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 線維軟骨結合(Symphorsen, 単にFugenともいう)はその結合物質が線維軟骨でできているわけであるが,Fickによればこれと硝子軟骨をそなえているはずの本来の軟骨結合との区別は,はっきりつけかねるのである.何となれば胸骨と第1肋骨のあいだの軟骨結合を除けば,硝子軟骨だけでできている軟骨結合はどこにもなく,いつも線維軟骨が混在しているからである.

3. 靱帯結合Syndesmosis, Bandhaft:膠原線維または弾性線維による結合で,そのうち

  a)強靱靱帯結合Straffe Bandhaftにおいては膠原線維性の固い結合組織によって結合し(たとえば鎖骨間靱帯・茎突舌骨靱帯など),

  b)弾性靱帯結合elastische Bandhaftにおいては弾性組織によって結合している(たとえば脊柱の弓間靱帯).

  c)縫合Sutura, Nahtは相隣る2つの骨縁がうすい結合組織板によって連ねられることを特徴としている.

 向い合う骨縁の形によってとくに次の各種を区別する:

  α)鋸状縫含Sutura serrata, Zackennahtはたいていの頭蓋骨のあいだに存在する.この縫合の特徴は骨縁にいろいろな形をした鋸歯状の凹凸があって,向い合う骨のこれに相当する凹凸にかみ合っているこ とである.

  β)鱗状縫合Sutura squamalis, Schuppennahtは両骨の辺縁がうすくとがっていて,それが鱗のように重なり合ってできている.たとえば側頭鱗と頭頂骨との結合がこれである.

  γ)平滑縫合Sutura levis, Glattnahtはギザギザのない両骨縁が相接してできている.涙骨と篩骨の紙様板との縫合がその1例である.

  δ)釘植Gomphosis, Einzapfung(γµψoζ=釘)は歯槽内での歯根の固定様式のようなものである.

II.可動結合Diarthroses=関節Articuli, Gelenke

1.一般事項

 可動結合は狭義の関節で,可動性をもつ骨結合のことである.この結合においては運動に対する抵抗が非常に少なくなっている.

  それぞれの関節に次のようなものが区別される(図377を見よ).

 1. 関節面Facies artticulares, articulierende Flächen(たいてい硝子軟骨で被われている).

 2. 関節包Capsula articularis, Gelenkkapsel(内側の滑膜層と外側の線維層とからなる).

 3. 関節腔Cavum articulare, Gelenkhöhle(滑液でみたされている)

 4. 特別の装置(補強靱帯・関節円板・関節唇・滑液包)

[図377] 関節の模型図

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最終更新日13/02/03

 

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