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Hultkrantz(K. Svenska Vetenskapsakademiens Handlingar, Bd. 49,1912)によれば前後へ屈曲する運動の大きさは第1頭関節では18. 9°,第2頭関節では12.2°であり,側方へ屈曲する運動の大きさは第1頭関節で7.5°,第2頭関節で3.8°である.

III.肋骨と胸骨の関節(図400404,408)

 肋骨の結合は肋椎関節Articuli costovertebralesと胸肋連結Juncturae sternocostalesに分けられる.肋椎関節はa)肋骨小頭関節Articuli capitulorum(椎体との結合)および b)肋横突関節Articuli costotransversarii(横突起との結合)である.また胸肋連結は胸骨との結合である.

 そのほかになお, 各肋硬骨とそれに付属の肋軟骨とのあいだの結合,および第5~第9肋軟骨相互間の結合すなわち肋軟骨間結合Articuli intercartilagineiがある.

1.肋骨小頭関節Articuli capitulorum(図400,401,403,404)

 関節面は胸椎体の肋骨窩Foveae costalesと肋骨小頭の関節面Facies articulares capituli costaeである.

 両面1: 0.5~1 mmの厚さの線維軟骨で被われている関節包はうすくて,両関節面の縁のすぐきわに付着している.

 特殊な装置としては第2~第10肋骨に線維軟骨性の関節間肋骨小頭靱帯Lig. capituli costae interarticulareがある.これは肋骨小頭の関節面を上下に分ける肋骨小頭稜Crista capituli costaeから起って椎間円板に至るもので,関節腔を2室に分けている.つまりここには2室性関節がみられるのである.

 関節包の前面は放射状に走る線維性補強靱帯で被われている.これが放線状肋骨小頭靱帯Lig. capituli costae radiatumとよばれるもので,肋骨小頭から起って線維が扇状にひろがり,この関節に関係する両脊椎および椎間円板に付着している(図404).

2.肋横突関節Articuli costotransversarii(図400,401,403)

 第1~第10肋骨のもつ関節面は肋骨結節の関節面 Facies articularis tuberculi costaeと横突起の肋骨窩Fovea costalis processus transversiであって,ともに0.3~1.3mmの厚さの硝子軟骨で被われている.関節包はうすくて,関節面の縁のずぐきわに付いている.

 特殊の装置は多数の靱帯のかたちで存在する.短くて太い肋骨結節靱帯Lig. tuberculi costaeは横突起の尖端から起ってほず横の方向に肋骨結節にいたり,関節包の後面を被っている.さらに補強をあたえているのがおよび外肋横突靱帯Lig. costotransversarium internum, externumと肋頚靱帯Ligg. colli costaeである.後者は短く太い線維束からなり,肋骨頚とそれに対応する横突起とを結合している.

 肋頚靱帯と横突起と肋骨頚のあいだに肋横突孔Foramen costotransversariumという隙間が残されている.これは形態学上重要なもので頚椎の肋横突孔に相当するのである.

 内肋横突靱帯は肋骨頚の上縁から広く起って上方に向い.ひとつ上の横突起と肋骨との下縁に付く.これにくらべると外肋横突靱帯はずっと貧弱で,肋骨頚の後面から起って,ひとつ上の横突起と関節突起との基部にいたる.

3.胸肋連結Juncturae sternocostales(図402,408)

 第1~第7肋骨の結合は一部は軟骨結合,一部は関節である.

 関節面は第1~第7肋軟骨の前端と,胸骨の肋骨切痕である.後者は硝子軟骨のしばしば厚いおおいをかぶっている.関節包のはたらきをしているのは肋軟骨から起って胸骨の骨膜に移行する軟骨膜である(Fick).

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最終更新日13/02/03

 

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