Band1.234   

b)踵骨Calcaneus, Fersenbein(図325327,353,354,356)

 踵骨は足の骨のうちで最も大きい,距骨より後方に突出した部分は「かかと」の骨性支柱をなしている.踵骨の長軸は遠位にかつ少しく外側へ向いている.踵骨体Corpus calcaneiは近泣部では距骨と,遠位部では立方骨と関節結合をしている.

 後方の太くなった端すなわち踵骨隆起Tuber calcanei, Fersenhöckerはその下面に2つの突出があり,[踵骨の]腓側結節および脛側結節Tuberculum fibulare, Tuberculum tibiale tuberis calcaneiとよばれ,地面につくところである.

 踵骨隆起の後面は下の方が粗面をなしてアキレス腱の付着部をなし,上の方は平滑で1つの滑液包がここに接する.また下面は両結節の前に粗面があり,下面の遠位端の近くには1つの滑かな鈍い高まりがある.遠位面は立方骨と接する関節面で,立方骨関節面Facies articularis cuboideaとよばれる.腓側面はほぼ垂直の面で,遠位3分の1のところに滑車突起Processus trochlearisとよばれる突出があり,またその後下方に長腓骨筋腱溝Sulcus tendinis m. fibularis longiという溝が走っており,その中を長腓骨筋の腱がすべり動く.脛側面には載距突起Sustentaculum taliという強く突出した部分があって,その下に1本のはっきりした溝がある.これは長母指屈筋の腱が通る溝で,長母指屈筋腱溝Sulcus tendinis m. flexoris hallucis longiとよばれる.上面はその遠位半が急な傾斜で下方へかたむいており,遠位・中および近位距骨関節面Facies articularis talaris distalis, media, proximalisの3関節面をもって,距骨のこれに対応する面とのあいだに関節をつくっている.中および近位の関節面のあいだには踵骨溝Sulcus calcaneiがあって,距骨溝Sulcus taliとともに足根洞Sinus tarsiをなしている.足根洞は外側ヘロート状に広くなっている.

 しばしば遠位および中距骨関節面がつながりあっており,その場合にはFacies articularis talarisdistalis bipartita(二分遠位距骨関節面)とよばれる.

 踵骨の下面には遠位の方にむかつて伸びる1つの突起がかなりの例においてみられ,"Calcaneussporn"(踵骨棘)とよばれる.この突起は踵骨隆起の脛側結節の遠位縁から起り,小指外転筋・短指屈筋.足底腱膜の起始部をなす.H. Virchow(Berl. klin. Wschr.1916)はこの突起を"Aponeurosensporn"(腱膜棘)と呼んで,さらに遠位にあって長足底靱帯の起始をなす"Ligamentsporn"(靱帯棘)から区別している.

[図328,329,355]過剰足根骨の模型図 (W. Pfitzner,1901)1三角骨Trigonum, 2距骨,5踵骨,6二次踵骨Calcaneus secundarius,9舟状骨,11背側第一楔状骨Cuneiforme I dorsale,12第二楔状骨,12a楔状間骨Intercuneiforme,13第三楔状骨,14立方骨,15腓側種子骨Sesamum peronaeum,16中足間骨Intermetatarseum,17ヴェサリウス骨Os Vesalianum,19~23第一~第五中足骨.

[図329]1三角骨Trigonum,2距骨,3副距骨Talus accessorius,4載距突起骨Os sustentaculum,5踵骨,8外脛側骨Tibiale externum,9舟状骨,10底側第一楔状骨Cuneiforme I plantare,11背側第一楔状骨Cuneiforme I. dorsale(W. Pfitzner,1901)

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最終更新日13/02/03

 

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