼との間にできる上眼窩裂の下縁である。)

Parietal margin of sphenoid; Parietal angle of sphenoid(頭頂縁;頭頂角(蝶形骨大翼の))Margo parietalis; Angulus parietalis (Ossis sphenoidalis) とうちょうえん;とうちょうかく(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_33

[A02_1_05_033] →(蝶形骨大翼の側頭面の後方小部分にあたる部は頭頂骨と結合する頭頂縁である。)

Squamosal margin of sphenoid(鱗縁(蝶形骨大翼の))Margo squamosus (Ossis sphenoidalis) りんえん(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_34

[A02_1_05_034] →(蝶形骨大翼の外側縁は前上から後下に向かう曲線で、側頭骨鱗部の前下部と結合する鱗縁である。)

Infratemporal crest(側頭下稜(蝶形骨の))Crista infratemporalis (Ossis sphenoidalis) そくとうかりょう(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_28

[A02_1_05_028] →(蝶形骨大翼の垂直部をなす側頭面と水平部の下部との間にある骨隆起が側頭下稜がある。)

Foramen rotundum of sphenoid bone(正円孔;正円管(蝶形骨の))Foramen rotundum (Ossis sphenoidalis) せいえんこう;せいえんかん(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_35

[A02_1_05_035] →(蝶形骨大翼が蝶形骨体から出る根部を貫く3孔が前内方から後外方にならぶ。最前のものは正円孔で、前方に向かって翼口蓋窩に開く。中の最も大きい卵円孔と最後の棘孔はともに頭蓋底下面に開く。正円孔は上顎神経が通る。)

Foramen ovale of sphenoid bone(卵円孔(蝶形骨の))Foramen ovale (Ossis sphenoidalis) らんえんこう(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_36

[A02_1_05_036] →(卵円孔は大翼の後内側端に位置し、三叉神経の下顎神経の通路の開口で、棘孔の内前方にある。海綿静脈洞と翼突静脈叢を連絡することがある。)

Sphenoidal emissary foramen; Foramen or Vesalius(静脈孔;蝶形導出静脈孔(蝶形骨大翼の))Foramen venosum ちょうけいこつだいよくのじょうみゃくこう;ちょうけいどうしゅつじょうみゃくこうVesalius, Foramen of Feneis: 028_37

[A02_1_05_037] →(卵円孔の前内側に別に静脈孔(導出静脈の通る蝶形導出静脈溝)をみることがある。)

Foramen spinosum(棘孔(蝶形骨の))Foramen spinosum (Ossis sphenoidalis) きょくこう(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_38

[A02_1_05_038] →(中硬膜動脈の通路の開口で、卵円孔の外後方にある。(Feneis))

Foramen petrosum(錐体孔(蝶形骨大翼の))Foramen petrosum すいたいこう(ちょうけいこつだいよくの) Feneis: 028_39

[A02_1_05_039] →(卵円孔と棘孔の間に時に開口する小錐体神経を通す孔が錐体孔である。)

Spine of sphenoid bone(蝶形骨棘;角棘)Spina ossis sphenoidalis; Spina angularis ちょうけいこつきょく Feneis: 028_40

[A02_1_05_040] →(蝶形骨の大翼の外側縁と後縁と合する部の下面からは下方に向かう鋭い蝶形骨棘がでる。蝶形骨棘には蝶下顎靱帯、翼棘突靱帯がつき、口蓋帆張筋の上部が起こる。)

Sulcus of auditory tube; *Groove for auditory tube; *Groove for pharyngotympanic tube; *Groove for Eustachian tube(耳管溝)Sulcus tubae auditivae; Sulcus tubae auditoriae じかんこう Feneis: 028_41

[A02_1_05_041] →(蝶形骨の大翼の後縁は側頭骨の岩様部(錐体)に対向して蝶錐体裂をつくるところで、厚く、直線的である。その外側部は斜めに走る浅い耳管溝となり、その内側端は翼状突起根部の舟状窩の上方につづいている。)

Pterygoid process of sphenoid bone(翼状突起(蝶形骨の))Processus pterygoideus (Ossis sphenoidalis) よくじょうとっき(ちょうけいこつの) Feneis: 030_01

[A02_1_05_042] →(翼状突起は蝶形骨の両側で蝶形骨体と蝶形骨大翼との間の下面から下方に向かい、頭蓋底面に対してほぼ直角に出る突起で、外側板と内側板からなり、その前面は口蓋骨垂直板および上顎体後部に接する。翼状突起の根部は前後に走る翼突管で貫かれる。)

Lateral plate of sphenoid process; Lateral pterygoid plate(外側板(翼状突起の);外側翼状板)Lamina lateralis (Processi pterygoideus ossis sphenoidalis) がいそくばん(よくじょうとっきの);がいそくよくじょうばん Feneis: 030_02

[A02_1_05_043] →(蝶形骨の翼状突起の外側板は内側板にくらべて広く、やや短く、矢状面に対して斜めに位置する(その外面からは外側翼突筋が起こる)。外側翼突筋の下頭が起始する。内外両側板は前縁で連結し、その前面を縦に走る浅い翼口蓋溝は翼状突起が上顎体および口蓋骨垂直板と合してつくる翼口蓋窩の後壁をつくる。また、内外両側板は後方に開いた翼突窩をつくる(ここから内側翼突筋が起こる)。しかし、内側板と外側板とはその下部では離れて翼突切痕をはさむ。ここには口蓋骨の錐体突起がはまりこんでこれを補う。外側板の後縁は鋭く、その上部から小さい翼棘突起を出すことが多い。)

Medial plate of sphenoid; Medial plate of pterygoid process; Medial pterygoid plate(内側板(蝶形骨翼状突起の))Lamina medialis (Processi pterygoideus ossis sphenoidalis) ないそくばん(ちょうけいこつの);ないそくばん(よくじょうとっきの) Feneis: 030_03

[A02_1_05_044] →(翼状突起の内側板は細長く殆ど矢状位に立ち、その下端は鈎形に外方に曲がって翼突鈎をつくる。その上にある浅い翼突鈎溝は口蓋帆張筋の腱が通るところである。内側板は後縁は上部で2分して浅い舟状窩(口蓋帆張筋が起こる)を囲む。舟状窩の上に接して上に述べた耳管溝が斜めに上外方に向かい大翼後縁までつづく。これは耳管軟骨部の着く所である。また、内側板の上端から内方に向かって、蝶形骨体の下面に沿う薄板上の鞘状突起が出る。この突起の下面の細い溝(口蓋骨鞘突溝)は後方から前方にすすむんい従って深さを増し、口蓋骨の蝶形骨突起と合して口蓋骨鞘突管をつくる。なお鞘状突起の内側縁と蝶形骨体の間にできる鋤骨鞘突溝は鋤骨翼が蝶形骨に着くと鋤骨鞘突管となる。この2小管はいずれも翼口蓋神経節の咽頭枝の通る所である。)

Pterygoid notch(翼突切痕;翼裂)Incisura pterygoidea; Fissura pterygoidea よくとつせっこん Feneis: 030_04

[A02_1_05_045] →(翼状突起の内側板と外側板とはその下部では離れて翼突切痕をはさむ。ここには口蓋骨の錐体突起がはまりこんでこれを補う。)

Pterygoid fossa(翼突窩)Fossa pterygoidea よくとつか Feneis: 030_05

[A02_1_05_046] →(翼状突起の内側板、外側板は後方に開いた翼突窩をつくる。ここから内側翼突筋が起始する。)

Scaphoid fossa; Scaphoid fossa of sphenoid bone(舟状窩(蝶形骨の))Fossa scaphoidea しゅうじょうか(ちょうけいこつの) Feneis: 030_06

[A02_1_05_047] →(翼状突起の内側板の後縁は上部で2分して浅い舟状窩を囲む。口蓋帆張筋を容れる。舟状窩の上に接して耳管溝が斜めに上外方に向かい大翼後縁までつづく。これは耳管軟骨部のつく所である。)

Vaginal process of sphenoid(鞘状突起(蝶形骨の))Processus vaginalis (Ossis sphenoidalis) しょうじょうとっき(ちょうけいこつの) Feneis: 030_07

[A02_1_05_048] →(翼状突起の内側板の上端内方に向かって、蝶形骨体の下面に沿う薄板上の鞘状突起が出る。)

Palatovaginal groove(口蓋骨鞘突溝;咽頭管)Sulcus palatovaginalis; Canalis pharyngeus; Canalis pharyngicus こうがいこつしょうとつこう;いんとうかん Feneis: 030_08

[A02_1_05_049] →(鞘状突起の下面の細い溝つまり口蓋骨鞘突溝は後方から前方に進むに従って深さを増し、口蓋骨の蝶形骨突起と合して口蓋骨鞘突管をつくる。)

Vomerovaginal groove(鋤骨鞘突溝;頭底咽頭管)Sulcus vomerovaginalis; Canalis basipharyngicus じょこつしょうとつこう;とうていいんとうかん Feneis: 030_09

[A02_1_05_050] →(鞘状突起の内側縁と蝶形骨体の間に出来る鋤骨鞘突溝は鋤骨翼が蝶形骨に着くと鋤骨鞘突管となる。口蓋骨鞘突管と鋤骨鞘突管の小管はいずれも翼口蓋神経節の因頭枝の通る所である。)

Pterygoid hamulus; *Hamulus of medial plate of pterygoid process(翼突鈎)Hamulus pterygoideus よくとつこう Feneis: 030_10

[A02_1_05_051] →(翼状突起の内側板の下端は鈎形に外方に曲がって翼突鈎を作る。翼突下顎縫線という靱帯が起始する。)

Groove of pterygoid hamulus(翼突鈎溝)Sulcus hamuli pterygoidei よくとつこうこう Feneis: 030_11

[A02_1_05_052] →(翼突鈎の上にある浅い急な弯曲によってできる翼突鈎溝は口蓋帆張筋の腱が通る所である。)

Pterygoid canal; Vidian canal(翼突管;ヴィディウス管)Canalis pterygoideus よくとつかんVidian canal Feneis: 030_12

[A02_1_05_053] →(翼状突起の根部は前後に走る翼突管で貫かれる。大および深錐体神経が合した翼突管神経及び翼突管動脈が通る。)

Pterygospinous process(翼棘突起)Processus pterygospinosus よくきょくとっき Feneis: 030_13

[A02_1_05_054] →(翼状突起の外側板の後縁は鋭く、その上部から小さい翼棘突起を出すことが多い。)

Temporal bone(側頭骨)Os temporale そくとうこつ Feneis: 030_14

[A02_1_06_001] →(側頭骨は頭蓋の底部および側面にある大きな不規則形の骨。頭蓋側壁の中央部と頭蓋底中央の両側部を作るばかりでなく、骨の中に平衡聴覚器(外耳道・中耳・内耳)を容れる大切な骨である。岩様部(乳突部と錐体)、鼓室部および鱗部の3部が癒合して単一の骨になるのは生後1年ほど経ってからである。3部が合するところの外面には大きい孔がある。これを外耳孔といい、その内方のつづきは外耳道によって鼓室に通ずる。また、外耳孔の上方で鱗部の外側前方に出る頬骨突起は頬骨に達して頬骨弓をつくる。下縁から咬筋が起こる。)

Petrous part of temporal bone(岩様部;錐体乳突部;錐体;錐体部(側頭骨の))Pars petrosa; Pars petromastoidea (Ossis temporalis) がんようぶ;すいたいにゅうとつぶ(そくとうこつの) Feneis: 030_15

[A02_1_06_002] →(岩様部は外耳孔の後で下方に突出する乳様突起から頭頂切痕にかけての部を乳突部と、それを底として前内方に水平に突出する四角錐状の骨塊である錐体(狭義の岩様部ということもある)を含めて岩様部(錐体乳突部)と呼ぶ。これは軟骨性頭蓋底の耳嚢に由来する一塊の独立した骨として発生する。しかし、便宜上ここでは乳突部と錐体を分けて説明する。①乳突部の外側面は筋の付着による粗面を有し、外耳孔の後方で下方へ延長した部分を乳様突起といい、胸鎖乳突筋の着くところである。乳様突起の後内側には乳突切痕があり、ここに顎二腹筋後腹が起こり、さらにその内側に後頭動脈溝が認められている。乳突部の内側面には深くて長い陥凹があり、ここにS状洞溝が走り、上方では後頭骨の横洞溝に、下方は頚静脈孔につづく。後縁にある乳突孔は乳突導出静脈を通し、S状洞溝に開く。乳突部の後部は後頭鱗と結合する部分で後頭縁という。顔面神経管は顔面神経の通路で内耳道底の顔面神経野より骨内に入り、蝸牛の外側に沿って、ほとんど水平位で前外方へ進む。次いでほぼ直角をなして後外方へまがり、ここで顔面神経管膝を形成する。その後、鼓室壁の前庭窓の上部すなわち鼓室と骨半規管の間を走行し、外後方に進んだ後、弓状をなして下行し、茎乳突孔に開口する。鼓索神経小管は鼓索神経の通路で茎乳突孔の少し上方で顔面神経管から分かれて前上方へ延び、鼓室溝の後縁に極めて近いところで鼓室に開口する。次いで鼓室の外側壁の粘膜におおわれながら、ツチ骨柄とキヌタ骨長脚との間を前進し、鼓室の前上方を貫通し、錐体鼓室裂を経て、頭蓋外面に出る。②側頭骨の錐体は蝶形骨と後頭骨との間で後外側から前内側に向かい斜位に介在する四角錐体形の骨で、最も堅い骨として知られている。前、後、下の3面および上、前、後の3縁に大別される。先端部を錐体尖といい、蝶形骨体、大翼、および後頭骨底部との間に破裂孔を形成する。破裂孔は骨化せず頭底線維軟骨で満たされており、ここを大・深錐体神経が貫通する。錐体線に頚動脈管の内攻が開口する。すいたの下面に導管の外口が開口し、外口の後上壁から2本の頚鼓小管が入り鼓室に開く。錐体の前縁は蝶形骨大翼との間に蝶錐体裂をなす。前面は大脳面ともよばれ、外側溝半には内耳前半器管によって生じた弓状隆起があり、また弓状隆起と錐体鱗裂との間には鼓室の上壁をなす鼓室蓋がある。錐体戦地角には三叉神経圧痕という小さな窩がある。その後外方に錐体の長軸とほぼ平行に走る2本の溝があり、内側の溝を大錐体神経溝といい、その後端は大錐体神経溝といい、その後端は大錐体神経管裂孔より骨内に入り顔面神経管につづく。また外側の溝は小錐体神経溝といい、その後端は小錐体神経管裂孔より骨内に入り、鼓室を経由して鼓室小管につづく。上縁は前面と後面との境界をなし、境界部の稜に上錐体洞溝がある。後面は小脳面ともよばれ、この面のほぼ中央に内耳孔があり、これは内耳道につづき、さらにつづいて内耳道底となる。内耳孔の上外後方に浅い弓下窩の下外後方に前庭水管の開口である前庭水管外口がある。後縁の前内側部は後頭骨底部に接し、錐体後頭裂をなし、ここに下錐体洞溝がある。その後内側部に頚静脈切痕があり、後頭骨外側部の同名溝と合して頚静脈孔をつくる。この切痕内に出る頚静脈孔内突起はは、後頭骨の同名突起と相対して頚静脈孔を小さい前部と大きい後部とに分ける。下面の前縁鱗部に接するところ、すなわち錐体鱗裂の前内側端に筋耳管管の開口があり、この管は筋耳管管中隔により上部の鼓膜張筋半管と下部の耳管半管に二分されている。また下面の後外側部には大きい弓状の頚静脈窩があり、その直前にある頚動脈管外口との間にはきわめて小さい錐体小窩があり、その底に鼓室小管が開口する。またこの窩の後内方に蝸牛小管の外口が認められる。頚静脈窩の外壁には乳突小管があり、これは骨内で顔面神経管の下端部と交差し、鼓室乳突裂に開く。頚静脈窩の外側で下面の後外側端より細長い茎状突起が出るが、その突起の基部直前に顔面神経管の開口である茎乳突孔がある。この孔の少し上方で鼓索神経小管が顔面神経管から分かれて鼓室の後壁より鼓室の前上隅を貫いて錐体鼓室裂より外頭蓋底出る。なおすいた鼓室裂と既述の錐体鱗裂とを合わせて鼓室鱗裂という。)

Occipital margin of temporal bone(後頭縁(側頭骨の))Margo occipitalis (Ossis temporale) こうとうえん(そくとうこつの) Feneis: 030_16

[A02_1_06_003] →(側頭骨の後頭縁は後頭骨と縫合される縁。)

Mastoid process(乳様突起;乳突隆起)Processus mastoideus にゅうようとっき;にゅうとつりゅうき Feneis: 030_17

[A02_1_06_004] →(乳突部の大部分は、下前方に向かって突出する大きい乳様突起で占められる。その表面は胸鎖乳突筋の着くところで粗である。乳様突起の内部は成人では大部分、多数の小さい乳突蜂巣で占められる。これは生後に乳様突起の発育に伴って拡がるもので、その拡がりは個体によりかなりまちまちであり、錐体の方にもおよぶ。乳突蜂巣は互いに迷路状につながっていて、そのつづきは乳様突起の上半分にある乳突洞につながっている。乳突洞はその前方の小さい乳頭洞入口を経て、後方から鼓室の上部に開く。生体では鼓室の内面を被う粘膜の続きが乳突洞を経てすべての乳頭蜂巣の内面にまでおよんでいる。)

Mastoid notch(乳突切痕)Incisura mastoidea にゅうとつせっこん Feneis: 030_18

[A02_1_06_005] →(乳様突起の内側は深い乳突切痕となる。顎二腹筋後腹の起こる所となる。)

Groove for sigmoid sinus(S状洞溝(側頭骨の))Sulcus sinus sigmoidei; Sulcus sigmoides Sじょうどうこう(そくとうこつの) Feneis: 030_19

[A02_1_06_006] →(S状洞溝は頚静脈孔へ入るまでのS状静脈洞をいれる溝。この溝の上方は後頭骨の横洞溝に、下方は頚静脈孔につづき、乳突孔の内孔はこの溝に開く。)

Occipital groove(後頭動脈溝)Sulcus arteriae occipitalis こうとうどうみゃくこう Feneis: 030_20

[A02_1_06_007] →(後頭動脈溝は側頭骨の乳突切痕の内側にある狭い溝で、後頭動脈を容れる。)

Mastoid foramen(乳突孔(側頭骨の))Foramen mastoideum にゅうとつこう Feneis: 030_21

[A02_1_06_008] →(乳突様突起の後方にある孔。小動脈を硬膜へ、導出静脈をS状静脈洞へ送っている。)

Facial canal; Facial nerve canal; Fallopian canal(顔面神経管)Canalis nervi facialis がんめんしんけいかんFallopian canal Feneis: 030_22

[A02_1_06_009] →(顔面神経管は内耳孔に始まって茎乳突孔に終わる。顔面神経管は顔面神経の通路で、内耳道底にある横稜の顔面神経野にはじまり、まず蝸牛の外側に沿い殆ど水平位で前外方に進み、つぎにほぼ直角をなして後外方に曲がる。ここを顔面神経管膝という。ついで鼓室壁の前庭窓の上を通って少し外後方に進んだ後、下方へ向かって弓状に曲がり(この間、鼓室内側壁に顔面神経管隆起をつくる)、茎乳突孔に開く。この間は膝で1条の枝を出し、骨を貫いて前進し錐体前面の大錐体神経管裂孔を出て大錐体神経溝につづき、大錐体神経管がこれを通る。『フォロッピオ管』:側頭骨錐体にある顔面神経管。イタリアの解剖学者Gabriele Fallopio [Fallopius](1523-1563)によるもので、他にファロピウス管(卵管)にも名を残す。両者を混同しないため、顔面神経管はフォロッピオ管と呼ぶのがふつうである。)

Geniculum of facial canal(顔面神経管膝)Geniculum canalis nervi facialis がんめんしんけいかんしつ Feneis: 030_23

[A02_1_06_010] →(錐体前壁の直下、大錐体神経管裂孔のちかくにある顔面神経管の弯曲。(Feneis))

Canaliculus for chorda tympani(鼓索神経小管;鼓索小管)Canaliculus chordae tympani こさくしんけいしょうかん Feneis: 030_24

[A02_1_06_011] →(鼓索神経小管は顔面神経管と鼓室とをむすぶ小管。鼓索神経の通路で、茎乳突孔の巣個押し上で顔面神経管から分かれ、鼓室口の後端の近くで鼓室中に出る。その後、鼓索神経は鼓室の外側壁にある鼓膜の内側で粘膜に被われながら、ツチ骨柄とキヌタ骨長脚との間を前進し、鼓室の前上隅を貫いて錐体鼓室裂を通り、頭蓋底外面に出る。)

Apex of petrous part(錐体尖(側頭骨の))Apex partis petrosae; Apex pyramidis (Os temporale) すいたいせん(そくとうこつの) Feneis: 030_25

[A02_1_06_012] →(側頭骨の錐体尖は破裂孔に向かい、ここに頚動脈管が開く。)

Carotid canal(頚動脈管眼静脈)Canalis caroticus; Foramen caroticum internum けいどうみゃくかん Feneis: 030_26

[A02_1_06_013] →(錐体下面のほぼ中央に頚動脈管が開いている。頚動脈管は錐体内でほぼ直角に内側にまがったのち、前走して錐体先端で頭蓋腔内(中頭蓋窩)に開く。内頚動脈の通路。頚静脈孔と筋耳管管の間の下外方から始まる。 岩様部の管では最大で内頚動脈の通路である。)

External opening of carotid canal(頚動脈管外口;外口(頚動脈管の))Apertura externa (Canalis caroticus); Foramen caroticum exernum けいどうみゃくかんがいこう;がいこう(けいどうみゃくかんの) Feneis: 030_27

[A02_1_06_014] →(頚静脈下の前内側には大きい頚静脈管外口がある。この頚静脈管外口の前から口蓋帆張筋の一部が起こる。)

Internal opening of carotid canal(頚動脈管内口)Apertura interna (Canalis caroticus) けいどうみゃくかんないこう Feneis: 030_28

[A02_1_06_015] →(錐体尖は破裂孔に向かい、ここに頚動脈管が開く。ここが頚動脈管内口である。)

Caroticotympanic canaliculi(頚鼓小管)Canaliculi caroticotympanici けいこしょうかん Feneis: 030_29

[A02_1_06_016] →(頚動脈管の後上壁からは2個の細い頚鼓小管が骨を貫いて後に向かい鼓室に開く。これは頚動脈鼓室枝および頚鼓神経の通路である。)

Musculotubal canal(筋耳管管;筋管総管)Canalis musculotubarius; Canalis musculotubalis きんじかんかん Feneis: 030_30

[A02_1_06_017] →(錐体下面の前縁に沿い、鱗部に接する所に、前内方から後外方に向かい鼓室に至る筋耳管管があり、菲薄な筋耳管管中隔により上下の2部に分かれる。)

Canal for tensor tympani(鼓膜張筋半管)Semicanalis musculi tensoris tympani こまくちょうきんはんかん Feneis: 030_31

[A02_1_06_018] →(筋耳管管は菲薄な筋耳管管中隔に上下の2部に分けられ、その上部の鼓膜張筋半管は鼓膜張筋を含む。)

Canal for auditory tube(耳管半管)Semicanalis tubae auditivae; Semicanalis tubae auditoriae じかんはんかん Feneis: 030_32

[A02_1_06_019] →(筋耳管管は菲薄な筋耳管管中隔に上下の2部に分けられ、その下部の耳管半管は耳管の骨部をつくる。)

Septum of musculotubal canal(筋耳管管中隔;筋管総管中隔)Septum canalis musculotubarii きんじかんかんちゅうかく Feneis: 030_33

[A02_1_06_020] →(筋耳管管中隔ははなはだ薄い骨が半載したチューブのような形となって鼓膜張筋半管を下から被っている。その後壁は鼓室の内側壁(迷路壁)の前上隅から後下に弓なりに隆起する顔面神経管隆起に沿って少し鼓室内に突出し、外方に向かって開口するサジ状突起に終わる。)

Anterior surface of petrous part(錐体前面;錐体大脳面(側頭骨の))Facies anterior partis petrosae; Facies cerebralis pyramidis すいたいぜんめん;すいたいだいのうめん(そくとうこつの) Feneis: 032_01

[A02_1_06_021] →(側頭骨の岩様部の前上面を錐体前面という。)

Tegmen tympani(鼓室蓋)Tegmen tympani こしつがい Feneis: 032_02

[A02_1_06_022] →(弓状隆起の外前方、錐体鱗裂との間は、鼓室およびその前方につづく筋耳管管の上を被う部で骨質が薄く、これを鼓室蓋という。骨の発育藤生の場合や老人ではここに孔をみることがある。)

Arcuate eminence(弓状隆起)Eminentia arcuata きゅうじょうりゅうき Feneis: 032_03

[A02_1_06_023] →(錐体前面の後外側半には上縁近く、かつ、上縁とほぼ直交するように円丘状にふくれた弓状隆起がある。これは内耳の前半規管のために生じたものである。)

Hiatus for greater petrosal nerve; Facial canal hiatus(大錐体神経管裂孔;顔面神経管裂孔)Hiatus canalis nervi petrosi majoris; Hiatus canalis facialis だいすいたいしんけいかんれっこうTorin's hole Feneis: 032_04

[A02_1_06_024] →(錐体前面の外方には錐体の長軸とほぼ平行に走る2小溝があって、その内上側が大錐体神経溝である。大錐体神経の顔面神経枝の通路である。)

Groove for greater petrosal nerve(大錐体神経溝;大浅錐体神経溝)Sulcus nervi petrosi majoris; Sulcus nervi petrosi superficialis majoris だいすいたいしんけいこう;だいせんすいたいしんけいこう Feneis: 032_06

[A02_1_06_025] →(錐体前面の外方には錐体の長軸とほぼ平行に走る2小溝があって、その内上側が大錐体神経溝である。大錐体神経の通路である。)

Hiatus for lesser petrosal nerve(小錐体神経管裂孔)Hiatus canalis nervi petrosi minoris しょうすいたいしんけいかんれっこう;しょうせんすいたいしんけいしょうかんないこう Feneis: 032_05

[A02_1_06_026] →(小錐体神経溝の後端は小錐体神経管裂孔につづく。)

Groove for lesser petrosal nerve(小錐体神経溝;小浅錐体神経溝)Sulcus nervi petrosi minoris; Sulcus nervi petrosi superficialis majoris しょうすいたいしんけいこう;しょうすいたいしんけいこう Feneis: 032_07

[A02_1_06_027] →(錐体前面の外方には錐体の長軸とほぼ平行に走る2小溝があって、その外下側が小錐体神経溝である。)

Trigeminal impression(三叉神経圧痕)Impressio trigeminalis さんさしんけあっこんMeckel's groove Feneis: 032_08

[A02_1_06_028] →(錐体前面の錐体尖の近くに指先で押したような浅い三叉神経圧痕がある。ここは三叉神経の根部と三叉神経節とがのるところである。)

Superior border of petrous part(錐体上縁;錐体稜(側頭骨の))Margo superior partis petrosae; Angulus superior pyramidalis (Ossis temporale) すいたいじょうえん;すいたいりょう(そくとうこつの) Feneis: 032_09

[A02_1_06_029] →(錐体上縁は前上面と後上面の境となり、頭蓋腔内に突出して中頭蓋窩と後頭蓋窩の境界を作る鋭い縁である。ここに上錐体洞溝がある。上錐体静脈洞がここにはまる。)

Groove for superior petrosal sinus(上錐体洞溝;錐体稜溝)Sulcus sinus petrosi superioris; Sulcus petrosus superior じょうすいたいどうこう;すいたいりょうこう Feneis: 032_10

[A02_1_06_030] →(錐体上縁を走る溝で上錐体静脈洞をいれる。)

Posterior surface of petrous part(錐体後面;錐体小脳面(側頭骨の))Facies posterior partis petrosae; Facies posterior pyramidis; Facies cerebellaris pyramidis すいたいこうえん;すいたいしょうのうめん(そくとうこつの) Feneis: 032_11

[A02_1_06_031] →(側頭骨の上後面を錐体後面という。そのほぼ中央にある楕円形の内耳孔は、後外側に向かって骨内に入る内耳道につづく。)

Internal acoustic opening(内耳孔)Porus acusticus internus ないじこう Feneis: 032_12

[A02_1_06_032] →(錐体後面のほぼ中央にある内耳道の入口。)

Internal acoustic meatus; Internal auditory meatus(内耳道)Meatus acusticus internus ないじどう Feneis: 032_13

[A02_1_06_033] →(内耳道は後頭蓋窩の内耳道口から外側に側頭骨錐体部を通って、薄い骨板によって前庭と境を接する内耳道底に至る管で顔面神経、中間神経、内耳神経および迷路動静脈の通路である。その奥行きの行き止まりになったところ、すなわち内耳道底は横稜によって上下に分かれ、いずれにも多くの小孔がある。その上部前方のやや大きい孔が顔面神経管の起点で、その他の小孔は内耳神経の枝を通ずる。)

Subarcuate fossa(弓下窩;弓状下窩)Fossa subarcuata きゅうかか Feneis: 032_14

[A02_1_06_034] →(内耳孔の後外方には上縁に近く浅い弓下窩がある。脳硬膜が付着するところで、小児に著しい。)

Vestibular canaliculus(前庭小管;前庭水管)Canaliculus vestibuli ぜんていしょうかん;ぜんていすいかん Feneis: 032_15

[A02_1_06_035] →(錐体後面にあり、内耳の内リンパ腔の狭い管状部。)

Opening of vestibular canaliculus; *External opening of vestibular aqueduct(前庭小管外口;前庭小管口)Apertura canaliculi vestibuli; Apertura externa aquaeductus vestibuli ぜんていしょうかんがいこう Feneis: 032_16

[A02_1_06_036] →(弓下窩の外下方には小さい裂孔をみる。これは前庭水管の開口で前庭水管外口という。)

Posterior border of petrous part(錐体後縁;錐体後角(側頭骨の))Margo posterior partis petrosae; Angulus posterior pyramidis (Os temporale) すいたいこうえん(そくとうこつの) Feneis: 032_17

[A02_1_06_037] →(側頭骨の錐体後縁は後上、後下両面の境で、その前内側半は後頭骨底部と接して錐体後頭裂をつくる。)

Groove for inferior petrosal sinus(下錐体洞溝;錐体溝)Sulcus sinus petrosi inferioris; Sulcus petrosus かすいたいどうこう;すいたいこう Feneis: 032_18

[A02_1_06_038] →(岩様部(錐体)と後頭骨の間に錐体後頭裂があり、これに一致して下錐体洞溝があって下垂体静脈洞を容れる。)

Jugular notch of petrous temporal bone(頚静脈切痕(側頭骨の))Incisura jugularis (Os temporale) けいじょうみゃくせっこん(そくとうこつすいたいの) Feneis: 032_19

[A02_1_06_039] →(錐体後縁の後外側半には頚静脈切痕があって、後頭骨外側部の同名切痕と合して頚静脈孔をつくる。この切痕内に出る頚静脈孔内突起は後頭骨の同名突起と相対して頚静脈孔を前後2部に分ける。)

Intrajugular process(頚静脈孔内突起;孔内突起)Processus intrajugularis けいじょうみゃくこうないとっき;こうないとっき Feneis: 032_25

[A02_1_06_046] →(頚静脈孔内突起は後頭骨および側頭骨の頚静脈切痕中央から出る小さな、先のとがった骨性突起。この2つの骨は靱帯により結合し頚静脈孔を前後の2部に分けており、前部は小さく、ここを通るものは、舌咽神経、迷走神経、副神経、下錐体静脈洞で、後部は大きく内頚静脈が通る。)

Cochlear canaliculus(蝸牛小管)Canaliculus cochleae かぎゅうしょうかん Feneis: 032_22

[A02_1_06_042] →(蝸牛小管は内耳の外リンパ管の通路で、蝸牛鼓室階の初部から起こり、錐体下面の蝸牛小管外側口に至る。)

Opening of cochlear canaliculus(蝸牛小管外口;外口)Apertura externa canaliculi cochleae かぎゅうしょうかんがいこう;がいこう Feneis: 032_23

[A02_1_06_043] →(錐体小窩の後内方で錐体の後縁にそい三角形の深い小さいくぼみがあるのは蝸牛小管外口である。)

Inferior surface of petrous part(錐体下面;錐体頭底面(側頭骨の))Facies inferior partis petrosae; Facies basialis pyramidis すいたいかめん;すいたいとうていめん(そくとうこつの) Feneis: 032_20

[A02_1_06_040] →(錐体下面は頭蓋底に向かう粗面で、その後外側部は鼓室部に被われて鼓室を形成する。この面の前縁にそい、鱗部に接する所に、前内方から後外方に向かい鼓室に至る筋耳管管があり、菲薄な筋耳管管中隔により上下の2部に分かれる。その上部の鼓膜張筋半管は鼓膜張筋をふくみ、下部の耳管半管は耳管の骨部をつくる。)

Jugular fossa(頚静脈窩;頚窩)Fossa jugularis けいじょうみゃくか;けいか Feneis: 032_21

[A02_1_06_041] →(錐体下面の後縁に近い中部には弓状の大きく深い頚静脈窩がる。頚静脈上球を容れる。)

Mastoid canaliculus(乳突小管)Canaliculus mastoideus にゅうとつしょうかん Feneis: 032_24

[A02_1_06_044] →(乳突小管は頚静脈窩の外壁には微細な乳突小管溝にはじまり、乳様突起を貫通する管、後走して鼓室乳突裂に開く。この管と溝とは迷走神経耳介枝の通路。頚静脈窩の外壁が茎状突起鞘と合して作る高い稜線は、鼓室部と岩様部の癒合したところに一致する。)

Jugular notch of petrous temporal bone(頚静脈切痕(側頭骨の))Incisura jugularis (Os temporale) けいじょうみゃくせっこん(そくとうこつすいたいの)

[A02_1_06_045] →(錐体後縁の後外側半には頚静脈切痕があって、後頭骨外側部の同名切痕と合して頚静脈孔をつくる。)

Styloid process of temporal bone(茎状突起(側頭骨の))Processus styloideus (Ossis temporale) けいじょうとっき(そくとうこつの) Feneis: 032_26

[A02_1_06_047] →(茎状突起は錐体下面の後外側端から前下方へ向かう細長い突起である。その長さは1~5cmで、茎突下顎靱帯、茎突舌骨靱帯、茎突喉頭筋などの起点となる。茎状突起の根部の前面は茎状突起鞘で被われる。なお、茎状突起は舌骨と関係ある第2鰓弓軟骨の一部が骨化したも野である。)

Stylomastoid foramen(茎乳突孔)Foramen stylomastoideum けいにゅうとつこう Feneis: 032_27

[A02_1_06_048] →(錐体下面の後外側端は茎状突起の着く所で、これとそ後方の乳様突起との間にある茎乳突孔は顔面神経管の出口である。)

Petrosal fossula(錐体小窩)Fossula petrosa すいたいしょうか Feneis: 032_29

[A02_1_06_050] →(頚動脈管外口と頚静脈かとの間には三角形の小さい凹みがあるが、これは舌咽神経の下神経節を容れる錐体小窩である。錐体小窩の底には細い鼓室小管が開く。)

Tympanic canaliculus(鼓室神経小管;ヤコブソン小管)Canaliculus tympanicus こしつしんけいしょうかん;やこぶそんしょうかんJacobson's canaliculus Feneis: 032_28

[A02_1_06_049] →(鼓室神経小管は錐体小窩にある小管で鼓索神経の通路である。茎乳突孔の少し上で顔面神経管から分かれ、鼓室溝の後端の近くで鼓室中に出る。その後、鼓索神経は脂質の外側壁にある鼓膜の内側で粘膜に被われながら、ツチ骨柄とキヌタ骨長脚との間を前進し、鼓室の前上隅を貫いて錐体鼓室裂を通り、頭蓋底外面に出る。)

Tympanic cavity(鼓室)Cavitas tympani; Tympanum こしつ Feneis: 032_30

[A02_1_06_051] →(側頭骨の錐体の中にあり、外耳道とは鼓膜によって境され、咽頭腔と耳管をもって交通する腔所である。鼓室の中には3個の耳小骨とその付属器があり、これらは鼓膜の振動を内耳に伝える役割を果たす。鼓室は臨床的に故障が起こりやすい場所で、中耳炎の炎症がひろくなると乳突洞を経て乳頭蜂巣へ波及し、または錐体尖の方にも及ぶ。鼓室の各壁(各面)が、どのような構造物に接しているかまとめると:上壁(骨壁を隔てて中頭蓋窩に接する)、下壁(骨壁を隔てて内頚静脈の頚静脈上丘に接する)、前壁(耳管の鼓室口がある)、内側壁(蝸牛の骨壁が岬角を作る)。)

Petrotympanic fissure; Glaserian fissure(錐体鼓室裂;グラーザー裂)Fissura petrotympanica すいたいこしつれつGlaserian fissure Feneis: 032_31

[A02_1_06_074] →(鼓室部の前上縁は下顎窩(顎関節の関節窩)の後縁にある錐体鼓室裂である。)

Petrosquamous fissure(錐体鱗裂)Fissura petrosquamosa すいたいりんれつ Feneis: 032_32

[A02_1_06_075] →(錐体と鱗部との間の縫合部。)

Tympanomastoid fissure(鼓室乳突裂)Fissura tympanomastoidea こしつにゅうとつれつ Feneis: 032_34

[A02_1_06_077] →(鼓室部の後方、乳突部と接する所には鼓室乳突裂があり、ここに乳突小管が開口する。)

Tympanosquamous fissure(鼓室鱗裂)Fissura tympanosquamosa こしつりんれつ Feneis: 032_33

[A02_1_06_076] →(鼓室部の前壁の上縁と下顎窩の後縁との間には蝶錐体裂につづく裂隙がある。この裂隙は外側部では1条の鼓室鱗裂である。)

Tympanic part of temporal bone(鼓室部(側頭骨の))Pars tympanica (Os temporale) こしつぶ(そくとうこつの) Feneis: 034_01

[A02_1_06_052] →(鼓室部は外耳道の前下壁を作る半管状、不正四角形の薄い骨板で、初めは独立した結合組織(鼓室骨)として発達し、後に錐体の下面に癒着した小さい骨部である。鼓室部の前上縁は下顎窩(顎関節の関節窩)の後縁にある錐体鼓室裂であり、また鼓室部の下端は錐体の下面に接着して鋭い稜線を作り、その後外側方への延長は茎状突起の根元におおいかぶさっている。鼓室部という日本名は鼓室を包含するすべての骨部を指すかのような誤った印象をあたえるのでよくない。Tympanicaはギリシャ語のtympanon(ケトルドラムという楽器)に由来する形容詞で、語源からわかるように元来は「鼓膜に関係した」という意味である。)

Tympanic ring(鼓室輪)Anulus tympanicus; Annulus tympanicus こしつりん Feneis: 034_02

[A02_1_06_053] →(鼓鼓室部は新生児では未だ発育しないで、上部の欠けている鼓室輪をみるのみである。)

External acoustic meatus; External auditory meatus(外耳道)Meatus acusticus externus がいじどう Feneis: 034_04

[A02_1_06_055] →(外耳道は側頭骨の鼓室部を耳介から鼓膜へ至る通路で骨性部分。軟骨性外耳道からなる。)

External acoustic opening(外耳孔;骨外耳孔)Porus acusticus externus がいじこう;こつがいじこう Feneis: 034_03

[A02_1_06_054] →(外耳道を作るときに前後両縁が中央部より速く発育し、その尖端で癒合するために、ある時期には外耳道下壁の骨板に孔を有することがある。)

Greater tympanic spine(大鼓室棘)Spina tympanica major だいこしつきょく Feneis: 034_05

[A02_1_06_056] →(外耳道と鼓室との境で元来の鼓室骨の内側端にあたる縁には、細い半管状の鼓膜溝があって、鼓膜の周縁がこれに付着する。鼓室骨は溝状の骨であるから、鼓膜溝の上部は少し欠けており、その前端に大鼓室棘、後端に小鼓室棘があり、その間を鼓膜切痕という。)

Lesser tympanic spine(小鼓室棘)Spina tympanica minor しょうこしつきょく Feneis: 034_06

[A02_1_06_057] →(鼓室からなる輪の後端で、鼓膜の附着部となる。)

Tympanic sulcus(鼓膜溝;鼓室輪溝)Sulcus tympanicus; Sulcus anuli tympanici こまくこう Feneis: 034_07

[A02_1_06_058] →(鼓膜が付着する溝。(Feneis))

Tympanic notch(鼓膜切痕)Incisura tympanica こまくせっこんRivinus' notch Feneis: 034_08

[A02_1_06_059] →(大鼓室棘と小鼓室棘間の陥凹。新生児では鼓室輪の自由端間にある上方の裂け目。)

Sheath of styloid process(茎状突起鞘)Vagina processus styloidei けいじょうとっきしょう Feneis: 034_09

[A02_1_06_060] →(頚静脈窩の外壁が茎状突起鞘と合して作る高い稜線は、鼓室部と岩様部の癒合したところに一致する。)

Squamous part of temporal bone(鱗部(側頭骨の))Pars squamosa (Ossis temporale) りんぶ(そくとうこつの) Feneis: 034_10

[A02_1_06_061] →(側頭骨の鱗部は垂直に立つ半円形の薄い骨板で、頭蓋冠の側頭の一部を作る。その上縁は窩束のカミソリのように薄くそぎとられて頭頂骨との間に鱗状縫合を作り、前縁は蝶形骨の大翼に接する。鱗部の外面からは頬骨突起が長く前方に延びだして、その前端は頬骨の側頭突起と連結して頬骨弓の後半を作る。)

Parietal border of temporal bone(頭頂縁(側頭骨の))Margo parietalis (Ossis temporale) とうちょうえん(そくとうこつの) Feneis: 034_11

[A02_1_06_062] →(鱗部の外縁は円周の約2/3にあたる曲線をなし、その大部分は内から外に削いだように鋭い。その前方部は蝶形骨縁として大翼に接し、後方部は頭頂縁として頭頂骨に接する。)

Parietal notch(頭頂切痕)Incisura parietalis とうちょうせっこん Feneis: 034_12

[A02_1_06_063] →(頭頂縁の後部に深い頭頂切痕があり、ここに頭頂骨乳頭角が入るが、ここが鱗部と岩様部とが骨性に癒着した位置の後端を示す。)

Sphenoidal margin of temporal bone(蝶形骨縁(側頭骨の))Margo sphenoidalis partis squamosae ossis temporalis ちょうけいこつえん;ちょうけいえん(そくとうこつの) Feneis: 034_13

[A02_1_06_064] →(蝶形骨大翼と接する前方部。)

Temporal surface of temporal bone(側頭面(側頭骨の))Facies temporalis partis squamosae ossis temporalis そくとうめん(そくとうこつの) Feneis: 034_14

[A02_1_06_065] →(鱗部の外面は側頭面という。側頭筋が起こる面。)

Groove for middle temporal artery(中側頭動脈溝)Sulcus arteriae temporalis mediae ちゅうそくとうどうみゃくこう Feneis: 034_15

[A02_1_06_066] →(側頭面を下から上へ走る浅い中側頭動脈溝は表面を同名動脈の通るために生じたものである。)

Zygomatic process of temporal bone(頬骨突起(側頭骨の))Processus zygomaticus (Ossis temporale) きょうこつとっき(そくとうこつの) Feneis: 034_16

[A02_1_06_067] →(側頭面の下部で外耳孔の前上方にあたる所から前方に向かって長い頬骨突起を出す。この突起の前端は頬骨の側頭突起に達して、やや外方に張り出した頬骨弓を形成する。)

Supramastoid crest(乳突上稜)Crista supramastoidea にゅうとつじょうりょう Feneis: 034_17

[A02_1_06_068] →(側頭筋の停止部の後境界稜。)

Suprameatal triangle(道上小窩;道上三角)Foveola suprameatica; Foveola suprameatalis どうじょうしょうか;どうじょうさんかくMacewen's triangle Feneis: 034_18

[A02_1_06_069] →(道上小窩は道上三角ともよばれ、頬骨弓の根部、骨性外耳道後壁、および両者の端を結ぶ仮想線によってできる三角。道上棘の上方で、乳突洞の外側にある凹み。)

Suprameatal spine; Henle's spine(道上棘;外耳道上棘)Spina suprameatica; Spina suprameatalis どうじょうきょく;がいじどうじょうきょくHenle's spine Feneis: 034_19

[A02_1_06_070] →(外耳道上壁の入口に接して尖った小突起を明瞭に認めるとき、これを道上棘という。)

Mandibular fossa(下顎窩)Fossa mandibularis かがくか Feneis: 034_20

[A02_1_06_071] →(頬骨突起の基部の下面にある深い凹窩で、下顎頭がはいる。)

Articular surface of mandibular fossa of temporal bone(関節面(側頭骨の下顎窩の))Facies articularis fossae mandibularis ossis temporalis かんせつめん(そくとうこつのかがくかの) Feneis: 034_21

[A02_1_06_072] →(下顎窩のくぼんだ関節面では下顎頭と相対して顎関節を作る。)

Articular tubercle of temporal bone(関節結節(側頭骨の))Tuberculum articulare (Ossis temporale) かんせつけっせつ(そくとうこつの) Feneis: 034_22

[A02_1_06_073] →(顎関節の直前で頬骨突起基部の下面に高まる関節結節は下顎窩の前方の境となるが、生体では関節結節と関節面が一続きの軟骨で被われて関節包の内にあり、顎関節の関節窩となる。)

Cerebral surface of temporal bone(大脳面(側頭骨の))Facies cerebralis ossis temporalis だいのうめん(そくとうこつの) Feneis: 034_23

[A02_1_06_078] →(大脳に面する鱗部内面。)

Cerebral surface of temporal bone(大脳面(側頭骨の))Facies cerebralis ossis temporalis だいのうめん(そくとうこつの)

[A02_1_06_078] →(大脳に面する鱗部内面。)

Parietal bone(頭頂骨)Os parietale とうちょうこつ Feneis: 034_24

[A02_1_02_001] →(頭頂骨は正中線で合して頭頂をつくる1対の頭蓋冠の大部分を形成するほぼ四角形の扁平骨で、4縁、4角、2面を有する。4縁のうち後方で後頭鱗接する部分を後頭縁といい人字縫合をなし、下方で側頭鱗に接する部分を鱗縁といい輪状縫合をなす。4角のうち後上角の後頭角は鈍角、後下角の乳突角は鋭角、前上角の前頭角はほぼ直角、前下角の蝶形骨角は鋭角をなす。外面は頭頂面ともよばれ凸面をなし、中央部でとくに膨隆した部分を頭頂結節という。頭頂結節は胎児および若年頭蓋で著明である。また左右両側の頭頂結節間の距離が頭蓋の幅の最も広いところ、すなわち最大脳頭蓋幅径として知られている。頭頂結節の下方に上下2本の弓状の線が認められるが、上の線を上側頭線といい側頭筋膜の着く所である。下の線を下側頭線といい側頭筋の着くところである。矢状縫合の後方部に頭頂孔という小孔があり、ここを頭頂導出静脈が通る。内面は大脳面ともよばれ凹面をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝などが認められ、骨の上縁に沿って幅の広い矢状溝があり、他側の頭頂骨の同名溝と合して完全な上矢状洞溝となる。この近くには多数の小窩があり、クモ膜顆粒をいれる。また乳突角の部分にはS状洞溝の上部の一部が認められる。)

Internal surface of parietal bone(内面(頭頂骨の))Facies interna; Facies cerebralis (Ossis parietalis) ないめん(とうちょうこつの) Feneis: 034_25

[A02_1_02_002] →(頭頂骨の内面は全般にくぼんでおり、脳表面の凹凸に応じて脳隆起、指圧痕および動静脈孔をもとめる。)

Groove for sigmoid sinus(S状洞溝;横溝(頭頂骨の))Sulcus sinus sigmoidei; Sulcus sigmoides; Sulcus transversus Sじょうどうこう(とうちょうこつの) Feneis: 034_26

[A02_1_02_003] →(S状洞溝は頚静脈孔へ入るまでのS状静脈洞をいれる溝。この溝の上方は後頭骨の横洞溝に、下方は頚静脈孔につづき、乳突孔の内孔はこの溝に開く。)

Groove for superior sagittal sinus(上矢状洞溝;矢状溝(頭頂骨の))Sulcus sinus sagittalis superioris; Sulcus sagittalis じょうしじょうどうこう;しじょうこう(とうちょうこつの) Feneis: 026_31

[A02_1_02_004] →(頭頂骨の内面の上縁には対側の頭頂骨とつくる矢状縫合に一致して広く浅い上矢状洞溝があり、後頭鱗の内面にある同名の溝のつづきである。)

Groove for middle meningeal artery(中硬膜動脈溝)Sulcus arteriae meningeae mediae ちゅうこうまくどうみゃくこう Feneis: 034_29

[A02_1_02_005] →(中硬膜動脈の前枝と後枝に対する溝が明らかである。)

Grooves for arteries(動脈溝)Sulci arteriosi どうみゃくこう Feneis: 034_28

[A02_1_02_006] →(中硬膜動脈溝と同義語である。)

External surface of parietal bone(外面(頭頂骨の))Facies externa; Facies parietalis (Ossis parietalis) がいめん(とうちょうこつの) Feneis: 034_30

[A02_1_02_007] →(頭頂骨の外面は全般に凸面を呈する。)

Superior temporal line of parietal bone(上側頭線;筋膜側頭線(頭頂骨の))Linea temporalis superior; Linea temporalis fascialis (Ossis parietalis) じょうそくとうせん(とうちょうこつの) Feneis: 034_31

[A02_1_02_008] →(頭頂骨の上側頭線は頭頂骨上の2本の曲線のうちの上方の線。側頭筋膜が付着する。)

Inferior temporal line of parietal bone(下側頭線;側頭線(頭頂骨の))Linea temporalis inferior; Linea temporalis (Ossis parietalis) かそくとうせん(とうちょうこつの) Feneis: 034_32

[A02_1_02_009] →(頭頂結節の下方に上下2本の弓状の線が認められるが、下の線を下側頭線といい側頭筋の着くところである。)

Parietal tuber; Parietal eminence(頭頂結節;頭頂隆起)Tuber parietale; Eminentia parietalis とうちょうけっせつ;とうちょうりゅうき Feneis: 034_33

[A02_1_02_010] →(頭頂骨の外面の中央で頭頂結節はとくにとくに高くなる。)

Occipital border of parietal bone(後頭縁(頭頂骨の))Margo occipitalis (Ossis parietalis) こうとうえん(とうちょうこつの) Feneis: 034_34

[A02_1_02_011] →(頭頂骨の後方の後頭縁は後頭骨に接し、ラムダ[状]縫合をつくる。)

Squamosal border of parietal bone(鱗縁(頭頂骨の))Margo squamosus (Ossis parietalis) りんえん(とうちょうこつの) Feneis: 034_35

[A02_1_02_012] →(頭頂骨の下方の鱗縁は3部にわかれ、前部は蝶形骨大翼に、後部は側頭骨乳突部に接するが、最も長い中部は側頭鱗の上縁によって下外方から被われる。)

Sagittal border of parietal bone(矢状縁(頭頂骨の))Margo sagittalis (Ossis parietalis) しじょうえん(とうちょうこつの) Feneis: 034_36

[A02_1_02_013] →(頭頂骨の上方の矢状縁は対側の頭頂骨に接し、矢状縫合をつくる。)

Frontal border of parietal bone(前頭縁(頭頂骨の))Margo frontalis (Ossis parietalis) ぜんとうえん(とうちょうこつの) Feneis: 034_37

[A02_1_02_014] →(頭頂骨の前頭縁は前頭骨に接し、冠状縫合をつくる。)

Frontal angle of parietal bone(前頭角(頭頂骨の))Angulus frontalis (Ossis parietalis) ぜんとうかく(とうちょうこつの) Feneis: 034_38

[A02_1_02_015] →(前上方の前頭角は直角になっている。)

Occipital angle of parietal bone(後頭角(頭頂骨の))Angulus occipitalis (Ossis parietalis) こうとうかく(とうちょうこつの) Feneis: 034_39

[A02_1_02_016] →(後上方の後頭角は鈍角になっている。)

Sphenoidal angle of parietal bone(蝶形骨角;蝶形角(頭頂骨の))Angulus sphenoidalis (Ossis parietalis) ちょうけいこつかく;ちょうけいかく(ちょうけいけつの) Feneis: 034_40

[A02_1_02_017] →(前下方の蝶形骨角は鋭角になっている。)

Mastoid angle of parietal bone(乳突角(頭頂骨の))Angulus mastoideus (Ossis parietalis) にゅうとつかく(とうちょうこつの) Feneis: 034_41

[A02_1_02_018] →(後下方の乳突角はやや円くなっている。)

Parietal foramen(頭頂孔)Foramen parietale とうちょうこう Feneis: 034_42

[A02_1_02_019] →(頭頂骨の上縁の後方部に近く頭頂孔(頭頂導出静脈が通る)があるが、頭頂孔の大きさは個人差が大きい。)

Frontal bone(前頭骨)Os frontale ぜんとうこつ Feneis: 036_01

[A02_1_03_001] →(前頭骨は頭蓋冠の前部を形成する単一の骨であるが、これは左右両半部からの1対2個の骨が正中線上での融合により1個になったものである。ほぼ垂直位を前頭鱗と水平位をなす眼窩部と両側眼窩部間にある鼻部とによりなる。前頭鱗には内面、外面、側頭面の3面がある。外面は前頭面とも呼ばれ前方に向かって膨隆し、最も突出した部分を前頭結節という。その下方にある弓状の隆起を眉弓の間には平坦な部分があり、ここが眼窩部との境界である。眼窩上縁の内側半部には2個の切痕または孔があるが、内側のものを前頭切痕(まれに前頭孔)、外側のものを眼窩上孔(まれに眼窩上切痕)という。眼窩上縁は外下方に突出して頬骨突起となり、頬骨の前頭突起と結合する。また頬骨突起の上縁から側頭線が後上方へ走る。側頭線の後下方の面を側頭面という。内面は大脳面ともよばれ凹面をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝などがある。上部中央には上矢状洞溝があるが、これは頭頂骨の同名溝の延長部である。この溝は前下方にいくにしたがい先細りとなり、下方では前頭稜という隆起に移行する。その最下端部は篩骨の鶏冠との間に盲孔を形成する。盲孔の底は閉塞されている場合が多いが、開口されている場合は鼻腔に通じる導出動脈が通る。前頭鱗の眉間ないし眉弓の内部にある空洞を前頭洞といい、前頭洞中隔により左右両部に分けられている。前頭洞の開口部を前頭洞口といい、これから篩骨漏斗を経て鼻腔の中鼻道に通じている。鱗部の後上部の大部分は頭頂骨に接し、これを頭頂縁という。眼窩部は眼窩上壁をなす部分で、ほぼ三角形であり、両側眼窩部の間には前後に細長い篩骨切痕がある。上面は大脳面で軽い凸面をなし、指圧痕、脳隆起がとくに著明である。下面は眼窩面で凹面をなし、その外側に涙腺窩があり、涙腺を容する。また前内側部には小さな陥凹があり、これを滑車窩といい、ここに滑車棘という小突起をみることがある。前縁は既述の眼窩上縁であり、後縁は蝶形骨縁で鋸歯状をなし、蝶形骨の大翼および小翼と接する。内側縁は篩骨切痕を囲み、篩骨蜂巣に対応する大小の窩を有する。鼻部はおよび上顎骨の前頭突起に接する。鼻骨縁の中央部から下方に突出する小突起を鼻棘という。左右の前頭骨が融合しない正中線上に縫合が残存しているものがあり、これを前頭縫合遺残という。)

Squamous part of frontal bone(前頭鱗(前頭骨の))Squama frontalis ぜんとうりん(ぜんとうこつの) Feneis: 036_02

[A02_1_03_002] →(前頭骨の前頭鱗は額の骨格をつくり、殆ど垂直に立つ鱗状の部で、その外面はふくれ高まり、内面はくぼむ。これに外面、側頭面および内面の3面がある。)

External surface of frontal bone(外面;前頭面(前頭骨の))Facies externa; Facies frontalis がいめん;ぜんとうめん(ぜんとうこつの) Feneis: 036_03

[A02_1_03_003] →(前頭骨の外面は前に向かって全般につよくふくれ上がる。)

Frontal tuber; Frontal eminence(前頭結節;前頭隆起)Tuber frontale; Eminentia frontalis ぜんとうけっせつ;ぜんとうりゅうき Feneis: 036_04

[A02_1_03_004] →(前頭骨の外面のほぼ中高で正中線の両側に前頭結節が隆起する。)

Superciliary arch(眉弓)Arcus superciliaris びきゅう Feneis: 036_05

[A02_1_03_005] →(前頭結節の下には左右それぞれ凹面を下にむけた弓状の眉弓が高まる。)

Glabella(眉間;グラベラ;眉間点)Glabella みけん;ぐらべら Feneis: 036_06

[A02_1_03_006] →(眉間は鼻根のすぐ上にある両側の眉弓の間の軽度の突出部位。)

Frontal suture; Metopic suture(前頭縫合遺残;十字頭蓋)Sutura frontalis persistens; Sutura metopica ぜんとうほうごういざん;じゅうじとうがい Feneis: 036_07

[A02_1_03_007] →(5~6歳で癒合する前頭骨左右半部間の縫合。成人でも眉間縫合として残ることがある。)

Supra-orbital margin(眼窩上縁;眼窩縁)Margo supraorbitalis; Margo orbitalis がんかじょうえん;がんかえん Feneis: 036_08

[A02_1_03_008] →(眉弓の下には眼窩上縁(その内側面および眉弓から前頭筋が起こり、さらにその内方から皺眉筋が出る)があり、眼窩に対する境となる。眼窩上縁の外側部は強く突出して頬骨と結合する頬骨突起となる。)

Supra-orbital notch; Supra-orbital foramen(眼窩上切痕;眼窩上孔;外側前頭切痕)Incisura supraorbitalis; Foramen supraorbitale; Incisura frontalis lateralis がんかじょうせっこん;がんかじょうこう Feneis: 036_09

[A02_1_03_009] →(眼窩縁の内側部に2個の切痕または孔を認める。その外側のものを眼窩上孔(または眼窩上切痕)という。、眼窩上動脈および眼窩上神経外側枝の出口。三叉神経枝の圧痛点。)

Frontal notch; Frontal foramen(前頭切痕;前頭孔;内側前頭切痕;内側前頭孔)Incisura frontalis; Foramen frontale ぜんとうせっこん;ぜんとうこう;ないそくぜんとうせっこん;ないそくぜんとうこう Feneis: 036_10

[A02_1_03_010] →(眼窩縁の内側部に2個の切痕または孔を認める。その内側のものを前頭切痕(または前頭孔)という。滑車上動脈および眼窩上神経内側枝の出口。)

Temporal surface of frontal bone(側頭面(前頭骨の))Facies temporalis (Os frontale) そくとうめん(ぜんとうこつの) Feneis: 036_11

[A02_1_03_011] →(側頭線より後下方の面を側頭面といい、側頭窩壁の前上部をつくる。)

Parietal margin of frontal bone(頭頂縁(前頭骨の))Margo parietalis (Os frontale) とうちょうえん(ぜんとうこつの) Feneis: 036_12

[A02_1_03_012] →(後方に向いた、頭頂骨への連結縁。)

Temporal line of frontal bone(側頭線(前頭骨の))Linea temporalis (Os frontale) そくとうせん(ぜんとうこつの) Feneis: 036_13

[A02_1_03_013] →(前頭骨の側頭線は側頭骨の下側頭線が前頭骨にまで伸びて側頭筋面の輪郭を示したもの。)

Zygomatic process of frontal bone(頬骨突起(前頭骨の))Processus zygomaticus (Os frontale) きょうこつとっき(ぜんとうこつの) Feneis: 036_14

[A02_1_03_014] →(眼窩の外側にあり、頬骨と結合する突起。)

Internal surface of frontal bone(内面;大脳面(前頭骨の))Facies interna; Facies cerebralis ないめん;だいのうめん(ぜんとうこつの) Feneis: 036_15

[A02_1_03_015] →(前頭骨の内面は後方を向くくぼんだ面で、脳の前端を容れるところとなる。軽度の脳隆起、指圧痕、樹枝状の中硬膜動脈溝などを見る。)

Frontal crest(前頭稜)Crista frontalis ぜんとうりょう Feneis: 036_16

[A02_1_03_016] →(前頭骨の上矢状洞溝は頭頂骨の同名溝の延長部であり、前下方にいくにしたがい先細りとなり、下方では前頭稜という隆起に移行する。)

Groove for superior sagittal sinus(上矢状洞溝;矢状溝(前頭骨の))Sulcus sinus sagittalis superioris じょうしじょうどうこう;しじょうこう(ぜんとうこつの) Feneis: 036_17

[A02_1_03_017] →(前頭骨の正中線にある上矢状洞溝は頭頂骨間を走る同名の溝のつづきで、下方に至るにしたがって狭少となる。上矢状静脈洞をいれる。)

Foramen caecum of frontal bone; Foramen cecum of frontal bone(盲孔(前頭骨の))Foramen caecum もうこう(ぜんとうこつの) Feneis: 036_18

[A02_1_03_018] →(前頭稜の下端に深い盲孔がある。通常盲端で終る管。貫通しているときは、付加的な導出静脈が通る。)

Nasal part of frontal bone(鼻部(前頭骨の))Pars nasalis (Os frontale) びぶ(ぜんとうこつの) Feneis: 036_19

[A02_1_03_019] →(前頭骨の鼻部は篩骨切痕の前方、眉間の下方にある狭い部を指す。)

Nasal spine of frontal bone(鼻棘(前頭骨の);前頭骨鼻棘)Spina nasalis; Spina frontalis (Os frontale) びきょく(ぜんとうこつの);ぜんとうこつびきょく Feneis: 036_20

[A02_1_03_020] →(鼻骨縁の中央から1本の長い鼻棘が下方に突出する。鼻棘の前方は鼻骨、両側は上顎骨前頭突起、後方は篩骨垂直板が連結するところである。)

Nasal margin of frontal bone(鼻骨縁(前頭骨の))Margo nasalis (Os frontale) びこつえん(ぜんとうこつの) Feneis: 036_21

[A02_1_03_021] →(前頭骨の鼻部の大部分が鋸歯状で著しく粗な鼻骨縁となる。)

Orbital part of frontal bone(眼窩部(前頭骨の))Pars orbitalis (Os frontale) がんかぶ(ぜんとうこつの) Feneis: 036_22

[A02_1_03_022] →(前頭骨の眼窩部は左右にあって眼窩上壁の大部分をつくる薄い骨板である。両側の間に馬蹄形の大きい篩骨切痕があって、ここには篩骨の篩板がはまる。眼窩部の上面は前頭鱗内面のつづきで大脳をのせるが、全体としてふくれ上がり、脳隆起および指圧痕がとくに著しい。)

Orbital surface of frontal bone(眼窩面(前頭骨の))Facies orbitalis (Os frontale) がんかめん(ぜんとうこつの) Feneis: 036_23

[A02_1_03_023] →(前頭骨の眼窩部の下面は眼窩に面する眼窩面でくぼんでおり、その前外側の隅に涙腺窩があって涙腺をいれる。)

Trochlear spine(滑車棘(前頭骨の))Spina trochlearis かっしゃきょく Feneis: 036_24

[A02_1_03_024] →(前頭骨の滑車窩に小さい滑車棘をまれに見る(上斜筋の腱の方向を転ずる滑車が着く)。)

Trochlear fovea(滑車窩;滑車小窩)Fovea trochlearis; Foveola trochlearis かっしゃか;かっしゃしょうか Feneis: 036_25

[A02_1_03_025] →(前頭骨の眼窩面の前内側の隅には小さい滑車窩がある。)

Ethmoidal foramina(篩骨孔(前頭骨の))Foramina ethmoidalia しこつこう(ぜんとうこつの)

[A02_1_03_025_1]

Fossa for lacrimal gland; Lacrimal fossa(涙腺窩)Fossa glandulae lacrimalis るいせんか Feneis: 036_26

[A02_1_03_026] →(外側眼窩角にある凹みに涙腺窩があって涙腺をいれる。)

Sphenoidal margin of frontal bone(蝶形骨縁;蝶形縁(前頭骨の))Margo sphenoidalis (Os frontale) ちょうけいこつえん;ちょうけいえん(ぜんとうこつの) Feneis: 036_27

[A02_1_03_027] →(眼窩部の後縁は蝶形骨縁で鋸歯状をなし、蝶形骨の大翼および小翼と接する。)

Ethmoidal notch(篩骨切痕)Incisura ethmoidalis しこつせっこん Feneis: 036_28

[A02_1_03_028] →(前頭骨の眼窩部の左右の両側の間に馬蹄形の大きい篩骨切痕があって、ここに篩骨の篩板がはまる。)

Frontal sinus(前頭洞)Sinus frontalis ぜんとうどう Feneis: 036_29

[A02_1_03_029] →(前頭洞は眉間の辺りにある副鼻腔をなす空洞。篩骨漏斗により同側の中鼻道に連なる。)

Opening of frontal sinus(前頭洞口)Apertura sinus frontalis ぜんとうどうこう Feneis: 036_30

[A02_1_03_030] →(上顎骨前頭突起が着く部の後側に大きい深い前頭洞口があり、ここから前頭鱗内に前頭洞がひろがる。)

Septum of frontal sinuses(前頭洞中隔)Septum sinuum frontalium ぜんとうどうちゅうかく Feneis: 036_31

[A02_1_03_031] →(前頭洞は一般に前頭洞中隔によって左右に分けられ、おおむね三角形状にひろがるが、その形や広さには個人差が大きい。ときには片側または両側が欠けることがある。)

Ethmoid; Ethmoidal bone; Ethmoid bone(篩骨)Os ethmoidale しこつ Feneis: 038_01

[A02_1_07_001] →(前頭骨の篩骨切痕にはまりこんでいる立方体様の骨で、鼻腔、眼窩壁、前頭蓋窩の形成に関与する。水平位の篩板、垂直位の垂直板、および迷路の3部からなる。篩板は水平をなす薄い小骨片で前頭骨眼窩部の篩骨切痕にはまりこみ、後縁は蝶形骨隆起の中央部に接する。篩板の正中矢状面から鶏冠が上方に突出し、ここに大脳鎌が付着する。鶏冠の下端は左右に広がって鶏冠翼を形成し、前頭骨の前頭稜下部とともに盲溝を形成する。篩板には多数の小孔があり、嗅神経、前篩骨動脈、および前篩骨神経が通る。垂直板は篩板の下面より下方に突出する不正四角形の骨盤で、鋤骨とともに骨鼻中隔を形成する。垂直板に4縁を分ける。前上縁は前頭骨と鼻骨と、前下縁は鼻中隔軟骨と、下縁は鋤骨と、後縁は蝶形骨稜とそれぞれ接する。また両側面上部には嗅神経の通る細い溝が多数認められる。篩骨迷路は篩板の下部に接し、垂直板の両側部にある部分で多数の小洞からなり、これを篩骨蜂巣といい、部位により前・中・後の3部に分けるが、それらの間に境界はない。篩骨迷路の外側板は眼窩板といい、頭蓋外側面で最も薄い骨片である。眼窩の内側壁をなし、前縁は涙骨と、下縁は上顎骨眼窩面および口蓋骨眼窩突起と接している。眼窩板の上縁の切痕と前頭骨眼窩部の切痕と合して、前・後篩骨孔を形成する。篩骨迷路の内側面は鼻腔の形成に関与する。内側面には細溝および細管があり、上方では篩板に接している。上部の後半には溝があり、この溝は上鼻道とよばれるが、この溝の直上にある骨片を上鼻甲介といい、この後部が上下に二分する場合には、その上部のものを最上鼻甲介という。篩骨迷路の内側壁でこの溝の下で上鼻甲介とほぼ平行に走る骨片を中鼻甲介といい、この直下に前後に走る幅の比較的広い中鼻道がある。篩骨迷路には多数の不規則形の含気腔があり、これらを総称して篩骨蜂巣といい、その①により前部・虫部・後部の3部に分けられるが、3者間に明瞭な境界はない。前部および中部の篩骨蜂巣は中鼻道に開口し、後部の篩骨蜂巣は上鼻道に開口する。なお前部の篩骨蜂巣の前下部が鼻腔に向かって膨隆したものを篩骨胞という。また篩骨胞の内側で前部の篩骨蜂巣から後下方へ延びた細長い骨片を鈎状突起といい、その下端部は下鼻甲介の篩骨突起と相接する。篩骨胞と膠状突起との間の精米感情の通路を篩骨漏斗といい、前上方にある前頭洞につづく。膠状突起の外側で篩骨漏斗が鼻腔をすなわち中鼻道へ開口する裂隙状の空間を半月裂孔という。また上顎洞は上顎洞裂孔および半月裂孔を経て、その内側にある中鼻道に開く。)

Cribriform plate of ethmoidal bone(篩板(篩骨の))Lamina cribosa (Ossis ethmoidalis) しばん(しこつの) Feneis: 038_02

[A02_1_07_002] →(篩板は殆ど水平にあるはなはだ薄い骨板で、前頭骨鼻部の篩骨切痕にはまり、後端は蝶形骨隆起の前縁に接する。嗅神経のうち、内側の孔を通る神経線維は鼻中隔、外側の孔を通るものは鼻腔側壁より起こる。なお内側列最前端の大きい孔は眼窩から篩板の上に出た前篩骨神経が鼻腔に入る通路である。)

Cribriform foramina; *Foramina of cribriform plate(篩板孔)Foramina cribosa しばんこう Feneis: 038_03

[A02_1_07_003] →(篩骨篩板に開いている孔で、多くの小孔である篩孔により貫かれる。この篩孔は、篩板の上にのる嗅球に入る嗅糸約20束を通過させるが、これを総称して嗅神経(第一脳神経)という。ほぼ2列に並ぶ。)

Crista galli(鶏冠)Crista galli けいかん Feneis: 038_04

[A02_1_07_004] →(篩板上面の正中線で、横からみると三角形の鋭い鶏冠が頭蓋腔に向かって突出する。)

Ala of crista galli(鶏冠翼;翼突起)Ala cristae galli; Processus alaris けいかんよく;よくとっき Feneis: 038_05

[A02_1_07_005] →(鶏冠の前下端は左右の鶏冠翼に分かたれ、前頭骨の前頭稜下端にある盲孔を後からかこむ。)

Perpendicular plate of ethmoid bone(垂直板;鉛直板;正中板(篩骨の))Lamina perpendicularis; Lamina mediana すいちょくばん;えんちょくばん;せいちゅうばん(しこつの) Feneis: 038_06

[A02_1_07_006] →(垂直板は篩板の下面正中線から下方に向かい、正中面にほぼ一致して垂直に立つ不正三角形の薄い骨板で、鼻中隔骨部の前上部をつくる。前縁の上部は前頭骨の鼻棘、同じく下部は鼻中隔のの軟骨に、後下縁は鋤骨に、後上縁は蝶形骨体に接する。垂直板上部の左右両面には嗅神経の通路となる多くの細い溝または管がある。)

Ethmoidal labyrinth(篩骨迷路)Labyrinthus ethmoidalis しこつめいろ Feneis: 038_07

[A02_1_07_007] →(篩骨迷路は篩骨の左右外側部を作る長立方状の骨塊で、鼻腔の鼻壁の一部を形成する薄い骨壁をもつ含気洞の集団で外側上部と眼窩内側壁の間をうずめる骨格をつくる。)

Ethmoidal cells; Ethmoidal sinuses(篩骨蜂巣;篩骨洞)Cellulae ethmoidale; Sinus ethmoidale しこつほうそう;しこつどう

[A02_1_07_007_1] →(篩骨洞は小腔の集合で、篩骨蜂巣とも呼ばれ、前頭骨、上顎骨、蝶形骨に至ることもある。前篩骨蜂巣、中篩骨蜂巣、後篩骨蜂巣の3群に分けられ、篩骨漏斗、篩骨胞上部の中鼻道や上鼻道に開口する。)

Anterior ethmoidal cells(前篩骨蜂巣)Cellulae ethmoidales anterior ぜんしこつほうそう Feneis: 038_08

[A02_1_07_008] →(篩骨迷路の内部ははなはだ薄い骨板が複雑に組合わさって、それらを境とする多数の含気腔を含む。これらの腔を総括して篩骨蜂巣と呼び、その所在部によって前篩骨蜂巣、中篩骨蜂巣、後篩骨蜂巣の3群に分けられる。前篩骨蜂巣は半月裂孔および篩骨漏斗に開く。)

Middle ethmoidal cells(中篩骨蜂巣)Cellulae ethmoidales mediae ちゅうしこつほうそう Feneis: 038_09

[A02_1_07_009] →(中篩骨蜂巣は少数の開口をもって篩骨胞の表面に開き、いずれも中鼻道と交通する。)

Posterior ethmoidal cells(後篩骨蜂巣)Cellulae ethmoidales posteriores こうしこつほうそう Feneis: 038_10

[A02_1_07_010] →(後篩骨蜂巣は上鼻道に開く。)

Orbital plate of ethmoid; Orbital plate of ethmoid bone(眼窩板;紙様板(篩骨の))Lamina orbitalis; Lamina papyracea がんかばん;しようばん(しこつの) Feneis: 038_11

[A02_1_07_011] →(篩骨迷路の外側壁の長方形の平滑な面は眼窩内側壁の主要部をつくる眼窩板である。この上縁の前・後篩骨孔がある。眼窩板より下方は口蓋骨と上顎体に結合する面で、ここにも篩骨蜂巣の一部が開放している。)

Ethmoidal foramina(篩骨孔(篩骨の))Foramina ethmoidalia しこつこう(しこつの)

[A02_1_07_011_1]

Supreme nasal concha; Highest nasal concha(最上鼻甲介)Concha nasalis suprema さいじょうこうせん Feneis: 038_12

[A02_1_07_012] →(上鼻甲介の後部が上下に2分するときは、その上方の分岐部を最上鼻甲介と呼ぶ。)

Superior nasal concha(上鼻甲介)Concha nasalis superior じょうびこうかい Feneis: 038_13

[A02_1_07_013] →(篩骨迷路の上部の後半には水平に走る上鼻甲介がある。これは単なる隆起にすぎないこともあり、また、その下縁が外側に巻くようになることもある。)

Middle nasal concha(中鼻甲介)Concha nasalis media ちゅうびこうかい Feneis: 038_14

[A02_1_07_014] →(上鼻甲介の下方に、内側壁の全長から下方に突出し、内側壁の下界をつくる中鼻甲介がある。その下端は遊離して外側に巻き、前端は上顎体の、後端は口蓋骨の篩骨稜に着く。中鼻甲介の外側にできる空間は中鼻道の上部にあたる。)

Ethmoidal bulla(篩骨胞)Bulla ethmoidalis しこつほう Feneis: 038_15

[A02_1_07_015] →(中鼻甲介の上壁の前部に、篩骨蜂巣の前下部のものがつくる篩骨胞が丸くふくれ出している。)

Uncinate process of ethmoid(鈎状突起(篩骨の))Processus uncinatus (Ossis ethomoidalis) こうじょうとっき(しこつの) Feneis: 038_16

[A02_1_07_016] →(篩骨胞と下鼻甲介の間を、中鼻甲介の起部前端から起こる長い薄い板状の鈎状突起が前上方から後下方に斜めに走り、その下端は下鼻甲介に達する。)

Ethmoidal infundibulum(篩骨漏斗)Infundibulum ethmoidale しこつろうと Feneis: 038_17

[A02_1_07_017] →(半月裂孔の前上方はややせばまって、篩骨迷路の前部の中を下降する管状の篩骨漏斗に続いている。)

Semilunar hiatus(半月裂孔)Hiatus semilunaris はんげつれっこう Feneis: 038_18

[A02_1_07_018] →(鈎状突起の外側には篩骨胞を前方から下方に囲む弯曲した裂目状の空間が残される。これを半月裂孔と呼ぶ。)

Inferior nasal concha(下鼻甲介)Concha nasalis inferior かびこうかい Feneis: 038_19

[A02_1_08_001] →(中鼻甲介と殆ど同じ形状でこれより大きく、その下方で鼻腔外側壁に付着する1対の独立した小骨で、縁が湾曲した薄い海綿状骨板で、鼻腔の側壁にあり、中鼻道と下鼻道を分ける。篩骨、涙骨、上顎骨、口蓋骨とで関節をなす。下鼻甲介の内側面は鼻腔内に向かってふくらんだ粗面である。下縁は中鼻甲介のように外側に少し巻いている。上縁に涙骨突起、上顎突起、および篩骨突起がある。海綿状骨板とその肥厚した粘膜骨膜で、熱交換のための広範な海綿状の血管床を含む)

Lacrimal process of inferior concha(涙骨突起(下鼻甲介の))Processus lacrimalis (Concha nasalis inferior) るいこつとっき(かびこうかいの) Feneis: 038_20

[A02_1_08_002] →(涙骨突起は上縁の前部から上に向かい、その上縁が涙骨下端に着き、このように下鼻甲介が上顎骨の鼻涙溝の下部を被って鼻涙管の下端部がつくられる。)

Maxillary process of inferior concha(上顎突起(下鼻甲介の))Processus maxillaris (Concha nasalis inferior) じょうがくとっき(かびこうかいの) Feneis: 038_21

[A02_1_08_003] →(上顎突起は上縁の中央部で外下側に折れ曲がる三角形の骨片で、上顎洞裂孔の下半をふさいでその下縁につく。)

Ethmoidal process of inferior concha; Ethmoidal process of inferior nasal concha(篩骨突起(下鼻甲介の))Processus ethmoidalis (Concha nasalis inferior) しこつとっき(かびこうかいの) Feneis: 038_22

[A02_1_08_004] →(篩骨突起は上縁の後部から上に向かい、篩骨の鈎状突起の下端と連接し、前者と共に上顎洞裂孔の後下部を閉じる。篩骨突起より後方の上縁は口蓋骨の鼻甲介稜に着く。下鼻甲介の弯曲には個人差が多い。)

Lacrimal bone(涙骨)Os lacrimale るいこつ Feneis: 038_23

[A02_1_09_001] →(涙骨は左右1対の不正長方形の薄い骨で、上顎骨の前頭突起後方の眼窩の内壁の一部をなす。これに続く鼻涙管の骨壁の一部もつくる。この骨も結合組織性骨化によって生ずる。涙骨の全体の形は手指の爪に似ているが、厚さは爪よりも薄い。下鼻甲介、篩骨、前頭骨、上顎骨と連結する。外面は眼窩に向かい、中央を縦走する稜縁の前方にある溝状のくぼみが涙嚢窩の構成に加わる部分である。外側面は眼窩の内側壁の前部を形成し、内側面は鼻腔(中鼻道)の外側壁の一部を作る。上縁は前頭骨眼窩部と、下縁は上顎骨眼窩面と、前縁は上顎骨前頭突起と、後縁は篩骨眼窩板とそれぞれ接している。外側面の前半部には縦に走る涙骨溝があり、これは上顎骨の前頭突起の同名溝と合して涙嚢窩を形成する。涙嚢孔の後方の境界を後涙嚢稜といい、下方へ延びて涙嚢鈎となり、上顎骨前頭突起の涙嚢溝および下鼻甲介の涙骨突起とともに鼻涙管壁の一部を形成する。Lacrimaleはlacrima(涙)の形容詞である。)

Posterior lacrimal crest(後涙嚢稜)Crista lacrimalis posterior こうるいのうりょう Feneis: 038_24

[A02_1_09_002] →(涙骨の外側面は眼窩に向かう面である。涙嚢溝との境界は後涙嚢稜となり眼輪筋涙嚢部が起こる所。)

Lacrimal groove in lacrimal bone(涙嚢溝(涙骨の))Sulcus lacrimalis ossis lacrimalis るいのうこう(るいこつの) Feneis: 038_25

[A02_1_09_003] →(涙骨の外側面の前半は縦に走る涙嚢溝として深く凹み、上顎骨前頭突起にある同名の溝と合して涙嚢窩となる。後半部は眼窩内側壁をつくる平坦な面である。)

Lacrimal hamulus(涙骨鈎)Hamulus lacrimalis るいこつこう Feneis: 038_26

[A02_1_09_004] →(後涙嚢稜の下端は涙骨鈎となって前方に突出し、上顎骨の涙嚢切痕の後縁に結合して鼻涙管の上端部をつくり、前半部は少し下方に延長して上顎骨の涙嚢溝をふさぎ、下端は下鼻甲介の涙骨突起と接合して鼻涙管壁の一部をつくる。)

Nasal bone(鼻骨)Os nasale びこつ Feneis: 038_28

[A02_1_10_001] →(鼻骨は三角形に近い長方形の薄い骨で、左右のものが正中で接合して鼻背の骨格を作る。骨化様式は結合組織性骨化である。鼻腔を前上方からおおう台形の骨である。上方は狭く、下方は広い。上縁は前頭骨鼻部の鼻棘に接し、下縁は遊離縁で骨鼻孔の梨状口の上縁をなす。外側縁は上顎骨の前頭突起と結合し、内側縁は他側の鼻骨と結合し、両者間に鼻骨間結合をなす。鼻骨の前面は軽度膨隆し、後面は軽度陥凹している。前面のほぼ中央に鼻骨孔があり、この孔は後面で篩骨孔につづき、ここを前篩骨神経の外鼻枝が通る。)

Ethmoidal groove(篩骨神経溝;篩骨溝)Sulcus ethmoidalis しこつしんけいこう Feneis: 038_29

[A02_1_10_002] →(鼻骨の内面はくぼんでおり、縦走する篩骨神経溝は鼻骨孔につづき前篩骨神経がこれを通る。)

Nasal foramina(鼻骨孔)Foramina nasalia びこつこう Feneis: 038_30

[A02_1_10_003] →(鼻骨の外面(その内側縁のい近く眉毛下制筋が起こる)は平滑で、左右径には軽くふくらむが、上下頚にはわずかにくぼみ、その中央には小さい鼻骨孔が前篩骨神経外側枝の通路を作る。)

Vomer(鋤骨)Vomer じょこつ Feneis: 038_31

[A02_1_11_001] →(骨鼻中隔の下部と後部を形成する四辺形の鋤の形をした骨である。上縁の後部の大部分は篩骨垂直板の下縁に接し、前部の小部分は鼻中隔軟骨に接する。後上縁は左右2枚に分かれて鋤骨翼となり蝶形骨体底の蝶形骨吻をはさみ、また蝶形骨翼状突起の鞘状突起とともに口蓋骨鞘突管を形成する。下縁は上顎骨および口蓋骨の鼻稜に接している。後下縁は遊離縁をなし、後鼻孔の開口部を左右に分けている。Vomerは「鋤の刃」の意味。独立した骨であることを初めて発見したのはG.Fallopius(1523-1563)とM.R. Colombo (1516-1559)であるといわれる。)

Ala of vomer(鋤骨翼)Ala vomeris じょこつよく Feneis: 038_32

[A02_1_11_002] →(鋤骨の上縁は左右の厚い鋤骨翼に分かれ、その間に蝶形骨分をはさむ。)

Vomerine groove(鋤骨溝)Sulcus vomeris じょこつこう Feneis: 038_33

[A02_1_11_003] →(斜走する溝で、鼻口蓋神経およびその伴行血管をいれる。)

Vomerine crest of choana(鋤骨後鼻孔稜)Crista choanalis vomeris じょこつこうびこうりょう Feneis: 038_34

[A02_1_11_004]

Cuneiform part of vomer(鋤骨楔状部)Pars cuneiformis vomeris じょこつけつじょうぶ Feneis: 038_35

[A02_1_11_005] →(鋤骨の楔形の部分。)

Maxilla; Maxillary bone(上顎骨)Maxilla じょうがくこつ Feneis: 040_01

[A02_1_12_001] →(上顎骨は不規則な形をした含気骨。顔面頭蓋の中央を占める有対性の骨で、左右のものが正中で結合して、眼窩・鼻腔・骨口蓋などの骨格に関与する。上顎骨はその主部をなす体と、これから突出する4種類の突起で構成される。上顎の歯をつけるほぼ四角形の有対骨で、内に鼻洞(上顎洞)のある中央部(上顎体)と四つの突起に区別される。四つの突起とは上方にのびて鼻根の外側部つくり前頭骨に接する前頭突起、外方にのびて頬骨につづく頬骨突起、水平の内方にのび、他側のそれと合して硬口蓋の大部分をつくる口蓋突起と、そこから堤防状に下方に高まり、歯をつける歯槽突起である。上顎骨の前面をみると、体の上縁は眼窩下縁で、その下0.5~1.0cmに大きい孔(眼窩下孔)がある。眼窩下神経、血管がとおり、三叉神経第2枝の圧痛点である。ときに眼窩下縁から眼窩下孔まで縫合がみられる(眼窩下縁から眼窩下孔まで縫合がみられる(眼窩下縫合)。眼窩下孔の下方の浅いへこみ(犬歯窩)は口角挙筋の起始部である。体の内側縁はするどい稜で、弓状に折れこみ(鼻切痕)、対側のものとで骨性鼻腔の前口(梨状口)をかこむ。上顎骨外面をみると眼窩下縁の延長が前頭突起に鋭い稜を(前涙嚢稜)をつくる。犬歯窩の後ろで大きい頬骨突起が外方に出て、この突起の上面(眼窩面)が眼窩底をつくる。そこには前後に走る溝(眼窩下溝)があり、前にいくにつれ骨の下に入る(眼窩下管)。眼窩面の後縁は大翼とともに下眼窩裂を境する。頬骨突起より後ろの面は側頭下面で、後縁口蓋骨垂直板と結合する。上顎洞後壁のうしろへの膨隆を上顎結節といい、ここにある二、三の孔(歯槽孔)が歯槽管につづき、そこから歯槽に開口する管が出る。後上歯槽神経が通る。内側面では上2/3と下1/3の境から口蓋突起が水平に突出し、それより上の部は鼻腔面である。前頭突起の基底部に上下2条の稜があり、上のもの(篩骨稜)は中鼻甲介につき、したのもの(鼻甲介稜)は下鼻甲介上縁前端がつく。前頭突起の控除迂遠は半月状に切れ込み(涙嚢切痕)、そこから後下方に深い溝(涙嚢溝)があり、涙骨の下の部分ととともに鼻涙管をつくる。前頭突起には涙骨につづく縁(涙骨稜)がある。体の内側面、涙嚢溝のうしろに指をとおす大きさの上顎洞の入口(上顎洞裂孔)がある。内側面後縁上半分は滑らかで翼口蓋窩の前壁をつくり、下半部は口蓋骨につき、粗面で、大口蓋溝があり、口蓋骨の同名溝と合して垂直な管(大口蓋管)をつくる。口蓋突起の上面は滑らかで、鼻腔の床に当たり、内縁は高まって他側のものと合して鋤骨をつける鼻稜をつくり、前方では梨状口下縁で棘上に高まる(前鼻棘)。その少しうしろに開口があり、下方は正中面で溝となり、他側のものと合して1本の管(切歯管)として、口蓋面前方正中部の切歯窩に切歯孔としてひらく。下面は粗で口腔の天井をつくり、大口蓋孔から出て前方に向かう神経血管のために生じた前後に走る口蓋溝、それと平行な稜(口蓋稜)がみられる。歯槽突起については下顎骨をみよ。歯槽突起外面にある歯槽に起因する膨隆群を歯槽隆起という。Maxillaという言葉はローマ時代から「アゴ」の意味でも上顎にも下顎にも使われてきた。Vesaliusも、上顎骨をmaxilla superior,下顎骨をmaxilla inferiorと呼んでいる。Maxillaが上顎骨だけに限定され、下顎骨がmandibulaと呼ばれるようになったのは近代に入ってからである。顎下腺(下顎骨の下にある唾液腺)も1935年まではglandula submaxillarisと呼ばれていた。)

Body of maxilla(上顎体)Corpus maxillae じょうがくたい Feneis: 040_02

[A02_1_12_002] →(上顎体は角がまるい三角柱状で、前面、後面(側頭下面)、上面(眼窩面)および内側面(鼻腔面)がある。その内部は殆ど上顎洞という空洞で占められいる。)

Orbital surface of maxilla(眼窩面(上顎骨の))Facies orbitalis (Maxilla) がんかめん(じょうがくこつの) Feneis: 040_03

[A02_1_12_003] →(上顎骨の眼窩面は眼窩の底となる滑らかな三角形の面で、やや外下りに傾く。)

Infra-orbital canal(眼窩下管)Canalis infraorbitalis がんかかかん Feneis: 040_04

[A02_1_12_004] →(眼窩面の前端は上顎体に埋没して眼窩下管となり、眼窩下孔に開く。眼窩下溝から眼窩下管は上顎神経の末端の眼窩下神経、顎動脈の終枝の眼窩下動脈の通路である。)

Infra-orbital groove; Suborbital sulcus(眼窩下溝)Sulcus infraorbitalis がんかかこう Feneis: 040_05

[A02_1_12_005] →(眼窩下溝は眼窩面の後縁は側頭下面との間の縁で、下眼窩裂の下縁となり、そのほぼ中央から眼窩面に向かって眼窩下溝が起こる。)

Infra-orbital margin of maxilla(眼窩下縁(上顎骨の))Margo infraorbitalis (Maxilla) がんかかえん(じょうがくこつの) Feneis: 040_06

[A02_1_12_006] →(眼窩面の前縁は前面との間の眼窩下縁である。)

Anterior surface of maxilla(前面(上顎骨の))Facies anterior (Maxilla) ぜんめん(じょうがくこつの) Feneis: 040_07

[A02_1_12_007] →(上顎体の前面は顔面中央の半分をつくる。外方は頬骨突起に連なり、内側には大きい鼻切痕が陥入(両側の鼻切痕と鼻骨の下縁とが合わさって顔面の中央に梨状口をつくる)。上縁は眼窩面との境となるやや鋭い眼窩下縁(上唇挙筋が起こる)で、その内方は前頭突起の前涙嚢稜につづく。)

Infra-orbital foramen(眼窩下孔)Foramen infraorbitale がんかかこう Feneis: 040_08

[A02_1_12_008] →(上顎体下縁は明瞭な境なしに歯槽突起に移る。眼窩下縁の下約0.5-1.0cmに眼窩下孔がある。これは眼窩面の眼窩下溝につづく眼窩下管の顔面に開く口である。)

Canine fossa(犬歯窩)Fossa canina けんしか Feneis: 040_09

[A02_1_12_009] →(眼窩下孔の下に浅い犬歯窩がある。口角挙筋の起始部。)

Nasal notch(鼻切痕)Incisura nasalis びせっこん Feneis: 040_10

[A02_1_12_010] →(上顎体の前面の内側には大きい鼻切痕が陥入する。)

Anterior nasal spine of maxilla(前鼻棘(上顎骨の))Spina nasalis anterior (Corporis maxillae) ぜんびきょく(じょうがくこつの) Feneis: 040_11

[A02_1_12_011] →(口蓋突起の上面は鼻腔に向かう滑らかな面で、中がくぼんだ溝状のである。その内側縁は上に向かう鋭い鼻稜となり、その前半は顔面に向かって突出して前鼻棘をつくる。)

Zygomaticomaxillary suture(頬骨上顎縫合;頬骨上顎骨縫合)Sutura zygomaticomaxillaris きょうこつじょうがくこつほうごう

[A02_1_12_012_1] →(眼窩下縁の上壁で同管内方に境界にあたり、細い眼窩下縫合があって、眼窩下孔までつづく。これは上顎体と頬骨突起との癒合したあとであるが、老人では明らかでない。)

Infra-orbital suture(眼窩下縫合)Sutura infraorbitalis がんかかほうごう

[A02_1_12_012_2] →(眼窩下縁の上壁で同管内方に境界にあたり、細い眼窩下縫合があって、眼窩下孔までつづく。これは上顎体と頬骨突起との癒合したあとであるが、老人では明らかでない。)

Infratemporal surface of maxilla(側頭下面(上顎骨の))Facies infratemporalis (Maxilla) そくとうかめん(じょうがくこつの) Feneis: 040_13

[A02_1_12_013] →(側頭下面は頬骨突起より後方の面で後外方を向く。頭蓋の側面にある側頭下窩の前壁となることからこの名がある。その上縁は眼窩面との間にできる縁で、下眼窩裂を下方から境する。)

Alveolar foramina of maxilla(歯槽孔(上顎骨の))Foramina alveolaria (Maxilla) しそうこう(じょうがくこつの) Feneis: 040_14

[A02_1_12_014] →(側頭下面の中央部はやや高い粗な上顎結節をつくり、ここに2~3の小さい歯槽孔があり、後上歯槽動脈および神経を側頭下面へ導く小孔群である。)

Alveolar canals of maxilla(歯槽管(上顎骨の))Canales alveolares (Maxilla) しそうかん(じょうがくこつの) Feneis: 040_15

[A02_1_12_015] →(歯槽管は上顎洞の側壁中を通ずる歯槽管(上顎神経の後上歯槽枝と後上歯槽動脈の通路)の入口である。歯槽管のうち、眼窩管から出るものは前および中歯槽管、後壁の上顎結節から入るものは後歯槽管で、それぞれ上顎神経の前、中、後歯槽枝の通路である。)

Maxillary tuberosity; *Tuberosity of maxilla(上顎結節;上顎隆起)Tuber maxillare; Eminentia maxillae じょうがくけっせつ;じょうがくりゅうき Feneis: 040_16

[A02_1_12_016] →(側頭下面の中央部はやや高い粗な上顎結節をつくる。)

Nasal surface of maxilla(鼻腔面;鼻面(上顎骨の))Facies nasalis (Maxilla) びくうめん;びめん(じょうがくこつの) Feneis: 040_17

[A02_1_12_017] →(鼻腔面は内側に向かう比較的平滑な面で矢状位をとる。)

Lacrimal groove in maxilla(涙嚢溝(上顎骨の))Sulcus lacrimalis (Maxilla) るいのうこう(じょうがくこつの) Feneis: 040_18

[A02_1_12_018] →(上顎洞裂孔の前には前頭突起からつづく涙嚢溝が縦に走る。裂孔前縁の上半部からは小さな骨片(涙半月)が出て、涙嚢溝の後壁を後壁を高くする。)

Conchal crest of maxilla(鼻甲介稜(上顎骨の))Crista conchalis (Maxilla) びこうかいりょう(じょうがくこつの) Feneis: 040_19

[A02_1_12_019] →(涙骨縁の下端の付近から前方に向かって鼻甲介稜が粗な隆起線としてほぼ水平に走る。ここに下鼻甲介の前上縁がつく。)

Lacrimal margin of maxilla(涙骨縁(上顎骨の))Margo lacrimalis (Maxilla) るいこつえん(じょうがくこつの) Feneis: 040_20

[A02_1_12_020] →(涙嚢溝の前縁は前頭突起の後縁が下降してきた涙骨縁でつくられる。)

Maxillary hiatus(上顎洞裂孔;上顎裂孔)Hiatus maxillaris じょうがくどうれつこう;じょうがくれっく Feneis: 040_21

[A02_1_12_021] →(上顎骨鼻腔面の中央に大きな開口。倒立三角形上の上顎洞裂孔がある。これは上顎洞の入口であるが、完全な頭蓋ではその大部分が他の骨(口蓋骨、篩骨、下鼻甲介)によって内側(鼻腔側)からふさがれる。この裂孔の上皮は篩骨蜂巣の一部の外側壁をつくるために生ずる多くのくぼみを見る。)

Greater palatine groove(大口蓋溝;翼口蓋溝)Sulcus palatinus major; Sulcus pterygopalatinus だいこうがいこう Feneis: 040_22

[A02_1_12_022] →(鼻腔面の上頭洞裂孔より後方にある部は口蓋骨の垂直板と結合する。その面の後上部には口蓋骨眼窩突起が接する。この口蓋垂直板と結合する面の後下部には後上方から前下方に斜めに走る大口蓋溝があって、口蓋骨の同名の溝と合して大口蓋管をつくる。)

Maxillary sinus; Highmore, Antrum of(上顎洞;ハイモア腔)Sinus maxillaris じょうがくどう;はいもあくうHighmore, Antrum of Feneis: 040_23

[A02_1_12_023] →(上顎洞は上顎体中にある最大の副鼻腔で、その形はだいたいにおいて上顎体の形に一致するが、尖端を外上方、すなわち頬骨突起の方に出しているので錐体状に近く、その底は鼻腔面にむく。ここにはなはだ大きい上顎洞裂孔があるが、完全な頭蓋ではこの裂孔は口蓋骨の垂直板、篩骨の鈎状突起および下鼻甲介の上顎、篩骨稜突起によりその一部がふさがれて著しく小さくなる。(生体では、さらに鈎状突起まで鼻粘膜に被われるため、中鼻甲介の下の半月裂孔に開く小さな開口を残すのみとなる。)上顎洞はその前壁が最も厚く、つぎは後壁、上壁の順で内側壁が最も薄い。下壁は歯槽突起に入り、場所によってその厚さが異なるが、大臼歯および小臼歯の歯根をおおう部、とくに第1、第2臼歯の付近で最も薄く、それらの歯根はしばしば洞に達する。また、下壁には歯槽中隔の為に多くの骨の高まりやくぼみを見るのを常とする。なお、上顎洞の前後稜壁には多くの細い歯槽溝または歯槽管および歯槽孔が見られる。『ハイモア洞』:イギリスの自然科学者Nathaniel Highmore (1613-1685)の名を冠するが、レオナルド・ダ・ビンチがすでに観察している。ハイモアは、この他にも精巣縦隔(Highmore's body)に名を残している。)

Frontal process of maxilla(前頭突起(上顎骨の))Processus frontalis (Maxilla) ぜんとうとっき(じょうがくこつの) Feneis: 040_24

[A02_1_12_024] →(前頭突起は上顎体の上前内側隅から起こって上方に向かい、鼻骨と涙骨の間を前頭骨の鼻縁まで達する。細長く扁平で内外面、前後縁があるが、外側面は前後2部に分かれる。前縁は鼻骨に接する縁で薄く鋭い。後縁は涙骨前縁に接し、涙骨縁として上顎体鼻腔面まで延びて涙嚢溝の前縁をつくる。内側面の上部は篩骨迷路の前端部が着くやや粗な面で、しばしば篩骨蜂巣の一部に対応する陥凹がある。この部の下界で、眼窩面の高さをほぼ水平に不明瞭な篩骨稜が走るが、これは中鼻甲介の前端部が着くところである。外側面は眼窩下縁につづく前涙嚢稜により前後2部に分かれる。前の部は鼻背の一部(眼輪筋眼窩部、上唇鼻翼挙筋が起こる)をつくる。後部は縦にくぼんだ涙嚢溝となり、その上部は涙骨の同名の溝と合して涙嚢窩をつくり、下部は上顎体の内面の涙嚢溝につづく。前涙嚢稜の下端が上顎体の眼窩面に移る所にある半月上の涙嚢切痕の外側部は涙骨鈎のつく所である。)

Anterior lacrimal crest of maxilla(前涙嚢稜(上顎骨の))Crista lacrimalis anterior ぜんるいのうりょう(じょうがくこつの) Feneis: 040_25

[A02_1_12_025] →(前頭突起の外側面は眼窩下縁につづく前涙嚢稜により前後2部に分かたれる。)

Lacrimal notch(涙嚢切痕;涙骨切痕)Incisura lacrimalis るいのうせっこん;るいこつせっこん Feneis: 040_26

[A02_1_12_026] →(前涙嚢稜の下端が上顎体の眼窩面に移る所にある半月状の涙嚢切痕の外側部は涙骨鈎のつくところである。)

Ethmoidal crest of maxilla(篩骨稜(上顎骨の))Crista ethmoidalis (Maxilla) しこつりょう(じょうがくこつの) Feneis: 040_27

[A02_1_12_027] →(前頭突起の下界で、眼窩面の高さをほぼ水平に明瞭な篩骨稜が走るが、これは中鼻甲介の前端部が着くところである。)

Zygomatic process of maxilla bone(頬骨突起(上顎骨の))Processus zygomaticus (Maxilla) きょうこつとっき(じょうがくこつの) Feneis: 040_28

[A02_1_12_028] →(頬骨突起は上顎体の外上端から前外方に向かう三角柱状の突起で、粗な断端の面が頬骨と結合する。その下縁はは頬骨下稜(JNA)といい、下方に走って上顎体の前面と側と下面との境界となりそのつづきは第1または第2大臼歯の歯槽下面にまで及ぶ。)

Palatine process of maxilla(口蓋突起(上顎骨の))Processus palatinus (Maxilla) こうがいとっき(じょうがくこつの) Feneis: 042_01

[A02_1_12_029] →(口蓋突起は上顎体と歯槽突起の移行部にあたる高さで、上顎骨の内面に棚状に出た突起で、口蓋骨の水平板のとともに前方約3分の2の骨口蓋を形成する。水平に突出する骨板で、後縁は左右の第2大臼歯の歯槽を結ぶ線上にある。)

Nasal crest of maxilla(鼻稜(上顎骨の))Crista nasalis (Maxilla) びりょう(じょうがくこつの) Feneis: 042_02

[A02_1_12_030] →(左右の上顎骨口蓋突起の上面は鼻腔に向かう滑らか面で、中がくぼんだ溝状である。その内側縁は上に向かう鋭い鼻稜となり、その前端は顔面に向かって突出して前鼻棘をつくる。)

Incisive bone; Premaxilla(切歯骨;顎前骨)Os incisivum; Premaxilla せっしこつ;がくぜんこつ Feneis: 042_03

[A02_1_12_031] →(骨口蓋の前端の正中部は、胎生期には切歯骨という独立した1対の小骨で形成されており、これは生後に上顎骨と癒合してしまう。切歯骨は多くの脊椎動物では顎前骨として終生独立している。  上顎の切歯をいれる骨で、多くの動物では上顎骨の前に独立した骨として存在する。前上顎骨(premaxilla, Praemaxillare)、間顎骨(Zwischenkiefer, Intermaxilla)ともいう。ヒトには独立した切歯骨がないことが特徴であるが、胎生期には切歯孔から犬歯と側切歯の間に向かう切歯縫合が見られることがある。(解剖学辞典:大江規玄))

Incisive canals(切歯管(上顎骨の))Canalis incisivi せっしかん Feneis: 042_04

[A02_1_00_061] →(切歯管は口蓋突起の上面の前部で鼻稜に近いところから、前下やや内方に向かって下面内側縁に貫く。両側の上顎骨を合すると、切歯管の下端は正中口蓋縫合の前端の大きな切歯窩の底に開く。大口蓋動脈と鼻口蓋神経がこの管を通り、大口蓋動脈は蝶口蓋動脈の中隔後鼻枝と吻合する。)

Incisive suture(切歯縫合)Sutura incisiva せっしほうごうStenson's canals Feneis: 042_05

[A02_1_12_032] →(歯槽突起の切歯を有する部、すなわち切歯部は口蓋突起の前端の小部分とともに、もとは切歯骨という独立の骨で、生後に上顎骨と結合したものである。この切歯骨と上顎骨との境界が切歯縫合でしめされる。この縫合は成人の骨では多くは消失してしまっている。切歯縫合の位置は、切歯窩と側切歯・犬歯の境を結んだ線上である。)

Palatine spines(口蓋棘)Spinae palatinae こうがいきょく Feneis: 042_06

[A02_1_12_033] →(口蓋突起の下面は口腔の上壁となる粗な面でややくぼみ、その後外側部の歯槽突起に近い所には、すぐ後の口蓋骨の水平板にもつづく口蓋溝(大口蓋神経および同名動静脈が通る)がある。枝分かれをしている口蓋溝の間には口蓋棘が棘状または稜状に隆起する。)

Palatine grooves(口蓋溝)Sulci palatini こうがいこう Feneis: 042_07

[A02_1_12_034] →(口蓋突起の下面は口腔の上壁となる粗な面でややくぼみ、その後外側部の歯槽突起に近い所には、すぐ後の口蓋骨の水平板にもつづく口蓋溝がある。大口蓋神経および同名動静脈が通る。)

Alveolar process of maxilla(歯槽突起(上顎骨の))Processus alveolaris (Maxilla) しそうとっき(じょうがくこつの) Feneis: 042_08

[A02_1_12_035] →(歯槽突起は上顎体の下面につづいて下方に突出し、弯曲した厚い提状の骨塊をつくる。両側の上顎骨を合わせると、後に開いた馬蹄形の隆起となる。ここに一側につき8個(乳歯では5)の歯根を容れる歯槽がならび、全体として歯槽弓をつくる。)

Alveolar arch of maxilla(歯槽弓;歯槽縁(上顎骨の))Arcus alveolaris (Maxilla) しそうきゅう(じょうがくこつの) Feneis: 042_09

[A02_1_12_036] →(上顎骨の弓状ないし馬蹄状の隆起を歯槽弓と呼ぶ。)

Dental alveoli of maxilla(歯槽(上顎骨の))Alveoli dentales (Maxilla) しそう(じょうがくこつの) Feneis: 042_10

[A02_1_12_037] →(歯槽弓の隆起の上にあるくぼみ(歯槽)に各々の歯の歯根部がはまり込んでいる。)

Interalveolar septa of maxilla(槽間中隔;槽内中隔(上顎骨の))Septa interalveolaria (Maxilla) そうかんちゅうかく(じょうがくこつの) Feneis: 042_11

[A02_1_12_038] →(おのおのの歯槽は槽間中隔という薄い骨板で互いに隔てられている。)

Interradicular septa of maxilla(根間中隔;槽内中隔(上顎骨の))Septa interradicularia maxillae こんかんちゅうかく(かがくこつの) Feneis: 042_12

[A02_1_12_039] →(歯根が分岐する大臼歯では歯槽内に根間中隔がある。)

Alveolar yokes of maxilla(歯槽隆起(上顎骨の))Juga alveolaria (Maxilla) しそうりゅうき(じょうがくこつの) Feneis: 042_13

[A02_1_12_040] →(歯槽は歯槽突起の外面に歯槽隆起(第2、第3大臼歯の歯槽隆起から頬筋の一部が起こる)をつくり、犬歯で最も著しく、切歯がこれにつづく。)

Incisive foramina(切歯孔)Foramen incisiva せっしこうStenson's foramen Feneis: 022_19

[A02_1_00_062] →(切歯窩の中に両側の切歯管が切歯孔をもって開く。その上端は鼻稜の前方部の両側で鼻腔に開く。鼻稜のこれより前、すなわち切歯骨の領域にある部は切歯稜ともよばれる。)

Palatine bone(口蓋骨)Os palatinum こうがいこつ Feneis: 042_15

[A02_1_13_001] →(口蓋骨は上顎骨の後方の不規則な形をしている。骨口蓋の後面と鼻腔外側壁の後部を作る有対性の薄い骨である。上顎骨と蝶形骨の間にはさまれたL字型の骨で、水平板と垂直板に区別される。水平板は上顎骨口蓋突起をうしろに延長して骨口蓋をつくる上部で、上面(鼻腔面)は滑らかで、他側のものと会する縁は上顎骨におけると同じく高まり(鼻稜)、さらにうしろに向かって突出する(後鼻棘)。下面(口蓋面)は粗面で、へこみ、前縁にときに高まり(口蓋稜)がみられ、外側縁後方に大口蓋孔がある。垂直板はうすく、前方は上顎骨体の内側に重なり、上顎洞の入口の一部を後下からおおう。うしろは蝶形骨翼状突起につくが、水平板に移行するところから後方に錐体突起が出て、翼状突起の外側板と内側板の間につくられるうしろに向かう凹み(翼突窩)の下縁にある翼突切痕に嵌入する。垂直板の内側面は鼻腔外側壁の後部をつくり、前後に走る上下二つの稜があり、上のもの(篩骨稜)には中鼻甲介後端がつき、下のもの(鼻甲介稜)は発達よく、下鼻甲介をつける垂直板の上縁は深く切れ込むが(蝶口蓋切痕)、上方に蝶形骨体があるので孔(翼口蓋孔)となり、鼻腔と翼口蓋窩を連絡する。蝶口蓋切痕の前の突起(眼窩突起)はうしろの突起(蝶形骨突起)より大きく、上前方に向かって5面あり、内側の3面は他骨との接触面で、前は上顎骨、中のは篩骨(この部分は篩骨洞をおおうためへこむ)、うしろのは蝶形骨体につく。外側面に2面あり、ともに自由面で、上の面は眼窩底の一番後ろをつくり、下の面は翼口蓋窩に面する。蝶形骨突起は上内方に向かい、下面は内面で鼻腔外側壁をつくり、上(外)面は翼状突起につき、内方にのびて鋤骨翼に達し、これと静脈のとおる管(咽頭管)をかこむ。垂直板の外側面(上顎面)は上顎骨体内面をおおう部のうしろに、縦の前後の二つの粗面があり、前のは上顎骨内面に、うしろのは蝶形骨翼状突起につく。2面の間には蝶口蓋切痕から下る第3の面があって、上は翼口蓋窩の底をつくり、下方は垂直な溝(大口蓋溝)となり、上顎骨の同名溝と合して大口蓋管をつくり、大口蓋孔で口蓋にひらく。大口蓋神経、下行口蓋動脈が通る。この管から通常2本の小管(小口蓋管)が分かれて、錐体突起の基部をつらぬき、その下面下、内側に小孔(小口蓋孔)でひらく。)

Perpendicular plate of palatine bone(垂直板;鉛直板;上顎板;鉛直部(口蓋骨の))Lamina perpendicularis; Lamina maxillaris; Pars perpendicularis (Os palatinum) すいちょくめん;えんちょくばん;じょうがくばん(こうがいこつの) Feneis: 042_16

[A02_1_13_002] →(垂直板の内側面は鼻腔外側壁の後部をつくり、前後に走る上下二つの稜があり、上のもの(篩骨稜)には中鼻甲介後端がつき、下のもの(鼻甲介稜)は発達よく、下鼻甲介をつける垂直板の上縁は深く切れ込むが(蝶口蓋切痕)、上方に蝶形骨体があるので孔(翼口蓋孔)となり、鼻腔と翼口蓋窩を連絡する。蝶口蓋切痕の前の突起(眼窩突起)はうしろの突起(蝶形骨突起)より大きく、上前方に向かって5面あり、内側の3面は他骨との接触面で、前は上顎骨、中のは篩骨(この部分は篩骨洞をおおうためへこむ)、うしろのは蝶形骨体につく。外側面に2面あり、ともに自由面で、上の面は眼窩底の一番後ろをつくり、下の面は翼口蓋窩に面する。蝶形骨突起は上内方に向かい、下面は内面で鼻腔外側壁をつくり、上(外)面は翼状突起につき、内方にのびて鋤骨翼に達し、これと静脈のとおる管(咽頭管)をかこむ。垂直板の外側面(上顎面)は上顎骨体内面をおおう部のうしろに、縦の前後の二つの粗面があり、前のは上顎骨内面に、うしろのは蝶形骨翼状突起につく。2面の間には蝶口蓋切痕から下る第3の面があって、上は翼口蓋窩の底をつくり、下方は垂直な溝(大口蓋溝)となり、上顎骨の同名溝と合して大口蓋管をつくり、大口蓋孔で口蓋にひらく。大口蓋神経、下行口蓋動脈が通る。この管から通常2本の小管(小口蓋管)が分かれて、錐体突起の基部をつらぬき、その下面下、内側に小孔(小口蓋孔)でひらく。)

Nasal surface of palatine bone(鼻腔面(口蓋骨の))Facies nasalis (Os palatinum) びくうめん(こうがいこつの) Feneis: 042_17

[A02_1_13_003] →(口蓋骨の内側面すなわち鼻腔面は平滑で、前後に走る2条の稜がある。)

Maxillary surface of palatine bone(上顎面(口蓋骨の))Facies maxillaris (Os palatinum) じょうがくめん(こうがいこつの) Feneis: 042_18

[A02_1_13_004] →(口蓋骨の外側の上顎面は大部分、上顎体に着く粗面で、後上方から前下方に走る大口蓋溝がある。これは上顎骨の同名の溝と合して大口蓋管をつくる。)

Sphenopalatine notch(蝶口蓋切痕;翼口蓋切痕)Incisura sphenopalatina; Incisura pterygopalatina ちょうこうがいせっこん;よくこうがいせっこん Feneis: 042_19

[A02_1_13_005] →(眼窩突起と蝶形骨突起の間に蝶口蓋切痕がある。)

Greater palatine groove(大口蓋溝;翼口蓋溝)Sulcus palatinus major; Sulcus pterygopalatinus; Incisura pterygopalatina だいこうがいこう;よくこうがいこう Feneis: 042_20

[A02_1_13_006] →(口蓋骨の外側の上顎面は大部分、上顎体に着く粗面で、後上方から前下方に走る大口蓋溝がある。これは上顎骨の同名の溝と合して大口蓋管をつくる。)

Pyramidal process of palatine bone(錐体突起(口蓋骨の))Processus pyramidalis (Os palatinum) すいたいとっき(こうがいこつの) Feneis: 042_21

[A02_1_13_007] →(垂直板の下部は水平板より矢状径が広くなり、水平板より後に大きく突出する錐体突起となって蝶形骨翼状突起の翼突切痕にはまる。)

Lesser palatine canals(小口蓋管;口蓋管)Canales palatini minores; Canales palatini しょうこうがいかん;こうがいかん Feneis: 042_22

[A02_1_13_008] →(大口蓋孔の下部から後下方に通常1~2本の小さい小口蓋管(小口蓋神経および同名の血管の通路)がわかれ、その下端は錐体突起の下面に開いて小口蓋孔を作る。)

Conchal crest of palatine bone(鼻甲介稜(口蓋骨の))Crista conchalis (Os palatinum) びこうかいりょう(こうがいこつの) Feneis: 042_23

[A02_1_13_009] →(口蓋骨の内側面すなわち鼻腔面は平滑で、前後に走る2条の稜がある。下方のものを稜を鼻甲介稜(下鼻甲介上縁が着く)という。)

Ethmoidal crest of palatine bone(篩骨稜(口蓋骨の))Crista ethmoidalis ossis palatini しこつりょう(こうがいこつの) Feneis: 042_24

[A02_1_13_010] →(口蓋骨の内側面すなわち鼻腔面は平滑で、前後に走る2条の稜がある。上縁近くにあるものを篩骨稜という。中鼻甲介上縁が着く。)

Orbital process of palatine bone(眼窩突起(口蓋骨の))Processus orbitalis (Os palatinum) がんかとっき(こうがいこつの) Feneis: 042_25

[A02_1_13_011] →(垂直板の上縁では前部から眼窩突起が上方に起こる。)

Sphenoidal process of palatine bone(蝶形骨突起(口蓋骨の))Processus sphenoidalis (Os palatinum) ちょうけいこつとっき(こうがいこつの) Feneis: 042_26

[A02_1_13_012] →(垂直板の後部から蝶形骨突起が上方に起こる。)

Horizontal plate of palatine bone(水平板;口蓋板;水平部(口蓋骨の))Lamina horizontalis; Lamina palatina; Pars horizontalis (Os palatinum) すいへいめん;こうがいばん(こうがいこつの) Feneis: 042_27

[A02_1_13_013] →(水平板は上顎骨口蓋突起をうしろに延長して骨口蓋をつくる上部で、上面(鼻腔面)は滑らかで、他側のものと会する縁は上顎骨におけると同じく高まり(鼻稜)、さらにうしろに向かって突出する(後鼻棘)。下面(口蓋面)は粗面で、へこみ、前縁にときに高まり(口蓋稜)がみられ、外側縁後方に大口蓋孔がある。)

Nasal surface(鼻腔面)Facies nasalis laminae horizontalis ossis びくうめん Feneis: 042_28

[A02_1_13_014] →(水平板の上面はすなわち鼻腔面は滑らかで中央がやや陥凹する。)

Palatine surface; Palatal surface of palatine(口蓋面(口蓋骨の))Facies palatina (Os palatinum) こうがいめん Feneis: 042_29

[A02_1_13_015] →(水平板の下面すなわち口蓋面は平坦でなく、ときに後縁のすぐ前方をこれと平行に走る口蓋稜を認める。)

Lesser palatine foramina; Lesser palatine foramen(小口蓋孔)Foramina palatina minora しょうこうがいかん Feneis: 042_30

[A02_1_13_016] →(小口蓋管の開口。)

Posterior nasal spine of palatine bone(後鼻棘(口蓋骨の))Spina nasalis posterior (Laminae horizontalis ossis palatini) こうびきょく(こうがいこつの) Feneis: 042_31

[A02_1_13_017] →(水平板の内側縁の後端は棘状に後方へ突出して後鼻棘となる。)

Nasal crest of palatine(鼻稜(口蓋骨の))Crista nasalis horizontalis (Os palatinum) びりょう(こうがいこつの) Feneis: 042_32

[A02_1_13_018] →(左右の口蓋骨水平板の内側縁の上の縁は上方(鼻腔側)に突出して鼻稜となる。)

Palatine crest of palatine(口蓋稜(口蓋骨の))Crista palatina (Os palatinum) こうがいこつのこうがいりょう Feneis: 042_33

[A02_1_13_019] →(水平板の下面。その前縁後方にしばしば存在する骨稜。)

Zygomatic bone(頬骨)Os zygomaticum きょうこつ Feneis: 044_01

[A02_1_14_001] →(頬骨は頬の突出した部分を形成するほぼ菱形の骨で、前頭骨、上顎骨、側頭骨、蝶形骨の4種の骨に囲まれている。体および2突起を有する。体は3面を有する。外側面は前方に軽度突出しており、ほぼ中央に頬骨顔面孔がある。この面より大・小頬骨筋が起こる。眼窩面は体の内側面にあり眼窩の前外側壁をなす軽度陥凹した面で頬骨眼窩孔がある。側頭面は体の表面にあり側頭下の前壁をなす凹面で、頬骨側頭孔にそれぞれひらく。ここには上顎神経の分枝である頬骨神経がとおる。前頭突起は体より上方に向かい前頭骨の頬骨突起および蝶形骨大翼前縁と結合する。側頭突起は体より後方に向かい、側頭骨の頬骨突起と結合して頬骨弓を形成する。前面からみると、頬骨の内側縁は眼窩外側縁および下縁を、外側縁および後下縁は遊離縁をなし、前下縁は上顎骨の頬骨突起結合する。眼窩内における頬骨は蝶形骨大翼眼窩面および上顎骨眼窩面と結合し、後面では既述のように蝶形骨大翼前縁と結合する。前頭突起の後縁が前頭頬骨縫合のやや下方で小さい円形の突起を出すことがあるが、この突起を縁結節という。Zygomaticumはギリシャ語のzygon(軛 yoke, Joch)に由来する形容詞である。したがってこの骨のラテン名には「頬」の意味はない。日本名の頬骨はよい名前であるが、胸骨と同音になるので注意を要する。)

Lateral surface of zygomatic(外側面;頬面(頬骨の))Facies lateralis; Facies malaris がいそくめん;きょうめん(きょうこつの) Feneis: 044_02

[A02_1_14_002] →(頬骨の外側面(大および小頬骨筋がここから起こる)は外前方に向かうふくらんだ面で、そのほぼ中央に頬骨顔面孔がある。外側面の前上縁は眼窩口の外側縁となり、控除迂遠は殆ど直角に曲がって側頭窩に向かう。前下縁は上顎骨と縫合する。後下縁は咬筋が着く咬筋が着くのでざらざらしている。)

Temporal surface of zygomatic(側頭面(頬骨の))Facies temporalis; Facies malaris (Os zygomaticum) そくとうめん(きょうこつの) Feneis: 044_03

[A02_1_14_003] →(頬骨の内側の後部は後内方を向く側頭面で、側頭下を前方から境し、ここに頬骨側頭孔がある。)

Orbital surface of zygomatic bone(眼窩面(頬骨の))Facies orbitalis (Os zygomaticum) がんかめん(きょうこつの) Feneis: 044_04

[A02_1_14_004] →(頬骨の内側は蝶形骨大翼に連なる骨梁により前後に2分される前部の下部は上顎骨の頬骨突起と連結する粗な面となる。上部は眼窩外下壁の前部をつくるくぼんだ眼窩面で、ここに頬骨眼窩孔がある。)

Temporal process of zygomatic bone(側頭突起(頬骨の))Processus temporalis (Os zygomaticum) そくとうとっき(きょうこつの) Feneis: 044_05

[A02_1_14_005] →(側頭突起は後方に突出し、側頭骨の頬骨突起と連結して頬骨弓をつくる。)

Frontal process of zygomatic bone(前頭突起;前頭蝶形骨突起(頬骨の))Processus frontalis; Processus frontosphenoideus ぜんとうとっき;ぜんちょうけいこつとっき(きょうこつの) Feneis: 044_06

[A02_1_14_006] →(前頭突起は上方に向かって前頭骨の頬骨突起と結合する。)

Orbital tubercle(眼窩隆起;眼窩結節)Tuberculum orbitale がんかりゅうき;がんかけっせつ Feneis: 044_07

[A02_1_14_007] →(頬骨の眼窩隆起は頬骨の眼窩面にある軽い高まりで、前頭頬骨縫合の約1cmほど下の眼窩縁のすぐ内側にある。眼球の外側固定靱帯、外側眼瞼靱帯、眼球の提靱帯などが付着する。)

Marginal tubercle(縁結節)Tuberculum marginale えんけっせつWhitnall's tubercle Feneis: 044_08

[A02_1_14_008] →(前頭突起の後縁は上部で少し前方に屈曲する。この屈曲部が著明な突隆をつくるとき、縁結節と呼ぶ(側頭筋膜の強い線維が着く)。)

Zygomatico-orbital foramen(頬骨眼窩孔)Foramen zygomaticoorbitale きょうこつがんかこう Feneis: 044_09

[A02_1_14_009] →(眼窩面にあり、頬骨神経が通る骨管の入口。)

Zygomaticofacial foramen(頬骨顔面孔)Foramen zygomaticofaciale きょうこつがんめんこう Feneis: 044_10

[A02_1_14_010] →(頬骨の外側面は外前方に向かう膨らんだ面で、そのほぼ中央に頬骨顔面孔がある。頬骨顔面神経が出る。)

Zygomaticotemporal foramen(頬骨側頭孔)Foramen zygomaticotemporale きょうこつそくとうこう Feneis: 044_11

[A02_1_14_011] →(頬骨の内側の後部は後内方を向く側頭面で、側頭窩を前方から境し、ここに頬骨側頭孔がある。頬骨側頭神経がでる。)

Mandible(下顎骨)Mandibula かがくこつ Feneis: 044_12

[A02_1_15_001] →(下顎を形成する。下顎を支え、頭蓋と顎関節をつくる骨で、水平な馬蹄形の部(下顎体)と、その後端から上方に向かう部(下顎枝)に分けられる。本来有対の骨として生じ、生後1年目で下顎底の前端で癒合して一つの骨となる。下顎体の上縁は歯槽部で、下縁は下顎底という。歯槽部には各側8本の歯をいれる八つのへこみ(歯槽)があり、全体として歯槽弓をつくる。各歯槽を境する骨壁を槽間中隔といい、大臼歯の歯槽はさらにその歯根の間を隔てる低い根管中隔で分けられている。体の正中線上前面で左右の骨が癒合した部分は高まり、その下縁は三角形をなして突出(オトガイ隆起)し、ヒトの特徴であるオトガイをつくる。その外側、下縁に接する小突出部をオトガイ結節という。外面ではオトガイ結節から斜線が下顎枝の前縁に向かう。また第2小臼歯の下方にオトガイ孔がある。下顎体の内面には前方正中部に四つの隆起からなるオトガイ棘があり、上二つはオトガイ舌筋、下二つはオトガイ舌骨筋がつく。その下外側で下縁に切歯て卵形のへこみ(二腹筋窩)がある。そこから斜めに下顎枝の前縁に向かう線(顎舌骨筋線)があり、左右のこの線の間をはる顎舌骨筋が口底をつくる。この線の上前はへこみ(舌下腺窩)、またこの線の下方、第2~3大臼歯の所もへこむ(顎下線窩)。下顎底が下顎枝にうつる所は下顎角といわれ、小児で鈍角であるが成長とともに直角に近づく。下顎枝の上縁は深い切れ込み(下顎切痕)によって二つの突起に分かれ、前のもの(筋突起)には側頭筋がつき、後のもの(関節突起)の先に横楕円形の下顎頭があて、側頭骨鱗部にある関節窩と顎関節を作る。下顎頭の下はすこしくびれ(下顎頚)、その前面に外側翼突筋のつく翼突筋窩がある。下顎枝外面は平らで下顎角に近く咬筋のつく咬筋粗面、内面には内側翼突筋のつく翼突筋粗面がある。下顎枝内面中央には下顎孔があり、その前縁は上内方に尖り(下顎小舌)口腔から触れるので、下歯槽神経の伝達麻酔の際、針をさす指標となる。下顎孔の後下から溝(顎舌骨筋神経溝)が出て前下方に斜めに向かう、この上の高まりが顎舌骨筋線である。下顎管は下顎孔からはじまり下顎体の中央で二分し、外側管はオトガイ孔で外側にひらき、内側管は切歯のそばに終わるが、その経過中に各歯槽に向かって小管を出している。有顎魚の下顎を支配する骨格は本来下顎軟骨(Meckel軟骨)で、上顎を支配する支持する軟骨は(口蓋方形軟骨)と顎関節をつくる。ともに鰓弓軟骨の変化したものである。硬骨魚類では下顎軟骨のまわりに若干の皮骨が生じて下顎を支え、そのうち前外面にあり、顎縁の歯をつけた大きい歯を歯骨という。顎関節は下顎軟骨と口蓋方形軟骨それぞれの後部の化骨物(関節骨と方骨)の間につくられる。両棲類、爬虫類も同じ状態であるが、哺乳類では歯骨のみが大きくなって下顎骨となり、顎関節は歯骨と燐骨(側頭骨鱗部に相当する骨)の間に新生されたものである。そして関節骨と方骨はツチ骨、キヌタ骨になっている。多くの哺乳動物では下顎骨は生体でも対をなした状態にとどまっている。Mandibulaはmandere(噛む)という動詞に由来し、語尾のbulaは「道具」を意味する接尾辞である。下顎骨にはすべての咀嚼筋が付。)

Body of mandible(下顎体;下顎骨体)Corpus mandibulae かがくたい;かがくこつたい Feneis: 044_13

[A02_1_15_002] →(下顎体は後方に向かって開いたL字形の左右両半からなり、ほぼ垂直に立つ厚い骨板である。一般に前方が高く後方が引く。下顎体を内外両面に分けるほか、上縁とその周囲を歯槽部、下縁を下顎底という。下顎底は歯槽部より広く、そのため側面はやや傾斜し、とくに前部が前下方に突出して顔のオトガイ(頤)をるくる。この下顎底が広いことが人類の下顎骨の著しい特徴である。)

Base of mandible(下顎底)Basis mandibulae かがくてい Feneis: 044_14

[A02_1_15_003] →(下顎底は肥厚して円味を帯び、正中部が最も厚く、後部、とくに下顎枝の下方にあたる部は薄く、全体としてゆるやかなS状の曲がりを示す。下顎体の前面には、両半部の癒合した部位を示す細い隆起尖があり、その両側にオトガイ筋が起こる浅いくぼみがある。隆起線は下方では底のやや上方で三角形の広い隆起(オトガイ三角)に移行する。)

Mandibular symphysis(下顎結合)Symphysis mandibulae かがくけつごう Feneis: 044_15

[A02_1_15_004] →(下顎結合は胎児で左右の下顎骨体を正中で連結する線維軟骨結合。生後1年以内に骨結合となる。)

Mental protuberance(オトガイ隆起)Protuberantia mentalis おとがいりゅうき Feneis: 044_16

[A02_1_15_005] →(下顎体の正中部の前面にはオトガイ隆起という隆起がみられ、その外下方にオトガイ結節という高まりがある。オトガイ隆起と左右の両側のオトガイ結節とは下顎体の前面正中部で三角状に突出し、オトガイ三角mental triangleをつくる。三角を含めて下顎の先端部がオトガイで、その存在はヒトの下顎骨の特徴となる。)

Mental tubercle; Mental tubercle of mandible(オトガイ結節)Tuberculum mentale おとがいけつせつ Feneis: 044_17

[A02_1_15_006] →(オトガイ隆起の外下部で下縁に接するところの膨隆部をオトガイ結節という。オトガイ結節とオトガイ隆起は全体として下顎底の前方への突出をつくる。)

Mental foramen(オトガイ孔)Foramen mentale おとがいこう Feneis: 044_19

[A02_1_15_007] →(下顎体の外面を側方から見ると、その中よりやや前に、斜めに引く丸いオトガイ孔がある。これは下顎管の前端で、成人では第2小臼歯、または第1,2小臼歯間の下方で下顎体の中央の高さにあり、正中線から外方へ2~3cmのところにある。)

Oblique line of mandible(斜線(下顎骨の))Linea obliqua mandibulae しゃせん(かがくこつの) Feneis: 044_20

[A02_1_15_008] →(下顎骨の斜線は下が硬骨外側面状の線。おとがい結節から下顎枝へのび、下顎骨の歯槽部と下顎底を分ける。)

Digastric fossa(二腹筋窩)Fossa digastrica にふくきんか Feneis: 044_21

[A02_1_15_009] →(オトガイ棘の下外側下縁に接して楕円形の二腹筋窩がある。顎二腹筋前腹が着く)

Superior mental spine; Superior genial spine(上オトガイ棘;オトガイ舌筋棘)Spina mentalis superior; Spina geni superior じょうおとがいきょく;おとがいぜつきんきょく Feneis: 044_22

[A02_1_15_010] →(下顎体の内面には正中線の下端に近く、密接して上下にならぶ2対の小突起、オトガイ棘がある。上方のやや大きな棘はオトガイ舌骨筋の着く所である。JNAではオトガイ舌筋棘と呼ばれていた。)

Inferior mental spine; Inferior genial spine(下オトガイ棘;オトガイ舌骨筋棘)Spina mentalis inferior; Spina geni inferior かおとがいきょく;おとがいぜつこつきんきょく Feneis: 044_23

[A02_1_15_011] →(下顎体の内面には正中線の下端に近く、密接して上下にならぶ2対の小突起、オトガイ棘がある。下方の小さな棘はオトガイ舌骨筋の着く所である。JNAではオトガイ舌骨筋棘と呼ばれていた。)

Mylohyoid line(顎舌骨筋線)Linea mylohyoidea がくぜつこつきんせん Feneis: 044_24

[A02_1_15_012] →(二腹筋窩の上外側から起こって斜めに上後方に向、歯槽部後端の下を通り下顎枝内面の前部に至る純な隆起線を顎舌骨筋線という。この線の大部分から口腔底を閉ざさず顎舌骨筋が広く起こり、後方小部分から上咽頭収縮筋の一部が起こる。顎舌骨筋線の下にこれと平行して走り、下顎枝内面の下顎孔に達する顎舌骨筋神経溝は同名の神経および頚静脈の通路を示し、下顎孔の近くではとくに明瞭な溝をつくる。)

Mandibular torus(下顎隆起)Torus mandibularis かがくりゅうき Feneis: 044_25

[A02_1_15_013] →(下顎隆起は下顎骨の舌側面にみられる外骨症。通常、小臼歯部に対峙しているもの。)

Sublingual fossa(舌下腺窩)Fovea sublingualis ぜっかせんか Feneis: 044_26

[A02_1_15_014] →(顎舌骨筋線前部の上内側には舌下腺窩がある。舌下腺のためにできた凹み。)

Submandibular fossa(顎下腺窩)Fovea submandibularis がっかせんか Feneis: 044_27

[A02_1_15_015] →(顎舌骨筋線前部の下外側には顎下腺窩がある。顎下腺のためにできた凹み。)

Alveolar part of mandible(歯槽部(下顎骨の))Pars alveolaris (Mandibulae) しそうぶ(かがくこつの) Feneis: 044_28

[A02_1_15_016] →(歯槽部は上顎骨の歯槽突起に対応する。この部の弯曲度は下顎体の中部および下縁のそれより強く、そのためにこの上にならぶ歯槽(成人では左右合わせて16)の後端に近いものは下顎底に比較して内側に寄る。歯槽の列が歯槽弓をつくること、槽間中隔、根間中隔、歯槽隆起(切歯の歯槽隆起から口輪筋の一部、第2,第3大臼歯のそれから頬筋の一部が起こる)などをみることは上顎骨の歯槽部と同じである。ただし、窩gかうの大臼歯は2根であるから、根管中隔は歯槽内を前後に2分する1枚の骨板として認められる。歯槽部は前方の切歯部では幅が狭く、後方の歯槽部では幅が広い。第2大臼歯歯槽より後方は、下顎枝の内面につづく傾斜した三角形の骨面(臼後三角)がのこされるが、ここに第3大臼歯(智歯)が生ずれば狭くなる。)

Alveolar arch of mandible(歯槽弓;歯槽縁(下顎骨の))Arcus alveolaris; Margo alveolaris しそうきゅう;しそうえん(かがくこつの) Feneis: 044_29

[A02_1_15_017] →(歯槽部の弓状の自由縁。)

Dental alveoli of mandible(歯槽(下顎骨の))Alveoli dentales mandibulae しそう(かがくこつの) Feneis: 044_30

[A02_1_15_018] →(歯根をいれ、定着させる深い孔。)

Interalveolar septa of mandible(槽間中隔;槽内中隔(下顎骨の))Septa interalveolaria (Mandibulae) そうかんちゅうかく;そうないちゅうかく(かがくこつの) Feneis: 044_31

[A02_1_15_019] →(各歯槽を隔てる骨板。)

Interradicular septa of mandible(根間中隔;槽内中隔(下顎骨の))Septa interradiculari (Mandibulae) こんかんちゅうかく(かがくこつの) Feneis: 044_32

[A02_1_15_020] →(一つの歯の歯根間を隔てる骨壁。)

Alveolar yokes of mandible(歯槽隆起(下顎骨の))Juga alveolaria mandibulae しそうりゅうき(かがくこつの) Feneis: 044_33

[A02_1_15_021] →(下顎骨外側にみられる歯根に起因する膨隆群。)

Retromolar triangle(臼後三角)Trigonum retomolare きゅうこうさんかく Feneis: 044_34

[A02_1_15_022] →(臼歯後三角は第2大臼歯歯槽より後方は、下顎枝の内面につづく傾斜した三角形の骨面である。)

Retromolar fossa(臼後窩)Fossa retromolaris きゅうこうか Feneis: 044_35

[A02_1_15_023] →(臼歯後窩は第三大臼歯後方の下顎にある三角形の陥凹。)

Ramus of mandible(下顎枝)Ramus mandibulae かがくし Feneis: 046_01

[A02_1_15_024] →(下顎体の後端から上(やや)後方に延びた、扁平な板状部で矢状位に立つ。)

Angle of mandible; *Angle of jaw(下顎角)Angulus mandibulae かがくかく Feneis: 046_02

[A02_1_15_025] →(下顎枝の後縁と下顎体の下縁との合する角は下顎角といわれ、少し外方に曲がる。成人で最も角度が強く、新生児や、無歯の老齢顎ではとくに平坦である。)

Masseteric tuberosity(咬筋粗面)Tuberositas masseterica こうきんそめん Feneis: 046_03

[A02_1_15_026] →(下顎枝の外面は平滑であるが、下顎角に近い所に大きい咬筋粗面がある。咬筋の停止部。)

Pterygoid tuberosity(翼突筋粗面)Tuberositas pterygoidea よくとつきんそめん Feneis: 046_04

[A02_1_15_027] →(下顎枝の内面の下顎角に接する部に翼突筋粗面がある。内側翼突筋の停止部。)

Mandibular foramen(下顎孔)Foramen mandibulae かがくこう Feneis: 046_05

[A02_1_15_028] →(下顎枝の中央には下顎孔がある。下顎管のはじまるところ。)

Lingula of mandible(下顎小舌)Lingula mandibulae かgかうしょうぜつ Feneis: 046_06

[A02_1_15_029] →(下顎孔の前縁に上内方に尖った板状の下顎小舌が直立する。蝶下顎靱帯が着く。)

Mandibular canal(下顎管)Canalis mandibulae かがくかん Feneis: 046_07

[A02_1_15_030] →(下顎孔から前内側に向いた骨内に下顎管が始まる。下顎管はこれから下顎体の歯槽の下をほぼ顎舌骨筋線と平行に、大・小臼歯および犬歯の歯根に小さい枝を送りつつ前方へ走り、その前端はオトガイ孔で顔面に開くが、その直前に切歯の根糸の下を前方に向かい正中線に至る細管を分ける。下顎管は下顎神経の枝の下歯槽神経および同名動静脈の通路である。)

Mylohyoid groove(顎舌骨筋神経溝;顎舌骨神経溝)Sulcus mylohyoideus; Sulcus nervi mylohyoidei がくぜつこつきんしんけいこう Feneis: 046_08

[A02_1_15_031] →(下顎孔の前縁からは浅い顎舌骨神経溝が下顎体の方に走っている。この溝は前方に行くにしたがって不明瞭になる。この溝の上方にはこれとほぼ平行する顎舌骨筋線(顎舌骨筋がつく)という隆起がオトガイの方へ向かって走っている。)

Coronoid process of mandible(筋突起(下顎骨の))Processus coronoideus; Processus muscularis (Mandibulae) きんとっき(かがくこつの) Feneis: 046_09

[A02_1_15_032] →(下顎切痕の前方の筋突起は三角形の薄い骨板である。側頭筋の停止部。)

Temporal crest of mandible(側頭稜;側頭筋稜(下顎骨の))Crista temporalis mandibulae そくとうりょう;そくとうきんりょう(かがくこつの) Feneis: 046_10

[A02_1_15_033] →(下顎骨の側頭筋稜は下顎骨の筋突起と下顎枝上部の前内側面にみられる稜状の高まりで、側頭筋が停止する部分。)

Mandibular notch(下顎切痕)Incisura mandibulae かがくせっこん Feneis: 046_11

[A02_1_15_034] →(下顎枝の上縁は深くくぼんだ下顎切痕により前後の突起に分かれる。)

Condylar process of mandible(関節突起;顆突起(下顎骨の))Processus condylaris (Mandibulae) かんせつとっき;かとっき(かがくこつの) Feneis: 046_12

[A02_1_15_035] →(下顎切痕の後方の関節突起は上端に長楕円形の下顎頭を作る。)

Head of mandible; *Head of condylar process of mandible(下顎頭;下顎顆;下顎小頭)Caput mandibulae; Condylus mandibulae; Capitulum mandibulae かがくとう;かがくか;かがくしょうとう Feneis: 046_13

[A02_1_15_036] →(関節突起の尖端には横方向にふくれた下顎頭があり、顎関節の関節頭となっている。)

Neck of mandible(下顎頚)Collum mandibulae かがくけい Feneis: 046_14

[A02_1_15_037] →(下顎頭の下方は細いくびれた下顎頚となる。)

Pterygoid fovea(翼突筋窩)Fovea pterygoidea よくとつきんか;かんせつとっきよくとつきんか Feneis: 046_15

[A02_1_15_038] →(下顎頚の前内側面に翼突筋窩がある。外側翼突筋がつく。)

Hyoid bone(舌骨)Os hyoideum ぜつこつ Feneis: 046_16

[A02_1_16_001] →(下顎骨と喉頭との間で舌根部にある独立したU字形の小骨である。体、大角、小角を有する。体は舟の形を呈し、膨隆部が前方を、陥凹部が後方を向いている。前面には十字形の隆線があり、これにより4区画に分けられている。上区には外側に舌骨舌筋、内側にオトガイ舌筋がつき、下区には外側に肩甲舌骨筋、内側に胸骨舌骨筋がつく。大角は体の外側端から後上方に延びる骨片で、その先端はは肥厚する。小角は体と大角の結合部から円錐形を呈して後上方に着きだし、その先端は茎突舌骨靱帯によって側頭骨茎状突起と連結する。この靱帯はまれに骨化することがある。舌骨は系統発生的に鰓の骨格の一部に相当するもので、舌骨体の上部、小角、茎突舌骨靱帯および側頭骨茎状突起が第2臓弓軟骨、舌骨体の下部と大角が第3臓弓軟骨に由来する。Hyoideumはギリシャ語のυ(hy)に似た(eidos)という意味の形容詞。なお日本語の「舌骨」はドイツ名Zungenbeinの直訳であるが、この骨は舌の根もと(舌根)に存在して、筋肉を介して舌と密接な関係がある。)

Body of hyoid bone(舌骨体;体)Corpus (Ossis hyoidei) ぜつこつたい;たい Feneis: 046_17

[A02_1_16_002] →(舌骨体は長楕円扁平の骨板で、上縁は鋭く、下縁はやや厚い。前面はややふくれた粗面で舌骨上筋および舌骨下筋群の数個の筋が着く面となる。後面は滑らかでややくぼむ。)

Lesser horn of hyoid bone(小角(舌骨の))Cornu minus (Ossis hyoidei) しょうかく(ぜつこつの) Feneis: 046_18

[A02_1_16_003] →(舌骨の小角は短小の錐体状で、舌骨体と大角との結合部から後上方に出で、小角の尖端は茎突舌骨靱帯によって側頭骨上の茎状突起と連結する。)

Greater horn of hyoid bone(大角(舌骨の))Cornu majus (Ossis hyoidei) だいかく(ぜつこつの) Feneis: 046_19

[A02_1_16_004] →(大角は舌骨体の外側端から後上方に延びて細くなるが、その尖端はやや肥厚する(その基部には茎突舌骨靱帯がつく)。)

Auditory ossicles(耳小骨)Ossicula auditus; Ossicula auditoria じしょうこつ

[A02_1_17_001] →(鼓室内に突出する三つの小骨すなわちツチ骨、キヌタ骨、およびアブミ骨の総称である。これらの小骨は相連結して鼓膜の振動を内耳に伝える役割をはたす。すなわちツチ骨3小骨のうち最外側にあって鼓膜の内側面に付着しアブミ骨は最内側にあって鼓膜に内側面に付着しアブミ骨は最内側にあってその底によって前庭窓を塞いでいる。またツチ骨とキヌタ骨、キヌタ骨とアブミ骨との間には関節が形成されており、3小骨いわば一体となったテコのように作用して効率のよい音の伝導を行う。ツチ骨とキヌタ骨は本来第1鰓弓の骨格であったものであったものであって、この二者のあいだの関節は魚類の顎関節に相当する。ツチ骨に付着する鼓膜張筋が三叉神経(第1鰓弓に所属する鰓弓の骨格由来のものであり、これに付着するアブミ骨筋は該弓所属の顔面神経により支配される。)

最終更新日:19/10/13

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