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 特殊な装置として開節そのものには何もないが,豆状骨に起始あるいは停止する3つの靱帯があって,その運動に影響をあたえている.まず豆状骨に停止する,尺側手根屈筋腱の延長ともいうべき2つの靱帯があって,その1つは豆鈎靱帯Lig. pisohamatumとよばれ,有鈎骨鈎にいたり,もう1つは[]中手靱帯Lig. pisometacarpicumとよばれて第4および第5中手骨の底につく.さらになお有頭骨にいたる線維束があって,これは放線状掌側手根靱帯の一部をなすものである.

d)第1手根中手関節Articulus cairpometacarpicus I.

 母指の手根中手関節(図430432)をつくっている骨は大多角骨と第1中手骨である.

 両骨の関節面はともに鞍状面である.

 大多角骨の関節面の弯曲は背掌方向に凸で,橈尺方向に凹である.第1中手骨では凹凸の関係がこれと逆になっている.

[図430] 右手の掌側の靱帯(4/5)

 関節包は広くてゆるやかであるが,丈夫にできている.背側の方が掌側の方より強く発達している.

 関節包は軟骨縁にかなり密接したところに付いているが,ただ中手骨の尺側部では軟骨縁から多少はなれたところに付く(4mm, Fick).

 関節腔は周りを完全に閉鎖されていて,他のいかなる関節ともつながっていない.

 1手根中手関節の力学:この関節は人体でもっとも完全な鞍関節Sattelgelenkである.しかしこの関節に可能な運動についてみると,その関節包が広くて丈夫であるために,球関節とみなすことができる.

e)総手根中手関節Articulus carpometacarplcus commums

 この関節をつくっている骨(図430432)は大および小多角骨・有頭骨・有鈎骨・第2~5中手骨である.

 関節面はいま述べた手根骨の遠位関節面と,第2以下の中手骨底の関節面である.

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最終更新日13/02/03

 

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