Band1.261   

 3. 運動の型によって:関節においてはいろいろな様式で円周運動や放射状運動や回旋運動が行われる.

 4. 関節をなすために集まっている骨の数によって:単関節と複関節とがわけられる.

 5. 関節の形をつくるのに利用された回転体の連続性によって:連続関節と不連続(複合)関節とが区別される.

 6. 機能の分布によって:1つの関節内に運動のしかたのちがう2つ以上の部分が分れている関節と,分れていない関節とがある.

 これらの分類のうちで記載解剖学上問題となるのは次の2つである.

A. 関節を作るために集まっている骨の数によって次の2種を区別する.

 a) 単関節Articulus simplex:ただ2つの骨が結合して関節をなしている場合(肩関節・股関節など).

 b)複関節Articulus compositus:2つより多くの骨が関節結合をする場合(肘関節・椀骨手根関節など).

 この分類に対して次に述べる第2の分類は全く別のもので,関節を形によって区別するのである.この場合まず関節は可動性の大小によって可動結合半関節の2群に大別され,前者がさらに細かく分けられる.

B. 関節結合する骨の形による分類:

 a)可動結合Diarthroses(関節Articuli)すなわち充分によく動く関節:

 1. 球関節Articulus sphaeroideus, Kugelgelenk(その例としては肩関節).球と杯のような両関節面をもち,凸の面すなわち関節頭Gelenkkopfが,凹の面すなわち関節窩Gelenkpfanneの中で動く.球関節では可動性が極度に大きい.

 2. 杵臼関節Enarthrosis sphaeroidea, Nußgelenkは一種の球関節で,その関節面が半球より大きいものである(股関節).

 3. 円柱関節Articulus cylindroideus.一方の関節端が円柱状の滑車をなし,これに結合する骨の関節端はそれに応じてえぐられている.運動は滑車の軸にあたる1つの軸のまわりに回転しうるだけである.この関節をさらに分解すると,

a)蝶番関節Ginglymus, Scharheiergelenk. この種の関節では滑車に導溝Führungsrinneという溝がついており,もう一方の関節端には,それに相当する場所に導隆線Führungsleisteがある.導溝と導隆線とが共同して,運動が導線Führungslinieに沿って進むように決定している(例えば肘関節の腕尺部).

 β)車軸関節Articulus trochoideus, Radgelenk. 関節頭が円板状をなし,その周りがそれに応じてえぐれた関節窩に接して滑る(例として肘関節の橈尺部).

 4. 楕円関節Articulus ellipsoideus, Ellpsoidgelenk. 関節面がだいたい楕円体に似た形である.この開節の可動性は非常に大きい(例として橈骨手根関節).

 5. 鞍関節Articulus sellaris, Sattelgelenk. 一方の関節面が1方向には凹,これと直角の方向には凸に弯曲して鞍のような形をしている.これに接する他方の関節面も同様に鞍状であるが,ただ弯曲の凹凸が前のものと逆になっている.

 6. 平面関節Articulus planus, ebenes Gelenkは関節面が平面をなすような関節である(頚部脊柱の椎間関節).

 しかしこれを球関節と考え,その関節面を非常に大きな径をもつ球の表面の一部とみなすこともできる.

b)半関節Amphiarthrosisは運動性のはなはだ少ない関節である.両関節面は多少とも相一致するが,強靱な関節包と力つよい靱帯のために充分の運動性がさまたげられているのである.

S.261   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る