Rauber Kopsch Band2. 69

B. 交感神経系の胸部と腹部Pars thoracica et abdominalis systematis sympathici
1. 分枝状態Astbildtingと結合関係Verbindungen

 交感神経系の胸神経節と腰神経節とは連鎖状をしているが,これには次に述べる諸枝および結合がみられる:

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1. 節間枝Rami intergangliares,これは個々の神経節のあいだの縦の結合を仲だちしている.

2. 交通枝Rami communicantes(2~4本),これは脊髄神経との結合をなしている.

3. 胸大動脈に達するいく本かの枝で,縦隔枝Rami mediastinalesとよばれるもの.これらは胸大動脈の周囲に胸大動脈神経叢Plexus aorticus thoracicusを作り,この神経叢は上方は心臓神経叢Plexus cardiacusからの末梢への広がりとして大動脈に達するものとつながり,下方は横隔膜の大動脈裂孔を通って,大動脈とともに腹腔に入り,腹腔神経叢Plexus coeliacusと結合している.

 縦隔枝の線維はBraeucker(1927)によれば交感神経幹の神経節とは何も特別な関係がなく,ただそこを貫いてくるものであるという.

 交感神経の腹部からも枝がでて,その一部は腎神経叢Plexus renalisに達するが,大部分は腹大動脈神経叢plexus aorticus abdominalisと上直腸神経叢Plexus rectalis cranialisとに達する.

4. 肺神経叢Plexus pulmonalisへの追加枝.

5. 大内臓神経N. splanchnicus major.第6から第9までの胸神経節はそれぞれ1本の枝を内側かつ下方にだす.それは脊髄神経の性質をもった髄質様の白さを示す枝である(図527, 570, 571).これらの枝は次第に集合して1本のかなり太い神経となる.これが大内臓神経であって,胸膜に被われて椎体の上を下方に走り,そのさい多数の縦隔枝を大動脈神経叢と縦隔神経叢および壁側胸膜の縦隔部とにあたえ(Braeucker 1927),横隔膜の腰椎部を(縦胸静脈とともに)貫いて腹腔に入り,腹腔神経節に達する.横隔膜を貫く少し前にこの神経には内臓神経神経節Ganglion splanchnicum という1つの小さい神経節が接着しており,これは内臓神経の線維の一部を受けとり,細い小枝を大動脈神経叢に送り,またかなり長い1本の小枝がこの神経節をでて横隔膜を貫いて腹腔神経叢Plexus coeliacusに達している.

 大内臓神経はその有髄神経線維を第4から第9までの胸神経の交通枝から受ける.これらの神経線維は交感神経幹に達して,その内側面に沿って下方に走り,早かれ遅かれこれから分れて大内臓神経の根となる.しかし大内臓神経は純粋な脊髄神経ではなくて,交感神経性の線維をも含んでいる.無髄線維の有髄線維に対する割合はRüdingerによれば1:5である.--大内臓神経は一部は(腸の血管への)血管運動性のvasomotorisch線維,一部は(腸壁の筋への)運動性のmotorisch線維より成り,また一部は受容性の線維である.運動性の線維の一部はそれを刺激すると腸の蠕動運動が抑制されるので抑制神経の性質である;しかし別の一部はその興奮によって腸の蠕動運動を促進させる.

6. 小内臓神経N. splanchnicus minor.(図527, 570, 571).これはふつう2根をもって交感神経幹,しかもそれは第10と第11の胸神経節とから発する.その線維の由来は大体に大内臓神経について述べたのと同じと考えてよい.小内臓神経は横隔膜を大内臓神経といっしょに貫くこともあり,あるいはそれより外側で貫いている.何れにせよ交感神経幹よりは内側である.胸腔の中ではときに大内臓神経と合していることもあるが,通常は独立しており,このときはたf結合枝を大内臓神経に送っているのみである.最後に小内臓神経は腎動脈の根の上面と後面を取りまく腹腔神経叢の一部に入り,ここで小さいGanglion renaliaorticum (腎動脈大動脈神経節)と結合している(図571).小内臓神経の1枝は腎枝Ramus renalisと呼ぼれ,直接に腎神経叢に達する.

 この枝は独立して交感神経幹から発していることもあり,そのときにはN. splanchnicus minimus s. imus(最小あるいは最下内臓神経)と呼ばれる.

2. 交感神経系の胸部および腹部に属する神経叢

1. 縦隔神経叢Plexus mediastinalis(Braeucker 1927) (図570)

 これは交感神経幹・大内臓神経・交通枝・肋間神経からでる多数の縦隔枝によって作られる(図570).これは後縦隔Pars dorsalis mediastiniにある諸器官に分布する枝をだすもので,その諸器官には食道(食道枝Rami oesophagiciによる)と壁側胸膜の縦隔部が含まれる.

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2. 胸大動脈神経叢Plexus aorticus thoracicus (図570)

 これは心臓神経叢からの枝が下行大動脈まで達している範囲ではこの神経叢のつづきをなす.それに胸神経節から(一部は大内臓神経からも)でて大動脈へ達するところの多数の小枝が加わってできている.胸大動脈神経叢はその神経束があまり密集していないものであって,横隔膜の大動脈裂孔をへて腹腔に入り,ここでは腹腔神経叢とつながっている.

3. 腹腔神経叢Plexus coeliacus(EingeweidegeflechtあるいはSonnengeflecht, Cerebrum abdominale)

 この強大な神経叢は腹腔動脈と上腸間膜動脈との起始部を囲んでおり,その広がりは外側は腎上体にまで,上方には大動脈裂孔にまで,下方には腎動脈の基部にまで達している.腹腔神経叢はそれゆえ腹大動脈の初部の上にのり横隔膜の内側脚の前にある(図527, 571).

 腹腔神経叢の根のうちで最も重要なものを次にあげると:1. 大と小の内臓神経Nn. splanchnici.2. 左右の迷走神経の腹枝(特に右の迷走神経からでるものが著しい),これらは腹腔枝Rami coeliaciと呼ばれる.3. 最下部の胸神経節および1と第2の腰神経節からのいく本かの枝.4および5. 腹腔神経叢は上方は胸大動脈神経叢Plexus aorticus thoracicusが腹腔につづいてきたものとつながる.これは下方には腹大動脈神経叢Plexus aorticus abdominalisに続いている.

 腹腔神経叢の基礎をなす部分は帯赤灰白色のかなり大きな半月形をした2つの神経節,すなわち右と左の腹腔神経節Ganglion coeliacum dextrum et sinistrumである.

 この神経節の凸面は外側に向き,その凹面は内側に向いている.またその凸縁は腎上体の内側縁の近くにまで達している.左の神経節は右のものよりいっそう正中線に近くあり,一部は大動脈の上にのる.右のものは左のものよりいっそう側方に寄っており,横隔膜の内側脚と外側脚のあいだの隙間のところにある.若干の短い灰白色の小枝によって両側の腹腔神経節はたがいに結びつけられているが,そうでなくても両者の上角と下角とはたがいに近接している.

 さらに強く接近することによって,1側性あるいは両側性の融合がおこり,輪状を呈する1つの重複した神経節ができる.これを不対腹腔神経節Ganglion coeliacum imparあるいは太陽神経節Ganglion solareともいう.他方では切れ込みが増すことによって個々の部分への分割が程度の差はあるが起りうる.かくして孤立した部分のいくつかが特別な神経節として記載されている.

 特にしばしば現われるのは上腸間膜動脈の起始部の右側に接している小さい孤立した1つの神経節であって,これは不対の上腸間膜動脈神経節Ganglion mesentericum crqnialeである (図571).またその他にやはりしばしば見られるものが腎動脈の後上方の壁に接している別の1つの神経節であって,これは腎動脈大動脈神経節Ganglion renaliaorticumとよばれる.前に述べたようにこの神経節にふつう小内臓神経N. splanchnicus minorが入るが,一方大内臓神経N. splanchnicus majorはしばしば2本の枝に分れて腹腔神経節の外側部の後面に達している.第3の不対の神経節がGanglion phrenicum(横隔神経節)であって,これは右の腎上体の上端の近くで横隔膜の下面に接している.神経節が分割することの原因を全体として考えてみると,まず個々別々の諸根が入ってくること,次いで個々別々の諸枝がそれぞれ定まった方向に出てゆくことがその原因である.その要素(線維束)がいく重にも交叉し,かつ連鎖をなしていること,また特に多数の突起Ausläuferが放射状の方向にのびていること,これらのととが以前に太陽神経叢Plexus solaris, Sonnengeflechtという名前が用いられたことをなるほどと思わせる.

 腹腔神経叢からは次に述べるような2次の神経叢sekundäre Plexusがでる:

a)対をなす2次の神経叢

α)横隔神経叢Plexus phrenicus.これは下横隔動脈の周りに疎な神経叢を形成する細い枝より成り,横隔神経の腹枝Rami abdominales n. phreniciと結合している.右側ではこの結合が横隔神経節を介して行なわれる.

β)腎上体神経叢Plexus suprarenalis.これは数多くの細い枝であって,その多くは平行に走り,大部分が白く見える枝で,これらの枝は腹腔神経節の外側縁から出て,横隔神経叢の小枝を加えて太くなり,腎上体の後内側面に入る.これらの枝はいくつかの小さい神経節をもち,また腎上体を放線状の方向に貫いて,その実質のなかで1つの神経叢を作る.そこには少数の神経細胞が散在している.

γ)腎神経叢Plexus renalis(図571).腎神経叢は強大であって腎動脈に伴なってすすむ.これは腹腔神経叢と腹大動脈神経叢の初部とからおこり,また小内臓神経の腎枝および交感神経幹の腹部からの小枝が加わってこれが形成されている.

S. 557

[図570]胸部における植物性神経系(Braeucker 1927).血管の大部分と胸管とを取り去ってある.

S. 558

この神経叢には腎神経節 Ganglia renaliaといういくつかの小さい神経節がある.それを成している小枝は多くは灰白のものである.この腎神経叢からは1小枝が出て尿管に達する.尿管の神経には神経細胞が散在していたり,あるいは集まって小さい神経節をなして配列している.

 そのうえ腎臓の皮質にはなお多数の細い小枝が達しており,これらの枝は腎上体からきて,腎被膜を貫いて内部にはいっている(図571).(Hirt, Z. Anat. Entwgesch., 73. Bd.,1924. )

[図571]成入の腹腔神経叢3/5(A. Hirt, Z. Anat. u. Entwgesch., 73. Bd.,1924 より)

d)精巣(卵巣)動脈神経叢Plexus spermaticus(ovaricus).これは灰白線維(無髄)よりなり,これらの線維は腎神経叢および上腸間膜動脈神経叢から分れて出たものであり,腹大動脈神経叢からの線維がそれに加わっている.これは精巣(卵巣)動静脈に伴なって,男では精巣に,女では卵巣と子宮底とに達する.最後に述べたところでは子宮腟神経叢Plexus uterovaginalisと結合している.その神経線維束の1つが卵巣采および卵管の最外方端にも達する.

b)対をなさない2次の神経叢

e)胃神経叢 Plexus gastricus.これは左右の胃動脈に伴なって,これらの動脈とともに小臀に達して迷走神経の前, 後の両胃神経叢と結合し,細い線維束によって肝神経叢Plexus hepaticusとつながっている.また少数の顕微鏡的な神経節を含んでいる.

ζ)肝神経叢Plexus hepaticus.肝神経叢は特に迷走神経の後幹Truncus dorsalis n. vagiと腹腔神経叢とから出る枝によってつくられる.太くて平たい神経索が目の細かい網の形をなして肝動脈と総胆管,総肝管および胆嚢管を取りまき,細い枝が門脈にも達している.この神経叢の中には顕微鏡的な小さい神経節と散在性の少数の神経細胞とがある.総肝管の諸枝および固有肝動脈の諸枝に伴なって数多くの細い核が肝臓の内部に入る.これらの枝は大部分が無髄線維よりなっている.肝神経叢から分れて出る枝は胃十二指腸動脈に伴なって胃の大臀および膵臓に達する.(以前には胃十二指腸動脈に伴なう神経叢をPlexus gastricus inferior(下胃神経叢)と呼んだ.)

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胆嚢管および胆嚢動脈に伴なって繊細な神経網が胆嚢に達し,この神経網は胆嚢の体と底のところで神経細胞をもっている.この神経叢は一部は胆嚢の漿膜と筋層とのあいだに,一部は筋層と粘膜とのあいだにある.

η)脾神経叢Plexus lienalis. 脾神経叢をなす枝は特に左の腹腔神経節および迷走神経の後幹から来ている.これらの枝は脾動脈およびその諸枝を取りまいている.かくしてこの神経叢からの線維が大臀とくに胃底と膵臓に達している.脾神経は大部分が無髄線維よりなる.

θ)上腸間膜動脈神経叢 Plexus mesentericus cranialis.これは腹腔神経叢の下縁から出ていて,白色と灰白色のまじつた線維束が網状に結合して上腸間膜動脈とその分枝に伴なって進んでいる.上腸間膜動脈神経叢では内臓神経迷走神経の線維がその形成にあずがっていることが明瞭にみられる.上腸間膜動脈の諸枝に伴なってこの神経叢の枝が膵頭, 十二指腸の下部と上行部,小腸に達し,また横行結腸の一部までを含む大腸の初まりの部分にも達している.

 小腸壁に腸間膜が付着するところでこれらの神経が漿膜の下で神経叢様の結合をなし,ここから多数の細い枝がでて縦走筋を貫き,縦走筋層と輪走筋層との間にある小さい神経節をたくさんにもった神経叢に達する.この神経叢が腸筋神経叢Plexus myentericusあるいはアウエルバツハ神経叢Auerbachscher Plexusと呼ばれるものである.この神経叢は縦走する束と横走する束とからなり,その網の結び目のところに無髄神経線維のほか多数の小形および中等大の多極神経細胞がある.これらの神経細胞から新たに無髄線維がはじまる.またこの神経叢からはその内方に接して極めて細い無髄線維よりなって神経細胞をもっていない2次の神経叢が生じて,これが筋層を支配している.アウエルバッハ神経叢は小腸大腸の全長にわたって存在し,胃においても欠けていないで,食道にもずっと広がって咽頭壁に達し,ここで終わっている,頬筋の領域にはもはや存在しない(90頁参照).

 腸筋神経叢より内方で,多数の細い神経枝によってこの神経叢と結合して,腸の粘膜下組織の中に粘膜下神経叢Plexus submucosus,すなわちマイスネル神経叢Meissnersches Geflechtがある.この神経叢の網の目はかなり広い,そしてやはり神経細胞が孤立したり,あるいは群をなして存在している.これは粘膜下組織の血管や,ブルンネル腺を支配するものであり,おそらくはまたその枝が粘膜筋板,さらにまた粘膜自身にもゆくのであろう.粘膜の中ではこれらの細い枝がリーベルキューン腺をとりまく神経叢を形成している.繊細な神経網が腸絨毛Zottenの中にまで入っている.

 腸間膜の神経にはファーテル層板小体が見られる.特にこの層板小体は脾神経叢において,また上腸間膜動脈神経叢の初まりの部分において見られる.また膵臓の後方にある結合組織の中にもこれが必ず存在する.

4. 腹大動脈神経叢Plexus aorticus abdominalis

 腹大動脈神経叢は腹腔神経叢の続きであって,本質的には大動脈の両側面にのる2の索をなし,この両索が横走する枝によって結合している.これらの両索は下方にゆくほど左右の間隔が狭くなり,下腸間膜動脈より下方で両側のものが合する.これらには腰神経節からの枝が加わっている.腰神経節からの枝がこの神経叢に合するところには小さい神経節がみられる.両側の縦走索は下腸間膜動脈の根もとにいく本かの小枝を送り,これらの枝はこの動脈が出る場所に接して存在する.下腸間膜動脈神経節Ganglion mesenterigum caudaleに向かって進んで,さらに下腸間膜動脈とその諸枝とを取りかこむ神経叢に移行して,それからでる多くの細い枝が下行結腸,S状結腸および直腸の初まりの部分に達している.

5. 下腸間膜動脈神経叢Plexus mesentericus caudalis

 これは左結腸動脈および上直腸動脈に伴なっている.この神経叢から直腸の上部に達する枝は上直腸神経Nn. rectales cranialesといい,上直腸神経叢Plexus rectalis cranialisに移行している.

S. 560

6. 腸骨動脈神経叢 Plexus ilicus

 これは総腸骨動脈に伴ない,外腸骨動脈と大腿動脈と膝窩動脈に続き,そこでは大腿動脈神経叢Plexus femoralisおよび膝窩動脈神経叢Plexus popliteusと呼ばれる.これはまた内腸骨動脈に伴なって小骨盤に入る.

7. 上直腸神経叢Plexus rectalis cranialis

 これは腹大動脈神経叢の続きであって,対をなさず,腹大動脈の下部の表てにのっており,そこから大動脈が左右の総腸骨動脈に分れるところを下方に越えて岬角にまで続く.この神経叢は下部の腰神経節からでる小枝がこれに加わることによって強さを増している.この神経叢は下直腸神経叢に続く(図551).

パラガングリオンParaganglien, Nebenorgane des Sympathicus(交感神経の副器官)

 パラガングリオン Paraganglienと呼ばれるものはその由来と位置からして常に交感神経と密接な関係にある特別な器官であって,クローム酸塩を多量にとり,それとの親和性がつよい特別な細胞(クローム親性細胞chromaffine Zellen)および神経細胞と神経線維よりなり,かつ非常に血管に富んでいる.パラガングリオンの大部分がヒトでは生後間もなく退化してゆく.

 これに属するものとしては節状パラガングリオンParaganglion nodosum(476頁参照),および頚動脈糸球Carotisdrüse(頚動脈腺の意)があり,後者は生涯を通じて存在する(第1巻,544頁).また最も大きくて,いつまでも残っているパラガングリオンは,腎上体の髄質(201, 202頁)であり,また腹膜後組織のなかで大動脈のそばにあるNebenorgane des Sormpathicus(交感神経の副器官)もこれに属する.いま述べたいくつかの個所ではクローム親性細胞がかなり多量にあって,しかも比較的に独立した構造物として存在する.その他にこれらの細胞はもっと散在した状態で交感性の神経束と神経節との内部で,その数は大小さまざまであるが見られるのである.精嚢腺神経叢のなかにも4才の子供までははっきりと境された独立した2個ないし3個のパラガングリオンがみられる(Watzka, Anat. Ar, z., 66. Bd.,1928).これらはその後はもはや証明されず,腰部パラガングリオンと同様に小児期に消失してしまう.心臓ではパラガングリオンは次の2群をなしている.すなわち大動脈弓と動脈管とのあいだで右方かつ前方に開いた場所にある上心臓上パラガングリオンParaganglion supracardiale cranialeと左冠状動脈がでるところの上方にある下心臓上パラガングリオンParaganglion supracardiale caudaleとである(Palme).

 これらの研究を基にしてパラガングリオンに特別な位地と特別な名称をあたえるとすると,頚動脈糸球は頚動脈間パラガングリオンParaganglion intercaroticum,腎上体の髄質は腎上体パラガングリオンParaganglion suprarenale,腹腔内の副器宮は腰部パラガングリオンParaganglia lumbaliaと名づけてよかろう.

 近ごろはパラガソグリオソに2種類が区別されている.その1つはクローム親性細胞を有つもので腎上体パラガソグリオソや腰部パラガングリオンがそれであり,他のものはクローム親性細胞を有たないものであって,節状パラガソグリオン・頚動脈間パラガングリオン(その大部分).上下の心臓上パラガングリオンがそれである.これら両種のものはそのはたらきが違っている.前者からは1種の血圧上昇物質をうることができるが,頚動脈糸球からは1種の血圧下降物質がえられるという.Watzka, M., Vom Paraganglion caroticum. Verh. anat. Ges.,1934.

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最終更新日 13/02/03

 

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