Band1.121   

B.骨学各論Spezielle Knochenlehre

I.骨格の各部Die Abteilungen des Skeletes

1.胴の骨格Das Rumpfskelet

a)脊椎

 脊椎Vertebrae, Wirbelは消化器系の背方,脊髄の腹方にある分節性の器官で,不対性ではあるが左右対称の形にできていて,正中面がこれを折半する.脊椎は列びつながって柱状をなし,椎間円板および他の諸靱帯とともに,胴の支軸となる骨格すなわち脊柱Columna veretebralis, Wirbelsäuleを形成する.

 第1の脊椎の上方には頭蓋があり,脊柱がこれを支えている.頭蓋は同時にまた脊柱と親密な類縁関係を持つものである.

 脊柱の一部は側方で12対の独立した肋骨と連結している.また脊柱の他の一部は下肢帯とかたく(短い仙肋骨がその間にはさまって)結合している.このようないろいろ異なった付加物によって,脊柱には頚・胸・腰・仙・尾の各部が区別がされるのである.

 脊椎は次のように区別される:7個の頚椎Vertebrae cervicales,12個の胸椎Vertebrae thoracicae, 5個の腰椎Vertebrae lumbales, 5個の仙椎Vertebrae sacrales,それに4~5(3~6)個の尾椎Vertebrae caudales S. cocygicaeである.

 第1~24の脊椎は真椎,自由椎,あるいは可動椎ともよばれる.またそのうち最初の2つの脊椎は回転椎Drehwirbel,その他のものは屈曲椎Beugewirbelとよばれる.骨結合によって連結した5つの脊椎は,仙骨Os sacrum, Kreuzbeinという1つの骨をなし,おのために5つは仮椎,不自由椎,不動椎(各椎間が動きえない意)などとよばれる.尾椎は集まって尾骨Os coccygis, Steißbeinを形成し,仙骨との間も尾椎間同志も可動性に結合されている.しかし成人では尾椎はたがいに多少とも癒合している.尾椎は次第に退化する傾向にある脊椎で,その不完全な形のために,これまた仮椎と呼ばれる.しかし形態学的にみれば,尾骨の脊椎も仙骨のそれも,やはりどこまで真の脊椎と考えるべきものである.尾椎は脊柱の鼻部をなすもので,この部分は多くの動物で非常に長い.

 ヒトの椎脊のうち退化的でないものは,すべて環状をなしており,その環には主体となる部分すなわち椎体Corpus vertebraeと,弓状の部分すなわち椎弓Arcus vertebraeとが区別され,それらによって椎孔Foramen vertebrae, Wirbellochが囲まれる.

 胸椎(図179,180)の椎体は短い円柱状の骨部で,上面および下面Facies cranialis, caudalisならびに前後の両面をもっている.

 前面は左右の方向には(つまり椎体の横断でみると)凸をなしてまがり,上下の方向には(つまり椎体の矢状断でみると)かるく凹を描いている.上下の両面の縁が少しは出ばっている.後面は左右の方向にかるく凹をなしている.

 上下の両面は椎間円板との付着部となっている.たての各面には血管とくに静脈の通る孔が沢山あいている.そのうち椎体の後面のほぼ中央にある1個またはそれ以上の開口はとくに大きい.

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最終更新日13/02/03

 

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