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 この線は正中線に一致するのが普通であるが,ただし恥骨結合の上縁を通らず,恥骨結合の後面でその上縁より下方のところを通る.これに対して解剖結合線Conjugata anatomicaとよばれるものは,岬角の中央から恥骨結合の上縁の中央にいたる線である.

1a. 対角径Diameter diagonalis(日本人女性で11.7cm(小金井・大沢)13.4cm(工藤),12.7cm(小野)である.)は恥骨弓の頂点と岬角のこれに一番近い点とを結ぶ線で,女性の生体で直接に測定できるので臨床的に重要なものである.縦径よりも1.75~2cm長い.

2. 横径Diameter transversa(13.5cm)(日本人女性で12.1cm(小金井・大沢),12.6cm(工藤),12.4cm(小野)である.)は分界線上のたがいに最も離れた対称的な2点間を結ぶ線である.

 この線はたいてい骨盤入口の後部1/3と中央部1/3の境のところで,寛骨臼のすぐうしろにある.

3. 1(または右の)斜径Diamenter obliqua prima s. dextra(12.5cm)(日本人女性で12.2cm(小金井・大沢),12.4cm(工藤),12, 3cm(小野)である.)は右の仙腸関節が分界線と交わる点と,左の腸恥隆起とを結ぶ線である.

4. 2(または左の)斜径Diamenter obliqua secunda s. sinistra(12.5cm)は左の仙腸関節が分界線と交わる点と,右の腸恥隆起とを結ぶ線である.

b)骨盤出口の諸径(図311)

1. 骨盤出口の縦径または結合線gerader Durchmesser od. Conjugata des Beckenausganges(9.5~11.5cm)(日本人女性で11.1cm(小金井・大沢),10.6cm(工藤)である.)は尾骨の先端から恥骨弓の頂点にいたる.

2. 骨盤出口の横径querer Durchmesser des Beckenausganges(11cm)(日本人女性で11.6cm(小金井・大沢),12.5cm(工藤)である.)は両側の坐骨結節を結ぶ線である.

c)骨盤軸Axis pelvis, Beckennachse(図311)

 骨盤の各縦径の中点を結んで,小骨盤の中央を仙骨の弯曲に平行して走る(従って前方に凹の)1本の曲線が骨盤軸Axis pelvisすなわち骨盤導線Führungslinie des Beckensである.

[図311]骨盤軸と骨盤傾斜 女の骨盤の正中断

[図312]女の骨盤入口の諸径線

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最終更新日13/02/03

 

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