Band1.009   

それは胎児ではすべての細胞に存在し,成体でも数多くの細胞に証明される”.

 Duesberg, J., Merlel und Bonnet, Ergebnisse, 20. Bd.1912.-meves, Arch. mikr. Anat.,94. Bd.,1920.

 細胞体のもつ特殊な器官としては1. 中心小体とその周りの中心球,2. 内網装置,3. 分泌細管および分泌液胞である.

[図4]形成杆体Plastokonten. 孵化27時間(8対の原節を有する)ニワトリの胎児の神経管Medullarrohrの外胚葉細胞群.

[図5]形成粒体Plastochondrien.1個の内胚葉細胞.

1. 中心球Zentrosphareと中心小体Zentrolkorperchen

 中心球は多くは円い形をした細胞小器官であって,原形質のなかにあるが,もともとはおそらく細胞核からできたものであろう.これは色素に対して特別な反応を示す細胞形質の1塊であって,旧形質Archoplasma (Boveri)とよばれ,その中にやっと認められるほどの小さい,そして光をつよく屈折する粒子があって,これが中心小体Zentrolkrörperchen (Flemming,1891)あるいは中心子Centriolum (Boveri,1895)とよばれる.中心子が1つだけでなく,それが2つあるいはそれ以上もあることがはなはだしばしばである(図8,9,10).中心小体のすぐまわりをとりまいて明るい幅のせまい部分があり,その外側に暗くて顆粒に富む.比較的に幅の広い部分があって,これが細胞体の残りの部分に直接つづくのである.このくらい部分がSphäreとよばれる(図6).中心球から周囲にむかってAsterとよばれるつよい放射状のすじがでている.このすじが上部の暗い部分を通って細胞体のなかにつづいている(図7).中心球はそれ自身の分裂のほかに細胞核の分裂や細胞体の分裂を開始させるという大事な役目をもっている.つまり細胞分裂のための器官である.

 それ故に中心小体はまた“運動の中心”Kinozentrumともいわれる.これに対して核は“物質代謝の中心”Chemozentrumということができる.しかし留意すべきことは,中心小体がなくても原形質の運動は起こりえることである.それは切りはなされた偽足が,かなり長い間運動を続けることによって示される.

 中心小体は細胞分裂にあたって初めて出現するのではなくて,分裂以外の休止期にも存在する.休止期の細胞に中心小体が見られるものの例とそして白血球(図10,16),上皮細胞,結合組織細胞(図8,9)をあげておこう.しばしば核の縁にへこみがあって, そこに中心小体が存在している.

 中心子のは変化に富んでいる.動物の種類や組織の種類の違いによって2つあるいは3つの多くは円い形の中心子がみられる.2つのときは双心子Diplosomenという.数はおそらく時間的にもちがうのであろう.中心小棒Zentralstäbchenというのは細長くのびた棒状の中心子であって,最初にZimmermannによって或る硬骨魚の黄色い色素細胞においてみつけられて,その後ほかの学者たちによっていろいろな動物の雄の生殖細胞でもみられたのである.

S.009   

最終更新日09/07/13

 

ページのトップへ戻る

 

ページのトップへ戻る