Band1.173   

[図244]左の上顎骨 外方から(4/5)

[図245]左の上顎骨 鼻腔面から(4/5)

この縫合は両側の口蓋骨をも結合している. 口蓋突起の内側縁は上方へ高まって1本の隆起線になっている.これが鼻稜Crista nasalisであって,前方ではなはだ高く,後方でもある程度みとめられる.鼻稜は前の方で水平方向に棘をなして突出し,これを前鼻棘Spina nasalis anteriorという.鼻稜には鋤骨と鼻中隔の軟骨とが付着する(図226).

 口蓋突起の鼻腔面は平滑で横の方向に凹である(左右で高くなって中央がひくい).この面には前の方,歯槽突起と口蓋突起のさかいのところで,鼻稜のすぐわきに,この骨を下前内側方へ貫く切歯管Canalis incisivusの鼻腔への開口がある.両側の切歯管は下へゆくほど近よって骨の中を走るうちに合一し,口腔に開くところは切歯孔Foramen incisivumという1つの口になっている.口蓋突起の口腔面はデコボコで,多数の栄養孔で貫かれている.その外側縁の近くには口蓋稜Cristae palatinaeという高まりによってできる口蓋溝Sulci palatiniが1本か2本みられることが多い.この溝は前方では浅くなってはっきりしない.

 眼窩下管Canans infraorbitalisはその経過中に細い2本の側枝を出すのが普通である.この側枝ははじめは上顎体の骨壁の内部を通るが,後にはその内面の溝となって走っている.

 しばしば成人においてもなお切歯縫合Sutura incisivaという縫合の痕跡が,切歯孔から犬歯と第2切歯のあいだの槽間中隔にむかって伸びている.

S.173   

最終更新日13/02/03

 

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