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 若い骨原基の平面的な成長は,枝分かれしながら放射状にのびて,すべての方向にひろがってゆく.この際つぎつぎと新しい領域が,一番初めの部分がつくられたと同じ過程に巻き込まれてゆくのである.原基の全形はある程度まちまちで,これはできてくるそれぞれの骨のちがいによる.図163は12週胎児の頭頂骨の原基を水平図で示す.

 厚さの成長は重要な特徴をもっている.頭頂骨の若い原基の内が両面から柱状や板状の突起が起こって,新しい骨芽細胞のたえまない活動によって,ある高さにまで成長する.これが垂直方向の突起である.ある一定の高さに達すると,この突起から腹突起が水平方向に伸び出し,副突起は所々で別の突起からの腹突起と合する.こうして垂直方向と水平方向に交互に突起が形成され,それによって,たがいにつながりあう大小の空隙をかこむことにより,この空隙の中をまず何よりも血管が走る.ある時間がたつと,垂直の突起が新たにつくられることは終わって,水平の方向に1層また1層と骨質が厚さを増し,これで骨は本質的には完成したことになる.この成長のいろいろな段階をきれいに作られた標本で見ると,あたかも成長中の上皮の細胞のように,ぎっしり並んだ骨芽細胞が骨形成の役目をなしていて,その像の見事さは筆舌に尽くしがたいものがある.

[図163]頭頂骨の原基 胎生12週のもの. ×18 (Köllikerによる)

b)軟骨外および骨膜性骨発生perichondrale und periostale Osteogense (図168170,171)

 軟骨外および骨膜性の骨発生においては,骨芽細胞の活動にあたって,すでに前もってのちの骨と形の似た1個の器官が準備されてできあがっており,その方面が骨芽細胞の働く踏み台として利用されるのである.同じことが軟骨内骨発生についてもいえる.この場合,骨の発生はすでに前もって形成されている軟骨の内部で起こるのだから,その軟骨のかたちに支配されることは同様である.さて,のちの管状骨の前進として作られている軟骨について,骨発生の過程をしらべてみよう.

 管状骨において軟骨外骨発生がはじまる場所は,おれる危険をふせぐのに最も大事な場所に当たっているのであって,それがどこにあるかは図168を見ればわかる.そこでは,軟骨膜によって骨の中央部をなす若い管状の部分が,すでに指輪のような形に作られている.骨の鞘ともいうべきものが骨の中央を包んでこれを補強し,支柱の役目を引き受けて,軟骨の負荷を次第に軽くしてゆくのである.

 上述の場所で,軟骨膜が軟骨の表面に骨芽細胞によって若い骨質を作り始める前に,すでに軟骨には1つの変化が起こる.すなわち軟骨の原基に石灰塩類が沈着し,軟骨内に石灰化点Verkalkungspunktができるのである.それに続いて骨化した鞘が作られ,次第に長くなる一方,石灰化もまた進んでゆく.

 この薄い鞘は,すでに結合組織内骨発生について述べたものと同じ様式で,早い時期から厚さを増してゆく.すなわち柱状や板状の突起が放射状に出て,ある高さにまで達し,筋違いの役目をなす.次に接戦方向すなわち同心性に柱状や板状の突起が順次出てきて,となりの放射状の突起に達する.それでこれら2方向の突起によって,大槽さまざまの空隙が,ある所では完全に,あるところでは不完全に囲まれることになる.それからまた放射状の突起,ついで同心性の突起が出て空隙をくぎる・・・という様にくり返されてゆくのである.骨の原基はこうして厚さや太さを増してゆく.この成長は管の全周に一様に進むこともあるが,一部にかたよって,あるいは向かい合う2つの部分に見られることもある.



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最終更新日11/02/24

 

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