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 いろいろな長さの休止期をおいて,しばしばその休止期ははなはだ短いこともあるが,核は新たに動的な時期,すなわちつぎの分裂にはいってゆく.そのさい注意に値するのは次いでおこる分裂の軸がそのすぐ前におこった分裂の軸に対して直角をなしていることがしばしばであり,また相ついでおこる分裂の軸が空間の3次元に相当するというぐあいである.しかしこれにも類型的な差異typische Verschiedenheitenがたくさんにある.

 G. Hertwig (Sitzber. naturf. Ges. Rostock,1930)は染色体が律動的な成長をなして,その量が倍加すると考えた.1価の染色体から2価のものができ,また後者が倍加をくりかえして4価およびそれ以上の価の染色体ができる.そういう倍加成長をした各時期の終わりには染色体は分裂する能力を持ち,それを含む核は分裂の用意ができている.そのときに本当に分裂がおこるかどうかは他の因子によって決まるのである.温熱や冷却やコルヒチンColchicinのような化学物質によって染色体の数が何倍にも増したりする(倍数性Polyploidie) (Haggquist, G.,1948, Haggquist, G. und Bane, A., Nature, Vol.165,1950, Melander, Hereditas, Vol. 36,1950).

 有糸分裂のあいだは(Meves, Festschrift Kupffer,1899による,また特にPeter, K., “Protoplasma”,10. Bd.,1930)その細胞のもつ多種多様の生活現象が中絶して,ただその細胞が分裂の時期を生きながらえることができるだけの生活機能しかなされていない.これに反して無糸分裂は細胞の活動を害することがない.

[図27~33]サンショウウォSalamandraの表皮細胞における核分裂像および休止核 図27は前期,図28, 29は中期,図30~32は後期で,双星の時期,図33は終期.

 有糸分裂に要する時間Dauerは動物の種類によって異なる.それは温血動物では冷血動物におけるより短いのであって,人間ではおそらく30分間であり,サンショウウォでは温度によってちがうが2~5時間(Flemming)という.Peterはこの2~5というのが少し短く見積もりすきていると主張した.ダツ(硬骨魚)Belone acusやネメクジウォ(頭索類)Amphioxusの卵の分割では(18~19℃で)約1時間,硬骨魚のGobius(ハゼの類)やCrenilabrusの卵の分割では(15~19℃で)30~40分である(Fr. Kopsch).有糸分裂の日時的変動Tagesschwankungenがオタマジャクシの表皮の細胞において証せられている(Möllenberg,1948).

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最終更新日13/02/03

 

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