Rauber Kopsch Band2. 55

VIII. 内耳神経N. statoacusticus(図511, 523)

 その根束は内側面に1つの溝を有し,顔面神経の両部分をその溝に入れて,この神経と相伴って内耳道に入る.内耳道の底で両者がたがいに分れる.そして内耳神経は前庭神経N. vestibuliすなわち平衡神経N. staticusと蝸牛神経N. cochleaeすなわち聴神経N. acusticusとよりなっており,この両神経はそれぞれ1つの脊髄神経節に似た神経節をもっている.これが前庭神経節Ganglion vestibuliおよびラセン神経節Ganglion spirale cochleaeである.後者は蝸牛の中にあり,前者はその主要部分が内耳道の底にある.

 前庭神経節からは卵形嚢膨大部神経N. utriculoampullarisと球形嚢神経N. sacculiと後膨大部神経N. ampullae posteriorisとがでる.そのうち卵形嚢膨大部神経はさらに卵形嚢枝Ramus utriculi,上膨大部枝Ramus ampullae superiorisおよび外側膨大部枝Ramus ampullae lateralisに分れる.これらの枝はみな膜迷路の神経終末部にゆく.

 蝸牛神経N. cochleaeはそのをもっぱら蝸牛に送っている.

 前庭神経節とラセン神経節とは魚の脊髄神経節に似て両端から突起のでる紡錘形の双極神経細胞をもっている.

ラセン神経節は蝸牛神経がラセン状の花弁のように散開しているのに相当して長い1つのラセン状の条をなしている(感覚器の項参照).

[図523]側頭骨錐体の内部における顔面神経と内耳神経の経過と結合関係(HirschfeldおよびLeveilléによる)

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最終更新日 13/02/03

 

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