Band1.325   

 

a)脛腓関節Articulus tibiofibularis (図451, 454, 456)

 この関節をつくる骨は脛骨と腓骨である.

 関節面は脛骨に卵円形の腓骨関節面Facies articularis fibularis,腓骨に小頭関節面Facies articularis capituliがある.

 脛骨の関節面はたいてい平らで,ひさしのように伸び出した腓側顆の下面にあって,完全に脛骨の骨端部に属している.この面は後下外側に向いており,軟骨の被いは上縁で厚さが1.5mmあるが,下縁では0.5mmしかない.これに対して腓骨の関節面はたいてい少しくへこんでおり,脛骨の関節面よりいくらか大きい.そしてこの面は前上内側に向き,軟骨の厚さは上縁で1mm,下縁で0.5 mmである.

 関節包は2つの場所を除いて軟骨縁に付いている.関節腔は全例の約1/5 (R. Fick)で膝窩筋嚢に一従ってそれを介して膝関節に通じている.

 特別の装置としては腓骨小頭靱帯Ligg. capituli fibulaeという補強靱帯が前後にあ・り,前方のものは水平に,後方のものは上下に走る.

 この関節ではわずかな滑動が前から後へ, またはその逆の方向に起るだけで,その他の運動はほとんど言うに足らない(R. Fick).

b)下腿骨間膜Membrana interossea cruris(図456)

 脛骨および腓骨の骨間稜のあいだに下腿骨間膜が張っている.

 この膜は大部分が斜め下方へ走る線維でできているが,ほかの方向へ走る線維もある.この膜は上部では下部よりも幅が広く厚さがうすい.上部には前脛骨動静脈が通りぬけるための長めの孔が1つあいている.また下部には腓骨動静脈の穿通枝が通る小さい孔が1つある.

 骨間膜は脛骨と腓骨の結合に役だち,両骨がひきはなされるのを防いでいる.(両骨は腓骨小頭に付く大腿二頭筋腱によって,また下端でに距骨によって離開作用をうけ得るのである.)さらにこの膜は下腿の筋群に起始を提供している.

c)脛腓靱帯結合 Syndesmosis tibiofibularis (図456458)

 この関節をつくる骨は脛骨と腓骨である.

 関節面は脛骨の腓骨切Incisura fibularisと腓骨のこれに接する面である.前者は骨膜のみで被われており,後者は凸面をなすが時には凹面をなすこともあり,その骨膜には脂肪組織が豊富にまじっている.軟骨は相接する両面の下端部に,細い線状のかたちで稀に存在するだけである.

 特に関節腔というべきようなものはない.ただ両骨の下端のあいだに,距腿関節の関節腔から小さなすきまが1cmぐらい割りこんで来ており,そこに脂肪をもった滑膜ヒダがある.

 特別の装置として骨間膜のつづきをなすといえる1つの骨間靱帯があるが,そのほかに前方に太い靱帯が1つ,後方にいっそう強力な靱帯が1つある.すなわち:

 前脛腓靱帯Lig. tibiofibulare anteriusは両骨の下部の前面を斜めに下方へ,脛骨から腓骨へ走っている,1本の平たい線維条である.

 後脛腓靱帯Lig. tibiofibulare posteriusは同じようにして両骨の後面を走っている.

 この靱帯は2つの部分からなり,上部の方が幅が広く,その下方にさらに細くて長い線維束が,ほぼ水平に走っている.

 この遠位脛腓結合での運動は全く受動的のものである.すなわち足をつよく屈曲するときに両骨がはなれ,足を伸展するときに両骨がふたたび近よるといった運動である.

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最終更新日13/02/03

 

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