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 核の構造:核は核膜,核材,核小体および核液からなる.ほかの3要素からなる内容物(核形質Karyoplasma)をとりまいて膜があり,その膜も欠けることがあるというわけで,核の構造はかなり細胞のそれと似ている.

 核膜Kernmembranは多くの場合はなはだうすいのでその存在を証すことがむつかしい.またこの膜が全く欠けていることも多いが,他の場合たとえば神経細胞では染色などしない生の細胞でも核膜をはっきりと見ることができ,また標本作製によってはっきりとあらわすことができる.

両棲類の卵ではまだ成熟していない卵細胞の核(これを胚小胞Keimblascheという)を解剖用の針を使って取り出して,その膜を破って核の内容を流しだすことができる.この飼うには多数の小さい孔Porenらしいものがあるといわれる.

 核材KerngerustはリニンLininとクロマチンChromatin (nuclein)とから成っていて,千差万別の形をしてあらわれる.これは生きている細胞のなかにも存在しているのだが,そこでは見ることができないか,あるいはごく不明瞭しか見えない.固定することによって初めて明瞭となる.最もふつうにみられる核材の形は蜂巣状ないし網状の配列である.網の節をなすところにクロマチンの大小いろいろの集まりがあって,これは網の節Netzknotenとよばれ,核小体とは区別するべきものである.他の核ではリニンとクロマチンが1本あるいはそれよりも多数の糸の形で存在する.しばしば数本の糸がうねってたがいにからまって核の縁の近くを通っている.またこの糸から数に多少の差があるが,たくさんの側枝がでて,最大種々の枝でたがいに連なった網状物となっていることがある.

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最終更新日09/07/13

 

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