目次骨格系関節系筋肉系消化器系呼吸器系胸郭泌尿器系生殖器系腹腔と骨盤腔内分泌腺心脈管系リンパ系神経系感覚器外皮

Mouth(口)Os くち;こう Feneis: 134_02

[A05_1_00_001] →(口すなわち口腔は口腔前庭(口唇(上唇と下唇)と歯列弓で囲まれた場所)と固有口腔とからなる。口裂によって外界に通じ、後方で咽頭に連なる。口はいうまでもなく消化管のはじまりであるが、その他、呼吸・発音・味覚にもあずかる。)

Oral cavity(口腔)Cavitas oris こうくう Feneis: 134_03

[A05_1_01_001] →(口腔は上唇と下唇とが、弁状に働いて閉じることのことのできる入口、すなわち口裂からはじまり、後方は口峡に至るまでの消化器系の起始部である。後方は咽頭につづく。口腔は咀嚼、発語などの機能に関係し、頬袋のある動物では食物を一時貯める。口腔内には歯、舌があり、大小の唾液腺が開く。口腔を口腔前庭と、固有口腔とに分ける。口腔前庭は上下の歯列弓より外側の部分で、頬と唇とが外壁をつくる。頬と唇は哺乳類ではじめて形成され、口腔前庭が成立し、咀嚼、哺乳が可能となる。頬は内部に筋や頬脂肪体、頬腺などを含む。口腔はふつうにいう「クチビル」である赤く見える部分(赤唇縁または唇紅は鼻唇溝よりも下方、下唇はオトガイ唇溝よりも上方を指す。上唇中央には人中という溝があり、その下端で赤唇縁がやや突出して上唇結節をなす。上下唇が左右の口角をかこみ、上下唇の移行部が唇交連である。唇は中に口輪筋のような筋、口唇腺などを含む。固有口腔は前・側壁は歯列弓(歯槽突起)、天井は口蓋、底は顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋の上の粘膜となっており、下をいれる。口腔の壁を被う粘膜は口腔粘膜で、腺は発生上粘膜上皮に由来する。口腔前庭には耳下腺、頬腺、臼歯腺、口唇腺が開き、固有口腔には顎下腺、舌下腺、口蓋腺、舌腺が開く。)

Oral vestibule(口腔前庭)Vestibulum oris こうくうぜんてい Feneis: 134_05

[A05_1_01_003] →(口唇(上唇と下唇)と歯列弓で囲まれた場所が口腔前庭であり歯列弓より内方の部分が固有口腔で、後は口峡を経て咽頭に続く。)

Oral fissure; Oral opening(口裂)Rima oris こうれつ Feneis: 134_06

[A05_1_01_004] →(口裂は唇の間にある口の入口である。)

Lips of mouth(口唇;クチビル)Labia oris こうしん;くちびる Feneis: 134_07

[A05_1_01_005] →(口唇とは上唇と下唇を総称して呼ぶ。)

Upper lip; *Superior lip(上唇;ウワクチビル)Labium superius じょうしん;うわくちびる Feneis: 134_08

[A05_1_01_006] →(上唇は口裂の上方にある筋性のひだ。)

Philtrum(人中;ニンチュウ)Philtrum じんちゅう;にんちゅう Feneis: 134_09

[A05_1_01_007] →(人中は鼻の下のくぼみ、上唇の皮膚の正中部に、縦走する溝。その下端に小隆起(上唇結節)がみられる。)

Tubercle of upper lip; *Tubercle of superior lip(上唇結節)Tuberculum labii superioris じょうしんけっせつ Feneis: 134_10

[A05_1_01_008] →(上唇結節は人中の下端で、上唇にある小隆起。)

Lower lip(下唇;シタクチビル)Labium inferius かしん;したくちびる Feneis: 134_11

[A05_1_01_009] →(下唇には、オトガイとの間に横走するオトガイ唇溝がみられる。)

Labial commissure of mouth; Commissure of lips(唇交連(口の))Commissura labiorum oris しんこうれん(くちの) Feneis: 134_14

[A05_1_01_012] →(口の唇交連は口角において上・下唇が合するところ。)

Angle of mouth(口角)Angulus oris こうかく Feneis: 134_15

[A05_1_01_013] →(口角は口裂の外側隅をいう。)

Cheek(頬;ほほ)Bucca ほほ Feneis: 134_16

[A05_1_01_014] →(頬は口唇につづき、口唇と同様に外面は皮膚、内面は粘膜で被われ、画面の間には、とくに粘膜の近くに頬筋がある。頬筋の表側に頬脂肪体があって頬のまるみをつくる。)

Buccal fat pad(頬脂肪体;ビシャー脂肪塊)Corpus adiposum buccae きょうしぼうたいBichat's fat pad Feneis: 134_17

[A05_1_01_015] →(頬脂肪体は頬筋と咬筋の間にある被膜に包まれた脂肪体。)

Juxta-oral organ(口腔傍器官)Organum juxtaorale こうくうぼうきかんChievitz, Organ of Feneis: 134_18

[A05_1_01_016] →(チーヴィッツ器官ともよばれる。傍口器は正常の上皮性構造をもつ神経伝達物質の可能性もある頬面神経分枝として、下顎角で発見された。)

Frenulum of cheek(頬小帯)Frenulum buccalis きょうしょうたい

[A05_1_01_016_1]

Oral cavity proper(固有口腔;口腔(狭義の))Cavitas oris propria こゆうこうくう;こうくう(きょうぎの) Feneis: 134_20

[A05_1_01_101] →(固有口腔は前方および側方を歯によって囲まれ、後方は口峡峡部までの腔所。)

Palate(口蓋)Palatum こうがい Feneis: 134_21

[A05_1_01_102] →(口蓋は固有口腔の天井をなし、また哺乳類やワニでは、鼻腔と口腔を完全に分離する。前方2/3は、上顎骨の口蓋突起と口蓋骨の水平板、およびそれをおおう骨膜、粘膜からなり、硬口蓋とよばれ、後方1/3は内部に骨を含まず、主として筋肉性で軟口蓋とよばれる。軟口蓋正中部は下方へ細長く延びだし、口蓋垂をつくる。口蓋垂はヒトでよく発達する。軟口蓋は可動性で、燕下、発語の際に後方部がとくによく働き、口蓋帆の別名がある。燕下の際、口蓋帆は挙上して、鼻腔と口腔を遮断する。硬口蓋には横走する粘膜のヒダが数条あり、横口蓋ヒダとよばれ、さらに中央を横走する隆線は口蓋縫線とよばれる。口蓋縫線は前方は切歯乳頭におわる。発生上、口蓋縫線は左右の口蓋突起の癒合線、切歯乳頭は一次口蓋の名残とみなされる。口蓋の発生は胎生第5週ごろ、鼻窩をとり囲む内側鼻隆起と外側鼻隆起は口腔上壁のところで上皮性に癒合し上皮壁を形成する。顔面が前後に長くなるのにしたがい、鼻窩も後方へ伸び出して深くなり鼻胞(または鼻嚢)になる。この観に上皮壁は鼻胞の底に位置するが、その前方部分には死亡死が起こり内側および外側鼻隆起の中胚葉の侵入ををうける。内側および外側鼻瘤器の中胚葉が連続するとともに左右の内側鼻隆起は互いに近づき、また前方へ伸び出した上顎突起とも結合する。後方へ伸び出した鼻胞は、口腔上壁とは上皮壁由来の膜・口鼻膜で境されている。口鼻膜が胎生第6週ごろ破れ原始後鼻孔が出現すると、左右の原始後鼻孔より前方に胃位置する内側鼻隆起の部分が上顎の前方部すなわち顎間部となり、口腔上壁の部分は原始鼻腔と原始口腔とを境する一次口蓋または前上顎となる。胎生第7週ごろ、上顎突起の鼻腔側壁が隆起し下の両側を下方へ伸び出す。伸び出した突起が口蓋突起または外側口蓋突起である。第8週ごろ、口蓋突起は前方の方から下の背面へ位置するように水平位となる。水平位となった左右の口蓋突起は互いに接近し、第9週以後前方1/3位のところで左右が癒合する。癒合は前後に拡がり、同時に前頭鼻隆起が後方へ伸び出してできた鼻中隔の下端および一次口蓋の後縁とも癒合する。口蓋突起の癒合により後鼻孔は後方へ開口するようになり、口腔と鼻腔とを分ける二次口蓋が形成される。一次口蓋との間には鼻口蓋管が出現するが生後は切歯管として残っている。上顎骨と口蓋骨からおよび一次口蓋で膜性骨化がおこり硬口蓋が形成される。鼻中隔の後端より後方の二次口蓋には骨形成がなく軟口蓋という。硬口蓋を形成する癒合した口蓋突起の後方で中胚葉が盛り上がることにより左右の口蓋突起の後方は連続して一つになり軟口蓋および口蓋垂が形成される。)

Hard palate(硬口蓋)Palatum durum こうこうがい Feneis: 134_22

[A05_1_01_103] →(硬口蓋は鼻の粘膜により上部を、口腔の天井にあたる部分の粘膜により下部をおおわれた骨口蓋からなり、粘膜は厚く、骨口蓋の骨膜に硬く付着する。粘膜表面には、正中線に一致して口蓋縫線という高まりがみられ、その前端に切歯乳頭という小隆起がある。その前端に切歯乳頭という小隆起がある。口蓋血管、神経、粘膜腺を有する口蓋の前方部分。硬口蓋の前部には、3~4本の横走するヒダ、すなわち横口蓋ヒダがみられる。横口蓋ヒダはとくに幼児で明瞭に見られる。)

Soft palate(軟口蓋;口蓋帆)Palatum molle; Velum palatinum なんこうがい;こうがいほ Feneis: 134_23

[A05_1_01_104] →(軟口蓋は口と口腔咽頭、口腔咽頭と鼻咽頭の間に不完全な中隔を形成する口蓋の後方筋肉部分。骨性支柱を欠き、厚い結合組織板(口蓋腱膜と筋(口蓋筋)とが基礎をつくり、その表面を粘膜が被ってできる。軟口蓋、とくにその後部を口蓋帆といい、その正中部は後下方に垂れ突出して口蓋垂となる。軟口蓋を後上方に挙上し咽頭口壁に向かって圧する作用は燕下を始めると時にみられる。この働きによって口腔と咽頭鼻部とは遮断され、食塊は口腔から鼻腔にはいることなく、咽頭に向かっておくられる。また作用は発声の場合にもみられる(音声が鼻腔にぬけないようにする)。)

Palatine raphe(口蓋縫線)Raphe palati こうがいほうせん Feneis: 134_24

[A05_1_01_105] →(口蓋縫線は左右の骨性口蓋突起が癒合した部分にある正中線上の粘膜隆起。)

Transverse palatine folds; Palatine rugae(横口蓋ヒダ)Plicae palatinae transversae; Rugae palatinae おうこうがいひだ Feneis: 134_25

[A05_1_01_106] →(横口蓋ヒダは硬口蓋の前部を横走する粘膜のヒダ。)

Incisive papilla(切歯乳頭)Papilla incisiva せっしにゅうとう Feneis: 134_26

[A05_1_01_107] →(切歯乳頭は口蓋縫線の前端にある。切歯孔上の粘膜小隆起。)

Mucous membrane of mouth(口腔粘膜)Tunica mucosa oris こうくうねんまく Feneis: 134_04

[A05_1_01_002] →(粘膜とは、体内の器官を被う面のうちで、体の外表につながるような面に対して与えられる名称である。そのような粘膜は、上皮epitheliumとこれを直下で支える結合組織(固有層と称する)との2つの基本要素からなる。固有層を作る結合組織の中には、ときに平滑筋層が存在するが、そのさいにはこの平滑筋層のことを粘膜筋板とよぶ。粘膜が表面に粘液を分泌する場合としない場合とがある。)

Frenulum of upper lip(上唇小帯)Frenulum labii superioris じょうしんしょうたい Feneis: 134_12

[A05_1_01_010] →(上唇小帯は歯肉と上唇との間にある正中線上の粘膜のヒダ。)

Frenulum of lower lip(下唇小帯)Frenulum labii inferioris かしんしょうたい Feneis: 134_13

[A05_1_01_011] →(下唇小帯は歯肉と下唇の間にある正中線上の粘膜のヒダ。)

Gingiva; Gums(歯肉;シニク)Gingiva しにく Feneis: 134_27

[A05_1_01_108] →(歯肉は歯と顎骨とを強く結合している。)

Gingival margin(歯肉縁;歯頚縁)Margo gingivalis しにくえん;しけいえん Feneis: 134_28

[A05_1_01_109] →(歯肉縁は歯を取り囲む歯肉の最も歯冠側の部分。)

Gingival papilla; Interdental papilla(歯間乳頭;歯肉乳頭)Papilla gingivalis; Papilla interdentalis しかんにゅうとう;しにくにゅうとう Feneis: 134_29

[A05_1_01_110] →(歯間乳頭(歯肉乳頭)は隣接する2歯間の隣接面間を埋める肥厚した歯肉。)

Gingival sulcus; Gingival groove(歯肉溝)Sulcus gingivalis しにくこう Feneis: 134_30

[A05_1_01_111] →(歯肉溝は歯肉縁と歯との間の浅い間隙。溝が深くなければ嚢を形成する。)

Sublingual caruncle(舌下小丘)Caruncula sublingualis ぜっかしょうきゅう Feneis: 134_31

[A05_1_01_112] →(舌下小丘は舌小帯の左右にある小さな粘膜の高まり、ここに顎下腺管と大舌下腺管が開口する。)

Sublingual fold(舌下ヒダ)Plica sublingualis ぜっかひだ Feneis: 134_32

[A05_1_01_113] →(舌下ヒダは舌下小丘から斜めに後外方へ走る粘膜隆起。そのなかに舌下腺がある。)

Papilla of parotid duct; Parotid papilla(耳下腺乳頭;耳下腺管乳頭)Papilla ductus parotidei; Papilla parotidea じかせんかんにゅうとう;じかせんにゅうとう Feneis: 134_19

[A05_1_01_017] →(耳下腺乳頭は舌下腺管の開口部にある小さな粘膜隆起。上顎の第二大臼歯頚部と向かい合った口腔前庭にある。)

Glands of mouth(口腔腺;唾液腺)Glandulae oris; Glandulae salivariae こうくうせん Feneis: 134_33

[A05_1_02_001] →(口腔腺は三大唾液腺以外の小唾液腺で、口腔に開くものの総称。発生上は口腔粘膜の上皮に由来する。上下唇にある口腔腺、頬にある頬腺、臼歯腺、口蓋全体にひろがる口蓋腺、舌表面に開く舌腺(混合性で類人猿とヒトに特異な前舌腺、漿液性のエブネル腺、粘液性の後舌腺を含む)がある。いずれも小さい腺の集合と考えてよい。)

Major salivary glands(大唾液腺)Glandulae salivariae majores だいだえきせん Feneis: 136_01

[A05_1_02_002] →(大唾液腺は三大唾液腺ともよばれ、耳下腺、顎下腺、舌下腺である。この3つの腺は一般に口腔粘膜から離れてあり、分泌物は太い導管によって口腔に送られる。)

Parotid gland(耳下腺)Glandula parotidea; Glandula parotis じかせん Feneis: 136_07

[A05_1_02_003] →(耳下腺はヒト最大の唾液腺で、左右の耳の前下方にあり、下は下顎角まで、上は頬骨弓まで、後方は胸鎖乳突筋まで、内側は側頭下窩の下顎骨下顎枝まで広がっている。その分泌管の耳下腺管によって上顎第2大臼歯の頬粘膜に開口する。終末部(線房)は純漿液性の分泌物からなる(これは他の大唾液腺との大きな違いである)。介在部および線条部もよく発達している。小葉内(腺の実質内)に多数の脂肪細胞が散在するもの、大きな特徴の一つで他の唾液腺と容易に区別できる点である。Parotisという語は、para(傍)とotis(耳)との複合語で、耳の傍らにあるものという意味である。17世紀のフランスの解剖学者リオランの命名である。)

Superficial part of parotid gland(浅部(耳下腺の))Pars superficialis glandulae parotidis せんぶ(じかせんの) Feneis: 136_08

[A05_1_02_004] →(耳下腺の浅部は顔面神経枝の上にある浅層部分。)

Deep part of parotid gland(深部;顎後突起;下顎後突起(耳下腺の))Pars profunda (Glandula parotis); Processus retromandibularis しんぶ(じかせんの);がくこうとっき;かがくこうとっき Feneis: 136_09

[A05_1_02_005] →(耳下腺の深部は顔面神経枝の下にある深層部分。)

Accessory parotid gland(副耳下腺)Glandula parotidea accessoria ふくじかせん Feneis: 136_10

[A05_1_02_006] →(副耳下腺は咬筋の上、耳下腺導管近くにある付加的な腺葉。)

Parotid duct; Stensen's (Stenon) duct(耳下腺管)Ductus parotideus じかせんかんStensen's (Stenon) duct Feneis: 136_11

[A05_1_02_007] →(耳下腺管はステンセン管ともよばれる。または、ステノン管ともよばれ、日本ではステノ氏孔などともいう。耳下腺管は頬骨弓の下方約2cmの部を水平に走り、頬筋を貫いて上顎第2大臼歯対側の口腔粘膜に開口する。デンマークの解剖学者Niels Steno [Nicholas Stensen] (1638-1686)によって、1661年頃に発見された。後年、ステンセンはローマカトリックの司教となっている。)

Sublingual gland; Rivinus' gland(舌下腺)Glandula sublingualis ぜっかせんRivinus' gland Feneis: 136_02

[A05_1_02_008] →(舌下腺は大口腔線のうちででは最も小さい腺で、口腔底の舌下ヒダ内にある細長い扁平な腺。導管の一部は顎下腺と同じく、舌下乳頭に開口し、他の一部は舌下ヒダに開口している。混合腺であるが、粘液性が漿液性より圧倒的に優勢である(これが他の2つの唾液腺との区別しやすい点である)。半月も認められる。介在部および線条部の発達が悪く、なかなかこれらをみとめにくいのも他の唾液腺との違いである。)

Major sublingual duct; Bartholin's duct(大舌下腺管)Ductus sublingualis major だいぜっかせんかんBartholin's duct Feneis: 136_03

[A05_1_02_009] →(大舌下腺管は舌下腺の主導管。舌下小丘上の、顎下腺管近くに開く。)

Minor sublingual ducts; Rivinus, Ductus of(小舌下腺管)Ductus sublinguales minores しょうぜっかせんかんRivinus, Ductus of Feneis: 136_04

[A05_1_02_010] →(小舌下腺管は舌下腺の約40の小導管で、舌下ヒダおよび舌下小丘に開口する。)

Submandibular gland(顎下腺)Glandula submandibularis; Glandula submaxillaris がっかせん Feneis: 136_05

[A05_1_02_011] →(顎下線は顎舌骨筋の下で、下顎骨と顎二腹筋の間の三角形の窩(顎下三角)の中にある長さ2.5~3.5cm、厚さ約1.5cm、成人平均重量(一側)3.5~9.0gのやや扁平な楕円体。複合管状胞状線で、腺房は漿液細胞が大部分を占める混合性である。導管系は介在導管と線条導管が耳下腺、舌下腺に比べてはるかによく発達し、これらの導管上皮細胞には、管腔側に多少とも分泌顆粒様構造をもつことが多い。とくに齧歯目の顎下腺では、腺房は漿粘液性の分泌顆粒をもったただ1種類の細胞からなり、介在導管と線条導管の間には多数の分泌顆粒をいれた上皮細胞の一群がみられる。これを顆粒性膨大部(Granular convoluted tubes)または線条導管分泌部(secretory protion of striated duct)とよぶ。その発達は性ホルモン依存性で雌より雄がよく発達し(性的二形、sexual dimorphism)マウスやラットではこの部の総体積は終末部のそれを凌駕する。主としてマウスの顎下腺で証明された神経成長因子、上皮成長因子、レニン、カリクレインなどの特蛋白は、この部分で産生放出されると考えられている。顎下腺管(Ductus submandibularis) (Wharton's ductともいう)は大舌下腺管とともに舌下小丘に開く。血管は顔面、舌動脈の枝が、神経は鼓索神経が顎下神経を経て、また血管を介して交感性線維が分布する。)

Submandibular duct; Wharton's duct(顎下腺管)Ductus submandibularis; Ductus submaxillaris [Whartoni] がっかせんかんWharton's duct Feneis: 136_06

[A05_1_02_012] →(ワルトン管、ウォルトン管ともよばれる。顎下腺の導管。腺質を伴って顎舌骨筋の後縁をまわり、舌下小丘に開口する。イギリスの解剖学者Thomas Wharton (1614-1673)による。Wharton's jelly(胎児期に出現する膠様組織)にもその名を残している。)

Minor salivary glands(小唾液腺)Glandulae salivariae minores しょうだえきせん Feneis: 134_34

[A05_1_02_013] →(小唾液腺は口腔粘膜下にある米粒ないし小豆大の小腺で、その部位によって口唇腺・頬腺・口蓋腺・舌腺などがある。)

Labial glands(口唇腺)Glandulae labiales こうしんせん Feneis: 134_35

[A05_1_02_014] →(口唇腺は口唇の粘膜下組織にある散在する粘液腺。古典的には混合腺と考えられていた。)

Buccal glands(頬腺)Glandulae buccales きょうせん Feneis: 134_36

[A05_1_02_015] →(頬腺は一般に、口唇腺のつひきつづきであり、構造的にも口唇腺と変わらず、粘液腺よりなる。)

Molar glands; Molar minor salivary glands(臼歯腺;臼後腺)Glandulae molares; Glandulae retromolares きゅうしせん;きゅうこうせん Feneis: 134_37

[A05_1_02_016] →(臼歯腺は臼歯の高さにあり、頬腺に相当する粘膜下唾液腺。)

Palatine glands(口蓋腺)Glandulae palatinae こうがいせん Feneis: 134_38

[A05_1_02_017] →(口蓋腺は硬口蓋外側部分の粘液固有層、および軟口蓋の粘膜下組織に存在する多数のブドウ状粘液腺。)

Lingual glands; Blandin, Gland of; Nuhn, Gland of(舌腺)Glandulae linguales ぜつせんBlandin, Gland of; Nuhn, Gland of Feneis: 134_39

[A05_1_02_018] →(舌腺は舌の主として側面および後面にある多数の粘膜、漿液および混合腺。)

Anterior lingual salivary gland; Anterior lingual gland; Blandin, Gland of; Nuhn, Gland of(前舌腺)Glandula lingualis apicalis; Glandula lingualis anterior ぜんぜつせんBlandin, Gland of; Nuhn, Gland of Feneis: 134_40

[A05_1_02_018_1] →(舌の先端に近いところにある。舌尖腺Glandula spicis liguaeともいう。この腺の多くの導管をもって舌尖の下面で、舌小帯の両側に開口している。混合腺である。)

Deep posterior lingual gland(後舌腺)Glandula radicis linguale; Glandula lingualis posterior こうぜつせん

[A05_1_02_018_2] →(前舌線に対しての総称で①側舌腺Glandula lingualis lateralis(分界溝の前方で舌の外側縁に近く位置する。粘液腺、漿液腺の2種がある。導管は舌の外側縁、あるいは、葉状乳頭の葉間に開いている)、②正中において、盲孔の前方にある腺(粘液腺である)、③有郭乳頭領域にある腺(漿液腺であり、導管は有孔乳頭を囲む堀に注ぐ)。④舌根腺Gladula radicis linguae(舌根にひろがる腺で粘液腺である。導管は舌根の表面に開口している。)をあわせて後舌腺ともいう。)

Teeth; Tooth(歯;ハ)Dentes し;は Feneis: 136_12

[A05_1_03_001] →(歯は爪、カミノケと同様に表皮とこれに接する結合組織が変化してできたものであって、歯とこれらの器官は相同homologyである。歯は口腔内あるいは口腔近くにあって、食物の摂取作用をなすものを歯または歯牙という。ヒトの歯は食物の摂取、咀嚼、発音の補助および顔貌の調和を計っているが、動物では食物の補足、粉砕に役立つほか闘争の武器として活用され、さらに運搬用、クシの代用などのはたらきをするばあいもある。また像のように自らキバをもって樹皮を折、あるいは土地を掘り返すものもあり、毒蛇のように毒牙で敵をたおすものもある。顎骨内に発生した歯芽が口腔内に現れ現れることを生歯eruption of teeth、出齦、萠出などの語で表している。生歯の回数は動物によって異なり、魚類、両生類、爬虫類では抜け落ちる歯があればすぐそれは補われる。また抜け落ちなくても古い歯の根元には新しい歯が生じ、古い歯を下から口腔内に押し出している。すなわち歯の脱落と新生とが常に行われている。このような歯を多生歯polyphyodontという。哺乳類では歯の発生が一生のうち2度ある。このような歯を2生歯diphydontという。この場合最初にはいえる歯を乳歯Dentes deciduiといい、次に生える歯を永久歯Dentes permanentesという。このようにはえかわることを歯の交換dentitionといっている。ヒトの乳歯は上下20本、永久歯は上下32本で、前方の上下各側5本はそれぞれ乳歯の跡ににはえるから、これを補充歯(交代歯)といい、後方の3本はそれに相当する乳歯をもたないので増加歯(追加歯)と名づけている。ことにもっとも後方の歯(第3臼歯)は智歯Dentes serotinusともいわれ、18歳から20歳ころかはえるのが普通であるが一生はえない場合もある。また発生しても歯の中にとどまり、口腔内にあらわれないばあいもある。ヒトの歯のように機能に応じ1本1本が異なった独自の形をしているものを異形歯heterodontといい、下等動物の歯のようにそれほど形態的に区別がないようなものを同形歯homodontといっている。ヒトの前根の根(口腔粘液に埋もれている部分)は通常1本の細長い円錐(単根糸)であるが、臼歯の根はであるが、臼歯の根は2~3に分枝(多根歯)としている。)

Crown of tooth(歯冠)Corona dentis しかん Feneis: 136_29

[A05_1_03_009] →(歯の外部に露出する部をとくに歯冠といい、歯槽内に埋まっている部を歯根という。歯冠と歯根との間で、やや細い部を歯頚とよぶ。表層がエナメル質で被われている部を、とくに解剖歯冠といい、口腔に露出する部を臨床歯冠と呼ぶこともある。)

Cusp of tooth; Cuspid(歯冠尖頭;尖頭)Cuspis dentis しかんせんとう;せんとう Feneis: 136_30

[A05_1_03_010] →(歯冠尖頭は切歯を除いて、歯の咬合面にある1~5個の高まり。)

Apex of cusp of tooth(咬頭頂;咬頭尖(歯の))Apex cuspidis dentis こうとうちょう;こうとうせん(はの) Feneis: 136_31

[A05_1_03_011] →(歯の尖頭頂は一つの歯冠尖頭の尖部。)

Accessory cusp of tooth(副咬頭(歯の))Cuspis accessoria dentis ふくこうとう(はの) Feneis: 136_32

[A05_1_03_012]

Tubercle of tooth(歯冠結節)Tuberculum dentis; Tuberculum coronae dentis しかんけっせつ Feneis: 136_42

[A05_1_03_013] →(歯冠結節はとくに切歯および犬歯で、歯冠側面にあるいろいろな程度の小隆起。)

Ridge(稜線)Crista りょうせん

[A05_1_03_013_1]

Occlusal fissure(咬合面溝;咬合裂)Fissura occlusalis こうごうめんこう;こうごうれつ Feneis: 136_36

[A05_1_03_017]

Occlusal fossa(咬合面窩;咬合窩)Fossa occlusalis こうごうめんか;こうごうか Feneis: 136_37

[A05_1_03_018]

Buccal cusp(頬側咬頭)Cuspis buccalis きょうそくこうとう Feneis: 138_04

[A05_1_03_019]

Lingual cusp of tooth(舌側咬頭;舌咬頭;舌歯冠尖頭(歯の))Cuspis dentis lingualis ぜつそくこうとう;ぜつこうとう;ぜつしかんせんとう(はの) Feneis: 138_06

[A05_1_03_021]

Mesiobuccal cusp(近心頬側咬頭)Cuspis dentis mesiobuccalis きんしんきょうそくこうとう Feneis: 138_07

[A05_1_03_022]

Mesiolingual cusp(近心舌側咬頭)Cuspis dentis mesiolingualis きんしんぜつそくこうとう Feneis: 138_09

[A05_1_03_024]

Distobuccal cusp(遠位頬側咬頭)Cuspis dentis distobuccalis えんいきょうそくこうとう Feneis: 138_10

[A05_1_03_025]

Distolingual cusp(遠位舌咬頭;遠位舌歯冠尖頭)Cuspis dentis distolingualis えんいぜつこうとう;えんいぜつしかんせんとう Feneis: 138_12

[A05_1_03_027]

Distal cusp; Hypoconulid(遠心咬頭;ヒポコヌリード)Cuspis dentis distalis えんしんこうとう;ひぽこぬりーど Feneis: 138_13

[A05_1_03_028]

Clinical crown of tooth(臨床歯冠)Corona clinica dentis りんしょうしかん Feneis: 136_24

[A05_1_03_029] →(臨床歯冠は歯肉から上に突出した部分。)

Neck of tooth; Cervix of tooth(歯頚)Cervix dentis; Collum dentis しけい Feneis: 136_25

[A05_1_03_030] →(歯頚は歯冠と歯根が移行する部分をよんでいる。)

Root of tooth; Tooth root(歯根)Radix dentis しこん Feneis: 136_26

[A05_1_03_031] →(歯根も解剖歯根と臨床歯根とに分けられており、下鼻横枝根はセメント質で被われた部分をいい、臨床歯根は歯肉や歯槽でかくされた部分をいう。通常歯根というのは解剖歯根を指す。歯根は歯槽内にあり、若い時には見ることができない。しかし加齢とともに歯肉縁は収縮するので、中年以後歯根は一部露出する。)

Root apex of tooth(歯根尖;根尖;歯根枝尖)Apex radicis dentis しこんせん;こんせん Feneis: 136_27

[A05_1_03_032] →(歯根の尖端を歯根尖といい、その付近に歯髄腔の開口部である根尖孔が開口している。)

Clinical root of tooth(臨床歯根;臨床的歯根)Radix clinica dentis りんしょうしこん;りんしょうてきしこん Feneis: 136_28

[A05_1_03_033] →(臨床歯根は歯肉縁から下にある部分。)

Occlusal surface of tooth(咬合面;咀嚼面(歯の))Facies occlusalis dentis; Facies masticatoria dentis こうごうめん(はの) Feneis: 138_14

[A05_1_03_034] →(歯の咬合面は対向顎の歯とかみ合う面。)

Vestibular surface of tooth(前庭面(歯の))Facies vestibularis dentis ぜんていめん(はの) Feneis: 138_15

[A05_1_03_035] →(歯の前庭面は歯の舌面の反対側の面で、口腔前庭の頬粘膜または口唇粘膜に接している面。)

Buccal surface of tooth(頬側面(歯の))Facies buccalis dentis きょうそくめん(はの) Feneis: 138_16

[A05_1_03_036]

Labial surface of tooth(唇側面;口唇面(歯の))Facies labialis dentis しんそくめん;こうしんめん(はの) Feneis: 138_17

[A05_1_03_037] →(唇に向く歯面)

Lingual surface of tooth(舌側面;舌面(歯の))Facies lingualis dentis ぜつそくめん;ぜつめん Feneis: 138_18

[A05_1_03_038] →(歯の舌面は舌の方にむいた歯の面で、頬側面の反対の面。)

Palatal surface of tooth(口蓋側面;口蓋面(歯の))Facies palatalis dentis こうがいそくめん;こうがいめん(はの) Feneis: 138_19

[A05_1_03_039]

Mesial surface of tooth(近心面(歯の))Facies mesialis dentis きんしんめん(はの) Feneis: 138_20

[A05_1_03_040] →(歯の近心面は歯の2つの隣接面のうち歯列弓にあって正中面の方を向いている面。)

Distal surface of tooth(遠心面(歯の))Facies distalis dentis えんしんめん(はの) Feneis: 138_21

[A05_1_03_041] →(歯の遠心面は歯の2つの隣接面のうち歯列弓の中で正中面から見て遠い方の面。)

Approximal surface of tooth; Interproximal surface of tooth(隣接面;接触面(歯の))Facies approximalis dentis りんせつめん;せっしょくめん(はの) Feneis: 138_22

[A05_1_03_042] →(歯の隣接面は歯列弓中で隣の歯と向かい合っている面。歯列弓の中心に近い方を近心面、遠い方を遠心面という。)

Cingulum of tooth(歯帯;帯(歯の))Cingulum dentis したい;たい(はの) Feneis: 136_41

[A05_1_03_044] →(歯帯は切歯および犬歯の舌面で、歯頚近くにある両辺縁稜をむすぶ隆起。)

Marginal ridge of tooth(辺縁隆線;辺緑稜(歯の))Crista marginalis dentis へんえんりゅうせん;へんえんりょう(はの) Feneis: 136_40

[A05_1_03_045] →(歯の辺緑稜は切歯および犬歯の舌面にある辺縁の稜。歯頚近くで帯に移行する。)

Incisal margin of tooth(切縁(歯の))Margo incisalis dentis せつえん(はの) Feneis: 136_43

[A05_1_03_046] →(歯の切縁は切歯および犬歯の咬合縁。)

Pulp cavity; Dental pulp cavity; Pulp chamber of tooth(歯髄腔;髄腔)Cavitas dentis; Cavitas pulparis しずいくう;ずいくう Feneis: 138_32

[A05_1_03_047] →(歯髄腔は象牙質内の腔所。根側で歯根管へ移行する。)

Pulp cavity of crown(歯冠腔;髄室)Cavitas coronae しかんくう;ずいしつ Feneis: 138_33

[A05_1_03_048] →(歯冠腔は歯髄腔の歯冠部分。)

Root canal of tooth; Pulp canal(歯根管;根管)Canalis radicis dentis しこんかん;こんかん Feneis: 138_34

[A05_1_03_049] →(歯根管は歯髄腔と歯根穿孔の間にある管。)

Apical foramen(歯根尖孔;根尖孔;歯根枝尖孔)Foramen apicis dentis しこんせんこう;こんせんこう;しこんしせんこう Feneis: 138_35

[A05_1_03_050] →(歯根尖孔は歯根尖にある歯根管の開口。)

Dental pulp(歯髄)Pulpa dentis しずい Feneis: 138_36

[A05_1_03_051] →(歯髄は疎で微細な線維性結合組織、血管、神経からなる歯髄腔内容物。)

Crown pulp(歯冠歯髄;冠部歯髄)Pulpa coronalis しかんしずい;かんぶしずい Feneis: 138_37

[A05_1_03_052] →(歯髄の中で、歯冠の中に位置する歯髄を歯冠髄、歯根に位置する歯髄を歯根髄という。)

Root pulp of tooth(歯根歯髄;根部歯髄)Pulpa radicularis しこんしずい;こんぶしずい Feneis: 138_38

[A05_1_03_053] →(歯根髄は歯髄の歯根部分。)

Dentine(ゾウゲ質;象牙質)Dentinum; Substantia eburnea ぞうげしつ Feneis: 138_40

[A05_1_03_055] →(ソウゲ質は、歯髄腔をつつみ歯の主体をなす硬組織で一般に淡黄色であり、エナメル質より弾性があり、骨より多少硬いが、エナメル質より軟らかい。そして、エナメル質と異なって、その有機成分が多くなって、全体の約20~30%を占め、残りの70%が無機質である。その名の元になった長鼻類(ゾウ)の牙は動物界で最大のゾウゲ質である。有機成分は、膠原原線維と、基質であるムコ多糖類からなっている。一方、無機質は、骨、セメント質およびエナメル質同じく、ハイドロキサパタイトhydroxyapatiteからなっている。無機質および有機質(主として膠原線維)からなる歯の主要部分。歯髄側から低石灰化の前象牙質と本来の象牙質からなっており、これらの2つの象牙質を多数の細管が走行している。これらの細管は、象牙細管とといわれ、歯髄を中心にして、エナメル象牙鏡まで達しており、途中側枝を出し、隣接の細管を側枝と吻合して、さらにこれらの細管の中に、トームス線維が含まれている。このトームス線維は、線維となっているが、膠原線維のような線維ではなく、歯髄側に位置する象牙芽細胞の細胞突起そのものである。すなわち象牙芽細胞とは、その細胞体自身は歯髄におき、圧倒的に長いその細胞突起を、エナメル質まで伸ばしていることになる。)

Enamel(エナメル質;琺瑯質)Enamelum; Substantia adamantina えなめるしつ Feneis: 138_41

[A05_1_03_056] →(エナメル質は、歯の表層部分をおおう、硬くて光沢のある物質。約2~2.5mmの厚さがあり、主としてヒドロキシアパタイト90%、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム、炭酸マグネシウム6-8%からなる無機質と、蛋白および糖蛋白からなる有機質で構成される。無機成分が、ある一定の結晶配列することによって、人体中もっとも硬い石灰化組織となっている。エナメル質のほとんどが無機ヒドロキシアパタイトから成り、直径が4μm、時には8μmにも達する6角棒あるいは柱状のエナメル小柱が密に配列している。個々のエナメル小柱はエナメル質の全長にわたって伸びており、隣接するエナメル小柱との間のわずかな間隙は、ヒドロキシアパタイトの結晶で満たされている。少量の有機性基質(タンパク質と多糖体)は、エナメル質形成細胞であるエナメル芽細胞がエナメル質の石灰化以前に合成、分泌した物の遺残である。表層がエナメル質で被われている部を、とくに解剖歯冠crown pulpといい、口腔に露出する部を臨床歯冠clinical crownと呼ぶこともある。歯根はセメント質に被われる部で、とくに歯槽内に埋まる部を臨床歯冠clinical rootということもある。)

Cement(セメント質)Cementum; Substantia ossea せめんとしつ Feneis: 138_42

[A05_1_03_057] →(セメント質は、歯根部の象牙質をおおう骨様の層であり、完成された永久歯からのセメント質は、45~50%の無機質と、50~55%の有機物とmm伊豆を含み、無機物は、ハイドロキサパタイトの形で含有される。Hertwigの上皮鞘が解体してまもなく、付近の未分化間葉細胞、セメント芽細胞に分化して、セメント質の間質を構成するコラーゲンとムコ多糖類を合成する。そして、この間質がある程度つくられうと、その石灰化が始まり、ハイドロキサパタイトの結晶として配列してくる。もちろんこの中には、膠原原線維も埋め込まれ、さらにこの現線維の中に、歯根膜の一部である強固な膠原線維束(シャーピー線維)が一定方向に配列している。)

Periodontium; Periodontal membrane(歯周組織;歯根膜)Periodontium; Periosteum alveolare ししゅうそしき;しこんまく Feneis: 138_43

[A05_1_03_058] →(歯根膜とは、歯槽骨と歯根のセメント質の間に存在する骨の歯槽に固定している結合組織で、一端がセメント質に固定され他端が歯槽骨に放散する線維からなる。決して細胞膜のような膜ではない。その大部分は、膠原線維の集束したシャーピー線維が占め、他の部分は疎性結合組織(血管および神経を含む)からなる。このシャーピー線維の役目は歯を顎骨につなぎ止めることである。それゆえ、そのいったんは顎骨を形成する歯槽骨に、そして多端は歯根部のセメント質に入り込んでいる。一歩、疎性結合組織の中に含まれる神経は、主として触覚に関与しているので、そこで我々は歯に触れたことを、鋭敏に知ることができる。)

Mammelons(切縁結節)Mammillae dentes せつえんけっせつ Feneis: 136_44

[A05_1_03_059] →(歯乳頭は乳房に似た丸い突起物。)

Mesial fovea(近心小窩)Fovea mesialis dentis きんしんしょうか Feneis: 136_38

[A05_1_03_062]

Distal fovea(遠心小窩)Fovea distalis dentis えんしんしょうか Feneis: 136_39

[A05_1_03_063]

Buccal root(頬側根)Radix buccalis きょうそくこん Feneis: 138_24

[A05_1_03_064] →(頬側根は副根歯で、歯槽提の頬側にある根。)

Palatal root(口蓋根)Radix palatinalis dentis こうがいこん Feneis: 138_25

[A05_1_03_065]

Mesial root(近心根)Radix mesialis きんしんこん Feneis: 138_26

[A05_1_03_066]

Distal root(遠心根)Radix distalis dentis えんしんこん Feneis: 138_27

[A05_1_03_067]

Mesiobuccal root(近心頬側根)Radix mesiobuccalis きんしんきょうそくこん Feneis: 138_28

[A05_1_03_068]

Distobuccal root(遠心頬側根)Radix distobuccalis えんしんそくこん

[A05_1_03_068_1]

Accessory root of tooth(副根(歯の))Radix accessoria ふくこん(はの) Feneis: 138_30

[A05_1_03_070] →(歯の副根は通常みられない過剰な歯根。)

Anomalous tubercle of tooth(異常結節(歯の))Tuberculum anomale へんそくけっせつ(はの)Carabelli formation Feneis: 138_01

[A05_1_03_071]

Molar tubercle(臼歯結節)Tuberculum molare きゅうしけっせつ Feneis: 138_03

[A05_1_03_073] →(臼歯結節は臼歯の歯間にときにみられる咬合に関与しない突起で、その大きさは多様である。)

Occlusal curves(咬合面曲線)Curvea occlusalis こうごうめんきょくせん Feneis: 136_17

[A05_1_03_075] →(咬合弯曲は残存歯の切端および咬合面突起の主要部分に同時に接触する弯曲面。)

Periodontal ligament; Periodontal membrane(歯根膜)Ligamentum periodontale しこんまく

[A05_1_03_075_1]

Maxillary dental arch; Upper dental arch; Maxillary dental arcade; Upper dental arcade(上歯列弓;上顎歯列弓)Arcus detalis maxillaris; Arcus detalis superior じょうしれつきゅう;じょうがくしれつきゅう Feneis: 136_15

[A05_1_03_002] →(歯は上下顎とも歯槽突起に一列に、全体として馬蹄形に歯列をつくっている。歯列の描く曲線を歯列弓といい、上顎のものを上歯列弓、下顎のものを下歯列弓という。上顎歯列弓は乳歯なら10本、永久歯なら16本。)

Mandibular dental arch; Lower dental arch; Mandibular dental arcade; Lower dental arcade(下歯列弓;下顎歯列弓)Arcus dentalis mandibularis; Arcus dentalis inferior かしれつきゅう;かがくしれつきゅう Feneis: 136_16

[A05_1_03_003] →(下顎歯列弓は下顎骨の歯槽部に樹立している歯の列で、乳歯なら10本、永久歯なら16本。)

Incisor tooth(切歯)Dentes incisivus せっし Feneis: 136_19

[A05_1_03_004] →(切歯は正中線の両側で、歯列弓の第一、二位に生えている歯。切歯ではノミ状の歯冠をもち、名前のように、ものをかみ切るのに適する形態とみなされる。上顎の切歯は下顎の切歯に比べて大きく、とくに上顎の第1切歯は最も大きい。歯冠は自由端がほぼ一直線をなしており、切縁と呼ばれている。)

Canine tooth(犬歯)Dentes caninus けんし Feneis: 136_20

[A05_1_03_005] →(犬歯は歯列弓の第三位に生えている歯。犬歯は最も長い歯で、とうに長い歯根をもつ。歯冠はとがり円錐状で、かみさくのに適するようなキバ状の形態をもつ。)

Premolar tooth(小臼歯)Dentes premolaris しょうきゅうし Feneis: 136_21

[A05_1_03_006] →(小臼歯は歯列弓の第四、五位にある歯。歯冠の咬合面には2つの高まり、すなわち歯冠結節(咬頭)をもつ。このため小臼歯はbicuspidともよばれる。歯根は一般に下顎では一本であるが、上顎では2本ある。)

Molar tooth(大臼歯)Dentes molares だいきゅうし Feneis: 136_22

[A05_1_03_007] →(大臼歯は歯列弓の第6、7、8位にある歯。大臼歯は大きい。特に第1大臼歯は最も大きく、後ろの物ほど小さくなる。永久歯列では左右に3歯ずつ小臼歯の後方にある。乳歯列では、上下顎に4歯ずつあるのみで、左右に2歯ずつ犬歯の後方にある。歯冠は大きく、ほぼ四角形の複雑な咬合面をもち、ここに3~5個の歯冠結節(咬頭)がみられる。歯根は一般に下顎では4本、上顎では3本に分岐する。)

Third molar tooth; Wisdom tooth(智歯;おやしらず;第3大臼歯)Dens molaris tertius; Dens serotinus ちし;おやしらず;だい3だいきゅうし Feneis: 136_23

[A05_1_03_008] →(第三大臼歯は生後17~21年に生え、智歯ともいわれる。しかし、一般に退化的で、形態にも個体差が大きく、萠出も変異が大きく、生涯萠出しないこともある。)

Deciduous teeth(乳歯;脱落歯)Dentes decidui にゅうし Feneis: 136_13

[A05_1_03_076] →(乳歯は最初に生える1そろいの歯。乳歯が生えるにはほぼ規則正しい順序があり、先ず生後6ヶ月くらいで下顎の内側切歯が生え、次いで8ヶ月ぐらいで上顎の内側切歯、次に7~12ヶ月で外側切歯、12~16ヶ月で第1乳臼歯、15~20ヶ月で犬歯、20ヶ月~30ヶ月で第2乳臼歯と平均して生後6~24ヶ月で生え揃う。上顎・下顎で左右両側に、それぞれ5個ずつ、計20個ある。切歯2個・犬歯1個・臼歯2個の5個である。第2乳臼歯は、第2小臼歯(永久歯)にくらべて、頬側からみた幅がかなり広い。これは永久歯の正しい配列のために必要なスペースを生み出す。上・下顎の第2乳臼歯の遠心面(歯の奥の面)の上下の関係はターミナルプレーンと呼ばれ、第1大臼歯の萠出および第1大臼歯の初期の縫合状体に大きな影響力をもち、咬合の鍵をにぎる。)

Permanent teeth(永久歯)Dentes permanentes えいきゅうし Feneis: 136_14

[A05_1_03_077] →(永久歯は乳歯脱落後に残る歯。上顎・下顎、左右各側に、それぞれ8個ずつ、計32個があるすなわち、切歯2個、犬歯1個、小臼歯2個、大臼歯3個の8個ずつある。)

Diastema(歯隙)Diastema しげき Feneis: 136_18

[A05_1_03_078] →(乳歯列は生後3年すぎに完成する。乳歯列には生理的に歯間空隙がみられ、これはのちに永久歯の配列のために役に立つ。これを歯隙という。)

Tongue(舌;シタ)Lingua ぜつ;した Feneis: 140_01

[A05_1_04_001] →(舌は筋がよく発達した器官で、舌の前方の大部分は舌体、舌の前端部を舌尖、舌の後部を舌根という。また舌の上面を舌背といい、その正中線に舌正中溝があり、舌体と舌根との境界にはV字形の分界溝がある。分界溝の中央には舌背孔とよばれる陥凹があり、これは胎生期に、ここから甲状腺の原基が陥入したため、甲状腺と連なっていた甲状舌管のなごりである。舌の外側縁を舌縁といい、舌の下面正中線には口腔粘膜との間に舌小帯とよばれる粘膜ヒダがあり、舌の下面で、舌根両側から舌尖に向かう軟らかい鋸状の釆状ヒダとよばれる粘膜ヒダがる。舌の表面は舌粘膜でおおわれ、その深層にある舌筋と固く結合している。舌体の粘膜は舌乳頭とよばれる乳頭が非常に発達しており、舌乳頭は糸状乳頭、円錐乳頭、茸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭に区別されている。舌根には舌乳頭がなく、多数の舌小胞とよばれる小丘状の高まりがみられる。舌小胞はリンパ小節の集団によって構成されており、これらの舌小胞を総称して舌扁桃とよばれている。舌体では舌粘膜が強靭な舌腱膜とよばれる密な結合組織で粘膜下の筋と固く結合しており、舌の正中面では舌腱膜に連続して密な結合組織が中隔をなしており、これを舌中隔とよんでいる。味覚器官をもち、咀嚼、燕下、および構音を助ける。)

Apex of tongue; Tip of tongue(舌尖)Apex linguae ぜつせん Feneis: 140_10

[A05_1_04_010] →(舌体の前端は舌尖といわれる。)

Body of tongue(舌体)Corpus linguae ぜつたい Feneis: 140_02

[A05_1_04_002] →(舌は前方の大部分をつくる舌体と後方の約1/3部の舌根とに分けられる。)

Root of tongue(舌根)Radix linguae ぜつこん Feneis: 140_03

[A05_1_04_003] →(喉頭蓋軟骨の前にある舌基部。(Feneis))

Dorsum of tongue(舌背)Dorsum linguae ぜつはい Feneis: 140_04

[A05_1_04_004] →(舌の上面を舌背という。)

Margin of tongue(舌縁;舌外側縁)Margo linguae; Margo lateralis linguae ぜつえん;ぜつがいそくえん Feneis: 140_09

[A05_1_04_009] →(舌縁は歯に触れる舌外側縁。)

Anterior part of tongue; Presulcal part of tongue(溝前部;前部(舌の))Pars anterior linguae; Pars presulcalis linguae こうぜんぶ;ぜんぶ(したの) Feneis: 140_05

[A05_1_04_005] →(舌の前部は分界溝より前の舌背部分。)

Posterior part of tongue; Postsulcal part of tongue(溝後部;後部(舌の))Pars posterior linguae; Pars postsulcalis linguae こうこうぶ;こうぶ(したの) Feneis: 140_06

[A05_1_04_006] →(舌の後部は分界溝より後ろの舌背部分。)

Inferior surface of tongue(舌の下面;下面[舌の])Facies inferior linguae したのかめん;かめん[したの] Feneis: 140_07

[A05_1_04_007] →(舌の下面は薄く平滑な粘膜で被われる。下面の正中には、舌尖から口腔底に向かって走る薄い粘膜ヒダがみられる。このヒダを舌小帯という。舌小帯の左右両側には、粘膜下を前後に走る静脈(舌深静脈)が透けてみられる。さらにその外側に弱い鋸歯状の粘膜ヒダ、すわわち釆状ヒダがみられる。)

Fimbriated fold of tongue(采状ヒダ(舌の))Plica fimbriata linguae さいじょうひだ(したの) Feneis: 140_08

[A05_1_04_008] →(舌の釆状ヒダは舌小帯の外方にある鋸歯状のヒダ。痕跡的な下舌。)

Mucous membrane of tongue(舌粘膜)Tunica mucosa linguae ぜつねんまく Feneis: 140_11

[A05_1_04_011] →(粘膜とは、体内の器官を被う面のうちで、体の外表につながるような面に対して与えられる名称である。そのような粘膜は、上皮epitheliumとこれを直下で支える結合組織(固有層と称する)との2つの基本要素からなる。固有層を作る結合組織の中には、ときに平滑筋層が存在するが、そのさいにはこの平滑筋層のことを粘膜筋板とよぶ。粘膜が表面に粘液を分泌する場合としない場合とがある。)

Frenulum of tongue(舌小帯)Frenulum linguae ぜつしょうたい Feneis: 140_12

[A05_1_04_012] →(舌小帯は口腔底から舌下面の正中線に張る粘膜のヒダ。)

Papillae of tongue; Lingual papillae(舌乳頭)Papillae linguales ぜつにゅうとう Feneis: 140_13

[A05_1_04_013] →(舌体の上面、すなわち舌背の粘膜には、無数の小突起がみられる。この突起を舌乳頭といい、糸状乳頭、円錐乳頭、茸状乳頭、有郭乳頭、レンズ状乳頭、葉状乳頭がる。)

Filiform papillae(糸状乳頭)Papillae filiformes しじょうにゅうとう Feneis: 140_14

[A05_1_04_014] →(糸状乳頭は舌体の背面全域にわたって密在する円錐状の乳頭で、表層の上皮は角化し、生体では白くみえる。糸状乳頭によって舌背の表面はややザラザラとなり、食物の移動に役立つと考えられる。これはヒトではあまり典型的ではないが、他の哺乳類、例えばネコ等では、糸状乳頭の整然たる発達が認められ、これが食物摂取を容易にしており、それゆえ糸状乳頭の機能的特徴の一つとしてあげられる。さらに、乳頭内に多くの神経がきていることからして、一種の感覚装置とも考えられている。さらに、糸状乳頭の外観は細長い指状を呈し、他の口腔組織がそうであるように、糸状乳頭も重層扁平上皮から成り立っていて、その最表層は、角化しているのが、他の舌乳頭との大きな違いであり、糸状乳頭の組織学的な特徴となっている。)

Conical papillae(円錐乳頭)Papillae conicae えんすいにゅうとう

[A05_1_04_014_1]

Fungiform papillae(茸状乳頭)Papillae fungiformes じじょうにゅうとう Feneis: 140_15

[A05_1_04_015] →(茸状乳頭は舌背の前半部、とくに舌尖に多い乳頭で、糸状乳頭の間に散在する。名称のごとくきのこ状をしていて、舌背に広く分布するが、糸状乳頭程多くはなく、白っぽい糸状乳頭の間に赤い点状に見える乳頭が茸状乳頭である。この赤色に見えるのは、乳頭の重層扁平上皮が角化していないため、血液色としての赤色がすけてみえたためである。重層扁平上皮に各下層が認められていないこと、そして、二次乳頭が発達してくることが、糸状乳頭との違いである。さらに、マイスナー小体に似た神経終末が多いことからして、糸状乳頭と同様に一種の感覚装置でもあるらしい。また、味蕾も乳幼児には乳頭上皮に点在するが、成人になるにつれて喪失する。したがって成人の舌から作られた組織切片では、味蕾のない茸状乳頭を見るのが一般的である。)

Vallate papilla; Circumvallate papilla(有郭乳頭;有廓乳頭)Papillae vallatae; Papillae circumvallatae ゆうかくにゅうとう Feneis: 140_16

[A05_1_04_016] →(有郭乳頭は分界溝のすぐ前に1列に並ぶ8~12個の大きな乳頭(約2~3mm)である。乳頭は深い溝でとり囲まれる。この乳頭も、組織学には角化していない重層扁平上皮をもっており、さらに、上皮に向かって多くの二次乳頭の突出がみとめられるのは、茸状乳頭と同じであるが、なんといっても、この乳頭での二次乳頭での発達が大きい。また、乳頭側面の重層扁平上皮層に、紡錘状のあかるい味蕾を認めることができるが、この味蕾は、この乳頭だけでなく、葉状乳頭にもみとめられる。有郭乳頭や葉状乳頭はおのおのの乳頭の周囲に深い溝を持っており、これは味蕾との関係において重要である。というのは味蕾は味孔によってのみ、この孔と通じており、さらにこの溝を満たしている分泌物の働きによって、味の刺激を感じることができる。すなわち、溝への分泌物としては、この溝の底に存在するエブネル腺Ebner's glandが源となっており、一種の小唾液腺であり漿液性である分泌物は、溝の水を洗い流すことによって、新しい刺激をうけることができるらしい。また味蕾は味孔という小さな孔を持ち、この孔が、さらに小さな冠状の味管gustatory canalとなって、外の溝と味蕾を構成する細胞との間を仲介している。)

Foliate papilla(葉状乳頭)Papillae foliatae ようじょうにゅうとう Feneis: 140_17

[A05_1_04_017] →(葉状乳頭は舌の後部側面のヒダに存在するが、ヒトでは発達が悪く、ウサギの葉状乳頭がもっとも発達がよく、典型的である。この乳頭は、有郭乳頭とほぼ組織学的に同様である。すなわち、角化していない重層扁平上皮でおおわれ、二次乳頭が発達し、やはり側面には味蕾を持ち、かなり発達した溝も各乳頭間に存在し、エブネル腺と同様の漿液腺が開口している。しかし、有郭乳頭にくらべてかなり小さく、同じ大きさの乳頭が連続して並んでいるので、簡単に区別がつく。)

Midline groove of tongue; Median sulcus of tongue(舌正中溝)Sulcus medianus linguae ぜつせいちゅうこう Feneis: 140_18

[A05_1_04_018] →(舌正中溝は舌中隔直上にある正中線上の浅い縦溝。)

Terminal sulcus of tongue(分界溝;舌分界溝(舌の))Sulcus terminalis linguae ぶんかいこう;ぜつぶんかいこう(したの) Feneis: 140_19

[A05_1_04_019] →(舌の分界溝は舌盲孔から両側に斜め前方へ走る溝。この溝の前側に、これと並行に走る一列の有郭乳頭がある。)

Foramen caecum of tongue; Foramen cecum of tongue; Morand's foramen; Morgagni, Foramen of(舌盲孔)Foramen caecum linguae ぜつもうこうMorand's foramen; Morgagni, Foramen of Feneis: 140_20

[A05_1_04_020] →(モルガニ孔とも呼ばれる。①舌盲孔。②胸骨および肋骨と横隔膜との癒合不全。イタリアの解剖学者・病理学者Giovanni Battista Morgani (1682-1771)によって報告された。このほかに、喉頭室(モルガニ洞)にも名を残す。)

Thyroglossal duct(甲状舌管)Ductus thyroglossalis こうじょうぜつかん Feneis: 140_21

[A05_1_04_021] →(甲状舌管は胎生期の咽頭(前腸の口側部)の腹側壁から起こり、下行する細長い管で、その先端部が甲状腺の原基となる。甲状説管は退化するが、咽頭における管の起始部が舌盲孔として残る。)

Lingual tonsil(舌扁桃)Tonsilla lingualis ぜつへんとう Feneis: 140_22

[A05_1_04_022] →(舌扁桃は舌背の後方または咽頭部にあるリンパ様組織の集合。舌根の粘膜には、乳頭はなく、多くのイボ状の高まりがみられる。この高まりは舌小胞といわれ、リンパ小節が集まってできる。舌小胞をまとめて舌扁桃とよぶ。)

Lymphoid nodules of lingual tonsil(リンパ小節(舌扁桃の))Noduli lymphoidei tonsillae lingualis りんぱしょうせつ(ぜつへんとうの)

[A05_1_04_023]

Lingual follicles(舌小胞)Folliculi linguales ぜつしょうほう

[A05_1_04_023_1] →(直径1~5mmの球形の粘膜隆起。この直下にあるリンパ組織により形が決まる。中央にはそれぞれ一つの小窩を示す。 (Feneis))

Lingual septum(舌中隔)Septum lingualis ぜつちゅうかく Feneis: 140_24

[A05_1_04_024] →(舌中隔は正中に矢状方向にある結合組織板で、特殊な線維構築を示す。)

Lingual aponeurosis(舌腱膜)Aponeurosis lingualis ぜつけんまく Feneis: 140_25

[A05_1_04_025] →(舌腱膜は舌の筋と上皮の間の厚い結合組織層。)

Muscles of tongue(舌筋)Musculi linguae ぜつきん Feneis: 140_26

[A04_1_05_001] →(舌筋は舌の実質をつくる横紋筋で、内舌筋と外舌筋とに大別される。内舌筋は舌の内部に起始・停止がある筋で、舌内を縦走する筋(上・下縦舌筋)、横走する筋(横舌筋)および垂直に走る筋(垂直舌筋)がある。内舌筋の筋線維は交錯し、舌の形を微妙に変える。外舌筋は舌の外部(下顎骨・舌骨・茎状突起)から起こり、舌に至る筋で、オトガイ舌筋、舌骨舌筋、茎突舌筋がある。)

Genioglossus muscle(オトガイ舌筋)Musculus genioglossus おとがいぜつきん Feneis: 140_27

[A05_1_04_101] →(オトガイ舌筋は、下顎骨のオトガイ棘におけるその起始から舌の筋体の中へ扇状に広がり、舌筋膜に付着する。オトガイ舌筋はオトガイ舌骨筋の上に存在し、対側の同名筋から舌中隔によって内側で隔てられる。オトガイ舌筋は舌骨舌筋によって外側から被われる。)

Hyoglossus muscle(舌骨舌筋)Musculus hyoglossus ぜつこつぜつきん Feneis: 140_28

[A05_1_04_102] →(舌骨舌筋は長方形筋板として舌骨大角、ならびに舌骨体小部、および舌腱膜の外側縁の間に広がる。舌骨舌筋は下縦舌筋(内舌筋)および(存在する場合は)小角舌筋によってオトガイ舌筋から隔てられる。外側では、舌骨舌筋は顎舌骨筋、顎二腹筋及び茎突舌骨筋によって被われている。)

Chondroglossus; Chondroglossus muscle(小角舌筋)Musculus chondroglossus しょうかくぜつきん Feneis: 140_29

[A05_1_04_103] →(小角舌筋はいろいろな形をした繊細な筋であり、舌骨小角から舌腱膜へ走る。小角舌筋はオトガイ舌筋の上に存在し、舌骨舌筋によって被われる。)

Ceratoglossus; Ceratoglossus muscle(大角舌筋)Musculus ceratoglossus だいかくぜつきん Feneis: 140_30

[A05_1_04_104] →(大角舌筋は舌骨大角からおこる筋群で、舌下筋群の主たる後半部をなす。)

Styloglossus muscle(茎突舌筋)Musculus styloglossus けいとつぜつきん Feneis: 140_31

[A05_1_04_105] →(茎突舌筋は外舌筋の1つ。茎状突起(および茎突下顎靱帯)から放射して口蓋咽頭弓のレベルで舌に至る。茎突舌筋の線維の主部は舌縁で舌尖に向かって走り(筋の縦索)、個々の線維束は内側へ曲がり、横舌筋(内舌筋)の線維に付着する。)

Superior longitudinal muscle of tongue(上縦舌筋;浅縦舌筋)Musculus longitudinalis superior; musculus longitudinalis superficialis じょうじゅうぜつきん;せんじゅうぜつきん Feneis: 140_32

[A05_1_04_106] →(粘膜直下にある縦走束。舌尖から縦走して、舌骨付近までいたる。)

Inferior longitudinal muscle of tongue(下縦舌筋;深縦舌筋)Musculus longitudinalis inferior; Musculus longitudinalis profundus かじゅうぜつきん;しんじゅうぜつきん Feneis: 140_33

[A05_1_04_107] →(有対の縦舌筋は外側を走る舌下神経と、内側の顎舌骨筋との間の舌の下面近くにあり、舌尖のほうへ茎突舌筋により被われる。)

Transverse muscle of tongue(横舌筋)Musculus transversus linguae おうぜつきん Feneis: 140_34

[A05_1_04_108] →(横舌筋は縦走線維系の間を横走する筋線維。舌中隔から起こり、舌の側縁の粘膜内へいたる。垂直舌筋とともに舌を伸長させる。)

Vertical muscle of tongue(垂直舌筋)Musculus verticalis linguae すいちょくぜつきん Feneis: 140_35

[A05_1_04_109] →(垂直舌筋は舌背から下面へ垂直に走る筋線維。)

Palatoglossus muscle(口蓋舌筋)Musculus palatoglossus こうがいぜつきん

[A05_1_04_110] →(口蓋舌筋は横舌筋の線維束に継続して前口蓋弓に入って、口蓋腱膜に至る。)

最終更新日: 19/10/13

funalogo.gif (2604 バイト)

 

You are the th visitor to this page !(since 2000/1/1)

本日の番目です。昨日はth visitor to this page !

アクセス集計