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各論Besonderrer Teil

I. 骨格系Systema sceleti, Skeletsystem

 骨格系はまた受動的運動器官passive Bewegungsorganeの系統ともいうべきもので,骨とそれに付属する軟骨,ならびにここの骨を結合している靱帯からなる.この章ではまず骨を対称とする骨学Osteologia, 次いで関節を対称とする関節学Arthrologiaという順序で述べることにする.

骨学Osteologia, Knochenlehre

A. 骨学総論

1.序言

 骨Ossa, Knochenは硬い丈夫な弾力のある器官で,各個が集まって骨格Sceletum, Gerippeをなす(図176).骨は新鮮な上体では白色調で,ふくまれる血液の量に応じて,黄色みが勝つこともあり,赤みが勝つこともある.形は実に多種多様である.

 *骨は第一に骨組織からなることは勿論であるが,1個の骨が構成されるには,ほかに多くの要素が必要である.隣接する骨との結合面は,たいていの骨では軟骨組織で被われており,この部分が結合組織で被われている骨もある.残りの骨表面も,骨組織がはだかで露出しているわけではなく,骨膜Periosteum, Beihhautで被われているのである.肋骨のように比較的長い軟骨部が骨に付着している場合には,骨膜は軟骨膜Perichondriumとなって軟骨の表面に続いている.さらに骨の他の構成要素を挙げれば,血管・リンパ管・神経・黄色および赤色骨髄,それから骨膜に相当するもので,骨髄を包む薄い線維性の膜,すなわち骨内膜Endosteumがある.

2. 器官としての骨の構造

 まず骨組織がどんなぐあいに配列して1個の骨を構築しているかをみよう.それには管状骨を横断および縦断して観察するのが一番よい.長軸に沿って真二つに鋸でひいた管状骨(図157)を肉眼で観察すると,骨の中央部(骨幹)に硬い綿密な部分があって,骨の両端へかけて次第に薄くなっているのが認められる.骨端部ではこの緻密質Substantia compactaが薄くなるにつれて,緻密質から内方に伸び出している梁状の構造すなわち海綿質Substantia spongiosaの占める部分が広くなる.

 管状骨の中央には髄腔Cavum medullare, Markhöhle(図157)があって,両骨端で海綿質の多数の小腔に移行している.



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最終更新日11/02/23

 

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