Band1.189   

 次に眼窩とこれに隣る空所とのつながりは次の通りである:視神経管・上眼窩裂・眼窩頭蓋管が頭蓋腔に,眼窩篩骨管および鼻涙管が鼻腔に,下眼窩裂が翼口蓋窩につながっている.また,側頭窩とは下眼窩裂と頬骨管とによって,顔面とは眼窩口・頬骨顔面管・外側前頭孔・眼窩下管によって結合している.

 ところで視神経管Canalis fasciculi opticiについてなお注意しておかねばならないことは,この管が眼窩の四角錐の頂点で内側寄りにあるために,観察者が頭蓋をまっすぐ前から見たのでは,視神経管を全く認めることができないことである.視神経管のやや下方で棍棒状の上眼窩裂Fissura orbitalis cerebralisがはじまる.上眼窩裂は眼窩の外側壁と下壁との後端のところで,長く伸びた下眼窩裂Fissura orbitalis sphenomaxillarisのはじまりの部分とつながっている.下眼窩裂は上顎骨と蝶形骨の大翼とのあいだを前外側方へ伸びて頬骨に達している.上顎体のうしろで口蓋骨の眼窩突起が下眼窩裂の内側縁の一部をなしている.

 上眼窩裂の外側端の前に,しばしば硬膜眼窩孔Foramen meningeoorbitaleという小さい孔が開いている.これは頭蓋腔に通じて,中硬膜動脈の1枝を涙腺動脈に導くものである.

 内側壁の前部には涙嚢窩Fossa sacci lacrimalisがあって,下方へ骨性の鼻涙管Canalis nasolacrimalisに通じ,鼻涙管の下端は下鼻道のはじまりの部分に開く.

 眼窩の形と位置の軽度の非対称は,普通にみられる現象である.眼を失うと眼窩が縮小してくるのは,歯を失うとその歯槽がなくなるのと同様である.

[図270]鼻腔(右)の外側壁 中および下鼻甲介の大部分が除いてある(4/5).

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最終更新日13/02/03

 

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