歴史的な偉大な解剖学書
身体の各部の重さについてはHarlessが筋肉のよく発達した1男子でつぎの計測値を上げている:
全身 |
64.00kg |
胴の上部 |
23.07kg |
胴の下部 |
6.56kg |
胴の全部 |
29.63kg |
大腿 だいたいの計算 |
7.16kg |
下腿 だいたいの計算 |
2.81kg |
足 だいたいの計算 |
1.17kg |
下肢の全部 |
11.14kg |
上腕 だいたいの計算 |
2.07kg |
前腕 だいたいの計算 |
1.16kg |
手 だいたいの計算 |
0.54kg |
上肢の全部 |
3.77kg |
頭 |
4.56kg |
Hをもって体の大きさ(頭頂足底長),Cをもって乳頭の高さで測った胸囲(単位はcm),Pをもって体重をあらわすとすると次の式によって体重が得られる(Bornhardt):
中等度の体格のもので P=H・C/240
実際の体重がこの式により体調と胸囲から計算したものより大きければ,体格が普通よりも力強くできており,小さければ体格が弱いのである.
Krauseはよく均斉の取れた人体では体重が1kg増すごとに身長は約0.3cm大きいという計算をなしている.
対称的といえる左右両半身の重さは全く同じというわけでなく,右半身の方が重いことが普通である.
全身の重心Schwerpunktは直立した姿勢では仙骨管の中で,第2仙椎の上方にある(M. Meyer).下肢を除いた場合には重心は脊柱の前面で,第9胸椎と第10胸椎の間にある.
身体の設計にはいかなる軸系が用いられているかは前に述べたのである.すなわち縦軸は非対称性を示し,横軸は対称性をあらわし,背腹軸では非対称性が著しいのである.
縦軸を含み,且つ他の2つの軸に対して垂直な平面が体の正中面Medianebeneをなしている.正中面は身体をほとんど対称的な両半に分けるのである.
この正中面に平行して身体をとおるたくさんの平面は矢状面sagittale Ebenenとよばれる.正中面もまた矢状面の1つであるが,特別な確定性をもっている.
横の方向に身体を通って,正中面に対して垂直をなす多数の平面は横面Querebenen, Transversalebenenとよばれる.また人体は直立しているのを状態と考えて水平面Horizontalebenenともいう.
つぎに正中面に垂直に身体を通り,直立した体では上下の方向にのび,且つ左右の方向にのびる平面が前額面Frontalebeneである.
同じ意味で矢状断,横断,前額断という言葉が用いられるし,またちょうどそういった軸があるのである(図154,155).
正中面に近く存在するか,遠く存在するか,あるいは正中面に向かっているか,それに反しているかを云いあらわすのに内側medialと外側laeralをの語を用いる.また方向を云いあらわすために内側へmedianwärts, 外側へlateralwärtsという副詞が用いられる.
[図154]l 縦軸;b 横軸;d 背腹軸
[図155]身体の水平断の模型 M正中面;sag:矢状断,矢状面あるいは矢状断;fr前額軸,前額面あるいは前額断.(Panschによる.)
図156の身体の軸を示す模型図では人体を他のすべての脊椎動物に自然であるような位置に置いてある.しかしもちろん人体の本当の自然の姿勢は直立したものである.
最終更新日11/02/23