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 もし個々の棒を張力線と圧力線に一致するようにして,それらによって1本の柱を組立てることができるならば,「ずりの歪力」が除かれるとともに,負荷による張力と圧力に対して最高の抵抗を得るであろう.このような柱は,それがすきまのない緻密な柱である場合と同じ大きさの負荷に,折れることなく耐えることができるのである.

[図364]右肩甲骨の後面の裂隙線 (Benninghoef,1925)

[図365]一端を固定した柱とその張力線および圧力線(Culmannによる)

[図366]下肢の海綿質の構築 (H. Meyer,1868)

 骨格自体の最も美しい例の1つは大腿骨の上部の前頭断またはそのレントゲン像に見られる(図157,366,367).

「張力曲線に相当する1つの大きい骨小梁系が,関節面の大腿骨頭窩の下方の部分と頭の下外側半から起って外側面の緻密質に移行している.これと交叉してもう1つの骨小梁系があり,これは圧力曲線に相当するもので,小転子の高さで内側面の緻密質から起り,大転子へ向って伸びている.この小梁系と起始をほぼ同じくして上方へ走る小梁の流れがあり,関節面の上面の内側部に放散して,骨盤から受ける圧力を直接に大腿骨の内側面の緻密質に伝える.これら3系の骨梁の流れに囲まれた空間は,これらの流れの続ぎ,とくに後2者のつづきによって充たされていることもあるが,またしばしば網の目の丸い細かい海綿質でみたされ,あるいはまたほとんど完全に骨小梁を欠くこともある.また関節面の上面の外側半から1つの小梁系が頭の中央へ向って伸び,最後に述べた上下に走る小梁系と最初に述べた大きい張力曲線系との中に消えている.大転子は網目の丸い海綿質をわずかに含んでいるか,あるいは表面に平行して上下に走る数本の小梁をもっている.また上述の圧力曲線系の小梁が大転子の表面にまで達していることもある.

 大腿骨の下端では脛骨の両端と同様な小梁の配列を示すが,内部の小梁系の交叉は見られない.何となればここでは両顆の関節面が一緒になってある程度単一の凹関節面をなし,ここから起る小梁はこの関節面にできるだけ垂直の方向をとるのを常とするからである.これに対応してこ蹄こはまた張力に耐えるためのカスガイの作用をなす小梁系(Streckbandsorstem)もよく発達している.両上顆は網目のこまかくて丸い海綿質で充たされているか,あるいは顆の構築に次のぐあいに与かっている.すなわち上述の張力に対する小梁系がその表面にまでつジき,上下に走る小梁はなおまばらに表面近くまで認められるか,あるいは主流の続きをなして上顆全体を貫いているかである.」(H. Meyer).

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最終更新日13/02/03

 

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