目次骨格系関節系筋肉系消化器系呼吸器系胸郭泌尿器系生殖器系腹腔と骨盤腔内分泌腺心脈管系リンパ系神経系感覚器外皮

Urinary system(泌尿器系)Systema urinarium ひにょうきけい Feneis: 182_01

[A08_0_00_000] →(尿の生成とその排出を行う器官系で排泄器とも呼ばれる。栄養分の燃焼によって生じる分解産物のうち、炭酸ガス以外の物質(主として含窒素化合物)を尿として体外に出す。泌尿器の主体は腎臓で、尿はそのなかで生成されるが、それに尿管・膀胱・尿道などの尿路が付属している。)

Kidney(腎臓;ネフロン)Ren; Nephrons じんぞう;ねふろん Feneis: 182_02

[A08_1_01_001] →(腎臓は尿を産生し、排泄する泌尿器の主要部で2つある。ソラマメの形ををした臓器(長さ約11cm、幅が約5cm、厚さ約3cm、重量約100g)で、脊柱の両側で後腹膜に位置する。腎門の高さはほぼ第2腰椎、右腎は左腎より半~1椎体低く、さらに腎の位置は呼吸にともない、1椎体ほど移動しうる。腎の上端は副腎に接し、右腎は肝、十二指腸、結腸、左腎は胃、膵、結腸などに前面で接する。腎は前後に扁平、上下に長く、前面・後面・上端・下端を区別する。外側縁は鈍で凸弧を描き、内側縁はくぼみ、その中央が腎門で、血管、尿管などが出入りする。腎門を入れると、腎実質にかこまれてくぼみがあり、これを腎洞という。腎洞には腎洞静脈、腎杯をいれるほか、残りの隙間には脂肪が詰まる。腎の周囲を直接にかこむ脂肪層を脂肪被膜とよび、腎の表面付着して腎を被う線維に富んだ膜を線維被膜とよぶ。腎実質を皮質と髄質とに分ける。皮質は横断面で顆粒状を示し、通常髄質より暗色、ときに淡色で、腎小体の存在で特徴づけられる。髄質は10個前後のピラミッド上の腎錐体からなり、錐体底は皮質側に向き、錐体の項は腎乳頭として、小腎杯の中へ突き出る。髄質の断面は集合管の走向のために生ずる線条構造を示す。錐体と錐体の間にのびだして、隠す遺体を分離している皮質の部分を腎柱という。ニューロン腎乳頭の表面に篩状野があり、ここには集合管が合流して形成された乳頭管が開口する。個々の乳頭管の開口部を乳頭孔という。小児では腎表面に腎葉を分ける溝が認められる。このような腎を葉状腎といい、通常一つの錐体とそれをかこむ皮質とから、一つの腎葉が形成される。小哺乳類では腎が一個の腎葉で構成される(単葉腎)。腎杯は尿路のはじまりの部分で、内腔と腎乳頭から分泌された尿が流れる。2~3個の腎乳頭が皮筒の小腎杯に開き、2~4個の小腎杯が一つの大腎杯が集って腎盤(腎盂)となり、腎盤は尿管につづく。腎皮質を曲部と放線部は直尿細管、集合管、直細動静脈を主とする部分である。個々の放線を髄放線とよび、髄質から皮質表層へ向かって放線状に走る。腎皮質の構成単位を皮質小葉といい、小葉は一つの腎放線に所属するネフロン全体で構成される。または、小葉を一つの小葉肝動脈に属する領域のネフロン全体とみなす場合もある。いずれにしても各小葉間には結合組織性の境はない。すなわち皮質小葉はむしろ概念的な構造である。ネフロンは腎の排泄系の構造単位で細い血管の塊(糸球体)とそれを取り囲むBowman嚢(糸球体包)(この両方をあわせて腎小体とよぶ)、およびそれにつづく1本の尿細管よりなる。この単位は片側の腎で約100万個を数える。糸球体は輸入細動脈が分かれ何本かの毛細血管のループとなる。そして再び合して輸入細動脈となる。毛細血管は小孔のある内皮細胞と、厚い基底膜から成り、その外側にBowman嚢の臓側上皮の細胞がついている。この上皮は小さい突起(小足)を無数にもち、となりの上皮との間で小さい突起が交互に入り君で配列している。この上皮は足細胞ともよばれる。したがって原尿は血管内皮の小孔、基底膜、小足の間を通過して形成される。Bowman嚢は壁側上皮と臓側上皮とに分けられ、壁側上皮は扁平で尿細管が連絡する部位を尿曲といい輸入・輸出細動脈がはいるところ(血管極)の反対側である。尿細管はBowman嚢の尿極よりはじまる1本の管で次の部分を区別する。すなわち近位曲部尿細管、近位直部、Henleループ(細い部分と太い部分)遠位曲部である。ループの太い部分は遠位直部ともよばれる。この尿細管は、Henleのループの部分で髄質までのびる。腎小体のある位置が髄質に近いものほどループは長く皮質表層にあるものはループは短い。遠位曲部は必ずその腎小体の血管極の近くに位置する。この部分は糸球体に面する上皮は丈が高く密集していて緻密斑とよばれる。ネフロン系尿細管の末端は集合管にそそがれる。尿細管上皮細胞は近位、ループの細い部分と遠位の3カ所で特徴的に区別できる。近位部上皮細胞は隣接する相互の細胞質が互いに突起を出して咬み合っているため、光顕ではその境界が不明瞭である。管腔面には微絨毛が発達して刷子縁ともよばれる。糸球体、水解小体が多い。このため細胞質は産生染料で染まる。Henleループの細い部分は扁平で、短い微絨毛をもつ。遠位尿細管上皮は立方形で微絨毛の発達はよくない。基底部には隣接細胞の陥入が著明で、そのなかに長い糸球体が縦走している。集合管はネルフォン末端と2時的に連結したものでネフロンには入らない。)

Lateral border of kidney(外側縁(腎臓の))Margo lateralis renis がいそくえん(じんぞうの) Feneis: 182_03

[A08_1_01_002] →(腎臓の凸面をつくる側縁。 (Feneis))

Medial border of kidney(内側縁(腎臓の))Margo medialis renis ないそくえん(じんぞうの) Feneis: 182_04

[A08_1_01_003] →(腎門へと凹んだ内側の縁。 (Feneis))

Hilum of kidney; Renal hilus(腎門)Hilum renale じんもん Feneis: 182_05

[A08_1_01_004] →(腎血管と尿管が出入りする部位。 (Feneis))

Renal sinus(腎洞)Sinus renalis じんどう Feneis: 182_06

[A08_1_01_005] →(腎門に向かって強く凹んだ内側の縁。 (Feneis))

Anterior surface of kidney(前面(腎臓の))Facies anterior renis ぜんめん(じんぞうの) Feneis: 182_07

[A08_1_01_006] →(強く膨脹している。 (Feneis))

Posterior surface of kidney(後面(腎臓の))Facies posterior renis こうめん(じんぞうの) Feneis: 182_08

[A08_1_01_007] →(腎臓後面は平面に近い。)

Upper pole of kidney; Superior extremity; Superior pole of kidney(上端;上極(腎臓の))Extremitas superior renis; Polus superior renis じょうたん;じょうきょく(じんぞうの) Feneis: 182_09

[A08_1_01_008]

Inferior pole of kidney; Inferior extremity; Inferior extremity of kidney(下端;下極(腎臓の))Extremitas inferior renis; Polus inferior renis かたん;かきょく(じんぞうの) Feneis: 182_10

[A08_1_01_009]

Renal fascia; Gerota's capsule, fascia; Zuckerkandl, Fascia of(腎筋膜;腎被膜;ゲロタ筋膜)Fascia renalis じんきんまく;じんひまく;げろたきんまくGerota's capsule, fascia; Zuckerkandl, Fascia of Feneis: 182_11

[A08_1_01_010] →(『ゲロタ筋膜』:副腎、腎周囲脂肪組織を包み込む線維性被膜である。ルーマニアの外科医Dumitru Gerota (1867-1939)によって報告された。)

Paranephric fat; Pararenal fat body; Pararenal fat pad(腎傍脂肪体)Corpus adiposum pararenale じんぼうしぼうたい Feneis: 182_12

[A08_1_01_011] →(腎筋膜の後葉と横筋筋膜の間にある脂肪体。 (Feneis))

Perinephric fat; Perirenal fat capsule(脂肪被膜;腎周囲脂肪被膜;脂肪嚢)Capsula adiposa perirenalis; Capsula adiposa renis しぼうひまく;じんしゅういしぼうひまく;しぼうのう Feneis: 182_13

[A08_1_01_012] →(線維被膜の外回りを包む脂肪組織層。後面および内側でよく発達している。腎周脂肪組織ともよばれる。)

Fibrous capsule of kidney(線維被膜(腎臓の))Capsula fibrosa renis せんいひまく(じんぞうの) Feneis: 182_14

[A08_1_01_013] →(腎臓の表面を包む線維性の被膜。炎症などがあると実質と癒着するため、病理解剖などでは、剥離することで炎症の有無を確かめることがある。(イラスト解剖学))

Renal segments; Segmentation of kidneys(腎区域)Segmenta renalia じんくいき Feneis: 184_01

[A08_1_02_001] →(腎葉による腎臓の区分とは一致しない。腎動脈枝つまり区域動脈は吻合を持たないので臨床上重要である。)

Superior segment of kidney(上区(腎臓の))Segmentum superius renis じょうく(じんぞうの) Feneis: 184_02

[A08_1_02_002] →(腎臓の上区動脈に支配される腎臓の最上部で、後面にまで及ぶ区域。)

Anterior superior segment of kidney(上前区(腎臓の))Segmentum anterius superius renis じょうぜんく(じんぞうの) Feneis: 184_03

[A08_1_02_003] →(腎臓の上前区動脈が分布する区域で上前部を占める。)

Anterior inferior segment of kidney(下前区(腎臓の))Segmentum anterius inferius renis かぜんく(じんぞうの) Feneis: 184_04

[A08_1_02_004] →(腎臓の下前区動脈が分布する区域で下前部を占める。)

Inferior segment kidney(下区(腎臓の))Segmentum inferius renis かく(じんぞうの) Feneis: 184_05

[A08_1_02_005] →(腎臓の下区動脈が分布する区域で、腎臓の最下部、後面および前面まで達する。)

Posterior segment of kidney(後区(腎臓の))Segmentum posterius renis こうく(じんぞうの) Feneis: 184_06

[A08_1_02_006] →(腎臓の後区動脈が分布する後部の区域。)

Kidney lobes(腎葉;小腎)Lobi renales; Renculi じんよう;しょうじん Feneis: 182_15

[A08_1_01_014] →(腎葉は小児では腎表面に腎葉を分ける溝が認められる。このような腎を葉状腎といい、通常一つの錐体とそれをかこむ皮質とから、一つの腎葉が形成される。小哺乳類では腎が一個の腎葉で構成される(単葉腎)。また皮質小葉lobulus corticalisとは、1状の放線部pars radiataを芯とし、その周囲の皮質組織(曲部pars convoluta)をひとまとめにした単位で、小葉と小葉の間を小葉間動静脈が走る。)

Renal cortex(腎皮質;皮質(腎臓の))Cortex renalis; Substantia corticalis renis じんひしつ;ひしつ(じんおずの) Feneis: 182_16

[A08_1_01_015] →(腎皮質を曲部と放射部とにわける。曲部は曲尿細管と腎小体を主とし、放射部は直尿細管、集合管、直細動静脈を主とする部分dねある。ここの放線を髄放線とよび、髄質から皮質表層へ向かって放射状に走る。腎皮質の構成単位を皮質小葉といい、小葉は一つの髄放線に所属するネフロン全体で構成される。または、小葉を一つの小葉間動脈に属する領域のネフロン全体といなす場合もある。いずれにしても各小葉間には結合組織性の境はない。すなわち皮質小葉はむしろ概念的な構造である。)

Cortical labyrinth; Renal cortical labyrinth(皮質迷路;腎皮質迷路;腎迷路)Labyrinthus corticis renalis ひしつめいろ;じんひしつめいろ;じんめいろ Feneis: 182_17

[A08_1_01_016]

Medullary rays of kidney; Radial part of renal cortex(髄放線(腎臓の))Radii medullares renis ずいほうせん(じんぞうの)Ferrein's pyramids Feneis: 182_19

[A08_1_01_018]

Renal columns; Bertin's columns(腎柱)Columnae renales じんちゅうBertin's columns Feneis: 182_20

[A08_1_01_019]

Renal medulla(腎髄質;髄質)Medulla renalis; Substantia medullaris じんずいしつ;ずいしつ Feneis: 182_28

[A08_1_01_020] →(腎髄質には、肉眼的に2層が区別される。より皮質に近い部分は髄質外帯とよばれ、血管に富むため赤色を帯びている。これに対し、より内部の髄質内帯は、集合管collecting ductと細い尿細管に富み、色は灰色である。時に髄質外帯をさらに外層と内層に分けることがある。これらの層構造は、その中に局在する尿細管および血管の形態学的・機能的差異を反映している。)

Outer stripe of renal medulla; Outer medulla(外層;外線条(腎髄質の);外髄質)Stria externa medullae renalis がいそう;がいせんじょう(じんずいしつの) Feneis: 182_30

[A08_1_01_022]

Outer zone of renal medulla(外帯(腎髄質の))Zona externa medullae renalis がいたい(じんずいしつの) Feneis: 182_29

[A08_1_01_021]

Inner zone of renal medulla(内帯(腎髄質の))Zona interna medullae renalis ないたい(じんずいしつの) Feneis: 182_34

[A08_1_01_026]

Vascular bundles of renal medulla(血管束(腎髄質の))Fasciculi vasculares medullae renalis けっかんそく(じんずいしつの) Feneis: 182_32

[A08_1_01_024]

Interbundle region of renal medulla(束間域;束間部(腎髄質の))Regio interfascicularis medullae renalis そくかんいき;そくかんぶ(じんずいしつの) Feneis: 182_33

[A08_1_01_025]

Inner stripe of renal medulla; Inner medulla(腎髄質内層;腎皮質内線条;内髄質)Stria interna medullae renalis じんずいしつないそう;じんひしつないせんじょう Feneis: 182_31

[A08_1_01_023]

Renal papilla(腎乳頭)Papilla renalis じんにゅうとう Feneis: 182_35

[A08_1_01_027] →(小腎杯に突出する腎錐体の先端を腎乳頭と呼ぶ。腎乳頭の数は腎錐体の数より少ないが、これは1個の腎乳頭が2個、ときに3個の腎乳頭が集まって形成されることがあるためである。腎乳頭を表面から見ると、10~15個の乳頭孔が開口しており、肉眼的にもふるい状にみえるため、この部分を篩状野と呼ぶ。)

Renal crest(腎稜)Crista renalis じんりょう Feneis: 182_36

[A08_1_01_028]

Renal pyramids; Medullary pyramids; Pyramid of renal medulla(腎錐体)Pyramides renales じんすいたい Feneis: 182_37

[A08_1_01_029] →(腎錐体は腎の横断面に見られるピラミッド型の塊で、分泌管の一部と集合管を含む。腎柱によって分けられた6~20個の錐体状の部分。髄質を構成する。)

Base of renal pyramid(錐体底;底(腎錐体の))Basis pyramidis renis すいたいてい;てい(じんすいたいの)

[A08_1_01_029_1] →(錐体の底部で皮質髄質境界にある。 (Feneis))

Cribriform area of renal papilla(篩状野(腎乳頭の))Area cribrosa papillae renalis; Areae cribrosae renis しじょうや(じんにゅうとうの) Feneis: 182_38

[A08_1_01_030]

Openings of papillary ducts; Openings of renal papillary ducts(乳頭孔;腎乳頭孔;開口部(乳頭管の))Foramina papillaria renalis にゅうとうこう;じんにゅうとうこう;かいこうぶ(にゅうとうかんの) Feneis: 182_39

[A08_1_01_031]

Renal corpuscle; Malpighian corpuscle(腎小体)Corpuscula renale じんしょうたい Feneis: 184_22

[A08_1_01_031_1] →(腎小体は、糸球体とそれを包む糸球体嚢からなる。別名をマルピギー小体Malpigin corpuscleともいい、腎皮質の曲部(または皮質迷路部cortical labyrinth)中に存在する直径0.15~0.25mmの球形の小体である。腎小体は、①糸球体、②その支持組織であるメサンギウム(血管間膜)mesangiumおよび、③これらをおおう2重の上皮である糸球体包glomerular capsule(またはボウマン嚢Bowman's capsule)の3要素からなる。腎小体の1側は血管極vascular poleと呼ばれ、ここから輸入細動脈および輸出細動脈が相接して出入りする。血管極の反対側は尿管極(または尿細管極urinary pole)と呼ばれ、ここで糸球体包が近位尿細管に移行する。切片標本では1個の腎小体上で血管極と尿管極が同時に関されることはまれである。)

Glomerulus of kidney; Renal glomeruli(腎糸球体;糸球体)Glomeruli じんしきゅうたい;しきゅうたい Feneis: 184_23

[A08_1_01_031_2] →(糸球体(複数形ではGlomeruli)は、腎小体中に存在する球状の毛細血管網である。この毛細血管は輸入および輸出細動脈の間に介在するため、動脈と静脈の間に介在する通常の毛細血管と区別するため、偽毛細血管false capillariesと呼ばれることがある。輸入細動脈は、糸球体に入るとまず大きく2つに枝分かれしたのち、さらに次々と分岐・吻合して、迷路状の糸球体毛細血管網glomerular capillary networkを形成する。糸球体毛細血管は、ついで次々と合流して1本の輸出細動脈となり、血管極から糸球体を出る。時に2本の輸出細動脈が認められることもある(重複輸出細動脈)。糸球体毛細血管の内皮細胞は、核の近辺以外では非常に薄く、その壁の厚さは約0.04μmしかない。この内皮細胞の壁には、電顕的に直径0.06μm程度のほぼ円形の窓構造fenestrationが無数に見られる。すなわち遊走内皮細胞fenestrated endotheliumである。糸球体毛細血管内皮細胞は、厚さ約0.33μm程度の厚い糸球体基底膜glomerular basement membraneによって裏打ちされている。この基底膜はコラーゲンを主成分とするため、Azan染色で美しい青色に、またM-G染色では緑色に染色される。また多糖類を含むまたPAS染色陽性である。)

Glomerular capsule(糸球体包)Capsula glomeruli しきゅうたいほう Feneis: 184_24

[A08_1_01_031_3] →(糸球体包は、別名をボウマン嚢Bowman's capsuleともいい、糸球体をおおう内外2層の扁平上皮からなる。糸球体包の内壁上皮visceral epitheliumは、糸球体毛細血管に密着してこれらをおおう扁平上皮である。ただし毛細血管内皮細胞との間には糸球体基底膜が介在する。これに対し外壁上皮parietal epitheliumは、糸球体から離れ、球状の袋を形成して間接的に糸球体をおおう。これら内外両壁間の間隙を包内腔capsular spcaeと呼ぶ。外壁上皮は尿管極で近位曲尿細管に移行するため、糸球体から包内腔に出た原尿は近位尿細管の管腔に移行する。糸球体包の内壁上皮は、光顕では比較的明るい卵円形の核をもち、この核は包内腔に突出して見える。この細胞は電顕的には多数の足状の突起である細胞小足pedicelをもつため、足細胞またはタコ足細胞podocyteと呼ばれる。足細胞は多数の細胞小足の先端で糸球体基底膜に付着している。細胞小足は、足細胞の細胞体や、その太い一字突起primary processからも出るが、それらがさらに分岐した2次突起secondary processや、3次突起tertiary processから出る者が多い。基底膜に付着する最終的な細胞小足を終足end-feetという。糸球体を操作顕微鏡で表面から観察すると、終足の長さは約1μmで、隣接する終足との間に幅約1μmで、隣接する終足との間に幅約0.03μmの間隙(スリット)を形成している。スリットは、異なる足細胞の終足が1本ずつ交互に組み合わされたものである。透過電顕による高分解能観察によれば、隣接する終足のて底部は、スリット膜slit membraneと呼ばれる厚さ約5nmの薄い膜様構造によって結ばれている。一方、糸球体包外壁上皮は、典型的な扁平上皮で、細胞体は薄く広がっており、光顕では暗く名が細い核がまばらに観察される。糸球体包の内壁上皮(足細胞)と外壁上皮とは、発生学的には同一の起源をもち、血管極では両者は移行する。)

Urinary tubule; Renal tubule; Convoluted tubule of kidney(尿細管)Tubulus renalis にょうさいかん Feneis: 182_21

[A08_1_01_031_4] →(尿細管は腎臓の構成単位となる顕微鏡的小管で、ここで排泄物以外の選択的再吸収がおこなわれる。蛇行したり直行したりするとともに、太さも構造も一定の変化を示して走るが、集合管という太い管に注ぐまでは合流も分岐もしない。したがって一つの腎小体とそれに続く一本の尿細管を尿生産と排泄の機能体位と見なし、これを腎単位またはネフロンという。)

Convoluted uriniferous tubules; Convoluted tubule of kidney(曲部(尿細管の);曲尿細管)Pars convoluta きょくのうしゃいかん

[A08_1_01_031_5]

Straight segments of renal tubules(直部(尿細管の);直尿細管)Pars recta ちょくにょうさいかん

[A08_1_01_031_6]

Intrarenal arteries(腎臓の動脈;腎内の動脈)Arteriae intrarenales じんぞうのどうみゃく;じんないのどうみゃく Feneis: 184_07

[A08_1_03_001]

Interlobar arteries of kidney(葉間動脈(腎臓の))Arteriae interlobares; Arteriae interlobares renis ようかんどうみゃく(じんぞうの) Feneis: 184_08

[A08_1_03_002]

Arcuate arteries; Arched arteries (of kidney)(弓状動脈(腎臓の))Arteriae arcuatae renis きゅうじょうどうみゃく(じんぞうの) Feneis: 184_09

[A08_1_03_003] →(弓状動脈 アーチ状の走行をとる動脈。腎臓では、皮質と髄質の境界に沿ってアーチ状をに走り、ここから小葉間動脈が皮質表面に向かって放射状に分岐する。また、足背の弓状動脈は、足背動脈から起こってアーチ状に走り、中足骨間などに枝を送る。[医学書院医学大辞典:坂井建雄])

Cortical radiate arteries of kidney; Interlobular arteries of kidney(小葉間動脈;放射状皮質動脈(腎臓の))Arteriae corticales radiatae renis; Arteriae interlobulares しょうようかんどうみゃく;ほうしゃじょうひしつどうみゃく(じんぞうの) Feneis: 184_10

[A08_1_03_004]

Afferent glomerular arteriole of kidney(輸入細動脈[糸球体](腎臓の))Arteriola glomerularis afferens renis ゆにゅうさいどうみゃく[しきゅうたい](じんぞうの) Feneis: 184_11

[A08_1_03_005] →(輸入細動脈は血管極から腎小体に入り、そこで糸球体毛細血管glomerular capillaryに分岐し、糸球体を形成する。これらの毛細血管は再び1本の輸出細動脈efferent arterioleにまとまり、血管極より糸球体を出る。)

Efferent glomerular arteriole of kidney(輸出細動脈[糸球体](腎臓の))Arteriola glomerularis efferens renis ゆしゅつさいどうみゃく[しきゅうたい](じんぞうの) Feneis: 184_12

[A08_1_03_006] →(輸出細動脈は糸球体からでてくる血管で輸入細動脈より細いが、この太さの差が糸球体瀘過圧の形成に役立っている。輸出細動脈のその語の流路皮質ネフロンと髄傍ネフロンとで異なる。皮質ネフロンは、直ちに尿細管周囲毛細血管網peritubular capillary networkを形成し、皮質内に分布する。一方髄傍ネフロンはの場合は、輸出細動脈の大部分は下降して髄質外帯に入り、ここで弓に多数の細動脈に分岐する。これらの一部は直ちに密な尿細管周囲毛細血管網を形成して髄質外帯に分布するが、残りの細動脈は血管足を形成し、真直ぐに髄質中を下行する。輸出細動脈由来のこのような直走する下行細動脈を偽直細動脈Arteriolae rectae spuriaeという。「偽」といわれる理由は、弓状動脈から直接髄質に向かう(真)直細動脈Arteriolae rectae spuriaeも少数ながら存在するとされるためである。しかし直細動脈は元来は偽直細動脈であったが、糸球体が何らかの原因で退化したために輸入と輸出細動脈が直接連続したものだという説もある。いずれにせよ、真直細動脈が存在するとしても少数なので、機能上は無視できる。すなわち、髄質の動脈血のほとんどは糸球体を経由し、輸出細動脈由来であると考えてよい。直細動脈(偽および真)は、髄質のいろいろな高さで尿細管周囲毛細管網を形成したのち、壁は薄いが内頚は毛細血管より厚い直細静脈venae rectaeとなり上行する。直細動・静脈を合わせて直細血管Vasa rectaeという。直細血管束と、これらを取り巻くヘンレのループで配列されていて、このことは対交流交感countercurrent exchangeに役立つと考えられている。)

Perforating radiate arteries of kidney(放射貫通動脈(腎の))Arteriae perforantes radiatae; Arteriae perforantes radiatae renis ほうせんかんつうどうみゃく(じんの) Feneis: 184_13

[A08_1_03_007]

Vasa recta; Straight arterioles of kidney(直細動脈;直血管(腎臓の))Arteriolae rectae renis; Vasa recta renis; Vasa recta vera ちょくさいどうみゃく;ちょくけっかん(じんぞうの) Feneis: 184_14

[A08_1_03_008]

Capsular branches of intrarenal arteries(被膜枝(腎臓内動脈の))Rami capsulares arteria intrarenalium どうみゃくのひまくし(じんぞうないどうみゃくの) Feneis: 184_15

[A08_1_03_009] →(腎臓内動脈の被膜枝は皮質動脈と放射状貫通動脈からの枝で皮膜に分布する。)

Intrarenal veins(腎臓の静脈;腎内の静脈)Venae intrarenales じんぞうのじょうみゃく;じんないのじょうみゃく Feneis: 184_16

[A08_1_04_001]

Interlobar veins of kidney(葉間静脈(腎臓の))Venae interlobares renis ようかんじょうみゃく(じんぞうの) Feneis: 184_17

[A08_1_04_002]

Arcuate veins of kidney(弓状静脈(腎臓の))Venae arcuatae renis きゅうじょうじょうみゃく(じんぞうの) Feneis: 184_18

[A08_1_04_003] →(腎臓の弓状静脈は皮質髄質境界部にある弓状に走る静脈。)

Cortical radiate veins of kidney; Interlobular veins of kidney(小葉間静脈;放射状皮質静脈(腎臓の))Venae corticales radiatae renis; Venae interlobulares しょうようかんじょうみゃく;ほうしゃじょうひしつじょうみゃく(じんぞうの) Feneis: 184_19

[A08_1_04_004]

Venulae rectae of kidney; Straight venules of kidney(直細静脈(腎臓の))Venulae rectae renis; Venous vasa recta ちょくさいじょうみゃく(じんぞうの) Feneis: 184_20

[A08_1_04_005]

Stellate veins of kidney(星状細静脈;星状静脈(腎臓の))Venae stellatae renis せいじょうさいじょうみゃく(じんぞうの) Feneis: 184_21

[A08_1_04_006]

Renal pelvis; Pelvis of kidney(腎盤;腎盂)Pelvis renalis じんばん;じんう Feneis: 184_25

[A08_1_05_001] →(腎盤は腎門において漏斗状を呈する尿管の起始部。尿管上端の扁平な漏斗状膨大部で腎杯を受け、先端は尿管に続いている。腎臓で産生される尿は腎錐体の先端にある多数の乳頭孔から排出され、乳頭をとり囲む杯状の嚢、すなわち腎杯に受け入れられる。乳頭を囲む腎杯を小腎杯といい、小腎杯がさらに合して2~3個の大腎杯になる。大腎杯は内下方に集まって三角形状の嚢、すなわち腎盂(腎盤)になる。腎盂は下方に向かって漏斗状となり、尿管に移行する。Pelvisとは、水盤とか洗面器とかいう意味である。解剖学名のpelvisには骨盤と腎盤との2種類があるから、腎盤の時にはpelvis renalisとしないと混同する危険がある。)

Branching type of renal pelvis(分枝型(腎盤の))Typus dendriticus pelvis renalis ぶんしがた(じんばんの) Feneis: 184_26

[A08_1_05_002]

Renal calices(腎杯)Calices renales; Calix renalis じんぱい

[A08_1_05_002_1] →(腎乳頭を杯状に取り囲む尿を受け入れる嚢。乳頭を囲む腎杯を小腎杯といい、小腎杯がさらに合して2~3個の大腎杯になる。)

Major calices; Major renal calyces; Major calyx(大腎杯)Calices renales majores だいじんぱい Feneis: 184_27

[A08_1_05_003] →(2~3個の、腎盤の一次分枝。 (Feneis))

Superior calyx of kidney(上腎杯)Calyx superior renis じょうじんぱい Feneis: 184_28

[A08_1_05_004]

Middle calyx of kidney(中腎杯)Calyx medius renis ちゅうじんぱい Feneis: 184_29

[A08_1_05_005]

Inferior calyx of kidney(下腎杯)Calyx inferior renis かじんぱい Feneis: 184_30

[A08_1_05_006]

Minor calices; Minor renal calyces(小腎杯)Calices renales minores しょうじんぱい Feneis: 184_31

[A08_1_05_007] →(大腎杯がさらに分枝してつくられる7~13個の腎杯で、腎乳頭がそのなかに突出している。 (Feneis))

Ampullary type of renal pelvis(嚢状型;膨大型(腎盤の))Typus ampullaris pelvis renalis のうじょうがた;だいぼうだいがた(じんばんの) Feneis: 184_32

[A08_1_05_008]

Adventitia of renal pelvis(外膜(腎盤の))Tunica adventitia pelvis renalis がいまく(じんばんの) Feneis: 184_33

[A08_1_05_009]

Muscular layer of renal pelvis(筋層(腎盤の))Tunica muscularis pelvis renalis きんそう(じんばんの) Feneis: 184_34

[A08_1_05_010]

Mucous membrane of renal pelvis(粘膜(腎盤の))Tunica mucosa pelvis renalis ねんまく(じんばんの) Feneis: 184_35

[A08_1_05_011] →(粘膜とは、体内の器官を被う面のうちで、体の外表につながるような面に対して与えられる名称である。そのような粘膜は、上皮epitheliumとこれを直下で支える結合組織(固有層と称する)との2つの基本要素からなる。固有層を作る結合組織の中には、ときに平滑筋層が存在するが、そのさいにはこの平滑筋層のことを粘膜筋板とよぶ。粘膜が表面に粘液を分泌する場合としない場合とがある。)

最終更新日: 19/10/13

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