目次骨格系関節系筋肉系消化器系呼吸器系胸郭泌尿器系生殖器系腹腔と骨盤腔内分泌腺心脈管系リンパ系神経系感覚器外皮

Pancreas(膵臓)Pancreas すいぞうpl. pancreata Feneis: 162_01

[A05_9_01_001] →(膵臓は上腹部および左下肋部で、第1および第2腰椎の高さに位置する。成人では長さ14~18cm、重さ65~100gの細長い三角稜柱形をなし、十二指腸のC字形弯曲部に囲まれた頭部、頭部を貫いて総胆管と膵管が走るので、臨床医学的に重要である。腺は外分泌部から腸に注がれる膵液、内分泌部からインスリンとグルカゴンを分泌する。頭部の下方左側より上腸間膜動静脈の後方へ伸びる鈎状突起、左方へ徐々に細くなりながら下大静脈および腹大動脈の上をおおい脾臓の方へ伸びる体部、膵臓と接する尾部に区別される。Pancreasのpanは全、creasは肉を意味するギリシャ語。全体が肉様である意。この臓器は漢方医学で知られていなかったので、蘭学導入後、肉を萃(あつ)めるの意から膵の字が作られた。宇田川玄真が医範提綱(1805)ではじめてこの国字を公表。 膵臓は膵液を分泌する外分泌腺であると同時に、ホルモンを産生する内分泌器官としても働く(ランゲルハンス島)。膵液には食物の三大要素(タンパク質・デンプン・脂肪)を分解する酵素が含まれており、膵臓のホルモン(インスリン・グルカゴン)には糖代謝を調節する作用がある。 膵臓を分泌する松果腺。長さ約15cmの細長い臓器で、第1~2腰椎の高さで後腹壁に接して位置し、前面のみ腹膜におおわれる(腹膜後器官retroperitoneal organs)。十二指腸に囲まれる膵頭、第2腰椎の前面に位置する錐体、脾臓に接する膵尾に区分される。なお、消化腺(外分泌腺)の機能のほか、膵臓には内分泌部(ランゲルハンス島)もある。動脈分布:上膵十二指腸動脈(腹腔動脈の末梢枝)・下膵十二指腸動脈(←上腸間膜動脈)。(イラスト解剖学))

Head of pancreas(膵頭)Caput pancreatis すいとう Feneis: 162_02

[A05_9_01_002] →(膵頭は十二指腸ワナの中に入り込んだ部分。)

Uncinate process of pancreas(鈎状突起(膵臓の);膵鈎部)Processus uncinatus pancreatis こうじょうとっき(すいぞうの)Winslow's pancreas Feneis: 162_03

[A05_9_01_003] →(膵臓の鈎状突起は腸間膜動脈の後ろに鈎状にのびた部分。)

Pancreatic notch(膵切痕)Incisura pancreatis すいせっこん Feneis: 162_04

[A05_9_01_004] →(膵切痕は鈎状突起と他の膵頭部分の間にある溝。)

Neck of pancreas(膵頚(膵臓の))Collum pancreatis すいけい(すいぞうの) Feneis: 162_05

[A05_9_01_005]

Body of pancreas(膵体)Corpus pancreatis すいたい Feneis: 162_06

[A05_9_01_006] →(膵体は主として脊柱の前方にある部分。背側原基に由来する。)

Anterosuperior surface of body of pancreas(前上面(膵体の))Facies anterosuperior corporis pancreatis ぜんじょうめん(すいたいの) Feneis: 162_07

[A05_9_01_007] →(膵体の前上方面は前上方へ向く面。)

Posterior surface of body of pancreas(後面(膵体の))Facies posterior (Corpus pancreatis) こうめん(すいたいの) Feneis: 162_08

[A05_9_01_008] →(膵体の後面は後方へ向く面。)

Antero-inferior surface of body of pancreas(前下面(膵体の))Facies anteroinferior corporis pancreatis ぜんかめん(すいたいの) Feneis: 162_09

[A05_9_01_009] →(膵体の前下方面は前下方へ向く面。前面とは横行結腸間膜の基部により境される。)

Superior border; Superior margin of body of pancreas(上縁(膵体の))Margo superior corporis pancreatis すいたいのじょうえん Feneis: 162_10

[A05_9_01_010] →(膵体の上縁は前面と後面の間にある縁。)

Anterior border; Anterior margin of body of pancreas(前縁(膵体の))Margo anterior corporis pancreatis ぜんえん(すいたいの) Feneis: 162_11

[A05_9_01_011] →(膵体の前縁は横行結腸間膜がつく線と一致し、同時に後腹壁における網嚢の下限界線となる。)

Inferior border of body of pancreas(下縁(膵体の))Margo inferior; Margo posterior (Corpus pancreatis) かえん(すいたいの) Feneis: 162_12

[A05_9_01_012] →(膵体の下縁は下面と後面の間にできる縁。)

Omental eminence of pancreas(小網隆起;小網結節(膵臓の))Tuber omentale pancreatis しょうもうりゅうき;しょうもうけっせつ(すいぞうの) Feneis: 162_13

[A05_9_01_013] →(膵臓の小綱隆起は膵頭近くの錐体にあり、脊柱に一致して、網嚢内へ隆起する部分。)

Tail of pancreas(膵尾)Cauda pancreatis すいび Feneis: 162_14

[A05_9_01_014] →(膵尾は脾臓に接し、左側上方にある尾部。)

Pancreatic duct; Wirsung, Duct of(膵管;主膵管;大膵管)Ductus pancreaticus; Ductus pancreaticus major すいかん;しゅすいかん;だいすいかんWirsung, Duct of Feneis: 162_15

[A05_9_01_015] →(ウィルスングの管とも呼ばれる。副膵管(サントリーニ管)に対して主膵管ということもある。膵臓の主導管で、膵尾から膵島まで貫通し、大十二指腸乳頭で十二指腸に開口している。膵臓は発生学的には二つの原基から生じる。すなわち十二指腸から前の方に延び出す腹側膵臓ventral pancreasと、後に延び出す背側膵臓dorsal pancreasとである。腹側膵臓の導管がウィルスングの管で、背側膵臓の導管がサントリーニ管は途中でウィルスングの管に吻合する形で合流し、大十二指腸乳頭に開く。これが(主)膵管である。サントリーニの管の残部は細くなって退化し、副膵管となって小十二指腸乳頭に開く。腹側膵臓のところからは、更に前方に肝臓の原基が延び出すので、その導管である総胆管は必ず膵管と関係をもち、副膵管と関連することは絶対にない。膵管の発見者といわれるウィルスングは、17世紀中葉にイタリアのバドバ大学の解剖学教授として活躍したドイツ人である。膵管についての記載と図は、当時解剖学の権威として名声の高かったパリのリオランJ. Riolan (1577~1657)への手紙に書かれたもので、彼の著作の中には見えないと言うことである。そのためもあろうが、彼は後年(1643)、この膵管の発見の優先権を他の学者と争って決闘し、そのために殺されてしまったという。Ductus pancreatiucusはまことに悲壮なエピソードを秘めているのである。副膵管に名を留めているサントリーニGiovanni Domenico Santorini (1681-1737)は、かのマルピーギM. Malpighi (1962-1694)の弟子であった。ウィルスングの膵管と合流する総胆管ductus choledochusの語源にも年のために触れておこう。ギリシャ語でcholeは胆汁、dochosは容れものという意味である。古代ギリシャの医学では、体液の性状が健康を保ったり、からだや心の病気を引き起こすという、体液説が基本的な考えであった。「胆汁質」choleicという言葉が怒りっぽくて扱いにくい性格を表現する英語として今でも使われ、メランコリーmelancholy、つまり胆汁が濃くなっているという意味の言葉が今日に生きている。これは血液や粘膜と共に胆汁が人間の健康や性格や心理を決定する重要な体液と考えられた名残りである。ドイツの解剖学者Johann Georg Wirsung (1600?-1643)により、1642年に記載された。 膵臓外分泌部(消化腺)の導管。膵体~膵尾にある小導管を集め、十二指腸に分泌する。膵管には、大十二指腸乳頭(ファーター乳頭Vater's papilla)に開く主膵管(ウィルスング管Wirsung's duct)と、小十二指腸乳頭に開く副膵管(サントリーに管Santorini's duct)とがあり、膵臓内部で連絡をもつ。なお、副膵管退化して認められない例もある。(イラスト解剖学))

Sphincter of pancreatic duct(膵管括約筋)Musculus sphincter ductus pancreatici すいかんかつやくきんBoyden, Four-part sphincter of Feneis: 162_16

[A05_9_01_016] →(膵管括約筋は膵管開口前の輪走筋。)

Accessory pancreatic duct; Santorini's duct(副膵管;小膵管)Ductus pancreaticus accessorius; Ductus pancreaticus minor ふくすいかん;しょうすいかんSantorini's duct Feneis: 162_17

[A05_9_01_017] →(サントリーニの管とも呼ばれる。膵臓の導管で主膵管に対して副膵管とよばれる。多くの場合存在する付加的な導管で、大十二指腸乳頭の上方にある小十二指腸乳頭に開く。退化的であることが多く、また十二指腸に開口しないこともある。イタリアの解剖学者Giovanni Domenico Santorini (1681-1737)によって報告された。これに対して主膵管をウィルスング管Wirsung's ductという。)

Accessory pancreas(副膵)Pancreas accessorium ふくすい Feneis: 162_18

[A05_9_01_018] →(副膵は胃または小頭壁に遊離した膵組織。)

Pancreatic islets(膵島;ランゲルハンス島)Insulae pancreaticae すいとう;らんげるはんすとうLangerhans, Islets of Feneis: 162_19

[A05_9_01_019] →(ランゲルハンス島とも呼ばれる。膵島はグルカゴンとインシュリンを産生する約100万個ある。ドイツのPaul Langerhans (1847-1888)によって発見された膵臓の内分泌細胞群。1869年の発見当時、彼は22歳の医学生だった。この島状細胞集合は径0.1~0.2mmで、膵臓全体で約100万個あり、体積も膵臓の約1%を占める。ランゲルハンスは膵臓を針でほぐしながらこの部分を発見したという。もちろんその当時は機能については全く不明であり、内分泌細胞であることがわかったのは発見から60年以後のことである。 膵臓のホルモン分泌細胞が形成する島状の集合。直径0.1mmほどの細胞群で、膵臓全体で100万個ほどあるとされる。ランゲルハンス島の細胞は3種類が同定されており、25%がA(α)細胞、70%B(β)細胞そして5%がD(δ)細胞とされる。A細胞は血糖値上昇に働くグルカゴンを、B細胞は血糖値の低下にはたらくインスリンを、D細胞はこれらのホルモンを抑えるソマトスタチンを産生する。(イラスト解剖学))

最終更新日:19/10/13

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