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前方にあるのが前腋窩ヒダPlica axillaris ventralisで大胸筋によって作られ,後方の後腋窩ヒダPlica axillaris dorsalisは広背筋と大円筋によってできている.腋窩は外側は自由上肢により,内側は胸の外側壁によって境される.

 胴の後面すなわちDorsumでは胸と腹との境はみえないか,あるいいは不確実に現われいるのみである.これに反して頚は胴からはっきりと肩の高まりによって境されている.背部の対称的な左右両半は正中線にそってのびて下方に向かって深さを増す溝すなわち背溝Rückenfurcheによってたがいに分かたれている.この溝は寛骨部に達するとまず幅の広いへこんだところすなわち仙骨部Regio sacralisとなる.それから臀のたかまりの間でふたたび狭くなり,同時に深さを増す.ここを臀裂Crena ani, Gesäß-oder Afterspalteという.臀裂の奥に腸管の出口すなわち肛門Anus, Afterがある.その付近を含めて肛門部Regio analisという.肛門部の前方に尿生殖部Regio urogenitalisがあり,これは外陰部Regio pudendalisをもっている.肛門の開口から陰嚢をつけ根あるいは腟口までが会陰Perineum, Dammであって,その付近一帯が会陰部Regio perinealisとよばれる(図152153).

 仙骨部Regio sacralis, Kreuzrauteは次ぎに述べるような骨の個所によって境されている::第5腰椎の棘突起;薦骨の下端(左右の臀部がぶつつかるところ);上後腸骨棘に相当して皮膚に左右1つずつの小さいへこみがある.男ではこのへこみより上方で,腸骨稜Crista ilicaの高さに第2の小さいへこみがあることが稀でない.

[図149]人体の諸部分Regiones corporis humani. 前面(His, Die anatom. Nomenclatur1895の図に基づいて,Fr. Kopschが用語をJ. N. A. に合わせて書き改めもの.)



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最終更新日11/02/21

 

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