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骨を割ってみると,固い実質と海綿状の実質とが骨を構成していることがわかる.この固い実質が緻密質Substantia compactaすなわち皮質Cortexで,部分により,また骨によって,強く肥厚していることもあり,薄い皮質の層を形成するにすぎないこともある.海綿質Substantia spongiosaは骨の内部を占め,そこで著しく発達していることもあるが,また極度に減少していることもある.骨の内部にも緻密質の突出部や島にがあって,これをBinnendura(内部の固いものの意)という(H. Meyer).

 このように管状骨の骨幹は非常に緻密な,ゾウゲ様の物質からなる.これに対して両骨端は,網状につながりあった,しかし一定の方向の走る細かい梁や板でその内部を構成されており,端にゆくほど薄くなる緻密質の皮膚で,その表面を囲まれている(図157).

 扁平骨では緻密質がしばしば2枚の板をなし,頭蓋骨では外板Lamina externaおよび内板Lamina internaとよばれる.この2枚の板の間には海綿質があって,頭蓋骨では板間層Diploëとよばれる(図178).多くの扁平骨は薄いところでは板間層を欠き,2枚の板が癒合して1枚になっている.比較的小さいいくつかの扁平骨は,結局たった1枚の薄い板から出来ているにすぎない.

[図178]厚い板間層をもつ扁平骨の横断(前頭鱗,管状縫合付近,正中線の2cm右)×3

 短骨は管状骨の骨端と同様に海綿質で出来ており,薄い緻密質の皮質で包まれている.混合型の骨では,緻密質と海綿質とが,いろいろな場所で,いろんなぐあいに用いられている.海綿質は髄腔と同じように,柔らかい,しかもはるかもつ,たがいにつながりあった多数の空所を充たしている.つまり海綿質のあいだの空所が赤色骨髄を宿しているわけである.

 緻密質と海綿質との形の上からは対称的な存在である.しかし両者は構造のいても機能においてもたがいに異なっていない.骨というものの全体が堅固なことをめざして構築されているのだが,海綿質もこの課題に関与している.この意味において,海綿質は圧縮された海綿質であり,海綿質はほぐされた緻密質であるといえる.この関係はそれぞれの骨において構築系の中でのその位置に応じて,特殊な様式であらわれている.この非常に注目すべき関係については「骨の内部構築」の項を見られたい.

 小さい血管や神経が,骨表面の多くの場所で骨質に侵入する.そのほかに,比較的大きい骨では割合に太い血管が1本,ときにまたそれ以上,きまった場所で侵入する.これが栄養動静脈Aa. et Vv. nutriciaeで,栄養孔Foramen nutriciumを通って栄養管Canalis nutriciusにはいり,ついで骨髄実質に達する.

 含気骨Ossa pneumaticaにおいては,空気を容れている空所の1つから,粘膜が骨の内部へ侵入し,この骨を中空にし,軽くしている.

 骨格を形成する各々の骨は体幹の骨体肢の骨とに分けられる(図176)

 体幹の骨格には頭の骨と胴の骨とが含まれる.

 体肢の骨格は上肢帯と下肢帯の骨,および自由上下肢の諸骨からなる.

 胴の骨格は脊柱・肋骨・胸骨からなる.同様に頭の骨格は脳頭蓋Hirnschädel (Schädelkapsel)と顔面頭蓋Gesichtsschädel (Gesichtsskelet)とからなり,後者にまた舌骨と鼓室小骨を含まれる.

 骨格を構成する骨の数は年齢によって変化するものである.初めにはたがいに分離しているいくつかの骨が,骨化の現象が進むにつれて融合して1つになる.

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最終更新日13/02/03

 

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