Band1.273   

 4つの関節のうち2つは軸椎の歯突起にあり,前および後環[][]関節Articuli atlantodentales ventralis et dorsalisとよばれ,その1つが前に,他の1つつがうしろにある.他の2つは対をなす側方の関節で,外側環軸関節Articuli atlantoepistrophici lateralesとよばれる.

 これら4つの関節の関節腔が,軸椎歯突起の側方にある滑液包によって共通につながり合っていることが少くないが,それだからといって,これら4つの関節に単一の関節包というべきものが存在するとは言いがたい.前および後環歯関節の関節包の壁は非常に繊細である.外側環軸関節のそれはもっと強固であるが,広くてゆるい.

[図399] 軸椎歯突起の諸靱帯 蓋膜は除いてある (4/5)

特別の装置:

 a)歯尖靱帯Lig. apicis dentis:歯突起の上端から大後頭孔の前縁の中央にまで伸びている.この靱帯の中にはもと脊索Chorda dorsalisが頭蓋にまで走っていたので,その遺残が含まれていることがあり,場合によって増大していることすらもある.つまりこの靱帯は椎間円板の中央部に相当するのである(図396).

 b)翼状靱帯Ligg. alaria:2つの強い靱帯で,歯突起の上部から上外側へ伸びて,後頭顆の内側縁と大後頭孔の縁に付着している(図399).

 c) 環椎十字靱帯Lig. cruciforme atlantis:強い横走部すなわち環椎横靱帯Lig. transversum atlantisと,これに直交して正中部を走る.より貧弱な縦走部からなる.

 環椎横靱帯は両端は外側塊のちよつとした高まりまたはくぼみに固着しており,歯突起によって後方へ弓なりに押し出され,中央部は幅が広くなっていて,そこでは軟骨で被われている.横靱帯の中央から十字の上行部が後頭骨へ, 下行部が軸椎の体に伸びている(図396,399).

 d)蓋膜Membrana tectoria:幅の広い丈夫な線維束で,十字靱帯を後方から被い.斜台から軸椎の体にいたる.これは脊柱の後縦靱帯の上部とみなすことができる(図392,396).

 e)およびf)および後環軸膜Membranae atlantoepistrophicae ventralis et dorsalis:前環軸膜は環椎の前弓と軸椎の前面とのあいだにあり,後環軸膜は環椎の後弓と軸椎の椎弓とのあいだにある(図397,398).

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最終更新日13/02/03

 

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