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2.定形結合組織すなわち強靱結合組織ではそのほとんど全部を占めて膠原原線維と特別な形の細胞,ならびに少量の細胞間ないし原線維間物質がある.原線維はたがいに平行して走り,わずかな量の原線維間物質のよってたがいに連ねられて,太い線維束をなしている.腱ではこの線維束がたがいに平行に配置され,筋膜や角膜ではそのかなり大きい集まりがたがいに交叉しており,真皮や眼の強膜では比較的小さい集まりがいろいろの方向に交錯している.細胞としてはほとんど結合固定結合組織細胞のみであるが,,これがそれぞれの器官に特有な,そして特別な形をしており,且つ規則正しい配置をしている(例えば腱の翼細胞,角膜の角膜小体).翼細胞Flügelzellen(Ranvier)は稜柱状の細胞であって,平たくひろがった3つあるいはそれ以上の数の突起をもっている.この突起はいろいろと異なる角度で細胞体から出ていて,隣接する線維束を囲む形をしている(図69).この種の細胞を側面からみると,視野の面にある翼状突起は薄い板としてみえるが,観察者の方に向かってのびているか,あるいはその反対の方向に伸びている突起は細胞の上を越えて通るくらい線としてみえるのである(図70).核は楕円に近い形である.角膜の細胞(角膜小体)は1つの面上にひろがった扁平な細胞である.

3.弾性組織は大部分が弾性線維ないし弾性網あるいは弾性板と少量の細胞間ないし原線維間物質,膠原線維および細胞とからなる.この組織は特別な弾性器官をつくっている.このような器官では弾性線維が結合してやはり網の形をしているが,その線維が疎性結合組織などの含む弾性線維よりはるかに太い.その例として項中隔の横断を示しておこう(図71).ここでは器官の軸にそって縦走する太い弾性線維の群が膠原線維と細胞間物質と細胞の3要素からなる疎性結合組織によってまとめられいる.

 血管の平滑筋線維のあいだおよびいわゆる弾性軟骨では弾性組織が上述のものとは違った形で存在する.これらでは密な弾性網が融合することによって広い板や膜ができている.これはHenleいらい有窓膜gefenstere Häuteと呼ばれている(図72).

[図67]巻酪線維umsponnene Faserヒトのクモ膜,酢酸をもって処理したもの.(Toldt)

[図68]腱の膠原原線維Bindegewebsfibrillen (Rollet)約×500.  a, a紡錘状の細胞とみえるもの.

[図69]腱細胞の立体図plastische Darstellung. (Tourneux)

[図70]腱細胞の列 ネズミの尾Rattenschwanzより.

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最終更新日13/02/03

 

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