歴史的な偉大な解剖学書
腓骨踝の後面には腓骨筋の腱が通るための腓骨踝溝Sulcus malleoli fibulaeという溝がついており,また腓骨踝窩Fossa malleoli fibulaeという1つの深いくぼみがある.
骨幹すなわち腓骨体Corpus fibulaeには4つの稜があり,前稜Cristaanterior,外側稜Crista fibularis,内側稜Crista tibialis,骨間稜Crista interosseaとよばれる.はじめの3稜によって腓側面・後面・脛側面Facies fibularis, posterior, tibialisの3面が区切られる.骨間稜は脛側面を対角線的に貫いており,上方では前稜の近くにあるが,下の方ほど前稜から遠ざかつている.腓骨の栄養孔Foramennutriciumは後面の中ほどにある.
足の骨Ossapedis
足にも手の場合と同様に近位・中間・遠位の3部分が区別され,それぞれ足根Tarsus, Fußwarzel, 中足Metatarsus, Mittelfuß, 足[の]指Digiti pedis, Zehenという.
5. 足根骨Ossatarsi, Fußwuzarzelfenochen(図323~347,353~356)
七つの骨が集まって足根をつくっている.すなわち距骨・踵骨・舟状骨・3つの楔状骨.立方骨である.そのうちはじめの3つが近位足根骨Ossa tarsi proximaliaで,残りの4つが遠位足根骨Ossatarsidistaliaである.遠位部では足根骨がはっきり1列に並んでいる.すなわち足根骨の遠位列を構成するものは3つの楔状骨と立方骨とであって,別の名でいえば第1・第2・第3および第4足根骨Tarsalia I., II., III., IV. である.足には足根中心骨Centrale tarsiが残っており,近位列と遠位列の間にはさまっている舟状骨がそれである.近位列を構成しているのが距骨と踵骨である.
a)距骨Talus, Sprungbein(図323,324,353,354)
距骨は足根の円蓋の要石をなし,体重を脛骨からうけてこの円蓋に伝える.距骨の長軸は前内側に向いている.遠位端は距骨頭Caput taliという1つの関節頭になっており,これは細くなった距骨頚Collum taliによって距骨体Corpus taliから突出している.外側へは外側突起Processus fibularis taliが出ている.また後方へは近位突起Processus proximalis taliが出ており,これは長母指屈筋腱溝Sulcus tendinis m. flexoris hallucis longiという溝によって内外の2結節に分けられる.そのうち内側の内側結節Tuberculum tibialeとよばれるものの方が外側の外側結節Tuberculum fibulareより小さいことが多い.
下腿の骨との結合部をなす関節面は距骨滑車Trochlealea taliとよばれる滑車をなしており,ここに1つの近位部と2つの側方部とが区別される.前者は近位面Facies proximalisとよばれ,矢状方向には円い凸面をなし,横の方向には左右両縁が少し高くなって中央がややへこんでいる.そして近位部より遠位部の方が幅が広い.次に側方の関節面は脛側踝面および腓側踝面Facies malleolares tibialis, fibularisとよばれ,三角形で腓側踝面の方が脛側踝面より広い.距骨頭の関節面は球状で,舟状骨関節面Facies articularis navicularisをもって舟状骨の関節窩に接し,踵舟靱帯関節面Facies articularis pro ligamento calcaneonaviculariをもって踵舟靱帯の上に接している.距骨は下面の関節面によって踵骨と結合している.すなわちここには遠位・中および近位踵骨関節面Facies articularis calcanearis distalis, media, proximalisの3つがあって,踵骨のこれに対応する関節面に接する.中および近位の両関節面のあいだには,外側へ広くなっている1本の深い溝があって距骨溝Sulcus taliとよばれ,これと対応する踵骨溝Sulcus calcaneiとともに足根洞Sinus tarsiを形成する.
遠位および中踵骨関節面はしばしばつながりあっており,その場合にはFacies articularis calcanearis distalis bipartita(二分遠位踵骨関節面)とよばれる.
距骨の近位突起の(たいてい大きい方の)腓側結節が,あるいはこの結節の一部だけが,時おり体から分離して足根の1独立骨をなすことがある.これはかなり古くから知られたもので,v. BardelebenによってOs trigonum(三角骨)と名づけられた.Stieda(Anat. Anz., 4. Bd.,1889)によれば,この骨は成人で約6%に認められるという.(足立によれば日本人で約8%に認められる.)中間骨Intermediumに相当するものと考えられたが,そうでなくて近位突起じしんの突出した部分(Apophyse)が独立するにいたったものである(Hasselwander, Z. Morph. Anthrop.,18. Bd.,1914およびZ. Konst.,8. Bd.,1921. )
最終更新日13/02/03