Rauber Kopsch Band2. 35

6.中心管Canalis centralis, Zentralkanal

 中心管は脊髄内の場所によっていろいろ違った形と大きさとを示している.胸髄では,円味を帯びていて,その横径が0.05~0.1mmである.頚膨大では長軸を横にした楕円形であるが,腰膨大では前後の方向に長い卵円形をしている.延髄の方に向かって長軸を横に向けた楕円形から,矢状方向の隙間に変わってゆく.脊髄円錐では,この管はだんだんと後正中溝に近づいて,この円錐の下端になると広がって終室Ventriculus terminalisとなっている.

 この終室の横断面は多くはその頂点を後方に,底辺を前方に向けた三角形である.その長さ8~10mm,幅0.5~2mm, 深さ0.4~1 mmである.その先が終糸の中に細い管となって続いているが,この管は終糸の長さの半ばにまで達して,そこで行きづまりに終わっている.

 中心管はしばしば閉塞しているが,それは特に脊髄の頚部に見られることである.

7.灰白質と白質との量的関係

 灰白質は脊髄円錐Conus medullarisの尖端から腰膨大の中央までは,その量が絶えず増加し(横断面積が24.89qmmにまで),胸髄では非常に著しい減少(横断面積が4.56qmmにまで)を示し,頚膨大ではふたたび著しく増し(横断面積が19.67qmmまで),頚髄の上部では少しずつ減るのである.

S. 308

[図381]脊髄の横断模型図 柔膜および歯状靱帯をつけてある. 神経細胞は赤で示す.

[図382]体長14 cmのヒト胎児の脊髄のグリア (クローム銀染色) (v. Lenhossék)

 右側は上衣線維とその起りをなす細胞Ependymgerüst,左側はグリア細胞. 前,後の上衣楔Ependymkeil.

S. 309

[図383395]1個の脊髄をいろいろの高さで横断した図

S. 310

出て行く神経根Nervenwurzelnに関しては,次のことが明かである,脚すなわち脊髄のある部分で根線維がたくさん出ていればいるほど,横断面での灰白質の広がりはいっそう大きいのである.そして灰白質は体肢への大きな神経がおこっている高さで最も強大なのである.

 ところが白質はこれと全く違った関係にある.脊髄円錐の尖端の部分では,その横断面は主として灰白質よりできていて,この灰白質は狭い白質の1層によって包まれているにすぎない.ここから白質は頚膨大の上部にまで絶えず増加する(24.02qmm以上にまで)のであるが,ただ第3腰神経から第12胸神経までの間ではごくわずかに減少することによって増加が足ぶみしている.その増加は頚,腰の両膨大の初まりのところでは他の場所におけるよりもずっと急激こおこっている.

 第4腰神経が出るところでは,灰白質と白質とはほとんど同じ大ききの面積を占めている(灰白質は21.02qmm, 白質は22.34 qmm).それより上方では,常に白質は横断面において灰白質よりも大きい広がりを示している.頚膨大でもこの関係は変らない.第6頚神経が初まるところでは,白質の横断面の面積は24.02qmm,灰白質のそれは16.67qmmである.次いで第4頚神経から延髄までは,白質がふたたびわずかに減少することがわかる.しかしながら個々の白質の索はこのばあい違った関係を示すのである.

 灰白質がそこから出る神経根に比例して増加あるいは減少することは上に述べた.しかしこのことはまず第1に前柱に関連しているのである.後柱は膨大部のために影響されることが比較的に少い.もっとも後柱の膨らみがそこで増すことは確かである.このことは特に腰膨大であてはまるのであって,ここでは後柱がかなり大きな幅をもっている.頚膨大における前柱の増加は,まず側方に増大するので孤立した側柱はもはや見られなくなる.脊髄円錐の尖端に向かっては前柱と後柱との境がなくなる.同時に両側の後柱はますます近より,結局合して一塊となる.

 頚,腰の両膨大では,白前交連Commissura ventralis albaが特によく発達しているが,その他の場所では灰白交連Commissura griseaが優っている.

 灰白交連は脊髄円錐で最もよく発達し(その矢状径が(0.40mmに達する),腰膨大では減少し(0.13 mm),胸部ではさらにいっそう減じて(0.03Inm),頚髄ではふたたび増大している(0.13mm).

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最終更新日 13/02/03

 

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