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 d)後頭骨の鱗部外側部軟骨結合Synchondrosis squamolateralis ossis occipitalisおよび

 e)後頭骨の底部外側部軟骨結合Synchondrosis basilateralis ossis occipitalisは幼い人の後頭骨にあって,左右の外側部を前方では底部から,後方では後頭鱗から分けている.この軟骨結合は生後2年目以後は骨化して骨結合となる.

 f)蝶骨間軟骨結合Synchondrosis intersphenoideaは第7月の終りまでの胎児にしか存在しないもので,鞍結節のあたりで蝶形骨の体を横ぎつて走っている.

2.頭蓋の靱帯結合Syndesmoses cranii

 頭蓋の靱帯結合として,まず各頭蓋骨のすべての縫合を挙げねばならない.そのほかなお板状のものや索状のものなど, 長短さまざまのいくつかの線維束があって,不動性に2つの骨のあいだを結合し,また同一の骨の突出部のあいだに張っている.これらの靱帯は血管や神経の通る孔や管の形成をおぎなっている.側頭骨と後頭骨の頚静脈孔内突起の両尖端間を結合している靱帯も,また外側前頭切痕の尖端間を結ぶ靱帯もその例である.さらにこれに属するものとして,翼突棘靱帯・茎突舌骨靱帯のほか,小翼突起・中鞍突起・鞍背突起のあいだを結合するものなどがある.これらの靱帯のかわりに時おり骨質の橋わたしがみられることもある.

3.顎関節Articulus mandibularis, Kiefergelenk (図405407)

 この関節をつくる骨は側頭骨と下顎骨である.

 関節面は側頭骨の下顎窩Fossa mandibularisと関節結節Tuberculum articulare,他方は下顎小頭Capitulum mandibulaeである.

 下顎窩はやや長めのくぼみで,その横軸は後内側に向っている.左右両側め軸を延長すると,およそ大後頭孔の前縁のところで交叉する.下顎窩の一番深い部分はしばしば骨が非常に薄くて,光をすき通す.下顎窩の前壁は関節結節で,後壁は個体によって変異の多い関節後突起Processus retroarticularisでできている.関節結節は前後方向に凸で,左右方向に凹の弯曲を示し,従って鞍形をしている.その横軸の方向は下顎窩の軸と同じである.下顎窩と関節結節の表面は線維軟骨で被われている.

 下顎小頭は長めの楕円体のかたちである.横軸の方が長くて,下顎窩および関節結節の横軸と同様に,斜めに後内側へ向っている.左右の下顎小頭の軸は(Fickによれば)前方に開く150~160°の鈍角をなす.関節面はまっすぐ上方に向いてはおらず,前上方に向いている.関節面の前部だけが関節の構成に役だつのであって,ここは0.5mmの厚さの線維軟骨をかぶっているが,これに対して斜めに傾斜する関節面の後部は強靱結合組織層で被われているにすぎない.

 関節包はゆるいふくろである.側頭骨には前方は関節結節の前縁のすぐきわで付着し,側方は関節面の縁のすぐそばに付着し,内側は蝶麟縫合にまで達し,後方は錐体鼓室裂にまで達して,関節後突起が関節腔内に含まれるようになっている.またこの関節包は下顎骨には,前方は関節面の縁のすぐきわに,後方は関節面の縁から5mmはなれたところに付着している.関節包の前部はうすく,後部は厚い.線維の走向は側頭骨から下顎骨へと集中している.

 特殊な装置として:1. 関節円板Discus articularisは波形にまがった1枚の板で,強靱結合組織からなり,縁のところが最も厚く(3~4mm),中央が最も薄い(1~2mm).この円板は関節腔を完全に分離した2つの室に分ち,また下顎小頭が前方に移動するときにはそれにつれて動くので,ある程度の移動ができる関節窩をなしている.

 2. 補強靱帯は外側に1つ,内側に2つある.側頭下顎靱帯Lig. temporomandibulareは頬骨弓の外面からおこって下顎頚に付着する.[骨下]顎靱帯Lig. sphenomandibulareは蝶形骨棘から起って一部は下顎頚に,しかし主として下顎小舌に至るものである.茎突下顎靱帯Lig. stylomandibulareは茎状突起から起って,下顎枝の後縁の下顎角に近いところに付いている.

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最終更新日13/02/03

 

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