歴史的な偉大な解剖学書
この掌側線維軟骨板は幅1cm, 長さ1.5 cmであり,多くの学者によって一種の関節唇と考えられている.その掌側面は屈筋腱の基盤をなし,近位端は側方で横小頭靱帯の中につずいている.
横[中手骨]小頭靱帯Ligg. capitulorum ossium metacarpi transversaは特別の位置を占めるものである.
この靱帯はほぼ1cmの幅をもって,第2~第5中手骨の各小頭のあいだの掌側面に張っており,その背側にある中手指節関節の諸靱帯ならびに骨間筋の線維と結合している.またこの靱帯の掌側には虫様筋と指の掌側の血管・神経が走っている.この靱帯は第2~第5中手骨を散開する運動をさまたげる.
[図432] 左の手の関節(4/5) 凍結標本で背側部をヤスリで擦り取って関節を開いたもの.
種子骨:第1中手指節関節の関節包内には通常2つの種子骨があり,そのうち橈側のもの(7~8mm)の方が尺側のもの(4~5mm)より大きいことが普通である.また全例の3/4において,小指の中手指節関節には尺側に1つの種子骨がある.その他の関節にも種子骨が現れることがある.
5つの関節全部で最高7個,最低1個の種子骨が存在する(Pfitzner).
中手指節関節の血管と神経は,近隣の背側と掌側の血管および神経からくる.
中手指節関節の力学:これらの関節は制限された球関節と見ることができる.ここに生じる運動は,指が中手骨の延長に向いている中央位を基準の位置とすると,次のものがある:背屈, 掌屈,指を伸展位および軽い掌屈位で橈側および尺側へ外転する運動.最後の運動は指を強く掌屈していると,側副靱帯が強く緊張するために不可能である.
母指の中手指節関節では他の指におけるよりも運動性が小さいことが多い.
基節骨と中節骨のあいだと,中節骨と末節骨のあいだとに,全部で9つの同じ構造の指関節がある(図431).
最終更新日13/02/03