Rauber Kopsch Band2. 32

2.脊髄の溝と索Furchen nnd Stränge

a) 溝Furchen(図373377, 381)

 前方の縦の裂け目,すなわち前正中裂Fissura mediana ventralisは正中線上にあって4mmの深さがあり,その底で広くなって,脊髄の上端と下端では浅くなる.この溝は軟膜のよく発達した突起である脊髄軟膜中隔Septum leptomeningicum spinaleを有っており,この突起から相当な太さの多数の血管が脊髄にあたえられる.

[図375]脊髄の下部と馬尾およびこの両者を取り巻く硬膜(1/3)後面(Quainより)

 硬膜の嚢を切り開いてその切り口をたがいに引き離してある;左側では神経根は全部そのままであるが,右側ではその神経根がL2から下方のものはそれらが硬膜を貫くところまで切りとってある,尾骨はその自然の場所に置いてあり,終糸および尾骨神経の尾骨に対する関係を示してある.a後正中溝;b, b終糸,右側に少し引っ張ってある;b'終糸,硬膜嚢(c, c, c, c)の外にある部分;d, d神経根が硬膜を貫く穴;e歯状靱帯;DX, DXII第10および第12胸神経;LIとLV第1および第5腰神経;SIとSV 第1および第5仙骨神経;CI 尾骨神経.

S. 301

 後正中溝Sulcus medianus dorsalisは背面の正中線を走る浅い縦の溝である.その続きをなして,ところどころ中断した薄い膜である後正中中隔Septum medianum dorsaleが4~6mmの深さまで入りこんでいる.この膜はグリア線維よりなり,中心部にある灰白質に達して,これとつながっている.

 また前外側溝Sulcus ventrolateralisという溝は前方で外側にあって,脊髄神経の前根が出るためのものである.これは本当の溝ではなくて,前根の束がひき抜かれたあとが多数の小孔のある幅2mmの狭い場所として見えるのである.

 これに対して後外側溝Sulcus dorsolateralis,は縦走する本当ゐ溝であって,この中を通って太い後根がただ1列をなして脊髄に入っている.

 これらの外側溝は神経が出入するためのものであるが,そのほかに,脊髄にはなお各側に前中間溝Sulcus intermedius ventralisと後中間溝 Sulcus intermedius dorsalisとがある.前中間溝はその存在が不定であり,後中間溝は脊髄の頚部の全体と胸部の上半にだけ存在する.

[図376, 377]脊髄の頚部の一部とそこから出る神経根×2(Quainより)

 図376. 脊髄の前面;右側では5のところで前根の根糸が切断してある;3は前外側溝およびそこから出る前根の根糸.図377. 脊髄を側方からみる;6'は脊髄神経節.

b)脊髄索Fasciculi medullae spinalis, Markstränge(図373, 374, 381)

 前索Fasciculus ventralis, Vorderstrang;前正中裂と前外側溝の外側縁とのあいだの部分である.前中間溝によって幅の狭い内側の部分すなわち前皮質脊髄路(錐体前索路)Tractus corticospinalis ventralisが境される.

 側索Fasciculus lateralis, Seitenstrang;前外側溝と後外側溝とのあいだの部分で,すべての脊髄索のうちで最も大きい.

 後索Fasciculus dorsalis, Hinterstrang;後正中溝と後外側溝とのあいだの部分である.これは後中間溝によって内側部(薄束)Pars medialis,別名ゴル索Gollscher Strangと外側部(楔状束)Pars lateralis,別名ブルダッハ索Burdachscher Strangとに分れている.

2-32

最終更新日 13/02/03

 

ページのトップへ戻る