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関節学Arthrologia, Gelenklehre

A. 関節学総論Allgemeine Muskellehre

 生体の中で数多くの骨がいろいろなものによってたがいに離れぬようにまとめられている.そのまとめ役をする最もだいじなものとしては:

 1. 結合および支持組織

 2. 筋肉

 それと共に程度はずっと低いが次の要素もその働きをしている.

 3. 空気圧

 4. 粘着力

 5. 被いをなす外部組織

 筋膜や皮膚による外被äußere Bedeckungenはそのほかのどの要素にくらべても,ごく低い程度にしか問題にならない.

 粘着力Adhäsionもあまり大したものではない.たとえば股関節の関節窩は35gしか支持できない.

 空気圧Luftdruckは小さい関節面ではその面積と気圧(1cm2に対して1kg)との積に等しい力で,諸骨の関節端をたがいにひぎ寄せている.

 股関節ではこの力は約10~15kg,手関節では約5kgである.

 筋肉の牽引力Muskelzugは関節の接合に大きな力で働いている.何となれば筋肉の力は1cm2の横断面の筋肉につき約10kgにものぼるのである.Fischer(R. Fick,第2巻44頁)は50ポンドの重さをもち上げるとき,肘関節の両関節端をたがいに押しつけている筋肉の圧力を数百ポンドとみている.またHultkranzは手に2kgの負荷をあたえる場合のそれを20~21kgと見積つている.

 筋肉による骨の結合については筋肉系のところで述べる.

 結合および支持組織Bindesubstanzenによる結合は骨の結合Juncturae ossiumにおいては次の2型としてあらわれている.

 I. 不動結合Synarthrosisすなわち連続性の結合.これは骨の結合の原始型である.

 II. 可動結合Diarthrosisすなわち接触による結合.骨格部分のあいだに裂隙が形成されることによる.

I. 不動結合Synarthrosis, Fugen

 不動結合においては結合する骨のあいだの運動性が非常に少いのが普通である.

 不動結合においては結合する骨のあいだの運動性が非常に少いのが普通である.

 不動結合に利用されている結合物質の種類はさまざまで,それによって次の各型が区別される.

1. 骨結合Synostosis, Knochenhaft:骨組織による結合で,たとえば成人の仙骨における各仙椎の結合や,側頭骨・前頭骨・後頭骨の諸部分と蝶形骨との結合などである.

2. 軟骨結合Synchondrosis(および線維軟骨結合Symphysis), Knorpelhaft:軟骨組織(硝子および線維軟骨)による結合で,たとえば骨端軟骨結合Synchondrosis epiphyseosや蝶形後頭軟骨結合がこれである.

関節の解剖学と力学について参照すべきものはR. Fick, Handbuch der Anatomie und Mechanik der GeIenke. I. Teil. Anatomie der Gelenke. Jena 1904. II. Teil. Allgemeine Gelenk-und Muskelmechanik. Jena 1910. III. Teil. Spezielle Gelenk-und Muskelmechanik. Jena 1911.-Strasser, Lehrbuch der Muskel-und Gelenkmechanik, 4 Bde., Berlin1908~1917.--Knese, Gelenkstudien I, II, III. Z. Anat. ENtw.115. Bd.1950. (原著註)

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最終更新日13/02/03

 

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