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 細胞軟骨Zellknorpelは成人には存在しないもので,軟骨細胞と軟骨小嚢,ならびにごくわずかの基質からなっている.脊椎動物の発生初期にみられる多くの軟骨,いろいろの哺乳動物の外耳の軟骨,また多くの魚類の鰓の小突起中にある軟骨の一部などがこの細胞軟骨である.Köllikerの先例に従って多くの学者は脊索の組織もまたこれに数えているが,一つにはその発生学的な由来が異なること,今ひとつの理由はその化学的組成からして,この説の妥当性は疑われる.発生学的および化学的の両見地からすれば,脊索組織はむしろ上皮性の組織の特殊な一群とすべきものであろう(34頁を比較参照せよ).

 Hintzsche, Umbildungen・・・Hyalinknorpel/ Z. mikr.-anat. Forsch., 25. Bd.,1931.

5.骨組織は石灰化した細胞間物質(あるいは原線維間物質)と石灰化しない膠原原線維と,豊富な枝分かれをしてたがいに吻合している骨細胞とからなる.

 骨細胞は基質の内部の空所内にあるが,この空所の形は骨細胞とその突起の形によく似ている.晒した骨では細胞がなくなってこの空所のみがよく見えるわけで,これを骨小体Knochenkörperchenあるいは骨小腔Knochenlücken oder Knochenhöhlenという(図79).

 骨小腔の多くはレンズ形をしていて,長さ13~31µ,幅6~15µ,厚さ4~9µであり,数多くの突起(骨細管Knochenkanälchen)をあらゆる方向に出して,この突起が隣のものとつづく.また骨という器官についてみると,骨細管の一部は骨内の大小いろいろの髄腔や血管の通る空所に通ずるし,また骨の外面にも開いているのである.

 骨細胞(図77, 78)は細胞膜をもたないで,その原形質は細かい顆粒を示し,核は楕円に近い形である.細胞体が数多くの突起を出して,これが近在の骨細胞の出す突起と結合している.

 v. Ebnerによると骨の原線維間物質は石灰化しており,その中にある骨の原線維じしんは石灰化していないという.他の学者によると骨の原線維も石灰化しているところである.原線維は束をなして集まり,その集束が異なる方向をとってたがいに交叉している.これによって生ずる形象がSharpey-Ebnerの層板現象Lamellenphänomenとう名称で知られている(図161).

 これらのはなはだ細かい原線維の他に,それより太くて,骨の表面から骨質の内部にはいっていく線維性結合組織の束がみられるのであって,これはSharpey線維,あるいは穿通線維durchbohrende Fasernとよばれる(図165).

 酸を用いて骨組織から無機成分(その集まりを骨土Knochenerdeという)を除去することができる.そのさい残っている有機成分を骨軟骨KnochenknorpelあるいはオッセインOsseinという.これは骨組織の構造をそのままに示しており,軟らかくて曲げることができ,メスで容易に切れる.

[図77]骨細胞3個(縦に置いて内部までみる.)ネズミRatteの肩甲骨より.×1200. (Ruppericht)

[図78]骨細胞1個(横に置いて内部までみる.)ネズミRatteの肩甲骨より.×2500. (Ruppericht)

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最終更新日13/02/03

 

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