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この靱帯の背側には骨間筋Mm. interosseiがあり,底側には虫様筋Mm. lumbricalesのほか,指の底側の血管や神経がある.

 第1中足指節関節の関節包に接して,くわしくいえば,すでに述べた底側線維軟骨板の中に,常に2つの種子骨がある.1つは内側(脛側),他は外側(腓側)にあって,第1中足骨の深い溝の中を滑る.

 Pfitznerは第5指の関節包に6.2%の頻度で外側の種子骨を見いだし,5.5%に内側の種子骨を認めた.また第2指の関節包には内側の種子骨が1.8%に見られた.

10. [足の]指関節Articuli digitorum pedis (図460, 465, 466)

 基節骨と中節骨のあいだと,中節骨と末節骨のあいだに,合計9つの同じつくりの指関節があり,その構造は相当する手の指関節とだいたい同じである.

 中節骨と基節骨の遠位端にある関節面は滑車をなしており,中央に1本の導溝Führungsrinneをもっている.中節骨と末節骨の底にあってこれに対応する面は,導隆線Führungsleisteのついた浅い関節窩をなしている.しかし中節骨と末節骨のあいだの関節では,滑車の導溝と関節窩の導隆線は,あるかないかの程度のことが多い.

 関節包は関節窩では軟骨縁のすぐきわに付き,滑車では軟骨縁からいくらか離れたところに付いている.

 関節包は背側では薄くて,伸筋の腱と癒着している.底側では中足基節関節におけると同様の線維軟骨板をもっている.

 特別の装置として側副靱帯Ligg. collateraliaがある.

 これは滑車の側面の背側寄りにあるくぼみから起り,斜めに底側前方へ走って対応する指骨の底につく.血管と神経は近隣の指動・静脈および指神経Vasa et Nervi digitalesから来る.

 中足指節関節と指関節のリンパ管は各関節の内側と外側に出てくる.このリンパ管は足背では8ないし10本の小幹となり,近位方にゆくほどに集まって,2ないし4本にまとまり,大伏在静脈に沿ってすすみ,浅鼡径下リンパ節にいたる.

 しかし母指の中足基節関節からは足底の側へ1本のリンパ管が出て,第1中足骨商隙を通って足背に現われ,前脛骨動・静脈に沿うで上行し,膝窩リンパ節に達する.

 第2~第5指の中足基節関節からも,同様にそれぞれ1つのリンパ管が足底面に現われる.これらは合流して,足底動脈弓.腓側足底動脈・後脛骨動静脈に沿って膝窩リンパ節にいたる(Baum. Anat. Anz., 67. Bd.,1929).

足根間関節および足根中足関節の力学

 機能的にみると,足根は近位部と遠位部に分けて考えるべきで,前者には自由な関節があるのに対し,後者では骨が半関節によって結合している.

 遠位部は中足骨と3つの楔状骨からなる.そして第2と第3の中足骨は,3つの楔状骨と固く結合して一体をなしているのに対して,第1中足骨と第1楔状骨,第4・第5中足骨と立方骨の結合は,ある程度の可動性をもっている.

 近位部をこは距踵関節・距踵舟関節・踵立方関節がふくまれる.

 力学的にみると,これらの結合は解剖学の記載とは違ったぐあいに分けられるべきである.たとえば距骨は踵骨とのあいだに全く分離した2つの関節をもっているが,これらは機能的には1つのものなのである.また他方, 距踵舟関節は力学的にみると距骨・舟状骨間の結合. E距骨・踵骨間の結合との2部分からなるが,後者はすでに述べたように機能的には距踵関節と一体をなすものであるから,'次の3つの結合があるわけで,それらの機能について述べる.

 1. 矩骨と踵骨のあいだの結合,2. 距骨と舟状骨のあいだの結合,3. 踵骨と立方骨のあいだの結合.

 まず強調しておくことは,これらの3つの結合は多くの関節靱帯があるために,各個別々には用いられないということである.むしろその運動はたがいに強制的に関連し合っているのであって,たとえばつまさぎを内側(脛側)へ外転すると,同時にその内側縁がもち上り(回外Supination),つまさきを外側(腓側)へ外転すると,足の内側縁が下がる(回内Pronation).

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最終更新日13/02/03

 

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