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この突起は中枢器官の中をとおる間に細い側枝Kollateralenを多くは直角をなしえ出し,側枝はまもなくごく細い枝でできた叢すなわち終末分枝Endbäumchen, Telodendronをもって終わる.軸索突起もまた1度あるいはそれ以上の回数,2つの同価置の枝に叉状dichotomischに分かれることがある.それは図118の運動性ニューロンの模型図に示されている.

 A. まずわえわれはニューロンの細胞体の部分すなわち神経細胞をみよう.これは細胞膜をもたず,細胞の形と大きさはいろいろである.球形のもの,平たいもの,紡錘形のものがある.それからでる突起によってしばしば星状,錐体状などの神経細胞がある.大きさに概して著しいのであって,大きい神経細胞は肉眼でもみることができるほどである.しかし神経系の数多くの場所にははなはだ小さい神経細胞も存在するのであって,その細胞体は簡単な染め方ではほとんどあらわし得ないのである.そこで神経細胞の大きさは10~150µという大きい幅の中で変動することになる.

 神経細胞のだす突起はその細胞体の一部に他ならないのであるから,これをも細胞の大きさに加えるならば,多数の神経細胞ははなはだ大きいものとなるのであって,人間では1メートルやそれ以上の長さのものがあり得る.

 でてゆく突起の数によって,神経細胞には単極,双極,多極のものが区別される.

 突起を一つも有たぬものは,人工的に突起が除かれたものは別として,神経細胞の幼若形である.どの神経細胞でも発達の初期には突起のない時代があった(もちろんそのときのも細胞間橋はおそらく存在したのであろうが,これは問題のそとにおく).単極unipolarの神経細胞すなわち1本の突起をもつものは多数に存在する.しかしこの1本の突起は早かれ遅かれ,ある経過ののちに分岐する.その分かれた枝の1つが神経突起の意味をもつのである.双極bipolarの細胞も同様にたくさん見られる.本の突起は細胞のそう反する場所から出ている.それよりも多数の突起が細胞体から発するならば,多極multipolarの神経細胞である.

 樹状突起は広い起始面をもつ細胞体からでる.それは次第に細くなるが,細その叉状分岐までは細胞体じしんと同じ構造をたもっている.神経突起は縦走する細かいすじをもったいわゆる起始円錐Ursprungskegelをもって発する.この突起は細胞のすぐ近くですでに細くなっており,そして初めのうちは分岐や側枝を示さないのである.

 細胞体は新鮮なままでとり出した神経細胞では,どこも個々も同じように顆粒が密に含まれて濁って見える.特別な包蔵物としては黄色ないし暗褐の色素と脂肪の小滴がたやすく認めあれる.

[図118]1個のニューロンを模型的に示す. 脊髄の前柱の運動性神経細胞の構造をもとにして.

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最終更新日13/02/03

 

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