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 人の血液の血小板が下等動物のやはり血小板と呼ばれる有核で同じ機能を持つ細胞と相同のものであるかどうかは未だ決定していないが,相同であることの可能性が大きい.

 Deetjenやその他の人々によって核と考えられた細胞内容物は顆粒部Granulomerとよばえていて,多くの学者はこれを核とみなしていない.しかし組織化学的に核反応が陽性である.J. H. Wright ( Publ. Mass. Gen. Hospital . Boston , Vol. III.,1910)は血小板が造血器官(骨髄,脾臓)内の巨大細胞の細胞体からちぎれて生ずることを発表した.そのさい顆粒部は細胞体のもつ顆粒に由来するのであって,核から生ずるのではないと云った.Pfuhl (Z. Anat. Entw.110. Bd.,1940)によると血小板はトリパンブラウによって“すっかり”durchweg染まるので,生きている細胞ではない,生きている細胞だとそんな染まり方をしないというのである.

5. 血塵Blutstaubchen (Hämokonien, Muller)および脂肪小滴Fetttröpfchen. .血漿内にいろいろと異なる量に存在する顆粒および顆粒集団はMüllerが考えたのと違って,独立の成分とはおもえないものである.生気のとぼしい外観を呈していて,最も大きい構造物が壊れてできた破片であろうかとの考えをおこさせるのである.

 血漿の中にある脂肪小滴は乳ビやリンパの膨らむ美貌が血液の中に注がれたものとるすのが,最も考えやすいことである.

[図97]ヒトのヘモグロビン結晶(Schäferの図を利用した.)

[図98]モルモットのヘモグロビン結晶(Schäferの図を利用した.)

[図99]ヒトのヘモグロビン結晶(Schäferの図を利用した.)

[図100]クロールヘミン結晶(Teichmann結晶)(Schäferの図を利用した.)

[図101]ヒトのヘマトイディン結晶(Schäferの図を利用した.)

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最終更新日13/02/03

 

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