Band1.337   

 

直立Stehen

 直立とはからだの重心が,一方または両方の足の下に被われた地面, あるいは両方の足のあいだにはさまれた地面で,ささえられるような姿勢である.直立姿勢においては,骨格の作用によって,筋肉の使用ができるだけ少い状態で体が支えられる.

 最も安定した直立姿勢は,全身の重心(仙骨管の上部)から下がる重力線が両足の主支持点のあいだのほぼ中央を通るときである.これは両側の下肢軸を水平面に対して83~84°の角度で後下方へ傾ける場合にだけ可能である.このとき全身の重力線は股関節軸Hüftachseの5cm後方,踝軸Knöchelachseの3cm前方を通る.下肢の安定は距骨が脛骨踝と腓骨課によってつくられる二叉のあいだに固定されることと,膝関節が固定することによってもたらされる.

 その後に次のような見解が正しいとされるに至つた.直立時に膝関節が固定されて,膝の曲がるのが防止されているのは,特別の機構によるのではなく,体重の作用だけで充分その目的を達しているのだという.すなわち重力線が膝の屈曲軸の前に落ちるやいなや,重力は膝を屈曲させないで,それを伸展させるようにのみ働くめである(Haycraft, R. du Bois Reymond).

 

S.337    

最終更新日13/02/03

 

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