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 要領をよくするために,われわれは間接分裂という現象を4つの相次ぐ時期に分ける.その各時期の区切りははっきりしたものでなくて,たがいにいつしか移りゆくのである.1. 前期-中心球と核が分裂のための準備をする時期で,核が動揺をしめし,市場の構造があらわれて,毛毬Spiremがみらえる.2. 中期-核物質が分裂するときで,単星Monasterの時期ともいう.3. 後期-核物質が分配され,原形質の分裂がはじまるとでき,双星Dyaserの時期ともいう.4. 終期-原形質の分裂が終わり,核が休止の状態にもどる.

 1. 前期Prophase:休止している核についてまず述べること,このものは核膜,核材,核小体からできている.核の1個(極側Polseite)に軽いへこみがあって,そこの原形質のなかに中心球が1個あるいはすでに2個となった中心子をもって存在している(図19).

 中心子の分裂Zentriolenteilungはつぎのように行なわれる単一の球形の中心小体が1本の棒状のものになって,これの中央部が細くなって亜鈴状になり,そしてついに2つの小球に分かれる.そのさい球形の中心球が楕円形になり,これは初めは分裂した2つの中心子をもっているが,ついで中心球もまたつに分かれて,その各々が各1つの中心子をもつものである.

 核の染色されやすい物質はまず1本,2本あるいはそれより多数の糸を形成し,これが核膜のなかでうねってもつれたようになっている(毛毬Spirem).毛毬は初めは密であるが,次第に疎になる.そしてこの糸が染色体Chromosomenとよばれる一定した数の断片に分かれる.

 染色体の数と形Zahl und Gestalt der Chromosomenは動物の各種ならびに細胞の種類によって違っている.球形,卵円形 輪状,棒状,まっ直ぐもの,曲がったものがある.比較的高等な動物で普通にみられる形は係蹄(わな)である.婦人の髪を止める針Haarnadelに似ている.それゆえ,染色体はまた核係蹄Kernschleifenともよばれる.その数は動物の種によって定まっており,特徴的であるといわれる.しかし,比較的筋人柄の研究によって同一の種類の動物でも若干の変動があることがわかってきた(Karplus, Z. Zellforsch.,10. Bd.,1929).人間の細胞はおそらく48の染色体をもつのである.Flemming, duesberg, Grosser, Schachov, Tage Kempは24であると云った.マウス,サンショウォ,マスは24である.ニワトリは(Saguchiによれば)30,軟骨魚類36,ウマに寄生する蛔虫Ascaris megalocephala univalensは2,同じくAscaris megalocaphala bivalensは4である.Duesberg, J., Anat. Anz. 28. Bd.,1906.-Grosser, O., Verh. anat. Ges., Marburg ,1921; および“Der Deutsche Arzt”1938.

[図19~26]間接分裂をしめす模式図 中心子のまわりの明るい部分が中心球である.前期は図19, 20, 21, 中期は図22, 後期は図23, 24, 終期は図25, 26

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最終更新日09/07/13

 

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