Band1.207   

2. 橈骨Radius, Speiche(図285,286, 289,290,292,363)

 上端は関節をなしていて橈骨小頭Capitulum radiiとよばれ,その上面にある橈骨小頭窩Fovea capituli radiiをもって上腕骨小頭に対する関節窩をつくっている.橈骨小頭の側面も関節面になっていて,関節環状面Circumferentia articularisとよばれ,尺側の方が高くなっている.これは尺骨の橈骨切痕Incisura radialis ulnaeと橈骨輪状靱帯Lig. anulareradiiとの中で橈骨が動くための回転面をなしているのである.橈骨小頭はくびれた円柱状の橈骨頚Collum radiiという部分のさきについている.

 骨幹部は橈骨体Corpusradiiとよばれ,上部では円柱状であるが,下方にゆくと3稜をもち,また全体として軽く橈側へ向って凸の曲線をえがく.橈骨頚の少し下方の前面に橈骨結節Tuberculum radiiという,もりあがってザラザラした場所があり,ここに上腕二頭筋の腱の主体が付着する.前後の両面はそれぞれ掌側面Facies volarisおよび背側面Facies dorsalisとよばれ,両面の合するところに骨間稜Crista interosseaという鋭い稜線をつくっている.

 外側面すなわち橈側面Facies radialisへこれら両面が移行するところは,背側縁Margo dorsalisおよび掌側縁Margo volarisとよばれるはなはだ丸みをおびた稜線をなしている.

 外側面の中央には円回内篩が付着するための回内筋粗面Tuberositas pronatoriaというザラザラした場所がある.掌側面には,橈骨の中央3分の1の上部で,掌側稜の近くに,上方へ向って侵入する栄養孔が1つみとめられる.

 下端部は広くて厚く,不規則なかたちで4稜をもち,さらに2つの関節面をもっている.すなわち下方の手根関節面Facies articularis carpicaは凹面をなして2つの領域からなり,手根の舟状骨および月状骨と関節結合し,尺側の小さい尺骨切痕Incisura ulnarisはこの面に垂直で,後方へむかつて落ちこんだ凹面をなし,その中で尺骨の小頭が動く.外側端にはあまり鋭くない突起が下方へ伸びている.これが茎状突起Processus styloidesである.

3. 尺骨Ulna, Elle(図285,286,289291,362)

 尺骨の上端は上腕骨との結合のために,大きくくぼんだ関節面をなしている.これが半月切痕Incisura semilunarisで,前方に向いて開いており,その後上壁は尺骨体の延長をなして伸びる肘頭Olecranonという太い突起で囲まれ,また前下壁は烏口突起Processus coronoides(日本解剖学名では肩甲骨のProc. coracoidesと区別することができない.)によってつくられている.烏口突起の基部から下方へかけて,大きい三角形の粗面があって尺骨粗面Tuberosita sulnaeという.

 半月切痕の関節面は上方から下方へえぐりとられた凹面をなし,その中央の部分がくびれて狭くなっており,橈側縁の近くには関節運動を導く隆線Fuhrzangsleisteをもっている.烏口突起の外側面には,半月切痕の関節面につながる橈骨切痕Incisura radialisがあって,橈骨小頭と接している.

 骨幹は尺骨体Corpus ulnaeとよばれ,橈骨と同様に骨間稜Crista interossea,背側縁Margo dorsalis,掌側縁Margo volarisならびに3つの面をもっている.

 3面のうちの2つ,掌側面Facies volarisと背側面Facies dorsalisは橈骨の同名の面に相当するが,残りの1面は尺側面Facies ulnarisである.背側面の上部には橈骨切痕の後縁にはじまる回外筋稜Crista supinatoriaがみとめられる.

 下端は円柱状をなして且つふくらみ,こぎれいな尺骨小頭Capitulum ulnaeをなしている.尺骨小頭の内側には茎状突起Processus styloidesが伸びだしている.下端部の関節面は関節円板に面しているが,そのほかにこの部分には橈側面に1つの関節面があゆ,これは関節環状面Circumferentia articularisとよばれる.

S.207   

最終更新日13/02/03

 

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