歴史的な偉大な解剖学書
容易に外から分かる目標(骨ぐみ,筋肉,脂肪層をもつ皮膚,身体各部の比例)がいろいろの体質型Konstitutions-Typenを区別することに役だつ.この体質型Wolf-Heideggerは体格型Körperbautypenとよぶのがいっそう良いことだと云った.この人は胸郭内部の大きさをよりどころにして新しい体格示数Körperbauindexを樹てたのである.(Acta anat.11. Bd. .1950. )
そういう分類としてはいろいろと変わったもの(Jankowskey)が考えられたことは当然といえる.それらの価置については将来が決定するであろう.ここではKretschmerが豊富な経験をもとにして唱えた3つの主な型を分ける学説に従っておこう.すなわち細長型Leptosomer (asthenischer) Typus, 闘士型athletischer Typus, 肥満型pyknischer Typusである.それになお異形成の特殊型dysplastische Spezialtypenが加わる.
1. 細長型Leptosomer Typus(図146).男では幅のせまい体つきがめだって,顔が細くて,鼻が鋭い.最も大事な点は平均して身の丈は小さくないが,太さが少ないことである.太さの不足は全身およびその各部についてみられる.重量も周径も幅も平均値を下廻る.筋張って細長い,あるいはやせた多数の人間がこの型に属する.しかしこの人たちは全般的な生活力は良くて,粘り強い体力をもっている.細長型は一方では次第に闘士型に移行するとともに,他方では肥満型との間にも明瞭な境がない.
高度な細長型の人はやせて,ひょろ長く丈が伸びており,皮膚は乾いて血液も乏しく,肩幅はせまくて,腕も足も細い.頚は長くて細く,胸郭も細長くて鋭く尖った助骨角を示し,腹部は脂肪が少ない.体重は体長のわりに少ない(50.5Kg:168.4cmというぐあい).また胸囲が腰囲よりも小さい(84.1cm:84.7cmというぐあいである).
子供のときは後に細長型となる人は繊細で弱々しく,思春期には速やかに成長するが,太さは依然あまり増やすことなく,壮年や老年になっても筋肉の充分な発達や脂肪蓄積の傾向を少しも示さない.細長型の人がしばしば早期に老衰vorzeitiges Alternにおちいることは特に注意を要することである.
女性の細長型weibliche Asthenikerも大体において男性のばあいと同じ性質を示すが,その上にしばしばからだが小さいのである(低形成細長型asthenischhypoplastisch).
細長型の人の代表的計測値.(Kretschmer. )
男 |
女 |
男 |
女 |
|||
身長 |
168.4 |
153.8 |
寛骨部のまわり |
84.7 |
83.2 |
|
体重 |
50.5 |
44.4 |
前腕のまわり |
23.5 |
20.4 |
|
肩幅 |
35.5 |
32.8 |
手の周り |
19.7 |
18.0 |
|
腕のまわり(呼気,の時と吸気のときときの中間値である) |
84.1 |
77.7 |
下腿の周り |
30.0 |
27.7 |
|
腹のまわり |
74.1 |
67.7 |
下肢長 |
89.4 |
79.2 |
[図146]細長型の模型図.(Kretschmer)
2. 闘士型athletischer Typus (図147).男では篩骨がたくましくて,脂肪の蓄積は少なく,皮膚が厚くて固い.
一般的な現われとしては:丈はは中等大ないし背の高い人であって,肩幅がひろくて,胸郭は円くもりあがり,腹は硬くひきしまって,型や腕の筋肉胃から強く発達し,頭は頑丈で高く,頚も丈夫にできていて,良くは立つ下僧帽筋が頚に特別な形をあたえている.胴体は骨盤にむかって細くなる.下肢は筋肉がよく発達しているにかかわらず,体幹の上半分にくらべると,しばしば比較的小さい.
思春期にすでにこの型を特色づける諸性質がはっきり.とあらわれくる.
闘士型の女はやはりその方の男と相通ずる体つきであるが,脂肪が時として豊富に発達する.この型の女は概して強く成りすぎたような,むしろ気持ちの悪いほど頑丈で量のある感じがするのである.
最終更新日13/02/03