目次骨格系関節系筋肉系消化器系呼吸器系胸郭泌尿器系生殖器系腹腔と骨盤腔内分泌腺心脈管系リンパ系神経系感覚器外皮

Small intestine(小腸)Intestinum tenue しょうちょう Feneis: 148_16

[A05_6_01_001] →(小腸は胃の幽門から始まり、回盲口によって盲腸に開くまでの細長い管。十二指腸、空腸、回腸からなる。その長さは成人の死体では、全長約7mであるが、小腸の長さは平滑筋層の張力に依存しているために、死後伸びる。生体では平均5mといわれている。食物の消化吸収の主な場所であり、その属腺として肝臓と膵臓がある。小腸は腸間膜を欠く十二指腸と腸間膜小腸が区別され、後者は空腸(はじめの2/5)と回腸(あとの3/5)に分けられる。吸収上皮は内腔への大小の突起を突出させ、表面積は約20m2にも達する。最大の突起は粘膜下組織までを含む輪走する輪状ヒダで、十二指腸で最も発達している。これより一段小さい突起は高さ約1mmの腸絨毛上皮と粘膜固有層とからなり小腸内面をおおう。十二指腸では養状を呈し、空腸、回腸では円柱状である。絨毛の粘膜固有層へは1~2本の動脈が侵入し、先端部で上皮直下の密な毛細血管網に移行したのち1本の小静脈へ注ぐ。絨毛の内輪には太いリンパ管があり脂質の吸収にあずかる。粘膜固有層にはリンパ球、形質細胞、大食細胞などが多数みられる。ことにリンパ球は集族増殖して孤立リンパ小節やそれらが集合して集合リンパ小節をつくる。後者は回腸に多い。発達したリンパ小節は粘膜筋板をおおって粘膜下組織へも侵入する。)

Mucous membrane of small intestine(粘膜(小腸の))Tunica mucosa intestini tenuis ねんまく(しょうちょうの) Feneis: 148_24

[A05_6_01_009] →(小腸の粘膜は、粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板より構成される。)

Propria mucosae of small intestine(粘膜固有層(小腸の))Lamina propria mucosae ねんまくこゆうそう(しょうちょうの)

[A05_6_01_009_1]

Muscularis mucosae of small intestine(粘膜筋板(小腸の))Lamina muscularis mucosae intestini tenuis ねんまくきんばん(しょうちょうの) Feneis: 148_25

[A05_6_01_010] →(小腸の粘膜筋板は粘膜固有層と粘膜下組織の間にある平滑筋の層。粘膜の凹凸を作り出している。)

Submucosa of small intestine(粘膜下組織(小腸の))Tela submucosa intestini tenuis ねんまくかそしき(しょうちょうの) Feneis: 148_23

[A05_6_01_008] →(小腸の粘膜下組織は粘膜下組織は弾性線維に富む疎性結合組織であり、上部小腸では輪状ヒダの芯部を構成する。大小の血管およびリンパ管網がよく発達している。小腸ではマイスナー神経叢の発達がよいので、組織標本上で神経線維の断面や数個の神経細胞が集団となって存在している層がよく観察される。また、十二指腸の粘膜下組織には、十二指腸腺またはブルンナー腺Brunner's glandと呼ばれる分枝管状胞状粘液腺が存在する。形態学的には、胃の幽門腺とよく似た構造を示す。腺腔は広く、腺細胞の核は楕円形で、基底部に位置し、核上部は分泌顆粒に満たされいるが、通常の標本では明るく抜けて見える。導管は、明るい細胞質をもつ円柱ないし立方上皮細胞によって構成され、粘膜筋板を貫いて腸陰窩の底部に開口している。十二指腸腺は、迷走神経刺激ないしは採食によって、中性ないしアルカリ性の粘液を分泌し、胃から送られてきた強酸性の糜汁から十二指腸粘膜を保護する。)

Circular folds of small intestine; Circular folds of Kerckring; Kerckring's valves(輪状ヒダ;ケルクリング襞(小腸の))Plicae circulares intestini tenuis りんじょうひだ;けるくりんぐひだ(しょうちょうの)Kerckring's valves Feneis: 148_22

[A05_6_01_007] →(ケルクリング襞ともいう。とくに空腸で数多く存在する(ヒダの全数は約800といわれる)。名前は輪状ヒダとなっているが、これらのヒダが腸管の全周を輪状に完走していることはまれで、多くはその周の1/2~2/3を走るにすぎない。輪状ヒダは空腸では数も多く、丈も長いが、回腸では次第に数が少なくなり、回盲部ではほとんど消失している。オランダの解剖学者Theodorus Kerckring (1640-1693)の名を冠するが、その前にイタリアのファロピウスが発見している。)

Intestinal villi(腸絨毛(小腸の))Villi intestinales intestini tenuis ちょうじゅうもう(しょうちょうの) Feneis: 148_26

[A05_6_01_011] →(小腸の腸絨毛は肉眼的には、小腸の粘膜表面はビロード状ないしはベルベット状を呈する。これは、小腸粘膜の指状ないし葉状の小突起(長さ長さ0.5-1.5mm)に起因する。腸絨毛の形態は各小腸各部によって若干異なっており、一般に十二指腸を含めた小腸上部では幅広い葉状、下部では指状を呈する。回腸下端では、腸絨毛は短く、まばらになり、大腸では認められない。腸絨毛は、組織学的には、粘膜上皮が粘膜固有層によって管腔壁へ押し上げられた構造になっている。腸絨毛の芯をなす粘膜固有層には、絨毛の尖端付近で盲端に終わるリンパ管(中心乳糜管central lacteal)や有窓毛細血管網が認められる。また、腸絨毛間には、腸陰窩(リーベルキューン腺)と呼ばれる上皮の陥入がある。腸陰窩の深さは300~500μmあり、十二指腸ではブルンナー腺Brunner's gland(十二指腸腺duodenum gland)がその底部に開口する。腸陰窩は緻密な配列はせずに、陰窩の間は粘膜固有層の結合組織によって埋められている。腸陰窩は、外分泌機能以外に、上皮細胞の分裂、増殖の場でもある。)

Intestinal glands of small intestine(腸腺(小腸の))Glandulae intestinales tenuis ちょうせん(しょうちょうの)Lieberkuhn, Crypts of Feneis: 148_27

[A05_6_01_012] →(小腸の腸腺はリーベルキューン陰窩ともよばれる。陰窩状を呈する。)

Solitary lymphoid nodules of small intestine(孤立リンパ小節(小腸の))Noduli lymphoidei solitarii intestini tenuis こりつりんぱしょうせつ(しょうちょうの) Feneis: 148_28

[A05_6_01_013] →(小腸の孤立リンパ小節は粘膜固有層内に孤立して存在する。)

Aggregated lymphoid nodules of small intestine(集合リンパ小節;パイエル板(小腸の))Noduli lymphoidei aggregati intestini tenuis しゅうごうりんぱしょうせつ;ぱいえるばん(しょうちょうの)Peyer's patches Feneis: 148_29

[A05_6_01_014] →(パイエル板ともよばれる。小腸の集合リンパ小節は多くのリンパ小節が集合したもので、長円板状をなし回腸下部に多い。スイスの解剖学者Johann Conrad Peyer (1653-1712)により、1673~1677年に詳細に報告された。発見されたのはそれよりも前である。)

Muscular layer of small intestine(筋層(小腸の))Tunica muscularis intestini tenuis きんそう(しょうちょうの) Feneis: 148_19

[A05_6_01_004] →(小腸の筋層は内輪、外縦筋層の2層から構成されている。筋層間には、アウエルバッハ神経叢が存在する。)

Longitudinal muscle layer of small intestine; Long pitch helicoidal layer of small intestine(縦筋層;縦層;長ピッチラセン層(小腸の))Stratum longitudinale tunicae muscularis intestini tenuis; Stratum helicoidale longi gradus tunicae muscularis intestini tenuis じゅうきんそう;じゅうそう;ちょうぴっちらせんそう(しょうちょうの) Feneis: 148_20

[A05_6_01_005] →(小腸の縦筋層は外側にある縦走筋層。)

Circular muscle layer of small intestine; Short pitch helicoidal muscle layer of small intestine(輪筋層;輪状層;短ピッチラセン層(小腸の))Stratum circulare tunicae muscularis intestini tenuis; Stratum helicoidale brevis gradus tunicae muscularis intestini tenuis りんきんそう;りんじょうそう;たんぴっちらせんそう(しょうちょうの) Feneis: 148_21

[A05_6_01_006] →(小腸の輪筋層は内側にある輪走筋層。)

Serosa of small intestine; Serous coat of small intestine(漿膜(小腸の))Tunica serosa intestini tenuis しょうまく(しょうちょうの) Feneis: 148_17

[A05_6_01_002] →(小腸の漿膜は単層扁平中皮でおおわれており、疎性結合組織の漿膜下組織を介して筋層に結合している。腸間膜付着部で、小腸の漿膜は腸間膜の漿膜に移行する。)

Subserosa of small intestine; Subserous layer of small intestine(漿膜下組織(小腸の))Tela subserosa intestini tenuis しょうまくかそしき(しょうちょうの) Feneis: 148_18

[A05_6_01_003] →(小腸の漿膜下組織は漿膜を裏打ちしている結合組織。)

Duodenum(十二指腸)Duodenum; Intestinum duodenum じゅうにしちょう Feneis: 150_01

[A05_6_02_001] →(十二指腸は胃の幽門から十二指腸空腸曲まで約25cmの腸管。十二指腸Duodenumは12で、intestinum duodenum digitorumの意味。長さが指を12本横にならべた幅に等しいことによる。第1腰椎の椎体右縁の前方ではじまり、C字状に屈曲して膵臓の頭を取り囲む。腸間膜を欠き、後腹膜臓器の一つであり、胆管、膵管が開口するなど他の小腸とは異なる。十二指腸には4部が区別される。上部は幽門につづく5cmの長さの部で、上背外側へはしる。最初の2.5cmは可動性。上縁には小綱が付着する。上十二指腸曲において、ほぼ下方へ屈曲し、下行部(約8cm)へ移行する。その半ばで後内側壁に一条の十二指腸ヒダがり、その下端に大十二指腸乳頭が隆起し、ここに総胆管と膵管が共通に開口する。その上方2~3cmの部に小十二指腸乳頭があることが多く、副膵管の開口をみる。下行部は下十二指腸曲で左方へ屈曲し、水平部(下部、約8cm)へ移行し、第3腰椎体左縁に達し、左上方へ屈曲し、上行部へつづく。この部は約5cm走行したのち、第2腰椎の左方で急に前方に曲がり空腸へ移行する。この部を十二指腸空腸曲という。この曲がりは、横隔膜直下の後大動脈壁から下降する十二指腸提筋で固定されている。十二指腸の前半、ほぼ大小十二指腸乳頭までには、よく発達した十二指腸腺がある。複合管状胞状腺で、分泌物は粘液性でアルカリ性を示すことから胃酸から粘膜を保護するのではないかといわれる。)

Superior part of duodenum(上部(十二指腸の))Pars superior (Duodenum) じょうぶ(じゅうにしちょうの) Feneis: 150_02

[A05_6_02_002] →(十二指腸の上部は幽門につづく長さ約5cmの部で、第1腰椎の右側で幽門から後上方に走る。上部のうちの後側半部(長さ2.5cmの始部)は意図同様に前面と後面とが腹膜で被われる。前後両面の腹膜は、上方では小綱、下方では大網に連なる。このように始部は腹膜に包まれているので可動性である。内腔は十二指腸のうちで最も広く、粘膜には、他の部と異なって輪状ヒダを欠く。)

Ampulla of duodenum; Duodenal cap(膨大部(十二指腸の);十二指腸球部)Ampulla duodeni; Bulbus duodeni ぼうだいぶ(じゅうにしちょうの);じゅうにしちょうきゅうぶ Feneis: 150_03

[A05_6_02_003] →(十二指腸球部はX線像で幽門の上方にあって球状あるいは三角の帽状を呈する。短時間現れる十二指腸起始部の機能的な拡大。)

Descending part of duodenum(下行部(十二指腸の))Pars descendens (Duodenum) かこうぶ(じゅうにしちょうの) Feneis: 150_05

[A05_6_02_005] →(十二指腸の下行部は上部は下方に屈曲して(上十二指腸曲)、下行部になる。下行部は長さ約8cm、第2・3腰椎の右側で右腎臓腎門の前を垂直に下行する。下行部の後内側壁には、膵管と総胆管が開口している。この開口部は、下行部のほぼ中央(幽門から約8cmのところ)で、やや隆起し、大十二指腸乳頭(ファーテル乳頭)をつくる。開口部はオッディの括約筋と呼ぶ平滑筋で輪状に囲まれる。大十二指腸乳頭の約2cm上方に、小十二指腸乳頭が見られ、ここに副膵管が開口することもある。大十二指腸乳頭の付近で、十二指腸は膵臓に向かって嚢状に内腔が膨出することがある。十二指腸憩室という。消化管で、しばしばみられる憩室である。)

Inferior part of duodenum; Horizontal part of duodenum; Transverse part of duodenum(水平部;横行部;下部(十二指腸の))Pars horizontalis duodeni; Pars inferior duodeni すいへいぶ;おうこうぶ;かぶ(じゅうにしちょうの) Feneis: 150_07

[A05_6_02_007] →(十二指腸の水平部は長さ約8cmで、膵頭の下縁(第3頚椎の高さ)に沿って右大腰筋・下大静脈・左大腰筋の前を水平に走る。水平部の前面を上腸間動脈が下行する。)

Ascending part of duodenum(上行部(十二指腸の))Pars ascendens (Duodenum) じょうこうぶ(じゅうにしちょうの) Feneis: 150_08

[A05_6_02_008] →(十二指腸の上行部は水平につづき、左上方に向かって斜めに上行する部である。長さ約5cm。第2腰椎の左側で、急に前方に屈曲して(十二指腸空腸曲)、空腸に移行する。)

Superior duodenal flexure(上十二指腸曲)Flexura duodeni superior じょうじゅうにしちょうきょく Feneis: 150_04

[A05_6_02_004] →(上十二指腸曲は上部と下行部の間の弯曲。胆嚢の内側にある。)

Inferior duodenal flexure(下十二指腸曲)Flexura duodeni inferior かじゅうにしちょうきょく Feneis: 150_06

[A05_6_02_006] →(下十二指腸曲は下行部と水平部の間の弯曲。)

Duodenojejunal flexure(十二指腸空腸曲)Flexura duodenojejunalis じゅうにしちょうくうちょうきょく Feneis: 150_09

[A05_6_02_009] →(十二指腸と空腸の間の弯曲。(Feneis))

Hidden part of duodenum(十二指腸被蓋部;没部;埋没部(十二指腸の))Pars tecta duodeni じゅうにしちょうひがいぶ;ぼつぶ;まいぼつぶ(じゅうにしちょうの) Feneis: 150_10

[A05_6_02_010]

Suspensory muscle of duodenum; Suspensory ligament of duodenum; Treitz, Ligament of , Muscle of(十二指腸提筋;十二指腸提靱帯;トライツ靱帯)Musculus suspensorius duodeni; Ligamentum suspensorium duodeni じゅうにしちょうていきん;じゅうにしちょうていじんたい;とらいつじんたいTreitz, Ligament of , Muscle of Feneis: 150_11

[A05_6_02_011] →(Treitz靱帯とも呼ばれる。十二指腸空腸曲から上方に向かって、平滑筋を含む結合線維束が出て、横隔膜の右脚に付く。この平滑筋束は十二指腸提筋といわれ、十二指腸空腸曲を固定支持する。十二指腸空腸曲を横隔膜に固定する平滑筋索。  トライツ Treiz, Wenzel (1819-72)オーストリアの医師。十二指腸と空腸の間の後腹膜のヘルニアを記載(Hernia restroperitonealis, etc., 1857)。)

Phrenicocoeliac part of suspensory muscle of duodenum(横隔膜腹腔動脈部(十二指腸提筋の))Pars phrenicocoeliaca Musculussuspensorii duodeni おうかくまくふくくうどうみゃくぶ(じゅうにしちょうていきんの) Feneis: 150_12

[A05_6_02_012]

Coeliacoduodenal part of suspensory muscle of duodenum(腹腔動脈十二指腸部(十二指腸提筋の))Pars coeliacoduodenalis Musculussuspensorii duodeni ふくくうどうみゃくじゅうにしちょうぶ(じゅうにしちょうていきんの) Feneis: 150_13

[A05_6_02_013]

Longitudinal folds of duodenum(十二指腸縦ヒダ)Plicae longitudinales duodeni じゅうにしちょうたてひだ Feneis: 150_14

[A05_6_02_014] →(十二指腸縦ヒダは下行部後壁の左側にある縦のヒダで、大膵管と総胆管によりできる。)

Major duodenal papilla; Greater duodenal papilla; Vater, Tubercle of(大十二指腸乳頭;十二指腸乳頭;ファーター乳頭;ファーター憩室)Papilla duodeni major; Papilla duodeni; Diverticulum Vater だいじゅうにしちょうにゅうとう;じゅうにしちょうにゅうとう;ふぁーてるにゅうとう;ふぁーてるけいしつVater, Tubercle of Feneis: 150_15

[A05_6_02_015] →(ファーテルの乳頭Vater's papillaとも呼ばれる。十二指腸下行部の後内側壁にある、やや隆起していている粘膜隆起。総胆管・膵管が開口している。ドイツの解剖学者Abraham Vater (1684-1751)によって、1710年に記載された。)

Minor duodenal papilla; Lesser duodenal papilla; Santorini's caruncle(小十二指腸乳頭)Papilla duodeni minor しょうじゅうにしちょうにゅうとうSantorini's caruncle Feneis: 150_16

[A05_6_02_016] →(小十二指腸乳頭は大十二指腸乳頭の上方にあり、副(小)膵管の開口部。)

Duodenal glands(十二指腸腺;ブルンネル腺)Glandulae duodenales じゅうにしちょうせん;ぶるんねるせんBrunner's glands Feneis: 150_17

[A05_6_02_017] →(ブルンネル腺とも呼ばれる。十二指腸近位部の粘膜下層に位置する粘膜液である。形態学的には、胃の幽門腺とよく似た構造を示す。腺腔は広く、腺細胞の核は楕円形で、基底部に位置し、核上部は分泌顆粒にみたされているが、通常の標本では明るく抜けて見える。スイスの解剖学者Johann Conrad Brunner (1653-1727)の名を冠する。実際には彼の義父であるJ.J. Wepferが1979年に報告しているがブルンネルの学位論文(1687)によって注目された。)

Jejunum(空腸)Jejunum; Intestinum jejunum くうちょう Feneis: 150_18

[A05_6_03_001] →(空腸は剖検に察してしばしば空虚であったため「空」とう意味からnestisとよばれ、のちjejunumとなった。十二指腸と回腸の間長さ約2.4cm、直径約2.7cm、の小腸部分。十二指腸空腸曲で十二指腸と境される。一方、回腸との境は明瞭ではない赤みを帯び、可動性で幅広い腸間膜を介して後腹壁の腸間膜根に付着している。壁の厚さは回腸に比してやや厚く、輪状ひだが大きくてよく発達しており、血管分布が豊富で動脈弓が少なく、直細動脈が長い。腸絨毛は十二指腸と同様3600個/cm2。空腸の吸収上皮面績は37m2に達する。粘膜固有層には孤立リンパ小節が発達する。腸腺の底部にはエオジンに好染する顆粒をもつパネート細胞がみられる。また腸腺の下半分には腸クロム親和細胞が多数分布し、セロトニンを分泌する。その他消化器ホルモンの分泌細胞を混ずる。)

Ileum(回腸)Ileum; Intestinum ileum かいちょう Feneis: 150_19

[A05_6_04_001] →(回腸は腸間膜小腸の肛門側の5分の3で、空腸との境界は明確ではない。直径約2.5cmの可動性の管で、回盲弁を介して大腸の始まりの部分出る盲腸に続く。回盲弁は回腸から盲腸への内容物の流れを調節している。空腸に比してやや白色味を帯びる。回盲部から約60cmの口腔側に高さ約5cmの円錐状ないし円筒状の突出物が2%の頻度でみわれる。これは、胎生期における卵黄管の遺残物でメッケル回腸憩室という。腸絨毛は空腸に四角して少なく2500個/cm2で回腸の吸収上皮の表面積は5.3m2である。回腸には20~30個の集合リンパ小節がある。これをパイエル板といい、その表面には絨毛を欠く。)

Terminal ileum; Terminal part of ileum(回腸終末部;回腸末端部)Pars terminalis かいちょうしゅうまつぶ;かいちょうまったんぶ Feneis: 150_20

[A05_6_04_002]

Ileal diverticulum; Meckel's diverticulum(回腸憩室;メッケル憩室;メッケル回腸憩室)Diverticulum ilei かいちょうけいしつ;めっけるけいしつ;めっけるかいちょうけいしつMeckel's diverticulum Feneis: 150_21

[A05_6_04_003] →(メッケル憩室ともよばれる。回腸壁には回腸末端から約0.5~1.0m口側で、腸間膜付着部と反対側に長さ約5cmの突出がみられることがある。この突起をメッケル憩室といい、1~2%の頻度にみられる。胎生期の卵黄腸管の閉鎖不全による遺残で、長い場合には臍まで達することもある。憩室には、炎症潰瘍などの病変が起こることがある。胎児期卵黄腸間の遺残。卵黄腸管は胎生早期に腸管と卵黄嚢を連結するが、胎生第5週以後閉鎖する。ドイツの解剖学者Johann Friedrich Meckel (1781-1833)によって記載された。メッケル神経節に名を残すJ.F.Meckel (1714-1774)の孫にあたり、younger Meckelと呼ばれる。)

最終更新日: 19/10/13

funalogo.gif (2604 バイト)

 

You are the th visitor to this page !(since 2000/1/1)

本日の番目です。昨日はth visitor to this page !

アクセス集計