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 以上が緻密質の組織像であるが,海綿質の構造も本質的にはこれと変わりがない.しかし海綿質の薄い骨梁の中では,ハヴァース管はわずかになり,それをとりまく層板系を見ることはまれである.そして骨梁が著しく薄くあるいは細くなると,層板はついに消失して,骨組織を残すだけになる.

[図161]層板内原線維の走向(シャピー・エブネルの層板現象)ヒトの大腿骨骨間の横断研磨標本の一部.×225.1個のハヴァース系の全容と,数個のこれに隣接するハヴァース層板および介在層板が見える.

[図162]ハヴァース管の内容 人のツチ骨の縦断による.

 晒さない骨では,骨小腔の中に破骨細胞が見られ,骨細管の中に破骨細胞の突起が見られ,ハヴァース管の中には血管とリンパ管と神経が認められる.

 骨組織の特殊のものに,いわゆる線維性骨組織grovfaserige knochensubstanzのあることはKöllikerによって指摘された.この組織は成人ではごくわずかの所にしか存在しないが,胎児の新生児の骨はもっぱらこの種の組織でできている.線維性骨組織の特徴とするところは,(1)はっきりした層板構造を欠いていること,(2)大形の不規則な骨細胞が存在すること,(3)おびただしい数の,そしてある部分では非常に太いシャーピー線維が存在することである.

 新鮮な緻密質の比重は1.9304(Wetzelによれば1.8777)であり,晒した骨では2.1445である.

 骨組織は骨と同様に,特に保存の方法を講じないでも,何千年もの間もつものであって,このことは骨組織の特性に基づくのである.

 骨の有機質がだんだん破壊されてゆく過程が風化Verwitterungであって,骨はもろく,こなごなになる.湿った土や水に含まれる無機線維が骨に沈着する過程は石化Versteinerungまたは化石形成Petrifikationという.

 ところで,骨組織を理解する上に極めて重要な項目が残っている.それは骨がどんあふうに発生してくるかということである.

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最終更新日11/02/23

 

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