Rauber Kopsch Band2. 22

4. 子宮Uterus. Gebärmutter(図275, 276, 284286, 288290)

 子宮は対称的な構造をしていて,壁の厚い器官である.これは卵管から運ばれて来た受精卵を受け入れて,それが発達して行くあいだ宿して養い,その上で成熟した胎児を分娩によって体外に送りだすはたらきをしている.

 完成された若い女の子宮は,前後に圧平されて,中央がくびれた,西洋ナシのような形をしている.小骨盤のなかで膀胱と直腸の間に入りこんでいて,その上端は骨盤入口の上には出ていない.上部はやや前屈し,下部は腟円蓋に包まれている.したがって下部は腟のなかにはまりこんでいて,後下方に向いている.子宮の縦軸は骨盤軸とほぼ一致している.子宮はそれゆえ膀胱面Facles vesicalisと直腸面Facles rectalisをもっている.

 子宮の上部はすでに上に述べた子宮広ヒダという腹膜のひだに包まれている.このヒダの後葉はずっと下方まで達していて,腟円蓋の上も被っている.しかし前葉はそれより早く膀胱底のところで上方に折れ返っている.

 若い女の子宮の長さは平均6~7.5cmで,幅は子宮底のところで4.0~5.5cm,腔上部で1.5~3.0cm,前後の厚さは子宮底で2.2~3.0cm,頚部で1.5~2.5 cmである.

 月経に伴って子宮の性状はかなりに変化する.そして卵が長くその中で発達を続けるあいだに,子宮の大いさ,構造,形,内腔はそれに伴ってはなはだしい変化をおこす.胎児を外に押し出したあとは,子宮は徐々にもとの形に大よそ戻っていくが,決して最初の性状とまったく同じにはならない.それゆえ分娩したことのある女では子宮はどの方向にもやや大きくなっている.しかし年をとって生殖機能を失うと子宮は小さくなり,その諸径は若い女のものよりも小さくなることが普通である.処女の子宮の重量は44~60grであり,一般の婦人で妊娠していないときの重量は89~120grである.

子宮をKörper,Enge,Halsの3部に分ける.

 子宮体Corpus uteri(図284)のうち上部の凸縁をもっていて幅の広い部分,すなわちFundusは卵管の付着部より上に突きでている.下方にゆくにつれて次第に幅がせまくなる.体の下方の部分(ほぼ6mmの長さ)を子宮峡部Isthmus uteriという.しかし峡部の境は外からははっきりしない.後面,すなわち直腸面Facles rectalisは前面すなわち膀胱面Facles vesicalisよりもやや強くふくれている.卵管付着部の前下方で子宮の側縁すなわち外側縁Margo lateralisから子宮鼡径索Chorda uteroinguinalisが出ている.

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[図284]子宮,卵管,卵巣,子宮広ヒダ,腟の上部(9/10)

 腟は左側で切開し,後壁を腔部から切り離して右に折り返してある.右の卵巣は縦に割を入れて開いてある.

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[図285]女の骨盤内臓,骨盤入口からみたところ.

これとほぼ同じ高さで,もっと後方に子宮卵巣索Chorda uterovaricaがついている.子宮頚Cervix uteriは円くてせまい.この部分の下端は腔のなかに突き出ている.したがって腟上部Portio supravaginalisと腟部Portio vaginalisという2つの部分からできている.腟部にはその下端に横の裂け目があり,これを外子宮口Orificium externum uteri, Muttermundといい,子宮腔の腔に対する開口部である.外子宮口は2つの厚い子宮口唇Muttermundlippenでかこまれている.そのうち後方にあるいっそう小さい方のものを後唇Labium dorsaleといい,それより大きい前唇Labium ventraleよりも少し上方にある.しかし後唇には腔が前唇におけるよりもずっと上方で付着してる.それゆえ後唇のほうがいっそう長いように見える.前後の両唇と,も腟の後壁に触れている(図276).

 子宮口唇の縁は処女では平滑で円みをおびている.1度でも分娩をすると平滑でないことが多く,裂け目を示すこともある.子宮口は円くなり,ロート状となる.

子宮の固定装置

 子宮はいろいろなものによってその位置が保持されている.しかしこれらの固定装置の多くは容易に動きうるものである.したがって子宮の位置は正常の状態でもある程度の変化をなしている.

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このようにゆるく固定されていることは病的な位置の変化をひきおこす傾きがあるが,その反面において妊娠のとぎ子宮が著しく大きくなるのを妨げない利点もある. 固定装置には次のもの示ある.

1. 腟とのつながり.腟は子宮の下方へのつづきが変形したものである.

2. 骨盤筋膜Fascia pelvisが部分的に腔,子宮へ移行している.

3. 子宮鼡径索(図275, 276).これは子宮の前面の両側で,卵管の付着部の下方からおこり骨盤の側壁を軽く前方に弓を画いて鼡径管にすすんでいる.この索の長さは約10~12cmで,男の精管と同様に鼡径管のなかにはいっていく.そして外陰部の前面においてその筋線維をふくむ束が広がって,恥丘と大陰唇の皮下組織といっしょになって, いる.

4. 腹膜.

子宮壁の各層(図286, 288, 289)

 子宮の壁は次の諸層からできている.すなわち漿膜である子宮周膜Perimetrium,子宮筋層Myometruim,粘膜である子宮内膜Endometriumの3つである.粘膜下組織は存在しない.

1. 子宮周膜 Perimetriumは膀胱底から子宮体の下部,または子宮頚の上部に達し,子宮の膀胱面に沿って上方にすすんでいる.子宮底のところでは漿膜は比較的固くついている.そこから子宮の直腸面を被って腟円蓋に達し,ついで直腸に移行する.子宮の両側縁から腹膜は子宮広ヒダPlica lata uteriとなって骨盤の側壁に向かっている.そのとき卵管と卵巣,および子宮卵巣索と子宮鼡径索とを包んでいる.その各部分をそれぞれ子宮間膜Mesometrium,卵管間膜Mesosalpinx,卵巣間膜Mesovariumという.腹膜は子宮の後方において両側で対をなしている横走のひだを作っている.その形は半月形で直腸子宮ヒダPlicae rectouterinaeといい,そのなかに直腸子宮筋M. rectouterinusという平滑筋をもっている.これらのもの,および子宮と直腸の間,子宮と膀胱の間にある体腔,ならびにヌツク憩室Divertikulum Nuckiについては漿膜嚢の項を参照されたい.また鼡径管の項, 第1巻376頁も参照のこと

[図286]子宮の上(17才)少数の線毛細胞をもった頚管の上皮(Stieveによる).

2. 子宮筋層Myometrium.子宮の筋層は平滑筋からなりつよく発達している.その筋束はいろいろな方向にからみあっているが,全体として消化管において認めたと同じ型で3層を区別できる.内方の縦走筋層は粘膜筋板に相当している.中央を占める輪走筋層は主として輪状の束からなり,他の層よりも断然よく発達していて,腔所の広い静脈叢がここにある.したがってこの層は血管層Stratum vasculosumとも呼ばれる.外方の縦走筋層にはその外側を縦走する束と内側を横走する束とがあって,漿膜のすぐ下にあり,血管上層Stratum supravasculareとも呼ばれる.子宮筋層の各層が最もはっきりと分れてみえるのは子宮頚である.

 Goerttler(Morph. Jhrb, , 65. Bd.,1930)によると子宮の筋線維はラセン状に走っていて,それらはみな壁の全体を外方から内方に貫き,左右の2方向からくるものが規則正しく交叉している.

 子宮の側縁に沿って筋層と腹膜の両葉の間にある場所と,その内容(主に血管,神経,および原腎管の遺残をふくむ結合組織)は子宮傍[結合]組織Parametriumという.

3. 子宮内膜Endometrium.子宮の粘膜は1.5~2mmの厚さで,粘膜下組織をもたないので,はっきりした境なしに筋層の間質結合組織に移行している.内膜は卵管の粘膜および腟の粘膜に続いている.

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子宮体の粘膜は平滑で軟かい.子宮頚の粘膜はそれより画くて厚く,縦走する2つの高まりをもっていることが著しい.この高まりの1つは前壁に,他の1つは後壁にある.しかしこれらはたがいに触れあわないで,少しずれていてたがいに並ぶようになっている.この高まりからは(とくに前壁の高まりから)きれいに並んだいくつかの小さいひだ,ないしは稜線が外側にのびて,シュロの葉のように広がっている.それゆえ粘膜のこの構造の全体を椋状ヒダPlicae palmataeと名づけている(図290).

 粘膜の結合組織の部分は粘膜固有層Lamina propria mucosaeといい,細胞に富む細かい線維性の結合組織からできていて,そのなかに多数のリンパ球が存在する.粘膜を被っている上皮は単層の線毛上皮である(高さは平均30µ).上皮は月経のときに線毛を失うが,中間期にはふたたび線毛が現われてくる(図286).線毛の動きは腟の方に向かっている.上皮からは単純な形またはフォ一ク状に分れた管状腺が密に集まって固有層に入りこんでいる.これを子宮腺Glandulae uterinaeという.子宮腺はたがいに0.1~0.2mm離れていて,ラセン状に,あるいは軽くうねってのびている.腺体は繊細な基礎膜と単層の丈のひくい線毛円柱細胞からできている.子宮体のなかでは腺はここに述べた形をしている(図289).

 子宮頚の粘膜はいっそう厚くて,その子宮体に近いところでは線毛上皮をもっている(図286).そこでは細胞の高さがほぼ60µである.腟に近い外子宮口に向かったところは重層扁平上皮であって,その下に結合組織牲の乳頭がある.上に述べたような管状腺がわずかに存在するほかに,子宮頚腺Glandulae cervicales uteriという粘液腺がここにある.

 子宮頚腺では寒天様の分泌物がつまって嚢腫となることがある.この嚢腫は粘膜のなかにうずまっていたり,粘膜の表てに突き出ていることもある.このようにしてキビの粒からエンドウ豆くらいの大きさになる.これをナボツト小卵Ovula Nabothi, Nabothseierと名づけている.

子宮腔(図276, 288, 290)

 処女の子宮,あるいは1回の出産後に正常の大きさに復した子宮ではその内腔ははなはだ小さくてせまい.子宮の3つの部分に相当して子宮体腔Cavum corporis uteri,峡管Canalis isthmi,頚管Canalis cervicisを区別する.

 子宮体腔は横の方向の隙間で,子宮底の範囲では幅が広く,峡に向うにつれてだんだんせまくなる.それゆえ三角形をしている(図290).この三角形の底辺は上方に

あって,卵管の開口するところで左右とも鋭い角をもっている.三角形の頂点は下方にあり,峡管Canalis isthmiに移行している.峡管の長さは約6mmである.峡管は内峡官口Orificium internum canalis isthmiで始まり,外峡管口Orificium externum canalisisthmiをもって終わっている.峡管の終りから頚管Canalis cervicisが内頚管口Orificium internum canalis cervicis(すなわち言い換えると外峡管口)をもって始まり,外頚管口 Orificium externum canalis cervicisをもって腔に開口している.外頚管口はすなわち外子宮口 Orificuim externum uteri, aüßerer Muttermundであり,内頚管口は内子宮口innerer Muttermundである.(本書では内頚管口が内子宮口であるとしているが,JNAによれば内峡管口が内子宮口である.(小川鼎三))頚管は円筒形ではなくて,前後にやや扁平で,長軸の中央部にあたるところがやや広くなっている.その内面には上に述べた棕状ヒダがある(図290).

 子宮粘膜は性的に成熟した女では(周期的に)変化をなし,この変化は生殖作用と深い関係がある.この周期的変化はふつう4週間の間隔で(性周期Zyklus)おこり,外見的には周期のうちの一定の時期に現われる生殖器からの出血によって知ることができる.この周期的にくりかえされる出血月経Menstruation (Periode, Regel, monatliche Reinigung, Rose)と呼ばれる.月経は3~4(5)日間続くのが普通であるが,この目数は月経と月経との間隔と同じように,体質.気候・生活様式・あるいはそのほかの条件によって,ある程度の変動がある.

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[図287]卵管膨大部(横断)

[図288]子宮体の横断

[図289]子宮体の粘膜

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[図290]腟,子宮,右の卵管 前方を開いてある.左の卵管と卵巣は自然の位置におかれ,右の卵管は引き伸ばしてある.

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月経が初めて現われたときが性的に成熟したことを示すのである.ドイツではだいたい14才,もっと暖かい国では8才~12才においてすでに現われる.寒い地方では多くは18~20才で初めて現われる.(日本人で月経が初めておこるのは13才1ヵ月~15才5ヵ月,平均14才3ヵ月である(石塚清江・東京女医学会雑誌4巻,1934).)月経は更年期Wechseijahre(Klimakterium)をもって終るのであるが,これは45才~50才である.

 月経周期を次の各期に分けている.1. 月経期Menstruation(第1~4日目),2. 月経後期Postmenstruum(第5~12日目),3. 中間期Intervall(第12~17日目),4. 月経前期Praemenstruum(第17~28日目).これらの各期に応じて子宮の粘膜は一定の特徴ある変化を示している.月経の直後には粘膜は薄い.月経後期には卵胞ホルモンの影響を受けて粘膜は正常の厚さにかえり,中間期のあいだはその厚さを保っている.月経前期は主に黄体ホルモンの作用する時期で粘膜はだんだん厚くなり,5倍ないし8倍(10mmまで)になる.伺時に腺も長くなり,その走り方も独特なうねりをしており,上皮も丈の高い円柱形となる.粘膜は血液を豊富に受け入れ,月経前期の終りに近づくと多少とも強い出血が組織のなかにおこる.

[図291]子宮粘膜の周期的変化これと排卵ならびに黄体の形成とその退行との関係.数字は周期の日数を示す.月経の期附は灰色に塗つた柱で示してある.

 2回の月経のあいだ,そしてKnausによると(大多数のばあい)月経前15日目にグラーフ卵胞が破れて,成熟した卵が卵巣から出される(排卵).

 子宮の粘膜がその後にたどる運命は,飛びだした卵が受精して粘膜に宿るか(着床Nidation),あるいはそのようにならないかによって決まる.着床した場合には厚くなった子宮粘膜から母体がわの胚子被膜ができる.着床しないと粘膜はいちばん深い層のすぐ近くまで破壊される.そのとき子宮から粘膜の一部と粘液および血液の混じた液が流れて出る.当然このなかには着床しなかった卵も含まれている.この現象が月経である.母体がわの胚子被膜は出産後に胎児がわの被膜とともに後産Nachgeburtとして娩出される.母体がわの胚子被膜は剥げておちるので脱落膜Membranae deciduae(簡単にはDeciduae)と呼ばれている.

 月経前期には腺細胞は粘液とグリコーゲンを生産する.結合組織細胞もグリコーゲンをもっていて,これが上皮に似た円みをおびた細胞となる.この細胞から(卵の着床後に)脱落膜細胞ができる.筋層も強い変化を示し,その結合組織はいっそう疎になり,筋線維が増加する.

 妊娠のときには子宮の変化がいっそう高度にすすむのである.壁の大きさ・形・位置・厚さ・性状および内腔の形とその広さがこの場合は大いに変化する.子宮の重量は妊娠末期までに20~30倍に増加する.色は黒さを増し,筋肉は薯しく発達する.その場合には個個の筋線維は数を増すばかりでなく,驚くほど大きくなり,初めの長さの10倍にまで達する.

 子宮粘膜は腺もろともそれに劣らぬ変化をうける.粘膜は組織の増殖と腺の発達によってはなはだ厚くなる.卵の着床はSpeeによるとモルモツトでは次のようなぐあいにおこる.すなわち卵と子宮の結合組織との間にある上皮が消失して,卵は上皮下の結合組織に達するというのである.Peterは人のごく初期の着床卵を観察して同じような結論を得た.

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卵が子宮粘膜の表てに接着すると,そこの上皮が消失する.そうして卵は上皮の下にある結合組織に達するのである.ついで卵は粘膜性の特別な被いで完全に包まれる.被膜のうちで卵と子宮腔との間にある部分を被包脱落膜Decidua capsularisといい,卵と子宮筋層の間にある部分を基底脱落膜Decidua basalisという.基底脱落膜からは胎盤が形成される.その他の部分の子宮粘膜はいわゆる壁側脱落膜Pecidua parietalisを作る.

 出産が終ると子宮はふたたび著しく小さくなり,6~10週間で前に述べたような初めの状態にかえる.筋線維は一部は脂肪分解を起し,一部はいっそう小さい線維が新生して,これによっておきかえられる.結合組織も退行変性して,その線維と細胞が大量に減少する.粘膜はかなり深いところまで剥がれるが,残存した部分からの増殖で完全にもとに復する.

 子供では子宮の頚は体よりも大きい.子宮底にあたる部分は幅が特に広くないし,ふくらみもたいしてないので体と明瞭に区別できない.綜状ヒダが相対的にははるかに長い.成長に伴なって子宮の上部はいっそう大きくなり,性的に成熟する時期になると上に記載した特徴をもつようになる.

 子宮の年令的変化についてはWaldeyerが次のように記している(Das Becken, Bonn 1899, S. 488).

「更年期になって生殖能力を失つた老女では子宮はそれまでとは異なった新しい形をとり,多くは普通の西洋ナシの形に最もよく似ている.子宮体は比較的に大きいま,であるが,その壁は薄くなる.そのさい内腔はいっそう大きくなり得る.体と頚との差がほぼ完全になくなり,頚は萎縮することによって外子宮ロに向かって著しく細くなる」

 子宮の形の変異と奇型が少なくない.このことは子宮と腔が左右の卵管の下方の続きであって,もともと対をなしていた左右の各半が1つに合してできたものであることから説明できる.したがって双角子宮とか重複子宮,あるいはなかに隔壁のある子宮などというものもたやすく理解される.

子宮の脈管と神経

 子宮は内腸骨動脈の枝である左右の子宮動脈によって養われている.この動脈は子宮傍結合組織のなかをうねりながら走り,左右のものがたがいに結合している.また左右ともそれぞれ卵巣動脈の1枝とつながっている.

 静脈はきわめてよく発達していて,子宮のなかでは全体として動脈の経過に沿っており,子宮腟静脈叢Plexus uterovaginalisという子宮の内と外にある密な静脈叢をなして,ついで幹に移行している.これらの幹は一部は近くにある骨盤の静脈叢とつながり,一部は直i接に内腸骨静脈と卵巣静脈に注いでいる.

 リンパ管は豊富に存在する.粘膜固有層に大きい網目をもったよく発達したリンパ網があり,この網から小さな幹がでて,筋層のリンパ叢および漿膜下の豊富なリンパ叢にすすんでいる.妊娠の時にはリンパ管は著しい広がりを示す.

 神経は腸骨動脈神経叢と卵巣動脈神経叢,およびI~IVの仙骨神経とから来ており,神経細胞の集団をもっている.これらの神経は子宮腔神経叢を作り,その中に子宮頚神経節(フランケンホイゼル神経節Frankenhäusersches Ganglion)がある.この神経節は子宮傍結合組織のなかで後腔円蓋の近くにあって,太い血管に密接している.これから出る神経線維の束は子宮筋層のなかで終末神経叢を作り,そこから出るもっとも細い線維がStöhrのいう神経終末細網を作っている.

 上皮と腺には神経線維の自由終末がある.卵管では神経がやはり上皮のなかまで追求できた.また卵管では神経細胞が粘膜固有層にあり,その一部は上皮のすぐ下に存在している.

 子宮頚神経節Ganglion cervicale uteriはPenitschka(Anat. Anz., 66. Bd.,1929)によるとひとかたまりのものでなくて,いくつかの大小の神経節とその間にある結合枝からできているという.その形,配置,大きさはきわめてさまざまである.またこの神経叢とつながって,独立した球形のパラガングリオンのみられることがしばしばである.個々の神経節ははなはだ細胞に富み,その神経細胞の数多くのもあが多核である.そのほかにクローム親性細胞も豊富にふくまれている.

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最終更新日 13/02/03

 

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