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こういう結合組織束Bindegewebsbündelは繊細な縦の方向の筋を示し,かなりの丈夫さをもっている.そして曲がりやすいが,弾性は少ない.

 結合組織束は同じ太さのままで長くつづいて軽い波状をなして走ることもあり,また同じ種類の他の線維束と合して,いっそう太い二次束や三次束をなすこともある.

 試薬に対する関係:石灰水Kalkwasser,重土水Barytwasser,過マンガン酸カリ,ピクリン酸などを用いることによって線維束はその個々の原線維を分けられる.これらの化学物質が原線維間物質を溶かすからである.薄い酸たとえば酢酸を加えると,線維束は膨化して,膠のように透明になる.膠原線維は胃酸に溶けるが,トリプシンには溶けない,そしてすでに述べたように煮ると膠ができる.年齢による変化:若い人の膠原線維は上に述べたいろいろのものを作用させたときにいっそう弱い抵抗を示す.年齢が増すとともにますます固くなり,抵抗が強くなる.

[図64]疎性結合組織 材料はネコ,中性赤による超生体染色supravitale Färbung mit Neutralrot. (Maximow)

 格子線維は多くははなはだ細くて,たがいにつづいて格子状をなし,また膠原原線維の端とつづいている.薄い酸に対しては膠原線維よりも抵抗がいっそう強い.トリプシンによって消化されない.しかし煮ても膠を生じない.

 格子線維は腺の終末部のまわりや毛細管の内皮管のまわりをとりまく基礎膜を形成している.銀液で処理するとこの線維が特別によく現われるので,そのために銀好性線維argrohile Fasernとよばれる.細網組織や脾臓の静脈洞をとりまく輪状線維は格子線維に属するのである.電子顕微鏡の示すところによると,この格子線維はいくつかのさらに細い原線維の集まりである(v. HerrathとDettmer, Z. wiss. Mikr. 60. Bd.,1951).

 弾性線維elastische Fasernは多くは円い切り口で,時としてはまた帯のようである.これははなはだ弾性にとんでいる.その太さは1µの何分の1から9µまでいろいろと異なる.たがいに連なって網をなし,また線維の輪郭がはっきりとして暗くみえ,光を屈折する力が大きいので強い輝きをもっている.この線維が(標本のなかで)千切れると,その強い弾性のために切れ端のところが縮んで,特徴のあるうねった像をあらわす(図64).

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最終更新日13/02/03

 

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