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IV.組織学Histologia, Gewebelehre

 組織の分類にはいろいろな行き方があるが最も広くおこなわれいるのは次のものである.すなわち1. 上皮組織,2. 結合および支持組織,3. 筋組織,4. 神経組織に分けられるのである.

1.上皮組織Epithelgwebe

 定義:上皮組織は細胞のみから成っていて,その細胞は接合質によりあるいは突起によりあるいはその両者によってたがいに結合しており,1層あるいは多層をなして連続し,体の内外にある自由表面を被っている.

 これは細胞のみからなるので,あらゆる組織のなかで最も簡単なものであり,それゆえ細胞学のすぐあとにつづいて述べるのが好都合である.

 一般的性状:上皮細胞は原形質と核より成り,はっきりした境界を示す細胞である.細胞膜はしばしば欠けて,原形質の周縁部が固くなって細胞膜の代わりをしていることが多い.大多数の上皮細胞は軟らかくて,従って周囲の圧関係に容易に適合できるのである.しかしまた正にその配列のために上皮細胞は事情によっては,かなり強い圧をたがいに及ぼしあうことができるのであって,そのために特に胎生期には形態発生の重要な諸現象を引き起こし得るのである.なお成体においても多くの上皮細胞団はその構成要素すなわち個々の脂肪がたがいにおよばす圧のもとにある.細胞の形が容易にそのことをしめしているが,その他の点からもこれは証明できるのである.

 上皮組織をなす細胞の形が容易にそのことをしめしているが,その点からもこれは証明できるのである.

 上皮組織をなす細胞の形の豊富さFormenreichtumははなはだ著しいものであり,大きさの差異も高度である.細胞体の外面および内部に多種多様な構造がみられることがある.

 形状によって4種を分ける:扁平上皮Platten-Epithel(敷石上皮Pflaster-Epithelともいう),円柱上皮Zylinder-Epithel, 絨毛上皮Flimmer-Epithel, 移行上皮Übergangs-Epithelである.

 扁平上皮の細胞は平たくて薄く,小鱗状の板をなし,その境界線が多くは不規則である.ただ網膜の色素上皮(色素層Stratum pigmenti)の細胞は規則正しい六角形をしている(図39).他の細胞,たとえば口腔上皮の表面の細胞は不規則な輪郭をしめす(図40).そのほかの扁平上皮細胞でも五角形あるいは六角形をするものがあって,その境界が直接的ではあるが,境界線の長さがまちまちである(図46).

 円柱上皮細胞はいろいろの長さの稜柱の形をしている.それには(いわゆる)立法形の細胞kubische Zellen[「立法形」の細胞“kubische”Zellenという名前はよくない.さいころの形をした細胞を誰もみたことはあるまい.いわゆる立法形の細胞はその形から云えば五角形あるいは六角形の円柱状または稜柱状の細胞で丈の低いものである.(原著註)]からの眼の水晶体をなす長いひものような“水晶体線維”Linsenfasernまであらゆる形のものがある.楕円に近い形の核がその長軸を細胞の縦の方向に一致させて存在する.細胞の基底部は細い突起をだして,その下にある組織に鈎をかけたように付着している.

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最終更新日13/02/03

 

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