Band1.343   

 

a)筋線維が結合して個々の筋をなすこと

 筋線維の組織学的な特徴はすでに体組織Körpergewebeの項で述べた.平行して並んでまとまり,比較的長い筋では相前後してもまとまって筋の長さだけの束をなしている.そしで個々の筋線維の間は疎姓結合組織によってたがいに連祖られている.かくして筋線維がまとまって1つの筋ができている.結合組織性の被膜はこの一次筋束を取りまき,また個々の筋線維の間の結合組織と続いている.一次筋束が幾つも集まって,更に太い二次,三次などの筋束にまとめられている.かなり多数の比較的太い筋線維束の集りが筋そのものであって,その筋の外面もやはり他からそれを境する結合組織の膜に包まれている.この膜は顕微鏡標本でみるときには外筋周膜Perimysium externumであり,肉眼的標本でみるときは筋膜と呼ばれる.筋の内部にみられる結合組織は内筋周膜Perimysium internum, あるいは筋内膜Endomysiumといわれる.内筋周膜は疎性結合組織の一種であって,この組織の構成要素, すなわち膠原線維および弾性線維, 顆粒をもつ固定細胞および遊走細胞の他に,更に多少の差はあるが概して数の多い脂肪細胞ならびに血管および神経を含んでいる.外筋周膜はいっそう固くできていて,主として密に組み合った結合組織束からなっている.だから筋内膜は多数の筋線維をまとめて1つにするための接合物であるのみでなく,血管および神経を担つているのである.更にこれはと続いて筋線維が腱にいっそうしっかりと固着するようにはたらいている(図469).

b)腱と腱膜の構造

 Sehnenと腱膜Aponeurosenは白くて,青みまたは黄みを帯びた,真珠貝のような光沢のある,線維性の器官で,その線維束は平行に走ること,しっかりと纏まっていること,弾性線維が乏しいこと,およびわずかしか引き延ばされないことが,その特色である.最後に述べた点では,筋線維と全く反対である.

 腱および腱膜は組織学的には強靱結合組織,特有な腱細胞あるいは翼細胞(図69),神経,わずかな血管ならびにいろいろの違った部分をまとめる役目の少量の疎性結合組織よりなっている.これらの成分は次のようにして結び合って器官をなしている.(Keller, Morph. Jhrb. 91,1951).一様にしかもラセン状に走るかなり多数の膠原原線維が原線維間物質により一次腱束Primdirbtindelにまとめられている.この一次腱束のあいだに腱細胞(Ranvierの翼細胞Flügelzellen)が列んでいて,腱細胞の翼は隣接する線維束にぴったりとくっつき,それを包んで,また互いのあいだを分けている(図70).横断面では腱細胞はその翼の数に一致して3個または4個の放射状の突起をだす星のようにみえる(図470).一次腱束がいくつか集まって二次腱束となり,これがさらに高次の束にまとまって,けっきょく腱の全体ができあがる.そして腱の表面には筋と同様に1つの結合組織性の被膜,すなわち腱周膜Peritenoniumがある(図470),線維束を分けている結合組織は腱内膜Endotenoniumである.

c)筋と腱の間および腱と骨格の間の結合

 筋と腱との結合では,個々の筋線維がどんなぐあいに腱線維と結合するかという問題のみでなく,また内筋周膜が腱に対してどんな関係にあるかという問題が重要である.

 内筋周膜の線維はToldt(図471)が示しているように,直接に腱束に移行している.

 

S.343    

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る