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4.軟骨組織の特色は基質が方に存在して,その基質は透明であり,一見均質のごとくみえ,これを煮るとコンドリンChondrinが生ずることである.軟骨の基質は原線維間物質,膠原線維ないし弾性線維からなり,なお特徴ある軟骨細胞をその中にもっている.

 いま述べた成分のいずれが他に優って存在しているかによって3つの主な群を分ける.

 a)硝子軟骨hyaliner Knorpel,  b)線維軟骨Faserknorpel(また結合組織軟骨Bindegegewebsknorpelともいう), c)網状軟骨Netzknorpel(あるいは弾性軟骨elastischer Knorpel),なお付け足りとしてd)細胞軟骨Zeenknorpelおよびe)石灰化軟骨verkalkter Knorpelを数えることができる.

 石灰化軟骨を除けば,軟骨はすべて丈夫で弾性があり,色は青みをおびるもの,乳白色のもの,あるいは黄色のものがあり,特に胎児の体で,しかしまた成人の体においてもはなはだ重要な役目をなしている.その役目は軟骨の弾性や固さ,ならびにその表面が平滑であることによって達せられている.

 a)硝子軟骨はガラスのように透明な一見均質と思える基質をもっている.その中に大きい円形あるいは多角形の,そして繊弱な感じのする軟骨細胞が2個あるいはそれ以上の数のものが集まって存在する.その原形質は細かい顆粒を示し,脂肪滴やグリコーゲンをもっていることがある.核は球形で繊細な核材を示す.脂肪体はいろいろの試薬にはなはだ敏感である.処理が不適当なときには細胞体が縮んで,とげをもつ小塊となる.生体内あるいは個体が死んでもなお組織が生きている場合には軟骨細胞はそれを容れるための基質内の滑らかな壁を持つ部屋,すなわち軟骨小腔Knorpelhöhleを全く充たしているのである.軟骨小腔の内面に接するところは他の基質の部分とは化学的にやや異なっていて,抵抗もいっそうつよいのである.ここを軟骨小嚢Knorpelkapselという.

 1つの軟骨小嚢に包まれて2個の細胞をみることが稀でない.またそういう2個の細胞のあいだに薄い硝子様の隔壁のある場合もある.細胞が急激に分裂して,そのとき隔壁の形成がおこらないときは,細胞のかなり大きい群が1つの軟骨小嚢で囲まれる(図73, 74).

[図71]ウシの項中隔Lig. nuchae, Nackenbandの横断.

[図72]弾性板 ヒトの大腿動脈より得たもの.×75

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最終更新日13/02/03

 

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