Band1.148   

2.頭の骨格Das Kopfskelet

 頭蓋骨Ossa craniiは脳頭蓋Gehirnschädelすなわち神経頭蓋Neurocraniumの骨と,顔面頭蓋Gesichtsschädelすなわち内臓頭蓋Splanchnocraniumの骨に大きく2分される.あるいは頭蓋函Schädelkapselの骨と,臓弓性骨格Visceralskeletとに分けられるといってもよい.

 骨性頭蓋はその一部が軟骨性にできる置換骨Eratzknochenであり,一部が結合組織性の基盤からできる結合組織骨であることを,発生学が示している.これによって,頭蓋骨は次のように分けられる:

 a)頭蓋函の被蓋骨あるいは不可骨Deck-oder Belegknochen der Schadelkapsel(はじめに軟骨で作られる骨):後頭骨のうち後頭鱗の三角部Schuppendreieck(頭頂間骨Interparietale)を除く部分,翼状突起の内側板を除く蝶形骨,篩骨および鼻甲介,側頭骨の錐体(乳様突起も).

  b)頭蓋函の被蓋骨あるいは付加骨Deck-oder Belegknochen der Schädelkapsel:頭頂間骨,頭頂骨,前頭骨,側頭骨の鱗部,鼓室輪,鋤骨,鼻骨,涙骨

  c)臓弓性骨格の原始骨Primordiale Knochen des Visceralskelets:舌骨,鼓室小骨.

  d)臓弓性骨格の被蓋骨あるいは付加骨Deck-oder Belegknochen des Visceralskelets:上顎骨,口蓋骨,翼状突起の内側板,頬骨,下顎骨.

 狭義の頭蓋函すなわち脳を包んでいる骨の函には,篩骨の大部分,鼻骨,涙骨,下鼻甲介,および鋤骨は与っていない.-原始骨と被蓋骨との境界は以前に考えられていた程はっきりしたものではない.さらにこれら両型の間に,骨化の両様式が一緒にあらわれる,混合骨Mischknochenという第3型があるからである.

a)神経頭蓋の原始骨
α)後頭骨Os occipitale, Hinterhauptbein(図211215)

 後頭骨は頭蓋の下うしろの部分を形成する,菱形に近い強く弯曲した板状の骨で,その前下方の部分は大後頭孔Foramen occipitale magnum, Hinterhauptlochという大きな卵円形の孔で貫かれている.この孔によって頭蓋腔は脊柱管とつながる.大後頭孔の前には短い厚い骨部があって,これを底部Pars basialis(Körper)という.また大後頭孔の両側には結節状の関節突起をもつ部分があって,外側部Partes lateralesという.大後頭孔のうしろにある部分は後頭鱗Squama occipitalis, Schuppeとよばれる.

 は前方と上方へ向かって突出しており,前の方では厚くなっているが後ろの方では薄く鋭い縁をなしている.その外面(下面)の中央に低い高まりがあり,これを咽頭結節Tuberculum pharyngicumという.この結節の両側に,筋肉のするザラザラした場所が左右1つずつる.体の上面は左右が高まってその間のところがすこしへこんでおり,蝶形骨のこれに境を接する部分と一緒に,斜台Clivusという斜めの面をつくっている.凹凸に富む側縁に密接して,錐体溝Sulcus petrosusという細い溝があり,これは下錐体静脈洞の一部を容れるためのものである.鋭い後縁はなめらかな弧をえがいて大後頭孔の前縁をつくっている.体の前面は四辺形の粗面で,蝶形骨の体との接合面をなし,後年にはこれと癒合する.

 外側部はうしろの方で広く薄く,前の方では狭く高い.その外面には,大後頭孔のすぐわきに,関節面をもつ高まりが左右1つずつあり,これを後頭鱗Condylus occipitalisという.左右の後頭鱗の後端を結ぶ線は大後頭孔の真中を通る.関節面は長さが幅ほぼ2倍あり,前後の方向では強く,左右の方向では弱く弯曲した凸面をなし,その面はかなり外側へむいている.左右の関節面の長軸は前方へゆくほどたがいに近づく.

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最終更新日13/02/03

 

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