Rauber Kopsch Band1. 22

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関節学Arthrologia, Gelenklehre

A. 関節学総論Allgemeine Muskellehre

 生体の中で数多くの骨がいろいろなものによってたがいに離れぬようにまとめられている.そのまとめ役をする最もだいじなものとしては:

 1. 結合および支持組織

 2. 筋肉

 それと共に程度はずっと低いが次の要素もその働きをしている.

 3. 空気圧

 4. 粘着力

 5. 被いをなす外部組織

 筋膜や皮膚による外被äußere Bedeckungenはそのほかのどの要素にくらべても,ごく低い程度にしか問題にならない.

 粘着力Adhäsionもあまり大したものではない.たとえば股関節の関節窩は35gしか支持できない.

 空気圧Luftdruckは小さい関節面ではその面積と気圧(1cm2に対して1kg)との積に等しい力で,諸骨の関節端をたがいにひぎ寄せている.

 股関節ではこの力は約10~15kg,手関節では約5kgである.

 筋肉の牽引力Muskelzugは関節の接合に大きな力で働いている.何となれば筋肉の力は1cm2の横断面の筋肉につき約10kgにものぼるのである.Fischer(R. Fick,第2巻44頁)は50ポンドの重さをもち上げるとき,肘関節の両関節端をたがいに押しつけている筋肉の圧力を数百ポンドとみている.またHultkranzは手に2kgの負荷をあたえる場合のそれを20~21kgと見積つている.

 筋肉による骨の結合については筋肉系のところで述べる.

 結合および支持組織Bindesubstanzenによる結合は骨の結合Juncturae ossiumにおいては次の2型としてあらわれている.

 I. 不動結合Synarthrosisすなわち連続性の結合.これは骨の結合の原始型である.

 II. 可動結合Diarthrosisすなわち接触による結合.骨格部分のあいだに裂隙が形成されることによる.

I. 不動結合Synarthrosis, Fugen

 不動結合においては結合する骨のあいだの運動性が非常に少いのが普通である.

 不動結合においては結合する骨のあいだの運動性が非常に少いのが普通である.

 不動結合に利用されている結合物質の種類はさまざまで,それによって次の各型が区別される.

1. 骨結合Synostosis, Knochenhaft:骨組織による結合で,たとえば成人の仙骨における各仙椎の結合や,側頭骨・前頭骨・後頭骨の諸部分と蝶形骨との結合などである.

2. 軟骨結合Synchondrosis(および線維軟骨結合Symphysis), Knorpelhaft:軟骨組織(硝子および線維軟骨)による結合で,たとえば骨端軟骨結合Synchondrosis epiphyseosや蝶形後頭軟骨結合がこれである.

関節の解剖学と力学について参照すべきものはR. Fick, Handbuch der Anatomie und Mechanik der GeIenke. I. Teil. Anatomie der Gelenke. Jena 1904. II. Teil. Allgemeine Gelenk-und Muskelmechanik. Jena 1910. III. Teil. Spezielle Gelenk-und Muskelmechanik. Jena 1911.-Strasser, Lehrbuch der Muskel-und Gelenkmechanik, 4 Bde., Berlin1908~1917.--Knese, Gelenkstudien I, II, III. Z. Anat. ENtw.115. Bd.1950. (原著註)

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 線維軟骨結合(Symphorsen, 単にFugenともいう)はその結合物質が線維軟骨でできているわけであるが,Fickによればこれと硝子軟骨をそなえているはずの本来の軟骨結合との区別は,はっきりつけかねるのである.何となれば胸骨と第1肋骨のあいだの軟骨結合を除けば,硝子軟骨だけでできている軟骨結合はどこにもなく,いつも線維軟骨が混在しているからである.

3. 靱帯結合Syndesmosis, Bandhaft:膠原線維または弾性線維による結合で,そのうち

  a)強靱靱帯結合Straffe Bandhaftにおいては膠原線維性の固い結合組織によって結合し(たとえば鎖骨間靱帯・茎突舌骨靱帯など),

  b)弾性靱帯結合elastische Bandhaftにおいては弾性組織によって結合している(たとえば脊柱の弓間靱帯).

  c)縫合Sutura, Nahtは相隣る2つの骨縁がうすい結合組織板によって連ねられることを特徴としている.

 向い合う骨縁の形によってとくに次の各種を区別する:

  α)鋸状縫含Sutura serrata, Zackennahtはたいていの頭蓋骨のあいだに存在する.この縫合の特徴は骨縁にいろいろな形をした鋸歯状の凹凸があって,向い合う骨のこれに相当する凹凸にかみ合っているこ とである.

  β)鱗状縫合Sutura squamalis, Schuppennahtは両骨の辺縁がうすくとがっていて,それが鱗のように重なり合ってできている.たとえば側頭鱗と頭頂骨との結合がこれである.

  γ)平滑縫合Sutura levis, Glattnahtはギザギザのない両骨縁が相接してできている.涙骨と篩骨の紙様板との縫合がその1例である.

  δ)釘植Gomphosis, Einzapfung(γµψoζ=釘)は歯槽内での歯根の固定様式のようなものである.

II.可動結合Diarthroses=関節Articuli, Gelenke

1.一般事項

 可動結合は狭義の関節で,可動性をもつ骨結合のことである.この結合においては運動に対する抵抗が非常に少なくなっている.

  それぞれの関節に次のようなものが区別される(図377を見よ).

 1. 関節面Facies artticulares, articulierende Flächen(たいてい硝子軟骨で被われている).

 2. 関節包Capsula articularis, Gelenkkapsel(内側の滑膜層と外側の線維層とからなる).

 3. 関節腔Cavum articulare, Gelenkhöhle(滑液でみたされている)

 4. 特別の装置(補強靱帯・関節円板・関節唇・滑液包)

[図377] 関節の模型図

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1. 関節端の表面の被いは,たいてい硝子軟骨の関節軟骨Cartilago articularisでできている.(例外:胸鎖関節・顎関節などでは関節面が一部線維軟骨で被われている).関節軟骨は粗面をもって骨に固着し,その軟骨細胞は多層をなしており,軟骨細胞の配列の方向は重層扁平上皮における細胞のかさなりぐあいを想い出させる.すなわち深層では軟骨細胞が垂直方向の列をなしているが,表層では扁平になっている.関節軟骨の表面は肉眼でみると平滑であって鏡のように光つている.しかし顕微鏡でしらべると磨滅の徴候がたくさんに見られる(Hammar).また硝子軟骨の層が直接に骨につづいているのではなく,その間に石灰化した軟骨の層が介在している.

 軟骨層の厚さはまちまちであって,同一の関節の中でも一定でないし,体の各関節のあいだでも異っている.Wernerによれば最も厚い軟骨層(6mm)は膝蓋骨の後面を上下に走るたかまりにあり,最もうすいのは0.2mmである.概してその厚さは0.2~0.5mmというところである.

 関節軟骨はBrauneおよびFischerが証したように著しく変形できるのであって,実際の利用面は(たとえば膝関節において)運動が起ってから初めて生じるのである.--関節窩の軟骨は関節頭のそれより軟かい.(Bär, Arch. Entw.-mech.,108. Bd.,1926)

 軟骨の構築方向・張力分布・裂隙方向についてはHultkrantzの興味ふかい研究がある.彼は丸い錐のような尖った器具で軟骨の表面を刺して孔をつけ,孔のまるい形がゆがんでゆく方向をしらべた.この裂隙方向から関節軟骨における線維の走向と張力の模様を知ることができるのである.一硝子軟骨の機能的構造についての綜説をBenninghoffがErgeb. Anat. u. Entwickl., 26. Bd.,1925 にのせている.HolmdahlおよびIngelmark(Acta anat.1948)

は家兎において,はたらきつつある関節では関節軟骨の厚さが増すが,過度のはたらきと無活動ではいずれも組織破壊が起ることを示した.生きている人についてEkholmとIngelmarkが研究した所によると(Holmdahl, Ann. med. int. fennicae, Bd. 42,1953を参照せよ),関節の活動時には軟骨が急に("momentan")厚さを増し,その後もとの形にもどるというのである.

 2. 関節包Capsula articularis. Gelenkkapsel. 2つの骨の正常な結合を可能にしているのは,両関節端を共通に包むふくろ状の膜(ピンと張っていることもゆるんでいることもある)すなわち関節包である.

 関節包は単純に1つの関節面の縁から起って,もう1つの関節面の縁につく場合と,関節軟骨の縁よりうしろにある骨の一定部分を被うたのち反転して第2の骨に向い.いずれかの様式でこれと結合する場合とがある.骨との結合は常に骨膜を介して行われる.すなわち関節包は骨膜と比較的疎に,あるいは比較的かたく接合して,結局これと融合し,また関節軟骨の縁から先では骨膜から遊離している.

 関節包には滑膜層Stratum synoviale, Gelenkinnenhaut od. Synovialhautとよばれる内層と,線維層Stratum fibrosum, fibröse Schichtとよばれる外層がある.

 滑膜層は弾性線維のまじつた結合組織層で,その中に脈管と神経が存在する.その線維層の網のあいだにところどころ脂肪細胞が散在し,まれには軟骨細胞も存在する.腺はない.その反対に沢山あるのが関節腔のなかへ伸びだす突起で,これにはいくつかの種類がわけられる.

 a)滑膜皺襞Plicae articulares, Gelenkhautfalten, Synovialfaltenは脈管をもつ突起で,その脈管の豊富さは驚くほどである(図379).

 b)関節絨毛Villi articulares, Gelenkhautzottenはさらに小型の突起で,脈管にとぼしく,あるいはこれを欠いている.散在性の脂肪細胞や軟骨細胞をふくむこともある(図380).

 いくつかの関節にはかなりのひろがりをもった脂肪隆起Fettwülsteがあり,とくに大きなものが膝関節と股関節とにある.

 滑膜層の内面は以前に考えられたように内皮で被われているのではなく,結合組織が直接に関節腔に面している(図378) (Hammar, I. A., Arch. mikr. Anat., 43. Bd.,1894)

 関節包の線維層は関節により,また同一の関節でも場所によって厚さが違っている.

 この層を構成する強靱結合組織束はたがいに平行して,たいてい縦の方向に走っている.弾性線維はごくわずかしか存在しないことが多い.

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隣りあう線維束のあいだに時おり大小不定のすきまがあり,そこから滑膜層が外へ向って伸び出して,小さい袋をつくっていることがある.外科医はこれをガングリオンGanglionとよび,また俗にはÜberbein(骨の瘤)とよばれる.

 関節包の線維層が付着するところは,関節面の軟骨の縁からかなり隔つていることも, あまり離れていないこともある.(関節面の縁のすぐきわに付いている例は指関節の関節窩であり,ずっと離れたところに付いている例は大腿骨の頚にみられる.またFickが"Kapselrinne"(関節包溝)と命名したところの1つの溝に付着することもしばしばである(たとえば上腕骨の解剖頚,寛骨の耳状傍溝).

 血管は非常に豊富で関節血管網Rete articulareをなしている.神経終末はファーテル小体のかたちで多数存在している.

 近隣の筋や腱が関節包をどのように補強し保護しているかは,非常に重要なことであるが,関節学と筋学の各論で述べることにする.また種子骨とよばれる介在骨についてもやはりそこで述べる.

[図378] 関節包の滑膜層の垂直断(Braunによる)

[図379] 関節皺壁(滑膜皺壁)の断面(Hammarによる)

[図380] かなり大きい関節絨毛(Hammarによる)

3. 関節腔Cavum articulare, Gelenkhöhleは裂隙状の毛細腔にすぎない.骨の関節端と,そのほかの関節内容物ならびに関節包は,たがいに密接しているからである.これらの諸部分のあいだには,ごく少量の関節滑液がはいっている.

 滑液Synovia, Gelenkschmiereは糸をひく透明な液で,酢酸で混濁し,粘液素(ムチン)をふくんでいる.

 この液の中にはバラバラになった細胞や,細胞のなごりや,脂肪顕粒が含まれていることがはなはだしばしばであるが,さらに絨毛がねじれ切れたりちぎれたりして,はいっていることもある.

 4. 関節における特殊装置の数は非常に多い.

 a)まず述べるべきものは,いわゆる補強靱帯Verstärkungsbänder(Haftbänder)という線維束や線維板が関節包の線維層を補強していることである.

 補強靱帯は関節の形に応じてそれぞれ特別の場所に存在していて,両骨の結合を保全したり,関節運動を確実にするものもあり(誘導靱帯Führungsbänder),あるいは過度の運動を抑え,従って運動範囲を制限するものもある(抑制靱帯Hemmungsbänder).

 関節靱帯もごくわずかの弾性線維を含んでいる.足の諸靱帯に弾性線維が存在することをH. Straub(Acta anat.11. Bd.,1950)が報告している.

b)関節の内部にある靱帯は関節内靱帯Binnenbänderとか骨間靱帯Zwischenknochenbänderとかよばれるもので,その機能によってやはり結合靱帯・誘導靱帯・抑制靱帯などに分けられる.

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c)関節円板Disci articulares, Zwischenscheibenと関節半月Menisci articulares:

 膠原線維の束または線維軟骨でできた固い線維性の構造物である.関節包と結合し,両関節面のあいだにはいりこんでいる.そして関節円板の場合には関節腔を2つの室に分離し,関節半月の場合には関節腔内へ或る距離だけ,次第にうすくなりながら伸び出している.従って関節半月の横断面はクサビ状である.

 関節円板の意義は第1に,その構造が激しい衝突力を柔らげるので,緩衝物としてはたらくことである.また関節円板は一種の移動できる関節面をなしているのであって,これは人においても手術で除去したのちにふたたび新たに形成され得るのである(F. E. Stieve, Z. rnikr.-anat. Forsch., 46. Bd.,1939),関節円板は関節腔をほぼ完全に分離した2つの室に分けるので,実地医学で重要なものとなる.しかし関節の機構に対してこの装置が決定的な影響をもつという場所はない.

 d)関節唇Labia articularia, Pfannenlippenもまた散在性の軟骨細胞をまじえた線維性の固い結合組織からなり,輪状の高まりをなして関節窩の壁のつづきをつくっている(肩関節・股関節など).軟骨や骨の縁から幅のひろい底をもって起り,先の方にゆくほど薄くなってとがっている.

 e)連通滑液包kommunizierende Schleimbetitel(滑液包および滑液鞘Bursae et Vaginae synoviales)は膝関節・肩関節などのいくつかの関節に存在している.

 壁のうすい大小さまざまのふくろで,その内面は平滑で関節包の滑膜層のつづきで被われ,滑液によってぬれてツルツルしている.これらは腱または筋のすべりをよくするのに役だっている.その存在する場所を知ることは実地の医学で大きい意味がある.何となればそこは関節の中でもある程度弱い場所であって,関節腔内の液体が増加するさい.その圧力に最もたやすく屈する可能性があるからである.

2.可動結合の分類

 軟骨で被われた関節端が相接して滑るには,両関節面が規則正しい形をしていなければならない.両関節面の形はぴったり合っていることもあり,そうでないこともある.合っていない場合には,滑膜ヒダとか円板とか半月とかが関節腔にはいりこんで,両関節面の形の不相応をなくするか,あるいは少くしているのが普通である.相対する関節面が大きさを異にすることは非常にしばしばである.

 関節面は平面のこともあり,回転体の表面の一部をなしていることもあり,またもっと複雑な形のこともある.平面関節面は無限大の半径をもっと考えることによって,回転体の群に属させることができる.

 回転体の表面は,直線または任意の単純曲線が,それと同一平面内にある1つの軸を中心にして回転することによって生じると考えられる面である.

 回転する線が直線で回転軸に平行なときには円柱が生じ,直線であって回転軸に平行でないときには円錐が生じる.また回転する線が半円形で,軸がその直径である場合には球ができる.回転する線が円弧で,軸がその凸側にあるときには鞍型の関節面ができ,軸が凹側にあるときは「ビール樽型」が生じる.また楕円がその軸の1つを中心にしてまわると,回転楕円体ができる等々である(R. Fick, Handbuch, II. Teil).

 もちろん胎児のときに関節面はこんな風にして生じるのではなく,相接する軟骨または骨化しつつある骨格部分のあいだを埋めている軟かい組織に,その骨格部分に対して横の方向に隙間ができて,これがのちの関節腔のはじめなのである.すでにこの隙間ができる前に軟骨端にはのちの形態一すなわち後に各関節の特徴となる円蓋面・陥凹面・平面などの形態--の原型が認められる.そのさい筋の停止に近い関節端は関節窩に改造され,筋の停止から遠い関節端は関節頭となるのが二普通である(R. Fick, Verh. anat. Ges.1928).--S. Krompecher und K. Goerttler, Die Grundlagen einer experimentellen Gelenkbildung. Verh. anat. Ges. Anat. Anz. 87. Bd.,1939.

 出来上がった関節はHermann Meyerに従って次のように分類される.

 1. 形によって次のものが区別される:平面関節・球関節・卵形関節・鞍関節・円柱関節・ラセン関節・円錐関節・混合関節.

 2. 回転軸によって:1軸関節・2軸関節・3軸関節および多軸関節が区別される.

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 3. 運動の型によって:関節においてはいろいろな様式で円周運動や放射状運動や回旋運動が行われる.

 4. 関節をなすために集まっている骨の数によって:単関節と複関節とがわけられる.

 5. 関節の形をつくるのに利用された回転体の連続性によって:連続関節と不連続(複合)関節とが区別される.

 6. 機能の分布によって:1つの関節内に運動のしかたのちがう2つ以上の部分が分れている関節と,分れていない関節とがある.

 これらの分類のうちで記載解剖学上問題となるのは次の2つである.

A. 関節を作るために集まっている骨の数によって次の2種を区別する.

 a) 単関節Articulus simplex:ただ2つの骨が結合して関節をなしている場合(肩関節・股関節など).

 b)複関節Articulus compositus:2つより多くの骨が関節結合をする場合(肘関節・椀骨手根関節など).

 この分類に対して次に述べる第2の分類は全く別のもので,関節を形によって区別するのである.この場合まず関節は可動性の大小によって可動結合半関節の2群に大別され,前者がさらに細かく分けられる.

B. 関節結合する骨の形による分類:

 a)可動結合Diarthroses(関節Articuli)すなわち充分によく動く関節:

 1. 球関節Articulus sphaeroideus, Kugelgelenk(その例としては肩関節).球と杯のような両関節面をもち,凸の面すなわち関節頭Gelenkkopfが,凹の面すなわち関節窩Gelenkpfanneの中で動く.球関節では可動性が極度に大きい.

 2. 杵臼関節Enarthrosis sphaeroidea, Nußgelenkは一種の球関節で,その関節面が半球より大きいものである(股関節).

 3. 円柱関節Articulus cylindroideus.一方の関節端が円柱状の滑車をなし,これに結合する骨の関節端はそれに応じてえぐられている.運動は滑車の軸にあたる1つの軸のまわりに回転しうるだけである.この関節をさらに分解すると,

a)蝶番関節Ginglymus, Scharheiergelenk. この種の関節では滑車に導溝Führungsrinneという溝がついており,もう一方の関節端には,それに相当する場所に導隆線Führungsleisteがある.導溝と導隆線とが共同して,運動が導線Führungslinieに沿って進むように決定している(例えば肘関節の腕尺部).

 β)車軸関節Articulus trochoideus, Radgelenk. 関節頭が円板状をなし,その周りがそれに応じてえぐれた関節窩に接して滑る(例として肘関節の橈尺部).

 4. 楕円関節Articulus ellipsoideus, Ellpsoidgelenk. 関節面がだいたい楕円体に似た形である.この開節の可動性は非常に大きい(例として橈骨手根関節).

 5. 鞍関節Articulus sellaris, Sattelgelenk. 一方の関節面が1方向には凹,これと直角の方向には凸に弯曲して鞍のような形をしている.これに接する他方の関節面も同様に鞍状であるが,ただ弯曲の凹凸が前のものと逆になっている.

 6. 平面関節Articulus planus, ebenes Gelenkは関節面が平面をなすような関節である(頚部脊柱の椎間関節).

 しかしこれを球関節と考え,その関節面を非常に大きな径をもつ球の表面の一部とみなすこともできる.

b)半関節Amphiarthrosisは運動性のはなはだ少ない関節である.両関節面は多少とも相一致するが,強靱な関節包と力つよい靱帯のために充分の運動性がさまたげられているのである.

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最終更新日 13/02/03

 

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